日本の鉱物

 

日本の鉱物や岩石のマクロ写真。
シュツルンツ分類で並べてみた。
一覧にぶら下がるように掲載が新しい順で写真を並べている。
一覧の中の鉱物名をクリックすると該当の写真に飛ぶ。

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1.元素鉱物

2.硫化・セレン・テルル化鉱物

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3.ハロゲン化鉱物

4.酸化鉱物

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5.炭酸塩鉱物

6.硼酸塩鉱物

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7.硫酸塩鉱物

8.リン/ヒ/バナジン/モリブデン/テルル酸塩鉱物

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9.ケイ酸塩鉱物

石ころ

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鉄白燐石 / Leucophosphite

鉄白燐石 / Leucophosphite
鉄白燐石 / Leucophosphite
KFe3+2(PO4)2(OH)·2H2O
三重県伊勢市矢持町

秩父帯に属する石灰岩層は地下水の侵食を受け所々で洞窟が形成され、洞窟内ではコウモリをはじめとした様々な生物が生活している。気の遠くなるほどの時間が経過する中で生物は世代交代を繰り返し、洞窟内には大量のグアノ(糞の化石)が形成される。そのグアノの中にオレンジ色の小球が認められ、調べてみたところそれは鉄白燐石であった。学名は白い燐酸塩鉱物という意味のギリシャ語を元にしており、和名の鉄白燐石は化学組成も考慮した表現となっている。しかし写真の標本を見てのとおり、鉄白燐石は必ずしも白くない。

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ヘスチング閃石 / Hastingsite

ヘスチング閃石 / Hastingsite
ヘスチング閃石 / Hastingsite
NaCa2(Fe2+4Fe3+)(Si6Al2)O22(OH)2
岡山県高梁市備中町用瀬山宝鉱山

ヘスチング閃石は1896年に命名された角閃石で、学名は発見地のHastings郡(カナダ)に因んでいる。この角閃石も最新の角閃石の命名規約の中では例外的な扱いで、ルール通りならフェロフェリパーガス閃石(Ferro-ferri-pargasite)とされるところだったが、いまさらヘスチング閃石の名称を消すと混乱が生じるという理由で名前が残った。山宝鉱山のヘスチング閃石は蛍石と共に生じているのでフッ素が多く含まれているのかと思いきや、水酸基が支配的であった。

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アクチノ閃石 / Actinolite

アクチノ閃石 / Actinolite
新潟県青海川

アクチノ閃石 / Actinolite
愛媛県関川

アクチノ閃石 / Actinolite
愛媛県国領川

アクチノ閃石 / Actinolite
□Ca2(Mg4.5-2.5Fe2+0.5-2.5)Si8O22(OH)2

最新の角閃石の命名規約では、マグネシウム(Mg)端成分に対してルートネームを与え、二価鉄(Fe2+)端成分に対しては「フェロ(ferro-)ルートネーム」とする命名法を基本としている。しかしながらアクチノ閃石は古来から使われてきた名称であり、おいそれとは抹消することができない。そこで例外的な組成区分を設定してアクチノ閃石の名称を残すことになった。本来のルールどおりならアクチノ閃石は透閃石(Tremolite)の範疇となる。
 学名は繊維質な石という意味のギリシャ語に因んでおり、1794年に命名された。アクチノ閃石の標本は個体差が大きく結晶のサイズで質感が大きく異なる。ここでは上から下に結晶サイズが大きくなる順で標本を並べている。上の写真は数ミクロン以下の結晶の集合体で、いわゆる軟玉に相当する標本となる。真ん中の写真にあるアクチノ閃石は長軸方向が1センチ程度あるが厚みは100ミクロンもないためかほとんど無色近い。下のアクチノ閃石は人差し指程度の大きさがあるが透明感が失われている。

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ゲルスドルフ鉱 / Gersdorffite

ゲルスドルフ鉱 / Gersdorffite
ゲルスドルフ鉱 / Gersdorffite
NiAsS
兵庫県養父市夏梅鉱山

ゲルスドルフ鉱は1845年にSchladming(オーストリア)のニッケル鉱山主であったJohann Rudolf Ritter von Gersdorff(1781-1849)に因んで1845年に命名された。日本でも早くから存在が知られ、1907年に夏目鉱山から見出されている。三角形の面を組み合わせた八面体の結晶で産出し、夏目鉱山では紅砒ニッケル鉱と縞状組織を形成することが多い。ゲルスドルフ鉱には3種類の同質異像があり、それぞれGersdorffite-P213、Gersdorffite-P3、Gersdorffite-Pca21という別々の学名が与えられている。

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紅砒ニッケル鉱 / Nickeline

紅砒ニッケル鉱 / Nickeline
紅砒ニッケル鉱 / Nickeline
NiAs
兵庫県養父市夏梅鉱山

紅砒ニッケル鉱はニッケルと砒素からなる鉱物であるが、赤銅色を示すため発見当時は銅の鉱石と思われていた。しかしどんなに工夫を凝らしても銅を摘出することができなかったため、ドイツ神話のいたずらな妖精(Nickel)と銅の合成語である「kupfernickel」という名称が1694年に与えられた。1751年にAxel Fredrik Cronstedt(1722-1765)はkupfernickelから銅を抽出しようとして、代わりに単離されたのがニッケル(Ni)である。ニッケルという元素は紅砒ニッケル鉱から見出された。鉱物としては1832年に今の学名である「Nickeline」が与えられ、一時期「Niccolite」とも呼ばれたが、1971年に国際鉱物学連合がNickelineの使用を推奨している。和名は外観と成分に由来している。夏梅鉱山では蛇紋岩中に球状の塊で産した。

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ソーダダキアルディ沸石 / Dachiardite-Na
ソーダダキアルディ沸石 / Dachiardite-Na
ソーダダキアルディ沸石 / Dachiardite-Na
Na4(Si20Al4)O48·13H2O
千葉県南房総市荒川

ダキアルディ沸石はピサ大学(イタリア)のAntonio D’Achiardi (1839–1902)に因んでおり、Antonioの息子であるGiovanniによって1906年に命名された。これまでナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)を主成分とする3種があり、最初に記載されたダキアルディ沸石はカルシウムを主成分としていた。ナトリウムを主成分とするダキアルディ沸石は1975年にAlpe di Siusi(イタリア)から見出されている。ソーダダキアルディ沸石は日本では新潟県柳新田が産地として知られている。写真の標本は砂岩を切るオパール脈の晶洞に生じたソーダダキアルディ沸石で、千葉県南房総市荒川から産した。

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ざくろ石 / Garnet

ざくろ石 / Garnet
長野県和田峠

ざくろ石 / Garnet
茨城県山の尾

ざくろ石 / Garnet
奈良県天川村

ざくろ石 / Garnet
愛媛県伊予市双海町

ざくろ石 / Garnet
愛媛県宮窪町

ざくろ石 / Garnet
新潟県糸魚川市姫川

ざくろ石 / Garnet
栃木県日光市久良沢鉱山

ざくろ石 / Garnet

ざくろ石の英名はGarnet(ガーネット)であり、赤い結晶がザクロ(Granatum)の実に似ていることからそう呼ばれるようになったとされるが他の説もあるようだ。和名については「ざくろ石」、「ザクロ石」、「石榴石」、「柘榴石」などの表記があり、文章校正の際に悩まされる。このうち「柘榴石」については、ザクロの木は「柘(ツゲ)」ではないから「柘榴石」表記は本来正しくない、という意見がある。ここでは「ざくろ石」の表記を採用する。
 鉱物としては単にざくろ石と呼ぶと、ざくろ石型構造をもつ鉱物の総称となる。より正確に分類すると「ざくろ石超族(Garnet Supergroup)」という大きなまとまりがあり、その下に「ベルゼライト族(Berzeliite Group)」、「バイティクレアイト族(Bitikleite Group )」、「ガーネット族(Garnet Group)」、「ヘンリターミエライト族(Henritermierite Group )」、「ショーロマイト族(Schorlomite Group)」が区分される。それぞれの族の中に個々の鉱物種が含まれ、ざくろ石超族は合計で35種(2019年10月時点)から構成されている。多くは固溶体を形成し、一つの結晶であっても鉱物種として2種類が含まれるケースも稀ではない。
 ざくろ石は一般的な造岩鉱物で、多様な地質環境で見かける。日本でも古くから産出が知られ、明治37年発行の「日本鉱物誌」では16箇所の産地のざくろ石が紹介されている。12-36面体のコロッとした結晶が特徴で含まれる成分によって様々な色合いを示す。灰鉄ざくろ石と灰バンざくろ石のラメラによるレインボー効果を示すざくろ石も知られる。ここでは種を厳密に特定せずにざくろ石を並べている。

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ハウスマン花 / Hausmannite flower
ハウスマン花 / Hausmannite flower
ハウスマン花 / Hausmannite flower
ハウスマン花 / Hausmannite flower

ハウスマン鉱 / Hausmannite
Mn2+Mn3+2O4
群馬県桐生市菱町

ハウスマン鉱の結晶は限られた産地でしか見ることができない珍しいもので、産出したとしてそれはスピネル様の八面体結晶となる。ところがこの花弁状集合体から得られたデータはそれがハウスマン鉱であることを示していた。ハウスマン鉱は正方晶系に属し、4回回転軸を持つ。改めて標本を見ると、花びらが多い集合ではわかりにくいが、4回回転対称を基本として構成されていることが見て取れる。褐色の条痕色(粉末の色)や亜金属光沢もハウスマン鉱と一致する。しかしこれを見てハウスマン鉱と看破できる愛石家はまずいないと思う。採集者も私もぱっと見でクリプトメレン(Cryptomelane)を予想していた。そのつもりでデータを解析していて思わず口に出た言葉が「ハウスマンか?」であった。

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リッベ石 / Ribbeite
リッベ石 / Ribbeite
リッベ石 / Ribbeite
Mn2+5(SiO4)2(OH)2
愛媛県大洲市戒川鉱山

リッベ石はアレガニー石(Alleghanyite)と多形(同質異像)を成す鉱物で、1987年にナミビアの Kombat Mineから記載されたのが最初となる。学名は鉱物学者のPaul Hubert Ribbe (1935-2017)に因む。日本では1991年に三波川変成帯に位置する複数のマンガン鉱山同時に報告され、その中に戒川鉱山が含まれている。リッベ石はハウスマン鉱と共に濃紫紅色の緻密質な集合体を形成する。アレガニー石も伴われることがあるが、それはリッベ石集合体を切る細脈として生じる。産状からリッベ石はアレガニー石よりも高い圧力・温度条件で生じると考えられている。

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トラスコット石 / Truscottite
トラスコット石 / Truscottite
トラスコット石 / Truscottite
Ca14Si24O58(OH)8·2H2O
鹿児島県伊佐市菱刈鉱山

トラスコット石は1912年にインドネシアのスマトラ島から見出された鉱物で、イングランドの資源地質学者であるJohn Truscott (1870-1950)に因んで命名された。永らく模式地のみからしか産出が知られていなかったが、1967年になり静岡県土肥鉱山から世界で二番目の産出が報告された。ただし多産はしなかったようで、日本産のトラスコット石としては後に菱刈鉱山から産出した標本が有名になっている。白色で絹糸光沢のある葉片状結晶が特徴となっている。美しい標本だが、分布が一様でコントラストが低いため写真に納めるのが難しい。

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苦土ヘスチング閃石 / Magnesio-hastingsite
苦土ヘスチング閃石 / Magnesio-hastingsite
苦土ヘスチング閃石 / Magnesio-hastingsite
NaCa2(Mg4Fe3+)(Si6Al2)O22(OH)2
熊本県西原村護王峠

写真の標本は熊本県護王峠の苦土普通角閃石とされる標本で、どの図鑑でもそのように記されている。そこで過去の分析例を調べてみたのだがちょっと見つからない。そのため写真の標本を切断して内部を調べてみると予想外の結果が得られた。外見上は角閃石の形を成しているが、角閃石は表面から内部へ向かいほんの数百ミクロン程度の薄皮でしかなかった。そしてその角閃石の分析値は苦土ヘスチング閃石であり、苦土普通角閃石とはアルカリ成分とケイ酸成分が本質的に異なる角閃石である。なお角閃石の薄皮の内側は微細な透輝石+オリビン+磁鉄鉱の集合体となっていた。

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マンバンざくろ石 / Spessartine
マンバンざくろ石 / Spessartine
マンバンざくろ石 / Spessartine
Mn2+3Al2(SiO4)3
栃木県日光市久良沢鉱山

久良沢(きゅうらさわ)鉱山は足尾山塊に多数あるマンガン鉱山の一つで比較的多いズリが残されている。層状マンガン鉱床であるが花崗岩による接触変成作用で鉱物が粗粒化している傾向がある。なかでもマンバンざくろ石は比較的大粒で24-36面体の結晶が得られる。オレンジ色の美しい結晶であることに加え、成長丘が全面に発達しておりその幾何学模様もまたおもしろい。学名は発見地の Spessart Mountain(ドイツ)に因んでいる。

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ボトリオ石 / Botryolite (Botryoidal Datolite)
ボトリオ石 / Botryolite (Botryoidal Datolite)
ボトリオ石 / Botryolite (Botryoidal Datolite)
愛媛県久万高原町槙の川

ボトリオ石は鉱物名ではなく、ブドウの房状の集合体を成すダトー石のことを指す。1808年にJohann Friedrich Ludwig Hausmannによってノルウェイ産の標本に対して命名された。日本では愛媛県槙の川の標本がよく知られている。県立博物館発行の「愛媛の鉱物」によれば当初は玉髄と考えられ、後にボトリオ石であることが明らかとなった。原産地であるノルウェイのボトリオ石は黒色に近いブラウン色であるが、槙の川産のボトリオ石は白色からピンク色を呈する。

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ピクロファーマコ石 / Picropharmacolite
ピクロファーマコ石 / Picropharmacolite
ピクロファーマコ石 / Picropharmacolite
Ca4Mg(AsO3OH)2(AsO4)2·11H2O
大分県佐伯市木浦鉱山

ピクロファーマコ石の最初の記載は1819年となっている。学名はマグネシウムを含むことおよび毒を意味するギリシャ語を由来とし、その由来のとおり毒性を持つ。古典的な鉱物だが日本での発見は2009年と意外と新しい。ピクロファーマコ石は水溶性であり多湿気候の日本では生成後に溶けてしまうことも多く、それがなかなか発見されなかった原因かも知れない。この産地には何度か訪れたが自分ではピクロファーマコ石を見つけることはできなかった。写真の標本は発見者の一人から恵与していただいた。

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<苦土フェリエ沸石 / Ferrierite-Mg
苦土フェリエ沸石 / Ferrierite-Mg
[Mg2(K,Na)2Ca0.5](Si29Al7)O72·18H2O
愛媛県久万高原町黒妙

フェリエ沸石にはマグネシウム(Mg)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、アンモニウム(NH4)の種類があり、そのうちマグネシウム(苦土)タイプがもっとも早く記載された。最初のフェリエ沸石はカナダのカムループス湖畔から見出され、カナダ地質調査所のWalter Frederick Ferrier(1865-1950)に因んで1918年に命名された。写真の標本は愛媛県久万高原町黒妙からの標本で、安山岩中の晶洞に鱗珪石を伴って産出する。フェリエ沸石としては典型的なわかりやすい標本で板状結晶が放射状に並んでいる。

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カリフェリエ沸石 / Ferrierite-K
カリフェリエ沸石 / Ferrierite-K
カリフェリエ沸石 / Ferrierite-K
(K,Na)5(Si31Al5)O72·18H2O
島根県松江市桂島

桂島は島根県松江市島根町加賀の北に位置しており、Google Mapの地図上では孤島のように表示されるが、実際は防波堤と橋によって徒歩で渡ることができる。島全体が流紋岩からなっておりメノウの球果や脈が至る所で観察できる。海水浴場になっている浜辺は白いメノウの砂利が大量に打ち上げられており、その砂利をよく見ると少なくない頻度で絹糸光沢をもつ放射状の鉱物がへばりついている。産状的にフェリエ沸石だと直感して分析をしてみると、これはカリ(K)タイプのフェリエ沸石だった。根源名はカナダ地質調査所のWalter Frederick Ferrier(1865-1950)に因んでいる。

