日本の鉱物

 

日本産の鉱物や岩石のマクロ(=拡大)写真。

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1.元素/金属鉱物

2.硫/ヒ/セレン/テルル化鉱物

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3.ハロゲン化鉱物

4.酸化/水酸化鉱物

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5.炭酸塩鉱物

6.硼酸塩鉱物

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7.硫酸/リン/ヒ/バナジン/タングステン/モリブデン/テルル酸塩鉱物

8.ケイ酸塩鉱物

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9.石ころ

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ケティヒ石 / Köttigite
ケティヒ石 / Köttigite
ケティヒ石 / Köttigite
Zn3(AsO4)2·8H2O
岡山県新見市扇平鉱山

扇平鉱山はレグランド石の良標本を産出したことで有名で、その標本にはケティヒ石もしばしば伴われる。レグランド石と同じく亜鉛(Zn)を主成分とする含水ヒ酸塩鉱物であるが、色が全く異なり、黄色のレグランド石に対してケティヒ石は青白い。板状結晶やそれが束になって褐鉄鉱の隙間に見られる。藍鉄鉱コバルト華と共通の結晶構造。ケティヒ石を最初に分析したとされる、ザクセン王国(現ドイツ)の化学者であるOtto Friedrich Köttig (1824-1892)に因んで命名された。

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レグランド石 / Legrandite
レグランド石 / Legrandite
レグランド石 / Legrandite
Zn2(AsO4)(OH)·H2O
岡山県新見市扇平鉱山

レグランド石は最初の標本を提供したLouis C.A. Legrand(1861-1920)に因んで命名された鉱物で、亜鉛(Zn)を主成分とする含水ヒ酸塩鉱物である。黄色透明な結晶を特徴とする。結晶端は斜めにそぎ落とされた形状となりやすいが、平らのこともある。日本では宮崎県土呂久鉱山や岡山県扇平鉱山の酸化帯から産出の報告がある。標本としては扇平鉱山のほうをよく見かけ、多孔質な褐鉄鉱に伴われる。

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輝水鉛鉱 / Molybdenite
輝水鉛鉱 / Molybdenite
岐阜県白川村平瀬鉱山

輝水鉛鉱 / Molybdenite
島根県奥出雲町小馬木鉱山

輝水鉛鉱 / Molybdenite
MoS2

輝水鉛鉱はモリブデン(Mo)の硫化鉱物で、石墨と同じく滑るように薄くはがれる性質を持っている。金属光沢を示す鉛灰色の六角板状結晶として産出する例が典型として知られるが、微細粒が集合した塊では黒色となる。石英脈や炭酸塩脈に伴われることが多く、小規模な産出なら日本でも産地が多い。極めてまれにモリブデン酸塩鉱物である神岡鉱や伊勢鉱を伴うことがある。古くは輝水鉛鉱と石墨は同じ名称で呼ばれていたが、輝水鉛鉱は酸に溶け、石墨は酸に溶けない性質から名称が分かれたとされる。もとは鉛を意味するギリシア語が学名の由来となっているそうだ。

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トチリン鉱 / Tochilinite
トチリン鉱 / Tochilinite
トチリン鉱 / Tochilinite
トチリン鉱 / Tochilinite
6(Fe0.9S)·5[(Mg,Fe)(OH)2]
岐阜県揖斐川町春日鉱山

トチリン鉱はFeS4からなる多面体層と、Mn(OH)6からなる多面体層がファンデルワールス力で交互に重なる構造となっている。バレリー鉱などと共にとりあえずのところ硫化鉱物に分類されている。トチリン鉱は蛇紋岩から主に見出される鉱物だが、日本ではスカルンからも見いだされている。春日鉱山では金属光沢を示す灰黒色の針状から葉片状結晶が放射状に集合し、磁鉄鉱を伴って石灰岩中に帯状に分布する。学名をVoronezh大学(ロシア)で鉱物学の教授を務めたMitrofan Stepanovich Tochilin(1910-1968)に因む

