機能性物質の超高分解能光電子分光
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学術的意義・発展性
高温超伝導体、巨大磁気抵抗物質、特異な磁性・伝導性・相転移を示す機能性物質の電子状態の解明は、物性物理学・化学・材料科学の分野で重要な学問的課題となっており、また応用研究の側からも新物質開発における設計指針を与えるものとして強く期待されている。放射光を用いた光電子分光は、これらの目的に適った最も有力な手段として重要視されている。高輝度光源を用いた超高分解能測定により、精度の向上、対象物質の拡大が期待され、関連する学問分野の飛躍的な発展が期待される。 |
国際競争力
極紫外・軟X線高輝度光源の性能を利用し、世界最高性能の超高分解能光電子分光ビームラインの設計が可能である。国内には、外国の施設や実験室光源で世界的な成果を挙げているポテンシャルの高い研究グループがいくつかあり、高輝度光源施設が完成した暁には、世界的センターとなることが予想される。 |
高輝度の必要性
分光器の設計により、1meV クラスの超高分解能測定で充分な信号強度を得るには高輝度が必要であることが結論されている。 |
技術的な実施可能性
従来に比して分光器、測定装置をすべて高精度化する必要があるが、既存技術の改良により高精度化を達成でき、大きな困難はないものと思われる。東京大学、東北大学、KEKをはじめとするいくつかの研究グループが協力して装置設計などの建設準備を行なっている。分光器と測定装置の基本設計は終了し、細部を検討している。建設開始後は、これらのグループから充分な数の人間が建設に参加できる状態にある。 |