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バナジン銅鉱 / Volborthite
バナジン銅鉱 / Volborthite
バナジン銅鉱 / Volborthite
Cu3V2O7(OH)2·2H2O
愛知県犬山市継鹿尾

岐阜県各務原市鵜沼から木曽川を挟んで愛知県犬山市継鹿尾あたりには石炭紀からジュラ紀の堆積岩が分布しており、一部には瀝青炭層が挟まれている。バナジン銅鉱は瀝青炭層の割れ目にガラス光沢を示す黄色の板状もしくは葉片状結晶が放射状に集合した姿で産出する。鉱物学業界ではとりわけ学術的重要性はないのだが、所変われば品変わるということで、実は物理業界ではカゴメ格子フラストレート系を体現する物質としてバナジン銅鉱が注目されている。バナジン銅鉱の学名は最初にこの鉱物の存在に気づいた古生物学者のAlexander von Volborth (1800-1876)に因んでいる。

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紫蘇輝石 / Hypersthene
紫蘇輝石 / Hypersthene
紫蘇輝石 / Hypersthene(鉱物種としてはEnstatite)
(Mg,Fe)SiO3
福島県猪苗代町大字壺楊前浜

紫蘇輝石とはかつての輝石の分類上に存在した種類で、エンスタタイト成分を50-70%もつ輝石が紫蘇輝石という名称で呼ばれた。紫蘇輝石は安山岩に含まれるもっとも一般的な斑晶鉱物であり、安山岩火山である磐梯山の麓に広がる猪苗代湖畔には大量の紫蘇輝石が堆積している。英名のHyperstheneは「より硬い」という意味のギリシャ語が元になっており、しばしば混同される角閃石よりも硬いという意味合いとなっている。和名は紫蘇のような色合いに由来すると思うのだが、偏光をかけると結晶は赤~緑に変化するので赤紫蘇と青紫蘇のどっちの意味だろうか。

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灰十字沸石 / Phillipsite-Ca
灰十字沸石 / Phillipsite-Ca
灰十字沸石 / Phillipsite-Ca
Ca3(Si10Al6)O32·12H2O
島根県西ノ島町国賀

十字沸石の根源名はイギリスの鉱物学者であるWilliam Phillips (1776-1829)に因んで命名された。この沸石は十字型の双晶として生じることから十字沸石という和名で呼ばれており、これまでにカルシウム(Ca)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)を主成分とする種が知られている。写真の十字沸石はカルシウムを主成分とすることから、カルシウムの和名である「灰」をつけて灰十字沸石と呼ぶ。ただしこの標本のように十字型の双晶となっていない産状も多い。経験的には十字型の双晶となる標本のほうがむしろ稀産と思っている。

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フィアネル石 / Fianelite
フィアネル石 / Fianelite
フィアネル石 / Fianelite
Mn2+2V2O7·2H2O
埼玉県飯能市小松鉱山

フィアネル石はFianel鉱山(スイス)を模式地とし、産地に因んだ学名が与えられている。1995年に発見されたが、そこから今日まで世界を見渡しても産地は3箇所と非常に少ない。日本では小松鉱山が唯一の産地で、フィアネル石は菱マンガン鉱を伴って低品位の鉱石中に脈状に分布する。脈に沿って鉱石を割ると脂肪光沢のある橙赤色の皮膜としてフィアネル石が観察され、一部には板状~葉片状結晶の痕跡が見て取れる。

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フェロパンペリー石 / Pumpellyite-(Fe2+)
フェロパンペリー石 / Pumpellyite-(Fe2+)
フェロパンペリー石 / Pumpellyite-(Fe2+)
Ca2Fe2+Al2(Si2O7)(SiO4)(OH,O)2·H2O
埼玉県飯能市小松鉱山

パンペリー石はアメリカの地質学者であるRaphael Pumpelly(1837-1923)に敬意を表して命名された鉱物で、1923年に記載された。1973年からは化学組成に従った分類が提案され、学名に接尾語をつけて種を細分することになったが、分析なしにそれぞれを見分けることは難しい。写真の標本は埼玉県小松鉱山から産出したもので、赤鉄鉱を含む鉱石を石英と共に横切っている。分析したところ二価鉄(Fe2+)を主成分とするフェロパンペリー石であった。小松鉱山ではバナジウム(V)を主成分とするパンペリー石であるポッピ石(Poppiite)の産出があるが、そちらはほとんど真っ黒なのでフェロパンペリー石と混同することはないだろう。

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ポッピ石 / Poppiite
ポッピ石 / Poppiite
ポッピ石 / Poppiite
ポッピ石 / Poppiite
Ca2(V3+,Fe3+,Mg)V3+2(Si,Al)3(O,OH)14
埼玉県飯能市小松鉱山

ポッピ石はパンペリー石族の一員で、バナジウム(V)を主成分とする。世界的にも非常に稀産の鉱物であるが日本では2箇所で産出が知られる。そのうちの一つである埼玉県小松鉱山ではほとんど黒色にみえる脈で産出し、拡大するとそれぞれは深緑色の柱状結晶となっている。また写真の標本は微小な輝銅鉱を伴っており、それらの風化によって黄色のバナジン銅鉱(Volborthite)が周囲に生じている。また小松鉱山ではフェロパンペリー石も産出するが、そちらは緑鮮やかでポッピ石とは色味が異なる。ポッピ石の学名はモデナ・レッジョ・エミリア大学(イタリア)の鉱物学者であるLuciano Poppiへの献命となっている。

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フランシスカン石 / Franciscanite
フランシスカン石 / Franciscanite
フランシスカン石 / Franciscanite
Mn2+6(V5+□)(SiO4)2O3(OH)3
埼玉県飯能市小松鉱山

フランシスカン石はPennsylvania鉱山(アメリカ)から1985年に見出された鉱物で、鉱床が胚胎されるFranciscan層に因んで命名された。永らく原産地でしか産出が知られていなかったが、2007年になり日本でも産出が確認された。フランシスカン石の産出が確認されたのは埼玉県小松鉱山で、そこではバナジウムに富む鉱物が多く見つかっている。フランシスカン石は脂肪光沢の強い濃赤黒色の棒状結晶として、マンガン品位の低い珪質な鉱石を切る菱マンガン鉱に伴われる。

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オパール / Opal
オパール / Opal
オパール / Opal
SiO2・nH2O
高知県いの町加茂山

オパールには蛋白石という和名があり日本では玉子の白身のような色合いで産出することが多いが、まれに遊色を示すものがある。写真の標本は鉄・マンガン鉱石の石英脈に伴われて産出した青系統の遊色を示すオパールとなる。オパールはいくつかの鉱物や非晶質などの集合体であるため単独の鉱物ではないが、古くから知られているという理由で例外的に一つの鉱物種として認められている。学名の由来は諸説あるが定かではなく、古代ラテン語やサンスクリット語が起源になっている可能性が指摘されている。

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モルデン沸石 / Mordenite
モルデン沸石 / Mordenite
モルデン沸石 / Mordenite
(Na2,Ca,K2)4(Al8Si40)O96·28H2O
静岡県河津町やんだ

モルデン沸石は1864年に記載された古典的な沸石族の鉱物で、学名は発見地に由来する。カナダのニューブランズウィック州とノバスコシア州の間に位置するファンディ湾のMordenという地域からはじめに見出された。今となってはありふれた沸石で、日本でも静岡県河津町やんだのモルデン沸石は古くから知られており、凝灰角礫岩や玄武岩質溶岩の晶洞に毛~針状結晶の集合体が見られる。なお写真のモルデン沸石はカルシウム(Ca)を主成分とするが、天然にはカリウム(K)置換体のモルデン沸石が存在する可能性が合成実験などから示唆されている。

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メタスウィツアー石 / Metaswitzerite
メタスウィツアー石 / Metaswitzerite
メタスウィツアー石 / Metaswitzerite
Mn2+3(PO4)2·4H2O
埼玉県秩父市浦山広河原鉱山

メタスウィツアー石は4つの水分子をもつ鉱物として、はじめはスウィツアー石(Switzerite)の名前で記載された。しかし後になって、このスウィツアー石は7つの水分子をもつ鉱物が脱水して形成されたことが判明する。そこでオリジナルである7つの水分子をもつ鉱物をスウィツアー石と命名し、4つの水分子をもつ鉱物のほうは変質を意味する「メタ(meta)」の接頭語をつけてメタスウィツアー石と改名することが決まった。スウィツアー石→メタスウィツアー石への脱水は空気中で急速に進行する一方的な反応であり、メタスウィツアー石を水の中に入れてもスウィツアー石に戻らない。スウィツアー石の学名はスミソニアン博物館の George Shirley Switzer (1915-2008)に因んでいる。

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ラムベルグ鉱 / Rambergite
ラムベルグ鉱 / Rambergite
ラムベルグ鉱 / Rambergite
MnS
埼玉県秩父市浦山広河原鉱山

ラムベルグ鉱はアラバンド鉱と多形(同質異像)となる鉱物だが、アラバンド鉱がマンガン鉱床では普通の鉱物であることに対し、ラムベルグ鉱は非常に稀な鉱物である。日本では埼玉県広河原鉱山から2005年に見いだされた。オレンジ色の皮膜で産出することが多いが、晶洞には六角柱状の小さな結晶が認められる。学名は地球物理学者であるHans Ramberg(1917-1998)の業績をたたえて命名された。

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エモンス石 / Emmonsite
エモンス石 / Emmonsite
エモンス石 / Emmonsite
Fe3+2(Te4+O3)3·2H2O
静岡県下田市河津鉱山猿喰ヒ

エモンス石は鉄(Fe)とテルル(Te)の含水酸化物で、テルルを含む鉱石の風化で生成する。放射状に集合することが多いが、個々の結晶はルーズである場合がほとんどである。日本ではこれまで北海道手稲鉱山と静岡県河津鉱山で見いだされている。世界的には多くの産地が知られ、はじめはアリゾナ州のTombstone鉱区から見出され、地質学者のSamuel Franklin Emmons (1841-1911)に因んで命名され、1885年に記載された。

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バレンチン石 / Valentinite
バレンチン石 / Valentinite
バレンチン石 / Valentinite
Sb2O3
宮崎県西米良村天包山

バレンチン石はアンチモン(Sb)の酸化物で、アルジェリアでは主要な鉱石として採集されているが、通常は被膜もしくは微細な放射状集合として産出する。日本では宮崎県天包山からの標本がよく知られている。学名は元素としてのアンチモンの特性を記した15世紀の錬金術師であるBasilius Valentinusにちなんで命名され、1845年に記載された。しかしBasilius Valentinusという人物は実在しなかった可能性も指摘されている。

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塩基アルミナ石 / Felsőbányaite
塩基アルミナ石 / Felsőbányaite
塩基アルミナ石 / Felsőbányaite
Al4(SO4)(OH)10·4H2O
高知県土佐山桑尾

塩基アルミナ石(Felsőbányaite)は1853年にルーマニアのBaia Sprie鉱山から見出され、Baia Sprieの別名であるFelsőbányaにちなんで命名された。ところが1948年に同じ鉱物種が別名のBasaluminiteとして記載された。そこから長らく二つの名前で呼ばれる状態が続き、2006年になってようやくFelsőbányaiteの優先権が確定してBasaluminiteは抹消された。その影響は今でも続き、Basaluminiteの名称がいまだに使用されることがある。塩基アルミナ石は堆積岩の裂傷に普通にみられるが、微細なためある程度の集合体に成長しないと見落とされる。

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スカボロ石 / Scarbroite
スカボロ石 / Scarbroite
スカボロ石 / Scarbroite
Al5(CO3)(OH)13·5H2O
大分県佐伯市木浦鉱山

スカボロー石は1829年に見出された古典的な鉱物で、発見地のScarborough(イングランド)から命名された。原産地では白色の塊として産出する。日本では木浦鉱山において、エメリー鉱石の裂傷に絹糸光沢を持つ放射状の結晶集合体としてスカボロー石が産出する。個々の結晶は西洋剣のような形状をしている。

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ベンジャミン鉱 / Benjaminite
ベンジャミン鉱 / Benjaminite etc.
ベンジャミン鉱 / Benjaminite
Ag3Bi7S12
兵庫県朝来市生野鉱山

ベンジャミン鉱はスミソニアン博物館のMarcus Benjamin (1857-1932)に因んで命名された鉱物で、1924年にOutlaw鉱山(アメリカ)から見出された。しかしその標本は不純物が多かったため一時はその独立性が疑われ、1975年になって行われた再検討によってようやくベンジャミン鉱の独立性が確認された。写真の標本は生野鉱山から産出したベンジャミン鉱で、肉眼では判別できないが微小なグスタフ鉱(Gustavite)とマチルダ鉱(Matildite)も伴われている。

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ゲーレン石 / Gehlenite
ゲーレン石 / Gehlenite
ゲーレン石 / Gehlenite
Ca2Al(SiAl)O7
埼玉県秩父市秩父鉱山石灰沢

ゲーレン石は高温スカルンに産出する典型的な鉱物で、岡山県高梁市布賀の高温スカルンに産する枡形をした乳白色の結晶標本が有名となっている。秩父鉱山石灰沢にも高温スカルンが分布しており、方解石との接触部にはゲーレン石のサイコロ状の結晶が産出する。学名は1815年にAdolf Ferdinand Gehlen(1775-1815)に因んで命名されている。

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ベーム石 / Böhmite
ベーム石 / Böhmite
ベーム石 / Böhmite
AlO(OH)
埼玉県秩父市秩父鉱山石灰沢

ベーム石はダイアスポア(Diaspore)と多形(同質異像)となる鉱物で、しばしば岩石の裂傷に分解生成物として生じる。秩父鉱山石灰沢ではホツルタムざくろ石を主体とする岩石の裂傷に板状結晶が認められる。肉眼的な特徴は多形であるダイアスポアとよく似ているが、硬度が全く異なる。ダイアスポアはモース硬度7ほどあるが、ベーム石は3.5程度で非常に脆い。学名はこの鉱物を最初に研究した Johann Böhm (1895-1952) に因んでいる。

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バビントン石 / Babingtonite
バビントン石 / Babingtonite
バビントン石 / Babingtonite
Ca2Fe2+Fe3+Si5O14(OH)
島根県松江市北浦古浦ヶ鼻

バビントン石は1824年に見出された古典的な鉱物で、ノルウェイを原産地として、医師であり鉱物学者でもあるWilliam Babington(1756-1833)に因んで命名された。多くの面を持つ黒色結晶が典型的で、スカルン、ペグマタイト、玄武岩を母岩とした多様な産状がある。日本ではおそらく古浦ヶ鼻のバビントン石が親しまれており、玄武岩の晶洞にブドウ石やトムソン沸石を伴って産出する。

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マンガンバビントン石 / Manganbabingtonite
マンガンバビントン石 / Manganbabingtonite
マンガンバビントン石 / Manganbabingtonite
Ca2Mn2+Fe3+Si5O14(OH)
高知県いの町枝川

マンガンバビントン石は1966年にロシアで見出されていた鉱物だが、新鉱物の申請を経ずに論文が先に出版されていた。そのためIMAは後に審査を行い、正式に承認されたのは1971年になる。その間、研究者らはマンガンバビントン石のことを未承認の鉱物として認識することになり、日本でも山宝鉱山からのマンガンバビントン石に対して新鉱物申請のための研究が進められていた。医師であり鉱物学者でもあるWilliam Babington(1756-1833)に因んで命名されたバビントン石のマンガン置換体がマンガンバビントン石となる。

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鉄バスタム石 / Ferrobustamite
鉄バスタム石 / Ferrobustamite
鉄バスタム石 / Ferrobustamite
CaFe2+Si2O6
山口県美祢市於福鉱山

鉄バスタム石は新鉱物として申請された経緯をもたず、1973年に突如として鉱物種に昇格した。実は日本でも1973年に岡山県山宝鉱山から鉄珪灰石(Iron-wollastonite)としてまったく同じ鉱物が記載されている。そのため古老の愛好家は鉄バスタム石を日本の新鉱物とみる向きもある。しかし出典をさらに遡ると鉄バスタム石は1937年にスコットランドから見出されたのが最初となる。於福鉱山は大和鉱山とも呼ばれ、銅鉱山であったが、晩期には珪灰石や鉄バスタム石を陶磁器原料として出荷していた。