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単斜アタカマ石 / Clinoatacamite
単斜アタカマ石 / Clinoatacamite
愛媛県伊方町大久

単斜アタカマ石 / Clinoatacamite
愛媛県伊方町童子碆

単斜アタカマ石 / Clinoatacamite
Cu2Cl(OH)3

単斜アタカマ石はアタカマ石と同質異像となるハロゲン鉱物で、銅を含む鉱石と海水との反応で生じる。透明感のある濃緑色で三角形の面が特徴的な結晶となるが、アタカマ石やパラアタカマ石もしばしばそのような結晶形となる。見た目でそれらを区別することはできず、調べてみて初めてその存在を個別に認識できる。鉱滓中にも生じることがあり、童子碆の標本は海岸に打ち捨てられた鉱滓中に生じていた。学名はアタカマ石(斜方晶系)のようでありながらも単斜晶系の外形を持つことに由来する。

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インヨー石 / Inyoite
インヨー石 / Inyoite
インヨー石 / Inyoite
CaB3O3(OH)5·4H2O
岡山県高梁市備中町布賀鉱山四番坑

インヨー石はカルシウム(Ca)を主成分とした含水のホウ酸塩鉱物であり、布賀鉱山においては田邊晶洞付近の天盤に付着していた。環境が整えば室温でも生じることから、布賀鉱山では二次鉱物として生じたと考えられている。方解石の菱形結晶に似た姿で産出するが、無色透明であるため写真でその形状をうまく表現することが難しい。学名は発見地の鉱山が位置するInyo County(アメリカ)に因む。

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スローソン石 / Slawsonite
スローソン石 / Slawsonite
スローソン石(短波紫外線照射)
スローソン石 / Slawsonite
Sr(Al2Si2O8)
高知県高知市円行寺

スローソン石はアメリカを模式地とする鉱物であるが、標本として立派なものは日本から報告されている。高知県円行寺近隣ではロジン岩を含む蛇紋岩が分布しており、そのロジン岩中に脈状にスローソン石の結晶が分布する。脈中にはやや灰色を帯びた透明な柱状結晶の一面を伺うことができ、短波紫外線照射によって濃いピンク色に蛍光する。長石の仲間であり当初はパラセルシアンやダンブリ石と同じ構造と報告されたが、生成条件によって異なった対称性も現れる。学名はミシガン大学で鉱物学の教授を務めたChester Baker Slawson(1898-1964)に因む。名前がローソン石と似ているがそれとは無関係。

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ブラウン鉱 / Braunite
ブラウン鉱 / Braunite
愛媛県大洲市用ノ山鉱山

ブラウン鉱 / Braunite
長崎県長崎市戸根鉱山

ブラウン鉱 / Braunite
Mn2+Mn3+6O8(SiO4)

ブラウン鉱はマンガン(Mn)の主要な資源鉱物であり、多くのマンガン鉱山で見かける。典型的には微細な結晶粒が緻密に集合した黒色塊として産出するため、肉眼的な結晶を見かけることはまずない。一方で長崎県戸根鉱山ではなぜか結晶ばかりという例外的な産地となっている。正方晶系であるが単純な四角柱状という結晶は見かけることはほぼなく、結晶は多彩な面で構成される。結晶面、破断面ともに光沢が強い。学名はゴータ公国(現ドイツ)の領主であったWilhelm von Braun (1790-1872)に因む。記載のための標本を提供したと伝わる。

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単斜灰簾石 / Clinozoisite
単斜灰簾石 / Clinozoisite
単斜灰簾石 / Clinozoisite
愛媛県四国中央市関川

単斜灰簾石 / Clinozoisite
栃木県日光市上三依

単斜灰簾石 / Clinozoisite
Ca2Al3[Si2O7][SiO4]O(OH)