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ダイピング石 / Dypingite
ダイピング石 / Dypingite
ダイピング石 / Dypingite
Mg5(CO3)4(OH)2·5H2O
愛知県新城市中宇利鉱山

ダイピング石は蛇紋岩の表面に生じる白色皮膜状の鉱物で、1970年にノルウェイから見出された。学名は発見地であるDypingdal Serpentine-magnesite鉱床に因んでいる。いまでは日本でも蛇紋岩地帯であれば各所で産出が知られるが、最初に報告されたのは愛知県新城市吉川鉱山で、その当時はダイピング石ではなく吉川石(Yoshikawaite)と呼ばれ、新鉱物として申請された経緯がある。しかしダイピング石と同一とされ吉川石は新種には認められなかった。吉川鉱山の数キロ南には中宇利鉱山が位置しており、そこでもダイピング石は見つかっている。

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ミアジル鉱 / Miargyrite
ミアジル鉱 / Miargyrite
ミアジル鉱 / Miargyrite
AgSbS2
大分県杵築市三井大高鉱山

ミアジル鉱はAgSbS2の化学組成を持ち、キューボアジル鉱(Cuboargyrite)とバウムスターク鉱(Baumstarkite)と多形(同質異像)を成すが、この3種の中ではミアジル鉱の産出が圧倒的に多い。日本でもミアジル鉱は各地で産出し、なかでも大高鉱山のミアジル鉱は有名であろう。鉱石を割ってすぐではやや赤みを帯びており、時間が経つほど黒色かするが、表面の光沢はあまり変化が無い。ミアジル鉱は濃紅銀鉱(Pyrargyrite)と外観がよく似ており間違いやすいが、そのくせ濃紅銀鉱よりも銀(Ag)成分が少ないことから、「銀が少ない」という意味のギリシャ語が学名の元になっている。和名は学名のカタカナ読み。

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珪蒼鉛鉱 / Eulytine
珪蒼鉛鉱 / Eulytine
珪蒼鉛鉱 / Eulytine
Bi4(SiO4)3
福岡県三ノ岳横鶴鉱山

珪蒼鉛鉱はビスマス(Bi)鉱床の酸化帯でしばしば見られ、日本では皮膜から球状集合で産出する場合が多い。褐色~青色系統まで実に様々な色を示し、球状集合はまるで昆虫の卵のような雰囲気を醸し出す。しかしながらその球をよく見ると小さな凹凸が出ており、球は結晶のクラスター(集合体)であることがわかる。合成物では四面体の結晶が現れる。学名は簡単に融けるという意味のギリシャ語が元になっており、和名は化学組成に基づいている。

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森本ざくろ石 / Morimotoite
森本ざくろ石 / Morimotoite
Morimotoite-Andradite
Morimotoite-Andradite
Morimotoite
森本ざくろ石 / Morimotoite
Ca3(Ti4+Fe2+)(SiO4)3
北海道日高町千栄

森本ざくろ石 / Morimotoite
森本ざくろ石 / Morimotoite
Ca3(Ti4+Fe2+)(SiO4)3
岡山県高梁市備中町布賀西露頭

森本ざくろ石は岡山県布賀から見出された日本産の新鉱物で、学名は大阪大学および京都大学名誉教授の森本信男(1925-2010)に因む。日本ではこれまで原産地以外の報告はなかったので、北海道は本邦2箇所目の産地となる。また原産地では12面体結晶がはっきり出ている森本ざくろ石は極めて稀(4枚目)であるが、北海道では結晶ばかりが観察される。北海道の森本ざくろ石はSiO4-H4O4置換がかなり進んでいることも特徴的で、あともう少しで下に紹介したホルツタムざくろ石の(Ti4+Fe2+)置換体という位置付けになるところだったが、鉱物種として森本ざくろ石に留まった。北海道産の標本では透明な灰鉄ざくろ石と黒色の森本ざくろ石がおもしろいコントラストを形成している。

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ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
白い部分がホルツタムざくろ石で、褐色部はベスブ石(Vesuvianite)。黒い粒は閃亜鉛鉱か黄鉄鉱。

ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
青い部分がホルツタムざくろ石で、青の原因は微細なアメス石(Amesite)が混在しているから。白濁~ベージュはベスブ石。

ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
青みを持つホルツタムざくろ石の切断面。ベスブ石との接触部に青色(=アメス石)が濃集する傾向がある。小さな黒っぽいツブツブはほとんど閃亜鉛鉱か黄鉄鉱。私は和田石を見つけることはできなかった。

ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
Ca3Al2[(SiO4)2(H4O4)]O8
埼玉県秩父市秩父鉱山石灰沢

ホルツタムざくろ石は南アフリカのWessels鉱山から最初に見つかった鉱物で、含水の正方晶系ざくろ石の一つである。スウェーデン自然史博物館のDan Holtstam(b.1965-)に因んで2003年に命名された。これまで非常に稀少な鉱物で、他産地からの確実な報告はなく、またホルツタムざくろ石は正方晶系を維持するために必ず少量のMn3+を含む必要があると考えられていた。ところが秩父鉱山石灰沢ではこれまでの認識が覆った。石灰沢ではMn3+を含まない端成分に近いホルツタムざくろ石が、岩石の単位で大量に存在することが明らかとなった。いわゆる和田石の標本として知られていたものだが、私が調べた範囲で和田石は一粒も見つからなかったので、和田石の存在度はおそらく相当低いはず。それよりも稀産のはずのホルツタムざくろ石が当たり前のように存在している事実に驚いた。詳細は2019年の鉱物科学会で報告する。

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珪線石 / Sillimanite
珪線石 / Sillimanite珪線石 / Sillimanite
Al2SiO5
佐賀県鳥栖市養父

珪線石は高温環境を示唆する生成する典型的な鉱物で、幅広い産状が知られる。鳥栖市養父では流紋岩中に微細な針~柱状の透明結晶の珪線石が含まれている。この産地の珪線石にはムル石(Mullite)が含まれているとされるが、個人的にはまだ確認できていない。珪線石の学名はイエール大学のBenjamin Silliman(1779-1864)に因んで命名されている。

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オフレ沸石 / Offretite
オフレ沸石 / Offretite
オフレ沸石 / Offretite
KCaMg(Si13Al5)O36 · 15H2O
山口県長門市油谷川尻

本州の最西端の半島である向津具半島では砂岩を玄武岩が覆っており、その玄武岩には細く引き延ばされた晶洞が良く発達している。晶洞には多様な沸石が産出し、オフレ沸石もその一つ。川尻は日本におけるオフレ沸石の唯一の産地で、晶洞中に微結晶が六角の板状に集合した姿で産出する。オフレ沸石はSemiol山(フランス)で最初に見出され、リヨン大学のAlbert Jules Joseph Offret(1857-1933)に因んで命名された。

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自然銀 / Silver
自然銀 / Silver
自然銀 / Silver
Ag
愛媛県佐々連鉱山

含銅硫化鉄鉱鉱床はキースラーガーとも呼ばれ、層状に分布する黄銅鉱・黄鉄鉱が主な鉱物となっている。褶曲部には斑銅鉱を主体とする富鉱が伴われることがあり、その部分は「ハネコミ」と称される。ハネコミには自然銀も多く伴われ、鉱石の裂傷中に箔状で分布する。この自然銀は少量の銅成分を含んでおり、組成はAg95Cu5程度となっていた。またハネコミ鉱内部には微細なヘッス鉱が含まれていることも確認した。

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マンガン斧石 / Axinite-(Mn)
マンガン斧石 / Axinite-(Mn)
マンガン斧石 / Axinite-(Mn)
Ca4Mn2+2Al4[B2Si8O30](OH) 2
埼玉県秩父市秩父鉱山赤岩

斧石にはカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)そしてマンガン(Mn)を主成分とする種が知られ、秩父鉱山赤岩からはマンガン斧石が産出する。分析してみると、この標本ではマグネシウムや鉄はほとんど含まれず、端成分に近い組成となっていた。斧石は塊状に集合することが多いが、空隙には透明感のある結晶がしばしば認められる。学名は結晶が斧に似ていることから名付けられた。

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サンタバーバラ石 / Santabarbaraite
サンタバーバラ石 / Santabarbaraite
サンタバーバラ石 / Santabarbaraite
Fe3+3(PO4)2(OH)3·5H2O
兵庫県神戸市西区

サンタバーバラ石は結晶構造を持たないため、鉱物の定義[1]を満たしていない。そういう物質は「ミネラロイド(Mineraloid)[2]」と言って、鉱物に準じる物質という扱いになることが普通である。しかしサンタバーバラ石は格子定数よりも短い距離だが原子の三次元的な配列が証明されたため、例外的に鉱物として承認された。学名は模式地のサンタバーバラ地域(イタリア)に因む。サンタバーバラ石は酸化した藍鉄鉱そのものであるため、量や規模を問わなければ藍鉄鉱の産地にはおおむね産出する。神戸市西区では藍鉄鉱の仮晶として、褐色板状の姿で産出した。

[1] 鉱物は「地質作用で生じた、一定の化学組成と結晶構造を持つ物質」と定義されている。
[2] 鉱物の定義を完全には満たしていない物質。たとえば天然のガラス。

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キュマンジュ石 / Cumengeite
キュマンジュ石 / Cumengeite
キュマンジュ石 / Cumengeite

キュマンジュ石 / Cumengeite
Pb21Cu20Cl42(OH)40·6H2O
和歌山県串本町

キュマンジュ石はメキシコのボレオ砂漠を模式地とする青色のハロゲン化鉱物で、1893年に記載された古典的な鉱物である。鉱山技師のBernard Louis Philippe Édouard Cumenge(1828-1902)に因んで命名された。Amelia鉱山から産出するテトラポッドのような群晶が標本としてとても有名となっている。日本では2014年に和歌山県串本町の海岸から見出され、拡大すると小さいながらもスピネルのような結晶が随所に認められた。

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マン鉄ざくろ石 / Calderite
マン鉄ざくろ石 / Calderite
Garnet composition from Sanpo mine
マン鉄ざくろ石 / Calderite
Mn2+3Fe3+2(SiO4)3
愛媛県伊予市中山町三宝鉱山

マン鉄ざくろ石は二価マンガン(Mn2+)と三価鉄(Fe3+)というきわめて普通の元素を主成分としながらも世界的にその産出は稀と言える。日本では愛媛県三宝鉱山から産出した記録がある[1]が、日本産鉱物種には引用されていない(2019年3月時点)。そこで写真の標本について調べてみたところ、灰鉄ざくろ石(Andradite)-マン鉄ざくろ石(Calderite)-マンバンざくろ石(Spessartine)の領域で分析値が集中し、確かにマン鉄ざくろ石が含まれていることが確認できた。マン鉄ざくろ石の学名は地質学者のJames Calderに因んでいる。ただし当初は定義が不十分なインド産のざくろ石の呼称に過ぎず、いったんは鉱物名のリストから消滅したが、ナミビア産のざくろ石の研究によって改めて存在が確認されたという経緯がある。

[1]森岡北水, 皆川鉄雄(1998) 四国の広域変成鉄・マンガン鉱床産garnetの固溶関係. 日本鉱物学会年会講演要旨集,P86.

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ボーレライネン石 / Vuorelainenite
ボーレライネン石 / Vuorelainenite
ボーレライネン石 / Vuorelainenite
ボーレライネン石 / Vuorelainenite
ボーレライネン石 / Vuorelainenite
Mn2+V3+2O4
愛媛県西条市丹原町鞍瀬鉱山

ボーレライネン石はスピネル超族の一種で、鉱物種としてのガラクス石から見てアルミニウム(Al)をバナジウム(V3+)に置き換えた鉱物に該当する。日本では愛媛県鞍瀬鉱山において緑色の桃井ざくろ石に伴われて黒色の微細粒として産出し、稀には典型的な三角形の面が見えることがある(上写真)。この産地では石墨も産出するため破断面での肉眼鑑定は困難だが、研磨面や反射顕微鏡下ではその存在を明瞭に認識することができる(中・下写真)。鞍瀬鉱山のボーレライネン石はほとんど端成分の組成となっていた。学名はフィンランドの岩石学者であるYrjö Vuorelainen (1922 – 1988)に因んでいる。

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ガラクス石 / Galaxite
ガラクス石 / Galaxite
ガラクス石 / Galaxite
ガラクス石 / Galaxite
MnAl2O4
三重県大山田村山田鉱山

ガラクス石はスピネル超族の一種で、鉱物種としてのスピネルから見てマグネシウム(Mg)をマンガン(Mn)に置き換えた鉱物になる。マンガン鉱床では普遍的に存在する鉱物ではあるが、通常はあまりに微細であるためその結晶を目にする機会はほとんど無い。山田鉱山では、黒色のアラバンド鉱に埋没する透明感のある飴色の結晶としてガラクス石を見つけることができる。切断面ではその存在はよりわかりやすい。学名はGalax(アメリカバージニア州)という地名に因んで命名されたが、その地名は植物の名前が由来となっている。

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スピネル / Spinel
スピネル / Spinel
スピネル / Spinel
MgAl2O4
岐阜県揖斐川町春日鉱山

スピネルは最初の産出地がもはやわからないくらい古典的な鉱物であるが、その学名は1779年に「小さく尖っている」という意味を持つラテン語に因んで命名された。しばしば赤色を示すことからルビーと間違えられることが多い。写真のスピネルはほとんど純粋なMgAl2O4で、この場合だと無色透明な結晶となる。スピネル構造は多彩な元素を収容でき、2019年3月の時点でで56種がスピネル超族としてまとめられている。

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苦土普通角閃石 / Magnesio-hornblend
苦土普通角閃石 / Magnesio-hornblend
苦土普通角閃石 / Magnesio-hornblend
Ca2(Mg4Al)(Si7Al)O22(OH)2
愛媛県関川

苦土普通角閃石の根源名である「Hornblend」は具体的に命名された経緯はなく、そのものを指す言葉が継続的に使われた結果として定着した鉱物名である。有用鉱石と見た目が似ていながらも、実際には金属を含んでいないので「欺く:blenden」という意味、それから角閃石の見た目の「角:horn」という意味の古いドイツ語に由来し、1789年にAbraham Gottlieb Wernerによって初めて使用されたとされる。そしていつの間にか「Horunblend」が学名として定着し、様々な岩石において普通の造岩鉱物であることから和名においては「普通角閃石」という冴えない呼称となっている。また現在の角閃石の分類では、マグネシウム(Mg)を主成分とする角閃石について苦土(magnesio)という接頭語を付けないことが基本となっているが、苦土普通角閃石は例外的に「苦土」をつけることが決められている。

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カトフォル閃石 / Katophorite
カトフォラ閃石 / Katophorite
カトフォル閃石 / Katophorite
Na(NaCa)(Mg4Al)(Si7Al)O22(OH)2
愛媛県四国中央市伊予鉱山

カトフォル閃石はノルウェイのいくつかの産地から同時に記載され、アルベソン閃石に対して光学Z軸がやや異なることから、「下に移動する」という意味のギリシャ語に因んで命名された。ただしそのオリジナルの角閃石は鉄に富み、現在の分類ではフェロカトフォル閃石に該当する。そのため、現在の分類が成立した2012年以降、カトフォル閃石は名前と化学組成が定義されているのみで実物の無い仮想的な存在となった。そして2013年になりミャンマーから見出されたカトフォル閃石が改めて模式標本として記載された。伊予鉱山で普通に産出する角閃石を分析して見ると、それはカトフォル閃石であった。

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エッケルマン閃石 / Eckermannite
エッケルマン閃石 / Eckermannite
エッケルマン閃石 / Eckermannite
NaNa2(Mg4Al)Si8O22(OH)2
新潟県糸魚川市青海川

エッケルマン閃石は1942年にスウェーデンの Norra Kärrから見いだされた角閃石について、岩石学者のHarry von Eckermannに因んで名付けられた。しかしその後に模式標本はエッケルマン閃石とは異なることが明らかとなり、エッケルマン閃石は名前と化学組成が定義されているのみで実物の無い仮想的な存在となった。2013年になりエッケルマン閃石に該当する鉱物がミャンマーから見いだされ、ミャンマー産エッケルマン閃石が改めて模式標本となった。日本では青海川の転石で、特にコスモクロアを伴う岩石の主要構成鉱物として産出する。