単斜灰簾石もまた広域変成岩において一般的な造岩鉱物として知られる。石英片岩や角閃片岩中に板状から柱状結晶で広く認められ、関川では単斜灰簾石からなる塊も得られた。スカルンや金属鉱床からも見いだされ、小さい結晶は透明な針状となる。そうした姿ではほかの鉱物(例えばバスタム石)ともの差異はあまりなく、肉眼鑑定のみで決めることは難しい。色は様々。また単斜灰簾石は様々な元素を固溶することが通常で、鉄を含むことが多い。灰簾石よりも後で見いだされた鉱物で、斜方晶系である灰簾石の単斜晶系型だと考えられたことが学名の由来となっている。しかし晶系だけでなく構造も異なっており、灰簾石と単斜灰簾石は同質異像の関係となっている。

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灰簾石 / Zoisite
灰簾石 / Zoisite
愛媛県四国中央市関川

灰簾石 / Zoisite
灰簾石 / Zoisite(切断面)
愛媛県新居浜市銅山川

灰簾石 / Zoisite
Ca2Al3[Si2O7][SiO4]O(OH)

灰簾石は広域変成岩において一般的な造岩鉱物の一つで、例えば三波川変成岩には普通に含まれている。ところが代表的な日本産の灰簾石の標本は何かと問われると、変種を除くと、これぞ灰簾石という標本を思い浮かべることができない。とりあえず自分がよく知る灰簾石は愛媛県関川で見られるものである。粗粒な緑簾石片岩を切る白色脈が灰簾石であり、うまく割れると無色透明な灰簾石の柱状結晶が緑簾石と並ぶコントラストのある良い標本になる。また銅山川では角閃石片岩の主要構成鉱物として産出し、結晶形は見えないがわずかに紫がかるものがある。変種としては桃簾石が知られている。それは独立の鉱物名ではなく桃色を帯びた灰簾石の通称である。一方でこういった色づいた灰簾石であっても分析してみるといつも純粋な組成に近い。同質異像である単斜灰簾石が幅広い固溶体を形成することと対照的である。もともとは模式地に由来するsaualpiteという名称であったが、オーストリアの学者であるSigmund Zois(1747-1819)に因んで再命名された。新鉱物であることに最初に気づいた人物とされる。和名については大正期では黝簾石(ゆうれんせき)となっている。灰簾石の初出はいつだろうかよくわからない。

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ベスブ石 / Vesuvianite
ベスブ石 / Vesuvianite
長野県川上村甲武信鉱山

ベスブ石 / Vesuvianite
宮崎県日之影町尾小八重

ベスブ石 / Vesuvianite
愛媛県睦月島熱ノ鼻

ベスブ石 / Vesuvianite
静岡県静岡市葵区口坂本

ベスブ石 / Vesuvianite
(Ca,Na)19(Al,Mg,Fe)13(SiO4)10(Si2O7)4(OH,F,O)10

ベスブ石は古くから知られた鉱物で主にスカルンに出現する。結晶形は四角柱状を基本とした姿であるが、それが面の発達の程度によってひずんだように見えることもあり、また太かったり細かったりと多様である。結晶端は平坦である場合が多いように感じるが、斜めにそぎ落としたような面が出て尖ることもある。色や透明感は産地ごとに固定されているような印象で、例えば甲武信鉱山では褐色系統の標本ばかりであるが、口坂本の標本は透輝石と誤解しそうな透明な緑色の結晶となっている。結晶形状だけをみるとジルコンとも紛らわしい。塊状で産出する場合はざくろ石と判断がつかないことも多い。今のところベスブ石族は確立されていないが、近縁鉱物は10種ほど知られている。一方で現時点において日本で確認されているのはここに挙げたベスブ石のみとなっている。ホルツタムざくろ石を記載した際に、秩父鉱山石灰沢においてはアルミノベスブ石もしくは苦土ベスブ石が産出することを見出しているが、構造解析ができるサイズではなかったため確実な同定には至っていない。名称については初め「hyacinthus dictus octodecahedricus」と呼ばれ、次いで「hyacinte du Vesuve」となった。結晶形が他の鉱物(例えばジルコン)と紛らわしいため、見せかける、混同するというギリシア語に基づいて「idocrase」と呼ばれたこともある。ヴェスヴィオ火山(monte Vesuvio)を模式地とし、1795年には「Vesuvian」と記されている。いつ頃に「ite」が追加されたのかはたどれなかった。