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カミントン閃石 / Cummingtonite
カミントン閃石 / Cummingtonite
カミントン閃石 / Cummingtonite
Mg2Mg5Si8O22(OH)2
宮城県川崎町本砂金安達

カミントン閃石はアメリカマサチューセッツ州のカミントンという地域から見いだされて命名された角閃石で、安山岩や珪質の火山岩の斑晶としてよく含まれる。よく見られる角閃石の一種であり産地は世界中に知られる。安達においては青色の菫青石が有名であるが、カミントン閃石を多く含む岩石もよく見られる。

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透閃石 / Tremolite
透明閃石 / Tremolite
透閃石 / Tremolite
Ca2(Mg5.0-4.5Fe2+0.0-0.5)Si8O22(OH)2
新潟県糸魚川市青海川

透閃石はスイスのTremola村から見いだされたことから命名された角閃石でカルシック角閃石に分類される。透閃石はマグネシウムを主成分とし、二価鉄(Fe2+)側の端成分はフェロアクチノ閃石であるが、その間にアクチノ閃石が設けられている。そのため透閃石の化学組成の範囲は例外的に狭く、Mg5.0-4.5Fe2+0.0-0.5のものに限られる。日本では青海川の転石でよく見られる。

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パーガス閃石 / Pargasite
パーガス閃石 / Pargasite
長野県富士見町

パーガス閃石 / Pargasite
愛媛県睦月島

パーガス閃石 / Pargasite
NaCa2(Mg4Al)(Si6Al2)O22(OH)2

パーガス閃石はフィンランドのパーガス村から最初に見いだされ、発見地の名前に因んで命名された。産状や形態も非常に多様な角閃石で、化学組成も複雑なために分析無しに同定することはほぼ不可能。富士見町の角閃石は安山岩の斑晶として含まれており、一般には普通角閃石と言われているが分析してみたところパーガス閃石であった。愛媛県睦月島ではパーガス閃石は石灰岩中のレンズとして産出する。

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フェロゼードル閃石 / Ferro-gedrite
フェロゼードル閃石 / Ferro-gedrite
フェロゼードル閃石 / Ferro-gedrite
□Fe2+2(Fe2+3Al2)(Si6Al2)O22(OH)2
岐阜県恵那市笠置町河合鉱山

根源名のゼードル閃石はフランスのGèdresから最初に見つかったことから命名された。和名では礬土直閃石(ばんどちょくせんせき)と呼ばれることがあるが、カタカナ読みのほうが良いと思える。フェロゼードル閃石はマグネシウム(Mg)を端成分とするゼードル閃石からみて、二価鉄(Fe2+)の置換体に該当する。河合鉱山のフェロゼードル閃石はかつてアルミニウムに富む鉄直閃石と呼ばれていたが、科博の研究チームによってフェロゼードル閃石と同定された。写真の標本を分析してみたとこと確かにフェロゼードル閃石であった。

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カリ苦土アルベソン閃石 / Potassic-magnesio-arfvedsonite
カリ苦土アルベソン閃石 / Potassic-magnesio-arfvedsonite
カリ苦土アルベソン閃石 / Potassic-magnesio-arfvedsonite
KNa2(Mg4Fe3+)Si8O22(OH)2
大分県佐伯市下払鉱山

根源名のアルベソン閃石は1823年に命名され、リチウム(Li)の発見者であるJohan August Arfvedson(1792-1841)に因んでいる。そしてカリ苦土アルベソン閃石に該当する角閃石はイギリスで1982年に見出されていたが、鉱物種としてはブルガリア産の標本を用いた研究によって2016年に新種に認定された。下払鉱山ではナマンシル輝石を含み紫色を帯びた岩石を切る小さい脈中に、淡青色の繊維状集合となってカリ苦土アルベソン閃石が産出する。

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リーベック閃石 / Riebeckite
リーベック閃石 / Riebeckite
リーベック閃石 / Riebeckite
Na2(Fe2+3Fe3+2)Si8O22(OH)2
高知県本山町下川鉱山

本山町にある下川鉱山は白滝鉱山の支山として稼働し、含銅硫化鉄鉱鉱床で黄銅鉱や斑銅鉱を主要鉱石としていた。広大なズリが残っており、その中に黄銅鉱を含む暗青色の角閃岩が点在する。主体となる角閃石は鉱物種として藍閃石(Glaucophane)と言われているが、調べてみたところリーベック閃石であった。根源名としての藍閃石とリーベック閃石はアルミニウム(Al)と三価鉄(Fe3+)の多少で説明され、アルミニウム>三価鉄ならば藍閃石で、三価鉄>アルミニウムならリーベック閃石となる。リーベック閃石はドイツ人探検家・鉱物学者・民俗学者のEmil Riebeck (1853-1885)にちなんで1888年に名付けられた。

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フェリウィンチ閃石 / Ferri-winchite

フェリウィンチ閃石&トワイディル石
愛媛県砥部町古宮鉱山。ブラウン鉱石中の白色繊維状の鉱物がフェリウィンチ閃石で、濃赤色の粒はトワイディル石(Twiddellite)。

フェリウィンチ閃石 / Ferri-winchite
和歌山県禰宜鉱山

フェリウィンチ閃石 / Ferri-winchite
(NaCa)(Mg4Fe3+)Si8O22(OH)2

根源名のウィンチ閃石(Winchite)はイギリス人地質学者Howard J. Winchに因んで命名され、アルミニウム(Al)を主成分とするウィンチ閃石からみてその三価鉄(Fe3+)の置換体となる角閃石がフェリウィンチ閃石である。最近は角閃石をよく分析しているところで、フェリウィンチ閃石はなかなか多様な産状を示すことがわかってきた。古宮鉱山ではブラウン鉱石中の白色繊維状で産し、分析結果を解析したところ少量のリチウム(Li)が含まれると思われる。禰宜鉱山産はリーベック閃石に似た青緑色を示すが、組成はフェリウィンチ閃石に該当していた。

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鉄水鉛華 / Ferrimolybdite
鉄水鉛華 / Ferrimolybdite
鉄水鉛華 / Ferrimolybdite
Fe3+2(Mo6+O4)3·7H2O
栃木県日光市浅田水鉛銅山

二次鉱物である鉄水鉛華は主に輝水鉛鉱の分解によって生じ、黄色の繊維状集合で産出する。古典的な鉱物で発見当時は「含水モリブデン三酸化物(hydrated molybdenum trioxide)」と呼ばれていた。後に鉄も含むことが注目され、鉄とモリブデンに因んだ学名へ変更された。

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翠銅鉱 / Dioptase
翠銅鉱 / Dioptase
翠銅鉱 / Dioptase
CuSiO3·H2O
静岡県下田市河津鉱山

翠銅鉱はその名が示すとおり典型的には翠緑色をした鉱物であり、発見当時はエメラルドに間違えられたという逸話が知られている。一方でその典型的な色が出ていない場合、翠銅鉱と鑑定することは難しい。写真の翠銅鉱は河津鉱山から産出した標本で、翠緑色とはほど遠い色合いとなっている。不明鉱物としてやってきたが、調べたところ翠銅鉱であった。翠銅鉱の学名は結晶内部の劈開が透けて見えたことに由来する。

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自然金 / Gold
自然金 / Gold
自然金 / Gold
Au
鹿児島県南九州市知覧町赤石鉱山

薩摩半島の南部には南薩摩型と呼ばれる金鉱床が存在し、いくつかの金鉱山が集まっている。そのなかで赤石(あけし)鉱山の鉱石は高品位であることが知られ、鉱石中には肉眼的にもそれとわかる自然金(いわゆる「とじ金」)が点在する。そのとじ金はまるでカステラのようなふわっとした形態となっている。

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パレンツォーナ石 / Palenzonaite
パレンツォーナ石 / Palenzonaite
パレンツォーナ石 / Palenzonaite
(NaCa2)Mn2+2(VO4)3
鹿児島県大和鉱山

パレンツォーナ石はガーネット超族の一員で、バナジウムを主成分とする鉱物である。ブラウン鉱を主体とする鉱石を切る石英脈中に生じ、ワインレッドでダイヤモンド光沢を示す結晶が典型的とされる。1987年にイタリアから見出され、Genoa大学の化学者であるAndrea Palenzonaに因んで命名された。日本では2008年に大和鉱山から見出された。

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ナビア石 / Nabiasite
ナビア石 / Nabiasite
ナビア石 / Nabiasite
BaMn9(VO4)6(OH)2
鹿児島県大和鉱山

ナビア石は1999年にフランス中央ピレネーのNabiasから見出され、地名に因んで命名された。ナビア石はダイヤモンド光沢を示す濃赤色の結晶として産出し、パレンツォーナ石とは一見して区別しがたいが、ナビア石のほうが光沢が強く結晶の色が濃い。日本では肉眼的なサイズのナビア石は2008年に大和鉱山から報告された。

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ロスコー雲母 / Roscoelite
ロスコー雲母 / Roscoelite
ロスコー雲母 / Roscoelite
KV3+2(Si3Al)O10(OH)2
鹿児島県大和鉱山

ロスコー雲母はイギリス人化学者の Sir Henry Enfield Roscoeに因んで命名された雲母族の鉱物で、アメリカのStuckslager Mine 鉱山を原産地としている。今では多くの産地が知られ、日本でも1964年に大和鉱山から産出が報告された。緑色の鱗片状結晶が集合した姿で産し、その産状はしばしば「青のり状」と称される。

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玉滴石 / Hyalite
玉滴石 / Hyalite
玉滴石 / Hyalite
玉滴石 / Hyalite
SiO2 · nH2O
愛媛県上島町岩城島

玉滴石は独立の鉱物種ではなく、非晶質で水を含むシリカのうち、粒状で透明感のある小さな塊が集合した外観のものを指す。玉滴石には様々な産状があるが、その特徴的な外見がよく現れてない場合は、短波長の紫外線を照射して緑色の蛍光を示すものに対して玉滴石と呼ぶことが多い。愛媛県岩城島にはいくつかの蛍光鉱物が産出し、玉滴石も見出された。この産地の玉滴石も短波の紫外線で強い緑色の蛍光を示す。

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ソグディア石 / Sogdianite
ソグディア石 / Sogdianite
ソグディア石 / Sogdianite
ソグディア石 / Sogdianite
ソグディア石を含む岩石の断面写真(上)、短波紫外線照射で微弱な青色に蛍光するソグディア石(中)、SEM写真中の中央はジルコンでそれを包む中間的なコントラストがソグディア石(下)

ソグディア石 / Sogdianite
KZr2Li3Si12O30
愛媛県上島町岩城島

ソグディア石は中央アジアのソグディアナ地方から発見された鉱物で、名前も地名に因む。杉石の仲間であり、杉石の模式地である愛媛県岩城島からも産出する。ジルコンを包み込む産状が典型で、短波長の紫外線では微弱ながら青い蛍光を示す。あらかじめ電子顕微鏡で存在を確認した後であれば、その姿を写真に納めることは可能。

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エカナ石 / Ekanite
エカナ石 / Ekanite
エカナ石 / Ekanite
エカナ石 / Ekanite
エカナ石を含む岩石の断面写真(上)、短波紫外線照射で緑色に蛍光するエカナ石(中)、SEM写真中では明るいコントラストを示すエカナ石(下)

エカナ石 / Ekanite
Ca2ThSi8O20
愛媛県上島町岩城島

エカナ石は宝石の原石として持ち込まれた標本から見出された鉱物で、宝石学者のF.L.D. Ekanayakeに因んで命名された。日本では愛媛県岩城島から産出の報告がある。岩城島のエカナ石は微細で無色透明なため、その存在を確かめるには電子顕微鏡が必要となる。その一方でエカナ石は短波紫外線で微弱ながら緑色蛍光を示すことから、あらかじめ電子顕微鏡で存在を確認した後であれば、その姿を写真に納めることは可能。

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ヘヒツベルグ石 / Hechtsbergite

ヘヒツベルグ石 / Hechtsbergite
ヘヒツベルグ石 / Hechtsbergite
Bi2(VO4)O(OH)
福岡県福岡市西区今宿長垂山

長垂山のペグマタイトからはリチウムを主成分とする鉱物が多産することが古くから知られていたが、2012年に九州大学の研究チームによって複数のバナジウム酸塩鉱物が見出された。その一つがヘヒツベルグ石であり、文献ではクーク石中に埋没する産状が報告されている。写真の標本はウェイランド石(Waylandite)というラベルであったが、分析したところヘヒツベルグ石であった。ヘヒツベルグ石は1995年にドイツのHechtsberg採石所で発見され、産地に因んで命名されている。

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ウェイランド石 / Waylandite
ウェイランド石 / Waylandite
ウェイランド石 / Waylandite
ウェイランド石 / Waylandite
BiAl3(PO4)2(OH)6
静岡県下田市河津鉱山

ウェイランド石はウガンダで発見された鉱物で、ウガンダ地質調査所の初代所長であったEdgar James Wayland(1888-1966)に因んで命名された。日本では1999年に静岡県河津鉱山から産出が報告され、後に長野県金鶏鉱山や福岡県長垂山からも産出が確認された。河津鉱山では石英の晶洞中に半透明~白色の菱面体結晶として産出する。

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銅藍 / Covellite
銅藍 / Covellite
銅藍 / Covellite
CuS
静岡県下田市河津鉱山

銅藍は古典的な鉱物で、1832年には発見者であるNiccolo Covelli(1790-1829)に因んで命名されている。イタリアからはじめに見出されたが、今では世界中で産出が知られる普遍的な鉱物として認識されている。河津鉱山でも皮膜状で産出することが非常に多いが、稀に石英の晶洞で六角形の結晶として観察される。虹色を帯びた藍青色を特徴とする。

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カルジルチ石&ジルコノ石 / Calzirtite & Zirconolite
カルジルチ石&ジルコノ石 / Calzirtite & Zirconolite
カルジルチ石 / Calzirtite : Ca2Zr5Ti2O16
ジルコノ石 / Zirconolite : CaZrTi2O7
愛媛県今治市小大下島

愛媛県小大下島ではエメリーと呼ばれる硬質で暗黒色の岩石が石灰岩中に小規模に伴われる。変質を受けたエメリーは灰チタン石(白色部)を生じ、その中に褐色結晶としてカルジルチ石およびジルコノ石が産出する。肉眼では区別できないが粒の中で両種が混在していることが多い。いずれも化学組成に由来する学名となっている。

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輝蒼鉛鉱 / Bismuthinite
輝蒼鉛鉱 / Bismuthinite
輝蒼鉛鉱 / Bismuthinite
Bi2S3
北海道登別市幌別鉱山

輝蒼鉛鉱(Bi2S3)は輝安鉱(Sb2S3)と完全固溶体を形成し、両者は肉眼的にも類似の結晶となる。幌別鉱山ではそのどちらも産出し、中間的な化学組成を示す灰色柱状結晶については幌別鉱と呼ばれた。写真の結晶はBi1.56Sb0.50S2.95の化学組成で、輝安鉱成分をやや含むものの鉱物種としては輝蒼鉛鉱となる。学名は化学組成に因んでいる。

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イットリウムゼノタイム&セリウムモナズ石 / Xenotime-(Y) & Monazite-(Ce)
ゼノタイム&モナズ石 / Xenotime-(Y) & Monazite-(Ce)
イットリウムゼノタイム / Xenotime-(Y) : YPO4
セリウムモナズ石 / Monazite-(Ce) : CePO4
福島県玉川村川辺鉱山

希土類元素の単純リン酸塩鉱物は、イオン半径の大きなイットリウム(Y)およびイッテルビウム(Yb)では正方晶系のゼノタイム型構造となり、イオン半径の小さな希土類元素だとモナズ石型構造となる。両者はしばしば共存することが知られ、福島県川辺鉱山からはどちらも産出した。ゼノタイムの学名はギリシャ語で無駄と名誉を意味している。かつてベルセリウスはゼノタイムから初めてイットリウムを分離したと主張したが、残念ながらそれはすでに発見されてたという経緯が由来とされる。モナズ石のほうは最初に知られていた産地では稀少であったので、単独を意味するギリシャ語に因んでいる。