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ダイアスポア / Diaspore
ダイアスポア / Diaspore
ダイアスポア / Diaspore
AlO(OH)
大分県佐伯市木浦鉱山

ダイアスポアはベーム石の同質異像となる鉱物である。日本では木浦鉱山のエメリー鉱床に伴われる標本がよく知られているが、ラテライトやボーキサイトなどアルミニウムに富む土壌を起源とする変成岩であれば、堆積岩に近い低変成度の岩石にも出現する。無色、緑色系統、紫色を帯びた灰色など色は多様。木浦鉱山では針状から板状結晶が連なることが多く、へき開はガラス光沢から真珠光沢を示して強く輝く。石英と同じくらいの硬度を有する。強熱するとバラバラに崩壊するため、散らばるという意味のギリシア語が学名の由来となっている。

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ブロシャン銅鉱 / Brochantite
ブロシャン銅鉱 / Brochantite
ブロシャン銅鉱 / Brochantite
Cu4(SO4)(OH)6
秋田県鹿角市尾去沢鉱山

ブロシャン銅鉱は銅鉱床の酸化帯に普通に生じる二次鉱物であり、産地は多い。多くは緑色の皮膜状で産出し、そういった形態では孔雀石と紛らわしい。一方で結晶として産出するとなかなか見事であり、ブロシャン銅鉱の結晶は透明感のあるやや青色を帯びた緑色が独特だと感じる。結晶は放射状に開いた集合となることが多い。学名はフランスの地質学者・鉱物学者であるAndré-Jean-François-Marie Brochant de Villiers(1772-1840)に因む。

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アフウィル石 / Afwillite
アフウィル石 / Afwillite
アフウィル石 / Afwillite
Ca3[SiO3(OH)]2·2H2O
岡山県高梁市備中町布賀

アフウィル石は南アフリカのキンバリーで最初に見いだされた鉱物で、De Beersダイヤモンド会社の元役員であるAlpheus Fuller Williams(1874–1953)に因んで名付けられた。日本では三原鉱山や布賀から産出の報告があり、スパー石を切る脈として見られる。やや乳白色を帯びた透明な板状から柱状結晶が放射状に集合する。高温スカルンに産出するが、一連の変成作用の晩期に生成する鉱物であり、生成温度は100-200℃程度と見積もられている。

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孔雀石 / Malachite
孔雀石 / Malachite
孔雀石 / Malachite
Cu2CO3(OH)2
秋田県大仙市協和亀山盛鉱山

銅鉱床にはほとんど必ず伴われる二次鉱物であり、銅の二次鉱物としては最も多産する。銅鉱山の石捨て場などでは孔雀石の生成によって全体が緑に色づいて見えたりする。一般的には淡い緑の被膜状で産出し、それは標本としてはあまり魅力的ではないが、たまに濃い緑色の繊維状結晶が集合した孔雀石を見かける。秋田県荒川鉱山などでは微細な孔雀石が層状に沈殿して縞模様を成す標本が知られている。その一方で単結晶での産出はこれまで見たことがない。アオイ科植物の葉のような緑色を暗示するギリシア語が学名の由来となっている。和名については諸説あるものの、経緯などよくわからない。遅くとも江戸期には孔雀石という名称が使われていたようだ。

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方鉛鉱 / Galena
方鉛鉱 / Galena
宮城県栗原市鶯沢細倉鉱山

方鉛鉱 / Galena
北海道札幌市豊羽鉱山

方鉛鉱 / Galena
PbS

鉛(Pb)の重要な資源鉱物である方鉛鉱は古くから方々で積極的に採掘され、とりわけ江戸期においては灰吹法によって粗銅から金や銀を回収するために大量の鉛が必要とされた。方鉛鉱は鉱物標本としても人気がある。鉛灰色で四角形や三角形の面に囲まれたごろっとした結晶が特徴的で、完全なへき開があるために断面は非常に強く輝く。ただし時間がたつにつれ白っぽくなることが多い。閃亜鉛鉱と非常によく共存する。ギリシア語で鉛鉱石を意味する言葉がそのまま学名となっており、和名は結晶形と組成との造語。

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鉄斧石 / Axinite-(Fe)
鉄斧石 / Axinite-(Fe)
大分県豊後大野市尾平鉱山

鉄斧石 / Axinite-(Fe)
宮崎県日之影町尾小八重

鉄斧石 / Axinite-(Fe)
Ca4Fe2+2Al4[B2Si8O30](OH)2

斧石を冠する鉱物がいくつかある中で、鉄斧石は尾平鉱山において日本で初めて見いだされた斧石である。尾平鉱山の鉄斧石については数センチの結晶はざらに見かけ、ときに10センチを超えることもあり、そういった結晶が放射状にぶわっと展開する標本が有名であろう。尾平鉱床区として見たとき産地は宮崎県にもまたがり、日之影町からの鉄斧石もまたよく知られる。斧に例えられる名称を持つその結晶は平たくエッジが鋭い。透明感のある茶色であることが多いが、紫色を帯びた灰色もあり、主に化学組成によると思われる。学名も斧を意味するギリシア語に由来する。2007年以降は接尾語を用いてその主成分を表すようになった。

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ベルチェ鉱 / Berthierite
ベルチェ鉱 / Berthierite
ベルチェ鉱 / Berthierite
FeSb2S4
奈良県吉野町三津

ベルチェ鉱はアンチモン(Sb)の資源として採掘対象になる鉱物で、日本では石英を主体とする熱水脈鉱床において輝安鉱に伴われることが多い。ベルチェ鉱ばかりの鉱床もあるが、おおむね小規模。鉛灰色の金属光沢を示し、板状から棒状の結晶となる。その外観は輝安鉱によく似るため新鮮な標本では見分けは困難。しかし、輝安鉱が黄色に変質しやすいことに対して、ベルチェ鉱は黒色から褐色に変質することが多い。変質の程度が軽い場合は結晶が虹色をまとう。学名はフランスの化学者・鉱物学者であるPierre Berthier(1782-1861)に因む。別の鉱物であるベルチェリン(Berthierine)もまたBerthierに因んで命名されている。

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灰束沸石 / Stilbite-Ca
灰束沸石 / Stilbite-Ca
愛媛県久万高原町槙の川

灰束沸石 / Stilbite-Ca
愛媛県久万高原町高殿

灰束沸石 / Stilbite-Ca
愛媛県松山市浅海

灰束沸石 / Stilbite-Ca
三重県熊野市大泊町

灰束沸石 / Stilbite-Ca
NaCa4(Si27Al9)O72·28H2O

灰束沸石はカルシウム(Ca)を主要な交換可能な陽イオンとする束沸石のことで、その名が示すように束状で産出することが非常に多い。結晶が平行に連なった集合体は灰輝沸石と、単独の結晶はステラ沸石と紛らわしいことがある。個々の結晶は無色から白色の平板状で、結晶端は平坦や三角。個体によってはガラスもしくは真珠光沢を示す。そういった光沢や鏡を意味するギリシア語と主成分に基づいて学名が定められた。和名は産出形態に由来する。

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スコレス沸石 / Scolecite
スコレス沸石 / Scolecite
スコレス沸石 / Scolecite
CaAl2Si3O10·3H2O
愛媛県久万高原町高殿