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ランキン石&キルコアン石 / Rankinite & Kilchoanite
ランキン石&キルコアン石 / Rankinite & Kilchoanite
ランキン石 / Rankinite (中央透明粒)
キルコアン石 / Kilchoanite(ランキン石周囲の白色雲状)
Ca3Si2O7
岡山県高梁市備中町布賀西露頭

ランキン石とキルコアン石は同じ化学組成で結晶構造が異なる関係となっている。岡山県布賀から産出するスパー石(Spurrite)中には普遍的に含まれているが、破断面からの区別は私にはできない。切断研磨した標本では紫色のスパー石と明瞭なコントラストを示し、キルコアン石は白色雲状に見え、ランキン石はその中心に透明な粒として産出する。ランキン石は1942年に北アイルランドから見出され、物理化学者のGeorge Atwater Rankin (1884-1963)に因んで命名された。キルコアン石については1961年にスコットランドのKilchoanから発見され、学名も発見地に因む。

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ストラコフ石 / Strakhovite
ストラコフ石 / Strakhovite
ストラコフ石 / Strakhovite
オープン(上)とクロス(下)

ストラコフ石 / Strakhovite
NaBa3(Mn2+,Mn3+)4[Si4O10(OH) 2][Si2O7]O2·(F,OH)·H2O
大分県佐伯市下払鉱山

ストラコフ石はロシアのハバロフスク地方にあるマンガン鉱山を原産地とする稀少鉱物で、その他には大分県下払鉱山しか産地は知られていない。下払鉱山のストラコフ石はブラウン鉱塊を切る石英脈中に緑色柱状結晶として産出するが、微細なため薄片で観察することになる。高い屈折率と強い分散を特徴とし、多色性にも富む。学名は岩石学者のNikolai Mikhailovich Strakhov(1900-1978)に因んでいる。

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針ニッケル鉱 / Millerite
針ニッケル鉱 / Millerite
針ニッケル鉱 / Millerite
NiS
大分県豊後大野市三重町若山鉱山

針ニッケル鉱は広域変成岩に伴われる炭酸塩鉱物中にはそれなりに含まれている。その一方でその姿は実体顕微鏡でも認識が困難なほど小さい。若山鉱山ではメノウ中に放射状集合で含まれており十分認識できるサイズで産出する。その断面では独特の産状がよく見える。学名はミラー指数を考案した William Hallowes Miller(1801-1880)に因んでおり、日本では形状と化学組成を反映した和名で呼ばれる。

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硫砒銅鉱/ Enargite
硫砒銅鉱 / Enargite
硫砒銅鉱 / Enargite
Cu3AsS4
静岡県下田市河津鉱山

硫砒銅鉱は様々な金属鉱床に少なからず伴われるが日本では大きなものは珍しい。写真の結晶は静岡県河津鉱山から産したやはり小さな結晶。また硫砒銅鉱と同じ化学組成でルソン銅鉱が知られるが、それらは構造が異なる関係となっている。硫砒銅鉱は完全な劈開を持ち、それを示唆する明瞭という意味のギリシア語から命名されている。和名は化学組成に由来する。

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かんらん岩捕獲岩/ Peridotite Xenolith
かんらん岩捕獲岩 / Peridotite Xenolith
かんらん岩捕獲岩 / Peridotite Xenolith
佐賀県唐津市高島

マグマが地下深部から地上に急激に上昇する際に周囲の岩石を巻き込むことがしばしば起こりうる。その際に捕獲された岩石のことを捕獲岩と呼び、それは人類が行くことのできない地下深部の貴重な情報を保有している。高島で認められる玄武岩にはかんらん岩をはじめとした多種の岩石が捕獲岩として見つかっており、その多様さは地下深部の岩石構成に起因していると考えられている。写真では中央のうぐいす色で粗い粒の集合体が捕獲されたかんらん岩で、その周囲が玄武岩となる。

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イットリウムロッカ石/ Lokkaite-(Y)
イットリウムロッカ石 / Lokkaite-(Y)
イットリウムロッカ石/ Lokkaite-(Y)
CaY4(CO3)7·9H2O
佐賀県唐津市肥前町満越

学名をフィンランドの鉱物学者Lauri Lokka (1885–1966)に因み、最初は花崗岩ペグマタイトから発見された。日本では佐賀県の東松浦半島に分布する玄武岩中に、ロッカ石をはじめとした希土類を含む炭酸塩鉱物の産出が知られる。満越においては玄武岩の空隙に白色板状結晶が放射状に集合する姿で見いだされた。

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コスモクロア輝石/ Kosmochlor
コスモクロア輝石 / Kosmochlor
新潟県糸魚川市 緑色粒の部分がコスモクロア輝石。分析値:(Na0.96Ca0.01)Σ0.97(Cr0.89Al0.08Fe0.03Mg0.01)Σ1.02Si2.00O6

コスモクロア輝石 / Kosmochlor
高知県日高村 黒色のクロム鉄鉱を縁取る緑色部がコスモクロア輝石。分析値:(Na0.94Ca0.02)Σ0.96(Cr0.64Al0.17Fe0.15Mg0.02)Σ0.99Si2.02O6

コスモクロア輝石 / Kosmochlor
高知県標本の薄片写真(オープン) 宇宙の緑と名付けられるほどのユニークな色合いは薄片で観察される

コスモクロア輝石 / Kosmochlor
NaCrSi2O6

コスモクロア輝石は隕石から最初に見出された緑色の輝石族鉱物であり、その学名はギリシア語で宇宙(kosmo)と緑色(chlor)を意味している。記載論文がScienceに掲載されるなどその産出は注目された。日本では岡山県大佐山、新潟県糸魚川市、高知県日高村から見いだされている。コスモクロア輝石は岩石中で濃い緑色の微小粒として産出するが、そのままでは特徴はあまり際立たない。実は宇宙の緑と形容されるユニークな色合いは薄片で観察される。この緑には神秘的な趣がある。

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ゴールドマンざくろ石 / Goldmanite
ゴールドマンざくろ石 / Goldmanite
ゴールドマンざくろ石 / Goldmanite
ゴールドマンざくろ石 / Goldmanite
Ca3V3+2(SiO4)3
埼玉県飯能市上名栗小松鉱山

小松鉱山は層状マンガン鉱床であるがバナジウムに富む鉱物が産出することでも知られる。方解石の脈に伴って産出するざくろ石を分析したところ著量のバナジウムが検出された。組成値は(Ca1.90Mn1.11)Σ3.01(V3+1.10Al0.88)Σ1.98Si3.02O12となり、ゴールドマンざくろ石に該当する。ゴールドマンざくろ石はニューメキシコのSandy鉱山から最初に見いだされ、アメリカ地質調査所の堆積岩岩石学者のMarcus Isaac Goldman(1881-1965)に因んで命名された。

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苦土電気石 / Dravite
苦土電気石 / Dravite
苦土電気石 / Dravite
NaMg3Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)3(OH)
長野県茅野市金沢金鶏鉱山

苦土電気石は最も普遍的に産出する電気石の一つで、多様な産状や形態を示す。金鶏鉱山においては晶洞中に石英を伴って微細な針状で産出する。分析してみたところ金鶏鉱山の苦土電気石はナトリウム(Na)に乏しくクロム(Cr)を多く含むという特徴があり、もう少しで新鉱物というところだったが、結局は苦土電気石でおちついた。学名はスロベニアのDrau川(ラテン語でDrave)に由来する。

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レッピア石 / Reppiaite
レッピア石 / Reppiaite
レッピア石 / Reppiaite
Mn2+5(VO4)2(OH)4
鹿児島県奄美大島大和鉱山

濃い赤褐色の板状結晶を示す鉱物でイタリアのジェノバ県レッピアを原産地とする。名前も原産地に因んでいる。1991年に発見されているが世界的にも産出は希で、原産地以外ではスイスで産出が知られるだけであった。日本では鹿児島県大和鉱山産のものが2018年の鉱物科学会において発表され、世界でも3番目の発見となった。

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滑石 / Talc
滑石 / Talc
滑石 / Talc
Mg3Si4O10(OH)2
長野県茅野市向谷鉱山

もっとも軟らかい鉱物であり、相対的な硬さの基準として10段階の設定があるモース硬度において「1」の基準になっている。乳白色で真珠光沢があり触るとスルっと滑るような感覚がある。産業的にも重要な鉱物でベビーパウダー、化粧品、医薬品にも使われる。伝えられるところによれば、アラビア語の「talq」が学名の由来とされている。意味の詳細は不明だが、色のことを示しているらしい。

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セリウムフローレンス石 / Florencite-(Ce)
セリウムフローレンス石 / Florencite-(Ce)
セリウムフローレンス石 / Florencite-(Ce)
CeAl3(PO4)2(OH)6
長野県茅野市金鶏鉱山

金鶏鉱山は武田信玄ゆかりの金山として名をはせていたが、愛石家にとってはいくつかの稀産鉱物の産地として知られている。その一つがセリウムフローレンス石であり、ピンク~紫色を帯びる柱状結晶は、発見当初は紫水晶と思われていたようだ。明礬石超族の一員で、ブラジルで最初に発見された。ブラジル人鉱物学者のWilliam Florence (1864-1942)に因み命名されている。

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ヘドレイ鉱 / Hedleyite
ヘドレイ鉱 / Hedleyite
ヘドレイ鉱 / Hedleyite(黒色部)
Bi7Te3
大分県木浦鉱山金子坑

中央とその左寄りにある黒い結晶がヘドレイ鉱で、それより右下にある銀色が強めの結晶は自然蒼鉛。木浦鉱山金子坑においてヘドレイ鉱は蛍石を伴う粗粒な珪灰石に埋没する形で産出する。この珪灰石には墨流し状に黒色鉱物が分布するが、それの黒色は細かい砒鉄鉱や硫砒鉄鉱の集合である。ブリティッシュコロンビア州(カナダ)にあるヘドレイという地域から最初に見いだされたことから命名された。

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デューク石 / Dukeite
デューク石 / Dukeite
デューク石 / Dukeite
Bi3+24Cr6+8O57(OH)6·3H2O
長野県茅野市金鶏鉱山

ビスマスとクロムは地球の中で全く異なった挙動をするため、それらを主成分とするデューク石の産出は世界的にもたいへんめずらしい。クロム酸塩鉱物であるが、大きくみると硫酸塩鉱物の一員という分類になる。金鶏鉱山ではもともとクロムを含有する岩石に、ビスマスを含む熱水があとからやってきたと考えられている。ディーク石の名前はアメリカのディーク大学に因んでいる。大学に保管してあった標本からデューク石が見いだされたことに由来する。

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白雲母 / Muscovite
白雲母 / Muscovite
白雲母 / Muscovite
KAl2(Si3Al)O10(OH)2
長野県茅野市金鶏鉱山

少量のクロムを含み緑色を帯びる白雲母のことをフクサイトと呼ぶ。かつては独立の鉱物種として数えられていたが、今では白雲母(muscovite)とクロム雲母(chromphyllite)の中間的な組成を持つ雲母に対する通称ということで落ち着いた。長野県茅野市の金鶏鉱山には大量のフクサイトをもつ岩肌が露出している。黄色いところは鉄さびのせいだがフクサイトの緑とちょうど良いバランスになっていた。

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コンネル石 / Connellite
コンネル石 / Connellite
コンネル石 / Connellite
Cu19(SO4)(OH)32Cl4·3H2O
鹿児島県薩摩川内市双子島

銅を主成分とする二次鉱物ですっきりとした青色を特徴とする。化学組成には硫酸基が含まれるが非常に少ないため分類としてはハロゲン化物になる。コンネル石はスコットランドの化学者・鉱物学者のArthur Connell(1794-1863)に因んで命名された。海外では19世紀には知られた鉱物だが、日本では1980年になって双子島から見いだされたのが最初となる。

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グラシャン鉱 / Graţianite
グラシャン鉱 / Graţianite
グラシャン鉱 / Graţianite
MnBi2S4
群馬県みどり市萩平鉱山

Graţian Cioflica (1927–2002)に因んで命名されたグラシャン鉱は2013年にルーマニアから報告された。日本では1980年代に同じ化学組成を持つ鉱物が少量が見いだされ、2018年の鉱物科学会でそれはやはりグラシャン鉱と同一であることが確認された。本家のグラシャン鉱よりも端成分に近い。写真の標本は少量のインゴダ鉱を伴っていたが肉眼では判別できない。

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フェリゴーセ閃石 / Ferri-ghoseite
フェリゴーセ閃石 / Ferri-ghoseite
フェリゴーセ閃石 / Ferri-ghoseite
□(NaMn2+)(Mg4Fe3+)Si8O22(OH)2
福島県いわき市御斎所鉱山

フェリゴーセ閃石は2013年に誕生した角閃石で、Subrata Ghose (1932-2015)に因んで命名された。2018年の鉱物科学会では和歌山県飯盛鉱山から報告されたが、それはマグネシオリーベック閃石と混合しており、実体は数十ミクロン程度と非常に小さかった。一方で写真の御斎所鉱山産の角閃石は他の角閃石との混合は無く、見たまま全体がフェリゴーセ閃石という大きな標本である。
分析値:(□0.75Na0.23K0.01)Σ1(Na1.20Mn2+0.73Ca0.07)Σ2(Mg3.28Mn2+0.49Fe2+0.27Fe3+0.83Al0.12)Σ5Si8O22(OH)2

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コウルス沸石 / Cowlesite
コウルス沸石 / Cowlesite
コウルス沸石 / Cowlesite
コウルス沸石 / Cowlesite
Ca(Al2Si3)O10·5-6H2O
島根県隠岐の島西ノ島町国賀

玄武岩の空隙を埋めるように球状の集合体で産出することが典型で、一つの結晶は西洋剣のような姿をしている。日本では島根県隠岐の島西ノ島町国賀から発見されている。世界的にはコウルス沸石はアメリカとカナダから同時に発見され、アメリカ人の鉱物コレクターJohn Cowles(1907-1985)に因んで1975年に命名された。

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石膏 / Gypsum
石膏 / Gypsum
石膏 / Gypsum
Ca(SO4)·2H2O
山形県山形市蔵王温泉酢川

蔵王温泉の元になっている硫酸酸性水が岩石の粘土化と石膏の結晶化を進め、酢川沿いに分布する粘土には石膏の結晶が胚胎されている。結晶は様々な形態を示すが、写真には菱形状の結晶を並べた。古代から知られている鉱物であり、古代ギリシャの博物学者テオプラトスによって名付けられたとされる。

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カコクセン石 / Cacoxenite
カコクセン石 / Cacoxenite
栃木県今市市猪倉文挟クレー鉱山

カコクセン石 / Cacoxenite
高知県高知市豊田

カコクセン石 / Cacoxenite
Fe3+24AlO6(PO4)17(OH)12·75H2O

割とどこにでも顔を出す鉱物だが、かなり小さいためしばしば見落とされる。一方でこの鉱物に気づいてよく観察するとなかなかかわいい面構えをしている。カコクセン石は鉄を主成分とする鉱石にも現れるが、カコクセン石に含まれるリン成分は鉄の精錬を阻害する。そのため「悪いお客さん」を意味するギリシャ語が学名の由来となっている。

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ガイロル石 / Gyrolite
ガイロル石 / Gyrolite
ガイロル石 / Gyrolite
NaCa16(Si23Al)O60(OH)8·14H2O
山梨県大月市初狩町

「回転する」という意味のギリシャ語から名付けられた鉱物で、葉片状の結晶が放射状に集合する産状が非常に多い。写真は山梨県大月市初狩町から産出した標本で、断面しか見えていないがこの鉱物の典型的な産状をよく示している。

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コラロ石 / Coralloite
コラロ石 / Coralloite
コラロ石 / Coralloite
Mn2+Mn3+2(AsO4)2(OH)2・4H2O
福島県いわき市御斎所鉱山

2010年にイタリアから見つかった鉱物で、コレクターのGiorgio Corallo (b. 1937)に因んで命名された。コラロ石は濃赤褐色を示し、ルーペでは粉状に認識されるがSEMでは不定型な板状結晶の集合が観察された。二酸化マンガンを密接に伴い、無色透明のミゲルロメロ石を伴うことが多い。御斎所鉱山産のコラロ石はこれまで赤色ガイガー石と認識されてきたようだが、ガイガー石それ自体はほぼ無色透明な板状結晶であった。そのように認識された経緯はよくわからない。日本初産の鉱物として2018年の鉱物学会で報告する。

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パラブランド石 / Parabrandtite
パラブランド石 / Parabrandtite
パラブランド石 / Parabrandtite
Ca2Mn2+(AsO4)2・2H2O
福島県いわき市御斎所鉱山

ブランド石/Brandtiteと化学組成が同じで構造が異なる鉱物で、ブランド石の多形としてParaの接頭語を冠する。1986年にアメリカから見つかった。御斎所鉱山においてパラブランド石は絹色光沢を示す白色~淡橙色の被膜として産出し、結晶は実体顕微鏡では認識できないが単なる粉状ではなく微細な鱗片状が集合したような印象を受ける。MindatによるとAlfredo Petrov氏が所有していた御斎所鉱山の標本がパラブランド石だったとされるが、文献として第二産地はこれまで正式には報告されていなかった。国産鉱物の記録とすべく2018年の鉱物学会で報告する。

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ガイガー石 / Geigerite
ガイガー石 / Geigerite
ガイガー石 / Geigerite
Mn2+5(AsO4)2(AsO3OH)2·10H2O
福島県いわき市御斎所鉱山

1985年にスイスから見つかった鉱物で、鉱物学冶金学者のThomas Geiger (1920 – 1990)に因んで命名された。御斎所鉱山からは1990年に産出が報告されており、淡緑灰色のガラス光沢を有する長板状結晶集合とある。一連の研究で再発見したこのガイガー石は無色透明の板状結晶が放射状に集合した姿だった。結晶だけを見るとミゲルロメロ石と肉眼的に区別することは困難だが、産状が鑑定の手助けとなる。ミゲルロメロ石は二酸化マンガンと共存することが多いことに対し、ガイガー石は淡橙色のサーキン石を伴うのみであった。

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カステラロ石 / Casteralloite
カステラロ石 / Casteralloite
カステラロ石 / Casteralloite
Mn2+3(AsO4)2・4.5H2O
福島県いわき市御斎所鉱山

2015年にイタリアから見つかった鉱物で、コレクターのFabrizio Castellaro (b. 1970)に因んで命名された。御斎所鉱山はこれに続く産地となった。繊維状や薄板状の結晶が束状に集合し、無色透明だが強い絹糸光沢を示す。御斎所鉱山では外見がよく似た鉱物でブランド石/Brandtiteが知られており、これまでブランド石と認識されている標本の一部はこのカステラロ石ではないだろうか。日本初産の鉱物として2018年の鉱物学会で報告する。

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ミゲルロメロ石 / Miguelromeroite
ミゲルロメロ石 / Miguelromeroite
ミゲルロメロ石 / Miguelromeroite
Mn2+5(AsO3OH)2(AsO4)2(H2O)4
福島県いわき市御斎所鉱山

「ビリヤエレン石 / Villyaellenite」のラベルが付された標本を調べたら実は新鉱物だったという発見の経緯を持ち、2008年に複数の産地から同時に見出された。実は御斎所鉱山もその模式地の一つとして国際的に登録されている。ところが日本産鉱物種一覧には掲載されていない(2018年時点)。それ故にミゲルロメロ石は見た目の美しさとは裏腹に、日本ではほとんど認知されていないかわいそうな鉱物となっている。学名はメキシコ人化学者のMiguel Romero Sanchez (1926-1997)に因んで命名されている。自分でも御斎所鉱山のビリヤエレン石という標本を調べたらやっぱりミゲルロメロ石だった。再認識された鉱物として2018年の鉱物学会で報告する。

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バラー沸石 / Barrerite
バラー沸石 / Barrerite
バラー沸石 / Barrerite
Na2(Si7Al2)O18·6H2O
長崎県平戸市船越海岸

変質の進んだ玄武岩の空隙に無色透明な板状結晶が束となって見られる。外観は束沸石にたいへんよく似るがそれとは異なる沸石で、日本では平戸市船越海岸から少量がみいだされた。バラー沸石はニュージーランド生まれの化学者・Richard Barrer (1910-1996)に因んで命名された。

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アルチニ石 / Artinite
アルチニ石 / Artinite
アルチニ石 / Artinite
Mg2(CO3)(OH)2·3H2O
北海道中川町宇戸内川

アルチニ石は絹糸光沢を有する針状結晶が放射状に集合する産状が典型で、蛇紋岩の変質に伴って生じる。日本でもいくつか産地が知られるが、宇戸内川は日本で初めてアルチニ石が見つかった産地になる。Milan大学の鉱物学者Ettore Artini (1866-1928)に因んで命名された。

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かぐや姫水晶(アメシスト / Amethyst)
アメシスト / Amethyst (かぐや姫水晶)
アメシスト / Amethyst
かぐや姫水晶
福島県南会津郡只見町

鉱物名としては石英だが、紫色を帯びているものをアメシストと呼ぶ。アメシストの産状はさまざまあるが、福島県只見町では流紋岩中の球顆の中に結晶が鎮座している。その姿を拝むために球顆を割るのだが、その際に愛らしい結晶が顔を覗かせるので、まるでかぐや姫のようだと言われている。

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月長石 / Moon Stone
月長石 / Moon stone
月長石 / Moon Stone
富山県南砺市

青色や白色の光沢を月光に見立てムーンストーンと呼ばれる。和名では月長石と呼び、その名が示すように長石の仲間。内部は層状になっており、光がその層の間で反射されることで特徴的な光沢が醸し出される。これをシラー効果と言う。富山県富南砺市の山中には美しい月長石が産出する。

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濃紅銀鉱 / Pyrargyrite
濃紅銀鉱 / Pyrargyrite
濃紅銀鉱 / Pyrargyrite
Ag3SbS3
鹿児島県串木野鉱山

濃紅銀鉱はルビーシルバーとも称されるように、濃い紅色で銀を主成分とする鉱物である。その濃い紅色は「火」に例えられ、学名は火と銀を意味するギリシャ語が由来となっている。日本でもいくつかの産地が知られているが、中でも串木野鉱山のルビーシルバーは古典標本として親しまれている。

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灰長石 / Anorthite
灰長石 / Anorthite
自然銅(灰長石中)
灰長石の結晶(上)と赤色部の拡大(下)

灰長石 / Anorthite
Ca(Al2Si2O8)
東京都八丈島石積ヶ鼻

八丈島や三宅島などでは赤色を呈する灰長石が見られる。灰長石は本来は無色であるが、一部に独特な赤色を示す結晶があり、そのような灰長石をサンストーンと呼ぶ。サンストーンの赤色部を拡大してみると赤色の液体が滲んだかのような印象を受ける。これは直径が数十~百ナノメートル程度の細い糸状の自然銅が含まれていることに起因する。

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灰チタン石 / Perovskite
灰チタン石 / Perovskite
灰チタン石 / Perovskite
CaTiO3
高知県成山

灰チタン石としては比較的めずらしい産状で、加水ざくろ石が主体となっている暗緑色ロジン岩の割れ目に生じたもの。この産地の灰チタン石は飴色~黒色を示し、色は含まれる鉄成分の量に起因する。学名はロシアの鉱物学者、Count Lev Alekseevich Perovski (1792-1856)にちなんで命名された。Perovskiは鉱物コレクターでもあった。

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うずら石
うずら石
うずら石
うずら石
東京都硫黄島

東京から南へ約1200kmのところに位置する硫黄島に産し、長石の集合体で全体が1センチ程度の丸みを帯びた石。それは鶉(うずら)の羽や卵の殻にある模様のような白黒から「うずら石」と呼ばれた。現在は硫黄島には立ち入ることはできないが、戦前に採集されたものが古典標本として愛石家には親しまれている。一枚目の写真はうずら石の典型で、黒い溶岩の衣をまとった白い長石が複雑に絡み合っている。二枚目の写真は溶岩の衣がはがれ、素の長石がよく観察できる標本となっている。長石そのものは曹長石に該当するが、灰長石成分も多く含まれ、中性長石と呼ばれている。

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ゴヤズ石 / Goyazite
ゴヤズ石 / Goyazite
ゴヤズ石 / Goyazite
ゴヤズ石 / Goyazite
SrAl3(PO4)(PO3OH)(OH)6
群馬県桐生市津久原鉱山

ゴヤズ石は明礬石超族に属するリン酸塩鉱物で、日本ではこれまでに山口県の日の丸奈古鉱山と福岡県の長垂から見つかっている。しかしそれらはいずれも微細で岩石に埋もれている産状だった。津久原鉱山に産するゴヤズ石は石英の隙間に生じ、2種類の結晶形態がある。六角板状となるもの(上)とスピネルのような八面体(下)の結晶を確認した。海外の標本でもゴヤズ石は多様な結晶形態を示す。ゴヤズ石の学名はブラジルのゴイアス州の旧名Goyazに由来する。

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方解石 / Calcite
方解石 / Calcite
方解石 / Calcite
CaCO3
静岡県河津町やんだ

最も多産する炭酸塩鉱物でありいわゆる大理石を構成する鉱物。鉱物の硬さにはモース硬度というスケールが知られており、方解石は硬度3の基準に設定されている。学名は石灰を意味するラテン語calxから来ている。静岡県河津町やんだは沸石が有名だが、マクロ撮影にはちょうどよいサイズの犬牙状の方解石も産出する。

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カルシウム輝沸石 / Heulandite-Ca
カルシウム輝沸石 / Heulandite-Ca
カルシウム輝沸石 / Heulandite-Ca
(Ca,Na,K)5(Si27Al9)O72·26H2O
静岡県河津町やんだ

カルシウム輝沸石はいくつかある輝沸石のなかで最も一般的に産出する種類である。輝沸石は含まれている成分によって名前が変わり、例えばナトリウムが主成分となるとナトリウム輝沸石となる。輝沸石の学名:Heulanditeはドイツ人鉱物コレクターのJohn Henry Heuland(1778-1856)に因んでいる。静岡県河津町やんだの海岸はもっとも手軽に輝沸石を採集できる場所のひとつであろう。

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自然テルル / Tellurium
自然テルル / Tellurium
自然テルル / Tellurium
Te
静岡県河津鉱山

自然テルルはトランシルベニアの主任検査官だったFranz-Joseph Müllerによって、1782年にルーマニアの金山から見出された。その後、Martin Heinrich Klaprothによって1798年に新元素のテルル(Tellurium)が命名された。その語源はラテン語で地球を意味するTellusに由来する。自然テルルの結晶は自然界では稀で、多くは塊や箔で産出する。静岡県河津鉱山では結晶が産出した。

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自然水銀 / Mercury
自然水銀 / Mercury
自然水銀 / Mercury
Hg
北海道イトムカ鉱山

イトムカとは光輝く水という意味のアイヌ語。水銀鉱山というと水銀と硫黄の化合物である辰砂という真紅の鉱物が主要な鉱石になることが多いが、イトムカ鉱山は自然水銀そのものを主に採掘していた。ここでは辰砂も産出するが、その形状から芋辰砂と呼ばれている。鉱物は固体物質であることを定義としているが、液体で産出する自然水銀は例外として鉱物に認定されている。自然水銀の学名は商人や旅人の守護神であるメルクリウス(Mercurius)に由来する。しかしその学名に定まった経緯は不明である。

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チタン石 / Titanite
チタン石(スフェン) / Titanite (Sphene)
チタン石 / Titanite
CaTi(SiO4)O
高知県足摺岬

この鉱物はギリシャ語でくさび形と意味する「Sphenos」から命名されたSpheneという名前であったが、それと同時にTitaniteという名前でも呼ばれていた。1982年に国際鉱物学連合の新鉱物・鉱物・命名委員会はTitaniteの方を正式な学名とすることを決めた。チタン石は透明感をもつ様々な色合いの結晶が産出するため、宝石として加工されることがある。Sphene(スフェン)という名前は今では宝石名として主に使われる。

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水苦土石 / Hydromagnesite
水苦土石 / Hydromagnesite
水苦土石 / Hydromagnesite
Mg5(CO3)4(OH)2·4H2O
愛媛県八幡浜市頃時鼻

水を含むマグネシウムの炭酸塩鉱物(HYDRated MAGNESium carbonate)であることから学名が命名されている。和名はその直訳。無色透明で産出し、その結晶は西洋剣のような形になる。

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菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
岐阜県土岐市下石町

菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
群馬県桐生市菱町

菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
Mn(CO3)

マンガン鉱床には普通に産出するありふれた鉱物で、結晶はピンクから赤系統のいわゆるバラ色と称される色合いを示すことが多いため、学名はバラ色を意味するギリシャ語に由来する。一方で無色やオレンジ色など場合も知られ、結晶の形も一方向に伸長することがあるため、肉眼鑑定は必ずしも容易ではなく他の鉱物と間違えることもある。それでも菱形の結晶で産出することが多くマンガンの主要な鉱石であったことから、和名では菱マンガン鉱と呼ばれる。

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異極鉱 / Hemimorphite
異極鉱 / Hemimorphite
異極鉱 / Hemimorphite
Zn4(Si2O7)(OH)2·H2O
大分県木浦鉱山

木浦鉱山では多孔質の褐鉄鉱のすきまに無色透明の板状結晶が集合し、扇形の集合体で産出する。その結晶は平板状であるが両端の形状が異なっている。そういったものを異極晶(hemimorphic crystal)と言い、学名・和名ともにそこから名付けられた。

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スコロド石 / Scorodite
スコロド石 / Scorodite
スコロド石 / Scorodite
Fe3+(AsO4)·2H2O
大分県木浦鉱山

透明で無色から緑・青系統の美しい結晶で産出することが多い。加熱したときにニンニクのような臭いがすることから、ギリシャ語でニンニクを意味する「Scorodion」から学名が付けられた。和名でも葱臭石ということがある。実はバリシア石と同じグループ。

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パルノー石 / Parnauite
パルノー石 / Parnauite
パルノー石 / Parnauite
Cu9(AsO4)2(SO4)(OH)10·7H2O
栃木県日光鉱山

小さな板が束になったような集合体が典型的な産状。アメリカのMajuba Hill鉱山から最初に見つかり、この産地について造詣の深い鉱物収集家John L. Parnauにちなんで命名された。

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アーセニオシデライト / Arseniosiderite
アーセニオシデライト / Arseniosiderite
アーセニオシデライト / Arseniosiderite
Ca2Fe3+3O2(AsO4)3·3H2O
宮崎県見立鉱山

砒灰鉄鉱もしくは灰砒鉄石と言ったりもする。ゴールデンイエローと表現される光沢を持ち、通常は写真のようにモコモコの集合体となる。学名は砒素と鉄を含むことに由来する。

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鋭錐石 / Anatase
鋭錐石 / Anatase
鋭錐石 / Anatase
TiO2
高知県高知市三谷

鋭錐石は鋭くとがった様で産出することが一般的で、産状も多様で産地も多い。その色も黒・茶・黄・青など、非常に多様となっている。鋭錐石は正方晶系であるが、四角柱状にはなりにくい。ピラミッドのような斜めの面が長いことを暗示して、「拡張」を意味するギリシャ語の「anatasis」から学名の由来となっている。

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ベニト石 / Benitoite
ベニト石 / Benitoite
ベニト石 / Benitoite
BaTiSi3O9
新潟県糸魚川市青海町金山谷

ベニト石はサン・ベニト川(カリフォルニア州)沿いの地域で最初に発見され(1907年)、その地名から命名された。発見者は当初は青いダイヤやサファイアと考えたという逸話がある。原産地には宝石用にカットできるほど立派な結晶が産出し、愛好家も多い。日本産のベニト石は新潟県金山谷付近の曹長岩から最初に発見された。その曹長岩からは奴奈川石や青海石といった新鉱物も発見されている。

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コニカルコ石 / Conichalcite
コニカルコ石 / conichalcite
コニカルコ石 / Conichalcite
CaCu(AsO4)(OH)
山口県喜多平鉱山

銅とカルシウムを主成分とする砒酸塩鉱物で、多くは粒状、粉状~皮膜状で産出する緑色の鉱物。山口県喜多平鉱山では結晶が産出した。学名はギリシャ語で銅を意味する「chalkos」と粉を意味する「konis」から来ている。そのため和名にも「粉銅鉱」という名前が用いられたことがあった。

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マグネサイト / Magnesite
マグネサイト / Magnesite
マグネサイト / Magnesite
Mg(CO3)
三重県熊野市波田須町

菱苦土(りょうくど)石もしくは菱苦土鉱とも言う。菱形の結晶が典型的であるが、写真のような葉片状結晶の集合となることも多い。端成分であれば無色だが、写真の標本はわずかに鉄を含んでいたためにオレンジ色になっている。学名はマグネシウムを主成分とすることに由来するが、いつ頃命名されたのかは定かではない。

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ランシー鉱 / Ranciéite
ランシー鉱 / Ranciéite
ランシー鉱 / Ranciéite
(Ca,Mn2+)0.2(Mn4+,Mn3+)O2·0.6H2O
三重県南伊勢町伊勢路

黒~銀灰色の薄い箔状の姿で見かけることが典型的だが、新鮮なときは紅色を示すとされる。学名は発見地のLe Rancié Mine(フランス)に由来する。カルシウムを二価のマンガンで置換した鉱物は高根鉱(Takanelite)になる。

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コバルト華 / Erythrite
コバルト華 / Erythrite
コバルト華 / Erythrite
和歌山県大勝鉱山(上)
奈良県堂ヶ谷鉱山(下)
コバルト華 / Erythrite
Co3(AsO4)2·8H2O

濃いピンク色をした球状集合が典型的な産状。海外でも古くから知られ、世界中に多くの産地がある。1832年に命名され、ギリシャ語で「赤」を意味する「erythros」が学名の由来となっている。

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アーセニオプレイ石 / Arseniopleite
アーセニオプレイ石 / Arseniopleite
アーセニオプレイ石 / Arseniopleite
(Ca,Na)NaMn2+(Mn2+,Mg,Fe2+)2(AsO4)3
福島県いわき市御斎所鉱山

暗い褐色の板状~柱状結晶で産出し、一見してマンガンを含むエジリンに似ているが、硬度と劈開でそれとは区別できる。学名は砒素を含むという意味の「Arsenio」と、「多い」を意味するギリシャ語「pleion」から来ている。1888年に名付けられたのだが、その当時でも砒素含有鉱物は多く知られており、それでもまた見つかったということのようだ。

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サーキン石 / Sarkinite
サーキン石 / Sarkinite
サーキン石 / Sarkinite
Mn2+2(AsO4)(OH)
福島県いわき市御斎所鉱山

サーキン石は黄橙色の針状もしくは柱状結晶で産出し、放射状に集合することがある。日本では御斎所鉱山で最初に見つかり、後に鹿児島県大和鉱山からも見つかっている。海外では古くから知られ、学名は1885年に名付けられた。肉のような赤みと脂っこい光沢を示すことから、「肉から作られた」という意味をもつギリシャ語「sarkinos」を名前の由来とする。日本では今ではサーキン石ということが多いが、かつては化学組成も考慮して「肉砒石」と呼ばれていた。

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鉄明礬石 / Jarosite
鉄明礬石 / Jarosite
鉄明礬石 / Jarosite
KFe3+3(SO4)2(OH)6
鹿児島県枕崎市岩戸鉱山

岩戸鉱山は金・銀を含む珪化岩を採掘していたいわゆる金山であり、珪化岩は一部が変質し粘土帯が発達する部分がある。鉄明礬石は多くは土状であるが、この産地のものは立方体に近い菱面体の自形を示す。学名は模式地であるBarranco Jaroso(スペイン)に由来する。和名は明礬石(Alunite)の鉄置換体ということでそう呼ばれている。

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灰鉄ざくろ石 / Andradite
灰鉄ざくろ石 / Andradite
灰鉄ざくろ石 / Andradite
Ca3Fe3+2(SiO4)3
愛媛県伊予市双海町

双海町の山奥はかつて石灰岩を掘ったようでいまもその堀跡が残されている。大きな石灰岩の露頭に安山岩が接触して小規模なスカルンが生じていた。成長丘が顕著に発達したこの灰鉄ざくろ石は安山岩側に付着する。学名はブラジルの鉱物学者、José Bonifácio de Andrada e Silva(1763-1838)にちなむ。和名は化学組成を反映している。

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毒鉄鉱 / Pharmacosiderite
毒鉄鉱 / Pharmacosiderite
毒鉄鉱 / Pharmacosiderite
KFe3+4(AsO4)3(OH)4 · 6-7H2O
大分県木浦鉱山

毒鉄鉱の結晶はサイコロのような形になることが多く、写真のような飴色のほかにも緑や黄色の結晶も知られている。仰々しい名前とは裏腹に鮮やかで美しい鉱物である。学名はその化学組成と性質に由来する。毒鉄鉱はヒ素と鉄を含み、主成分のヒ素には毒性がある。それらのギリシャ語をあわせて名付けられた。和名はその訳語に相当する。

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ハウスマン鉱 / Hausmannite
ハウスマン鉱 / Hausmannite
ハウスマン鉱 / Hausmannite
Mn2+Mn3+2O4
長野県浜横川鉱山

日本でも海外でもマンガン鉱床でみつかる非常にありふれた鉱物であるが、結晶標本となると限られた産地でしか見ることができない。浜横川鉱山のハウスマン鉱は菱マンガン鉱に埋没した結晶で、その破断面はぎらついた反射を見せる。学名は鉱物学者Friedrich Ludwig Hausmannにちなんでいる。かつては黒マンガン鉱と言ったりもしたが、現在ではその読みのままのハウスマン鉱が和名になっている。

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モーツァルト石 / Mozartite
モーツァルト石 / Mozartite
モーツァルト石 / Mozartite
CaMn3+(SiO4)(OH)
愛媛県上須戒鉱山

著名な音楽家Wolfgang Amadeus Mozart(1756-1791)にちなんで名付けられた鉱物。発見年は1991年。この年はモーツァルト没後200年にあたるという理由であったが、それでは鉱物と関係ないだろうということでいったんは否決された。ところが著者らは、モーツァルトが作曲した「魔笛」は錬金術と関連がありそれは鉱物学とも無関係というわけではない、というこじつけ的な主張を展開する。そして最終的に認められた。
そんなモーツァルト石は日本でも産出する。愛媛県上須戒鉱山では黒色のマンガン鉱石を横断する赤褐色の脈で産出し、脈が面として割れると独特の濃赤色が一面に広がる。調べてみたところこのモーツァルト石は三価鉄を少し含んでいる。

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辰砂 / Cinnabar
辰砂 / Cinnabar
北海道イトムカ鉱山

辰砂 / Cinnabar
愛媛県双葉水銀鉱山

辰砂 / Cinnabar
HgS

鮮やかな赤を呈する水銀の硫化物で、日本でもその産地はいくつも知られている。辰砂は古くから顔料として利用され「朱」または「丹」と呼ばれる。学名は古代ギリシア語で緋色を意味する言葉に由来するようだ。辰砂という名前はいつの頃から使われていたのだろう。中国の辰州で多く産出したことから「辰砂(シンシャ)」と呼ばれるようになったとされる。北海道イトムカ鉱山の辰砂はその見た目から芋辰砂と呼ばれる。

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ローソン石 / Lawsonite
ローソン石 / Lawsonite
ローソン石 / Lawsonite
CaAl2(Si2O7)(OH)2·H2O
高知県高知市三谷

ヒスイ輝石と石英を主体とする非常に堅い岩石中に、炭酸塩鉱物を伴うローソン石の脈が発達している。炭酸塩鉱物がうまく溶けたところではローソン石の柱状結晶が観察できる。学名は地質学者のAndrew Cowper Lawson(1861-1952)にちなむ。

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真珠雲母 / Margarite
真珠雲母 / Margarite
真珠雲母 / Margarite
CaAl2Si2Al2O10(OH)2
大分県新木浦鉱山

大分県新木浦鉱山はエメリーという堅い岩石を採掘していたが、真珠雲母が入ってくると脆くなる。そういった石は捨て石として放置されていたため採集は簡単だった。写真の結晶は鉄さびがうっすら表面を覆っているためオレンジ色を呈しているが本来は無色透明である。真珠雲母は見ての通りで真珠のような光沢がある。学名は真珠を意味するギリシア語に由来している。和名はその直訳+雲母。

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自然白金 / Platinum
Platinum
自然白金 / Platinum
Pt
北海道中記念別沢川

自然白金は白金族元素のプラチナを主成分とする元素鉱物。写真の中央と上下の粒が自然白金。北海道の河川で採集される自然白金は鉄成分を多く含み、やや鈍い色合いを示すほか、一部が変色することもある。写真の左右にある銀色が強い粒はプラチナ以外の白金族元素を主成分とする元素鉱物。

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緑マンガン鉱 / Manganosite
緑マンガン鉱 / Manganosite
緑マンガン鉱 / Manganosite
MnO
長野県浜横川鉱山

日本国内の様々な場所のマンガン鉱床で産出するが、多くはシミのような産状であり、その特徴的な緑色は空気中ではすぐに黒色化してしまう。ところが浜横川鉱山の緑マンガン鉱は立派な結晶として産出し、美しい緑色も保たれる。学名のManganositeというのは化学組成から名付けられた。すなわちマンガン(MANGANese)と酸素(Oxygen)たち(S)から出来ている石(ITE)という意味である。和名は外見と化学組成の特徴に因む。

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エクロジャイト / Eclogite

エクロジャイトとはざくろ石とオンファス輝石を主成分とする岩石のことで、愛媛県でその産出が知られている。関川では転石として、東赤石山ではその露頭が観察できる。

エクロジャイト / Eclogite
エクロジャイト / Eclogite
関川のエクロジャイト。愛石家がエクロジャイトと認識している石とは異なる印象だろうが、実はこれがエクロジャイトである。オンファス輝石は角閃石に比べて緑色が弱いので、エクロジャイトはあんがい地味な姿をしているのです。切断研磨するとそれなりの趣になる。より変成度の高いものと区別するために関川のエクロジャイトは「エクロジャイト様岩」と言ったりする。
関川のエクロジャイトは硫砒鉄鉱を伴うことが多く、風化面や石の表面はほとんど確実に褐色に汚れている。基本的に角閃石はほとんど伴われない。切断面で緑色の部分がオンファス輝石。ざくろ石は自形が多く、種類としては鉄ばんざくろ石に相当する。苦ばんざくろ石成分(Mg)は少なく、灰ばんざくろ石成分(Ca)に富む。
鉄ばんざくろ石:(Fe2+1.50Ca1.03Mg0.30Mn0.18)(Al1.92Fe3+0.06)Si3.01O12
オンファス輝石:(Ca0.62Na0.37)(Mg0.48Al0.32Fe2+0.14Fe3+0.07)Si1.99O6

エクロジャイト / Eclogite
エクロジャイト / Eclogite
東赤石山権現越のエクロジャイト。関川エクロジャイトに比較してざくろ石の密度が高いが形は崩れている。オンファス輝石は緑色だが石英が相当含まれているため、岩石全体として緑色はかなり淡くなっている。ここのエクロジャイトは最大で2.4万気圧、740℃の高圧高温環境で生成したとされる。
このざくろ石は苦ばんざくろ石に相当する。オンファス輝石は関川エクロジャイト中のものにくらべてナトリウムに富んでいる。
苦ばんざくろ石:(Mg1.29Fe2+1.24Ca0.50)(Al1.95Fe3+0.01)Si3.02O12
オンファス輝石:(Ca0.53Na0.45)(Mg0.46Al0.37Fe3+0.14Fe2+0.09)Si1.97O6

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ジャーリンダ石 / Dzhalindite
ジャーリンダ石 / Dzhalindite
ジャーリンダ石 / Dzhalindite
ジャーリンダ石 / Dzhalindite
In(OH)3
静岡県河津鉱山

Dzhalinditeという学名をどう発音したらいいかぱっと思い浮かばないが,現地の発音を元にしてジャーリンダ石と言う和名がついている。ロシアの錫鉱山:Dzhalindaが学名の由来となっている。日本では静岡県河津鉱山から2000年に発見された(山田・原田, 水晶, 13, 2-9)。ジャーリンダ石の結晶は世界的にみても大変珍しい。

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紅安鉱 / Kermesite
紅安鉱 / Kermesite
紅安鉱 / Kermesite
Sb2OS2
鹿児島県日置市日ノ本鉱山

名前の由来からするとクリムゾン色と言うべきなのだろうか。いずれにしても一目でわかる鉱物で,とある鉱物図鑑には紅安鉱を持ったらコレクターとしてまず一人前と書いてあった。写真中やや左下にある黄色みを帯びた透明結晶は方安鉱(Senarmontite)。学名のKermesiteはギリシャ語のkermesに由来する。Kermesというのは,ある種のカメムシを原料としたクリムゾン色の染料のことのようだ。そしてKermesはペルシア語でクリムゾンを意味するqurmzqからきており,qurmzqは赤い酸化・硫化アンチモンにたいする名前だったらしい。もうよくわからない。一方で和名の方は色と化学組成に由来している。

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アルミニウムパンペリー石 / Pumpellyite-(Al)
アルミニウムパンペリー石 / Pumpellyite-(Al)
アルミニウムパンペリー石 / Pumpellyite-(Al)
Ca2Al3(SiO4)(Si2O7)(OH,O)2·H2O
大分県大分市佐賀関

岩石の変成度の指標になるほど普遍的な鉱物だが,肉眼的な結晶はなかなか希で,埼玉県東秩父村朝日根のものが標本として有名。佐賀関のものも標本として申し分ない。学名はアメリカの地質学者:Raphael Pumpelly(1837-1923)に由来している。彼はお雇い技術者として短い期間だが日本に滞在し,北海道の地質を調査している。

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ダンブリ石 / Danburite
ダンブリ石 / Danburite
ダンブリ石 / Danburite
CaB2Si2O8
愛媛県新居浜市鹿森ダム付近

鹿森ダム付近は三波川結晶片岩が分布している。ダンブリ石は風花トンネル開通工事に伴う廃石から見つかった。ダンブリ石はスカルン鉱床からの標本が有名であるが,広域変成岩(三波川結晶片岩)からも産出することはそれまで知られていなかった。近くに露頭はあってもよいと思っているが,我々は露頭を見つけることができなかった。学名はこの鉱物の発見地(Danbury)に由来する。ニューヨークから100キロほど北にある町で,町の名前自体が多くの初期開拓者の出身地であるイングランドのエセックスにあるダンベリーに由来している。

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イットリウムシンキス石 / Synchysite -(Y)
イットリウムシンキス石 / Synchysite -(Y)
イットリウムシンキス石 / Synchysite -(Y)
CaY(CO3)2F
三重県菰野町宗利谷

イットリウム褐簾石が変質し,その形を置き換えるようにイットリウムシンキス石+白雲母になっている(乳白色部)。内部には微少なイットリウム褐簾石が残留している。肉眼的にわかりやすいイットリウムシンキス石の標本と言える。学名はギリシャ語で「取り違える」という意味を持つsynchysと発音する単語(σύγχΰσις)に由来する。別の鉱物(parisite)と間違えやすいことから,と言うことらしい。

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ダトー石 / Datolite
ダトー石 / Datolite
ダトー石 / Datolite
CaBSiO4(OH)
愛媛県三瓶町鴫山

ダトー石は無色が多いが,アップルグリーン系統も知られる。世界的にもごく希だがピンク系統も日本から産出する。鴫山では蛇紋岩中に走るドロマイト脈が空隙を持ち,その中にアップルグリーンのダトー石が認められた。学名の由来はギリシャ語で「分割する」という意味を持つdateisthaiと発音する単語(δατεῖσθαι)。ただ実感としてはダトー石を叩いたとして明瞭な割れ方があるとは感じない。「分割する」というのは割れ方の事ではないのかもしれない(と思う)。

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蛍石 / Fluorite
蛍石 / Fluorite
蛍石 / Fluorite
蛍石 / Fluorite
CaF2
福島県南会津町蛍鉱山

蛍石が有名な産地。蛍石は多くが無色透明だが,まれに淡緑色の結晶が認められる。伴われる水晶は手に刺さりそうなほど細くチクチクする。無色透明結晶はマクロ写真の被写体として難物だが,あえて無色透明なほうの蛍石の撮影に挑戦してみた。下の写真は紫外線照射しながら撮影。学名のFluoriteはラテン語のFluere(流す)に由来する。蛍石には鉄鉱石とまぜることでそれを溶かし(流し)やすくする性質がある。そして蛍石は加熱や紫外線を当てることで蛍光する性質があることがわかり,その蛍石に特徴的な性質が,蛍石の学名(Fluorite)から蛍光(Fluorescence)と名付けられた。ただ和名は逆ではなかろうか。その石が(加熱によって)蛍のような色で光るから「蛍光」という名詞がまず生まれ,そこからモノを表す「蛍石」という名前が生まれたように思える。そして後付けで学名(英単語)との対応が生じたと。真実は不明だが,和名に関してはその方が自然に思える。

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砂鉱 / Placer
磁鉄鉱・チタン鉄鉱 Magnetite and Ilmenite
右側:チタン鉄鉱 / Ilmenite
左側:磁鉄鉱 / Magnetite (左下の一個だけはクロム鉄鉱 Chromnite)

川や砂浜には比重の高い鉱物が溜まる場所がどこかしらある。そういった場所にたまる砂のことを砂鉱(さこう)と言う。英語ではPlacer。砂鉱には磁鉄鉱やチタン鉄鉱が多く含まれている。産地によってクロム鉄鉱が混じることがあるが,見た目では磁鉄鉱と区別が付かない。クロム鉄鉱は磁石にくっつかないのでその特徴で判別できる。磁鉄鉱とチタン鉄鉱は見ての通り結晶の形とツヤが異なるため判別は可能。

透明結晶 Transparent crystals
砂鉱には磁鉄鉱やチタン鉄鉱だけでなく,透明な結晶も多く含まれている。この写真の中にはジルコン,エンスタタイト,鉄ばんざくろ石,アクチノ閃石,石英がいるが,どれがどれだかわかるだろうか?
答え合わせはここ

灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite

カルシウムとタングステンの酸化物である灰重石は比重が高く,砂鉱として濃集しやすい。特定の地質帯の砂鉱には普遍的に認められる。短波長の紫外線で青く蛍光するので存在していれば容易に見つかる。

宇宙塵?
宇宙塵 / Cosmic dust

隕石のたぐいなのだが,小さすぎるので落ちてくるときの摩擦熱で溶けたりして球形になる。今回は黒色・白色・淡黄色・透明の種類があった。写真のスケールでは見えないが,その表面は特徴的な再結晶組織になっている。黒色の球は磁鉄鉱やマグヘマイトになっており,また中身は中空であることが非常に多い。白色~透明の球の化学組成はバラバラできまったモノが無い。

ジルコン / Zircon
ジルコン / Zircon

ジルコンだけを集めて並べてみた。この写真の幅は約2ミリ。基本的に透明であり,一つの産地からでも無色~褐色~紫色まである。SEM-EDSではいずれも不純分は検出されず,どれもZrSiO4の化学組成。短波の紫外線でいずれもオレンジ色に蛍光する。

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エンスタタイト / Enstatite
エンスタタイト / Enstatite
エンスタタイト / Enstatite
MgSiO3
愛媛県松山市御幸寺山

中腹から上には安山岩が露出しており,頂上付近では風化した安山岩からなる砂利中に最大2ミリ程度の分離結晶が認められる。多くは他形~半自形だが,自形結晶もまれに含まれている。化学組成の幅は比較的小さかった:Mg0.82-0.87Fe0.10-0.13Ca0.02-0.03Al0.02-0.04Si0.98-1.00O3
名前の由来はギリシャ語の「enstates」。「対抗する」的な意味合いで吹管の火にも耐えることから名付けられた。和名では頑火輝石とも言っていたが,最近は学名の読みでエンスタタイトということが多いと思う。

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輝安鉱 / Stibnite
輝安鉱 / Stibnite
輝安鉱 / Stibnite
輝安鉱 / Stibnite
輝安鉱 / Stibnite
Sb2S3
愛媛県万年鉱山

キースラーガー鉱床ではなく安山岩中の石英脈タイプの鉱床で,近隣の弘法師鉱山の産状とよく似ている。輝安鉱は海外では古くから知られいくつかの名前で呼ばれていたが,1832年にラテン語由来のStibniteと命名され,今も使われている。主成分元素のSbも同じラテン語由来だが,今ではそれはAntimonyと呼ばれている。和名は見た目の輝きと,成分(アンチモン:安)に由来する。

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斑銅鉱 / Bornite
斑銅鉱 / Bornite
斑銅鉱 / Bornite
Cu5FeS4
静岡県河津鉱山

1725年にはその産出が知られたあと,今の学名に決まるまでいくつかの名前で呼ばれている。今の学名はオーストリアの鉱物学者および無脊椎動物学者であるIgnaz von Born(1742-1791)にちなんで1845年に決まった。各地の鉱床でもそれなりに見つかるが,日本産ではその結晶はかなり珍しい。

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トルトベイト石 / Thortveitite
トルトベイト石 / Thortveitite
トルトベイト石 / Thortveitite
Sc2Si2O7
京都府白石山

トルトベイト石 / Thortveitite
トルトベイト石 / Thortveitite
Sc2Si2O7
京都府磯砂鉱山

Jakob Grubbe Cock Schetelig によってノルウェイの鉱物学者Olaus Thortveitをたたえて命名された。Thortveitはこの鉱物の発見者になる。日本ではこの白石山と近隣の磯砂鉱山から産出した。写真の板状結晶が本鉱で,中央付近のぽっちはジルコン。

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ボタラック石 / Botallackite
ボタラック石 / Botallackite
ボタラック石 / Botallackite
Cu2Cl(OH)3
福井県内外海鉱山

伊予石とはMn→Cu置換の関係だが見た目は結構違う。イギリスのCornwall, Botallack鉱山から最初に発見され鉱山名を元に名付けられた。日本では内外海鉱山のみで産出が知られる。

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スティッツ鉱 / Stützite
スティッツ鉱 / Stützite
スティッツ鉱 / Stützite
Ag5-xTe3
静岡県河津鉱山産

これまで本鉱の結晶など見たことがなかった。恵与していただいたが半ば疑って分析してみたら本鉱で正解。世界的にもみてもこんな立派な結晶は他にない。名前はオーストリアの鉱物学者Andreas Xavier Stütz (1747–1806)に由来する。

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鱗珪石 / Tridymite
鱗珪石 / Tridymite
鱗珪石 / Tridymite
SiO2
愛媛県松山市高縄山

鱗珪石(りんけいせき)。化学組成SiO2で,石英やクリストバル石の多形。これも石英やクリストバル石と同じく高温型と低温型があり,写真の鱗珪石は高温型で生じた後に低温型へ転移しているため,内部はヒビ割れだらけ。学名はギリシャ語の「Tridymos」が元になっている。3つ子というような意味で,鱗珪石が良く三連双晶を生じることに由来する。針のように写っているのはモルデン沸石と言われているが,調べた範囲ではこの針状結晶はすべて塩素燐灰石だった。

鱗珪石 / Tridymite
鱗珪石 / Tridymite
SiO2
静岡県沼田市

この鱗珪石も高温型で生じた後に低温型へ転移しているのだろう。内部はヒビ割れだらけで、結晶が薄いのでそのヒビ割れがよくみえる。

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オリーブ銅鉱 / Olivenite
オリーブ銅鉱 / Olivenite
オリーブ銅鉱 / Olivenite
Cu2AsO4(OH)
広島県生口島

1786年に砒素と銅を含む化学組成からそのまま名前がつけられたが,とても長い名前(arseniksaures kupfererz)だった。その3年後にオリーブ色をしていることから「olivenerz」への改名が提唱され,さらに1920年になって「erz」→「ite」となって今の学名「olivenite」という経緯がある。

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桜石 / Cherry stone
桜石 / Cherry stone
桜石 / Cherry stone
菫青石の仮晶?
京都府亀岡市

ほんのり紅を帯びた花びらを連想させる形状から桜石という名前で呼ばれる.でも桜の花びらは5枚.鉱物としては白雲母+緑泥石からなっており,元々は菫青石だったものが変質したとされている.菫青石ではなくその高温多形のインド石かもしれないが,それは今となってはわからない.桜石の名付け親もわからない.

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五水灰硼石 / Pentahydroborite
五水灰硼石 / Pentahydroborite
五水灰硼石 / Pentahydroborite
CaB2O(OH)6•2H2O
岡山県布賀鉱山

通常は無色透明だがまれに黒みを帯びた標本を見かけることがあり,黒五水とか黒ペンタと呼ばれている.拡大してみると結晶はいわゆる山入り状で,中心の黒いモノとそれを囲むブラウン色結晶が透明結晶の中に入っている.硼酸鉱物は調べるのが難しいから調べてない.名前は5分子の結晶水を持つことに由来している.しかし,後年になって水は2分子しかなかったということが明らかになった。

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ロングバン石 / Långbanite
ロングバン石 / Långbanite
ロングバン石 / Långbanite
Mn2+4Mn3+9Sb5+O16(SiO4)2
福島県御斎所鉱山

1887年には記載のある古くから知られる鉱物だが世界的にも産出は稀で,日本では1986年に松原らによって報告された(日本鉱物学会年会講演要旨集,P39).日本のものは板状結晶が多い気がする.名前の由来は模式地のLångban(スウェーデン)からで,模式地標本では六角柱状の結晶が知られている.

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珪亜鉛鉱 / Willemite
珪亜鉛鉱 / Willemite
珪亜鉛鉱 / Willemite
珪亜鉛鉱 / Willemite
Zn2SiO4
栃木県野門鉱山

代表的な蛍光鉱物で紫外線を照射すると鮮やかな緑色に蛍光する.発見された場所が当時オランダ領だったこともあって,オランダ王のウィレムI世(Willem I)の名前を由来に持つ.発見地(模式地)は今ではベルギー.アメリカのフランクリン鉱山の標本が有名.

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デュモルチエ石 / Dumortierite
デュモルチエ石 / Dumortierite
デュモルチエ石 / Dumortierite
AlAl6BSi3O18
長崎県福江島五島鉱山

紫がかった青色が特徴で,肉眼的にはよくわからないがコランダムや紅柱石をともなっている.花崗岩や砂岩が熱水変質を受けて生成した蝋石鉱床中に産出する.名前はフランス人古生物学者,Eugène Dumortier (1801-1876)から.原著はフランス語で書かれており,古生物学者の名前から採用された理由は私には読めない.

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高温石英 / High Quartz
高温石英 / High Quartz
高温石英 / High Quartz
SiO2
宮城県仙台市郷六

風化した凝灰岩の中に六角形の両錘結晶が多く入っており,無色~淡紫色の透明結晶は内部に多くにひび割れが生じている.これは高温石英から低温石英への転移に伴う体積変化によって生じたものだと考えられる.

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グジア石 / Gugiaite
グジア石  / Gugiaite
グジア石 / Gugiaite
Ca2BeSi2O7
愛媛県弓削島

弓削島には石灰岩が分布しており,そこは新鉱物・カリ(苦土)定永閃石の模式地にもなっている。石灰岩は珪酸塩を含む熱水に貫かれ,珪灰石や灰バンざくろ石などの典型的なスカルン鉱物が生じている。そのスカルン脈の中心部付近に,魚眼石やホタル石を伴い劈開がやや発達した透明結晶が本鉱になる。方解石に似るが劈開の方向が異なる。

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琥珀 / Amber
琥珀 / Amber
琥珀 / Amber
愛媛県伊予市

伊予市の海岸には礫・砂・泥の互層で構成される地層が露出している。一部の層には琥珀が産出していたのだが,芸予地震の際に上部からの崖崩れで琥珀を含む層は埋没してしまった。

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石英 / Quartz
石英 / Quartz
石英 / Quartz
SiO2
愛媛県久万高原町

久万高原町に広がる凝灰岩質の土壌には,無色透明~淡紫色を帯びた最大5ミリの結晶が大量に入っている。よく見ると六角錘状で柱面がほとんど無いことが見て取れる。一般にこういったものは高温石英(High quartz)の仮晶だとされるが,さてどうだろうか。高温石英は室温に回収することができず,室温では低温石英に転移している。そしてこの転移は体積変化が大きいので,高温石英で晶出したならば結晶はヒビだらけになるだろう。ところが久万高原で産出するものは内部にヒビがまったく見あたらないので,こいつは高温石英ではなく低温石英だと思っている。

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鉄バンざくろ石 / Almandine
鉄バンざくろ石 / Almandine
鉄バンざくろ石 / Almandine
Fe2+3Al2(SiO4)3
愛媛県松山市忽那山

ざくろ石(ざくろいし)グループのうちの一つ。接触変成を受けた砂泥質岩に黒~オレンジ色の12面体結晶が埋没している。砂泥質岩を粗く砕くと結晶がきれいに母岩から外れるので,完全な結晶が多く回収できる。これらは実体顕微鏡下で選別・回収した。学名のAlmandineはトルコのAlabandaに由来しているとされ,命名は1500年代中頃のようだ。

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クリストバル石 / Cristobalite
クリストバル石 / Cristobalite
Pseudomorph of cristobarite
クリストバル石 / Cristobalite
クリストバル石 / Cristobalite
SiO2
愛媛県久万高原町

とげとげした方がクリストバル石で、球は玉随。クリストバル石には高温型相と低温相がある。ふつうは高温相が晶出して温度低下と共に低温相へ転移している。安山岩の空隙に見られるクリストバル石はそういったものである。ところが稀に高温相を経ずに低温相から晶出することがある。例えばそれはオパールの一成分としてであり,この場合はナノからミクロの大きさ程度というのがこれまでの常識だった。ところが写真のクリストバル石はミリサイズでモルデン沸石や玉随と共生している。モルデン沸石や玉随が生成する条件はせいぜい100℃程度で,それでは高温型相は生じ得ない。つまり写真のクリストバル石は低温相で晶出し,それがミリサイズまで成長したという大変珍しい結晶となる。2015年の鉱物学会で報告した。
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クリストバル石 / Cristobalite
クリストバル石 / Cristobalite
SiO2
愛媛県松山市北条浅海

これは高温型のクリストバル石。安山岩の晶洞に生じたモノで今では高温型→低温型への転移による体積減少のために内部はヒビ割れだらけになっている。高温型クリストバル石が安定な温度は1500℃程度以上なのだが,このクリストバル石はそんな温度で生じたわけではない。明らかに準安定的な成長だがそのメカニズムはまだ不明。束沸石が共生しているが,これは一番最後に生じている。

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コランダム / Corundum
コランダム / Corundum
コランダム / Corundum
Al2O3
愛媛県磐城島

コランダムは青ければサファイア,赤ければルビーと呼ばれる。写真の標本は愛媛県岩城島で見つかったもの。青いのでサファイアと言っておこう。母岩は周辺の花崗岩よりも有色鉱物に富んでいるため捕獲岩ではなかろうかと考えているが,露頭はまだ見つかっていない。

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バリッシャー石 / Variscite
バリッシャー石 / Variscite
バリシア石 / Variscite
AlPO4·2H2O
福岡県星野村
ドイツのVogtlandから発見された鉱物でVogtlandの古い名前(Variscia)に由来する。1837年には報告がある。日本では福岡県で緑色の結晶が見出されている。

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コルベック石 / Kolbeckite

コルベック石 / Kolbeckite 
コルベック石 / Kolbeckite
ScPO4·2H2O
鹿児島県薩摩川内市

ドイツ産のものが1926年にはじめて記載された。名前はドイツ人鉱物学者の Dr. Friedrich Ludwig Wilhelm Kolbeck (1860-1943)から。日本では鹿児島県で見いだされたものが2015年の鉱物学会で報告されているが,なぜこんな産状でスカンジウム鉱物が産出するのかはさっぱりわからないそうだ。白色粘土中に黄鉄鉱と閃亜鉛鉱をともない産出する。

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赤鉄鉱 / Hematite

赤鉄鉱 / Hematite
赤鉄鉱 / Hematite
赤鉄鉱/Hematite
Fe2O3
鹿児島県霧島山

溶岩が固化する際に火山ガスから結晶化し,複雑な晶癖を持っている。ガスが抜けた後の空隙に産出し,いわゆる鏡鉄鉱と呼ばれる標本。

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 Posted by at 8:42 PM

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