沸石はフレームワークの種類とシリコン(Si):アルミニウム(Al)の比、それから「交換可能な陽イオン」に基づいて種が分けられる。学名はフレームワークについて根源名(ルートネーム)が与えられ、その陽イオンについては接尾語を用いて表記する。例えばカルシウム輝沸石だと学名はHeulandite-Caの表記になり、Caがカッコに囲まれずにむき出しなのは「交換可能」であることを意味している。そういった点でスコレス沸石の場合はやや例外な扱いになる。スコレス沸石、ソーダ沸石、中沸石については、実は同じフレームワークで陽イオンの種類が異なる関係にある。つまり上のルールに基づくとこれら三種は一つの根源名と接尾語の関係となってもいい。しかしそうなっていないのは、スコレス沸石、ソーダ沸石、中沸石のフレームワークの中にある陽イオンが交換不可能な関係にあるためである。簡単には固溶体が成立しないと考えればよい。そのためスコレス沸石はほかの二種と同じフレームワークでありながらも単独の根源名で区別され、カルシウム(Ca)を主成分とする。スコレス沸石は絹糸光沢を示す白色の針状もしくは板状結晶で産出し、多くの場合で放射状に集合する。学名は虫を意味するギリシア語に由来し、スコレス沸石の結晶を強熱するとミミズや芋虫のように変形することが知られている。

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珪灰石 / Wollastonite
珪灰石 / Wollastonite
愛媛県小大下島

珪灰石 / Wollastonite
埼玉県秩父市秩父鉱山石灰沢

珪灰石 / Wollastonite
CaSiO3

珪灰石はスカルンにおいて最も多産するケイ酸塩鉱物であろう。火成岩や広域変成岩にも生じ、産地は日本中いたる所にある。鉱物採集の旅/四国・瀬戸内編という書籍の中に珪灰石の産地として愛媛県小大下島が挙げられており、真白い絹糸のような美しい鉱物と紹介されていた。このように珪灰石は白色の繊維状結晶で産出し、束状から放射状に集合することが多い。ただしそのような繊細な結晶ばかりではなく、秩父鉱山石灰沢では親指より太い柱状の結晶がざくざく突き刺さっている露頭が見出されている。学名はイギリスの化学者・鉱物学者であるWilliam Hyde Wollaston(1766-1828)への献名となっている。

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黒曜石 / Obsidian
黒曜石 / Obsidian
黒曜石 / Obsidian
島根県隠岐の島町久見

黒曜石は天然に産出する流紋岩質組成で非晶質なガラスを指し、鉱物ではなく岩石である。黒色で光を美しく反射させる様から江戸期に黒曜石の名が与えられた。非常に良い名だと思う。縄文時代から良質な石器原料として各地で採掘されており、隠岐の島の黒曜石は広域に流通していたとされる。英名はエチオピアにおいてObsiusという人物がこの石を発見したことに由来すると伝わる。

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スパー石 / Spurrite
スパー石 / Spurrite
スパー石 / Spurrite
岡山県高梁市備中町布賀西露頭

スパー石 / Spurrite
岡山県高梁市備中町布賀北露頭

スパー石 / Spurrite
Ca5(SiO4)2(CO3)

スパー石はティレー石と同じく炭酸基を持つケイ酸塩鉱物で、これもまた高温スカルンに生じる。これまで結晶として産出した例を見たことがなく、いつも微粒子が集合した塊状で産出する。本来は無色から白色の鉱物であるため、上記の産状と相まって現場でその産出に気づくことは難しい。しかし布賀では紫色を呈する見事なスパー石が産出し、その標本は世界的にもたいへん有名となっている。また青色を呈するスパー石も見つかっている。発色の本質的な要因は特定されていないように感じる。スパー石はその標本を最初に発見した資源地質学者のJosiah Edward Spurr (1870-1950)に因んで命名された。

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ティレー石 / Tilleyite
ティレー石 / Tilleyite
ティレー石 / Tilleyite
Ca5Si2O7(CO3)2
岡山県高梁市備中町布賀北露頭

ティレー石は炭酸基を含む珍しいケイ酸塩鉱物で、高温スカルンで生成される。日本では広島県久代や岩手県赤金鉱山などが産地として知られるが、標本としては布賀産のティレー石が優れている。一般には無色から白色であるため鑑定が至難だが、布賀産のティレー石は全体的に白色ではありながらも黒色の斑模様が良く伴われるため分かりやすい。またへき開が完全な鉱物であり、手のひら大の標本がそのままへき開片ということも珍しくない。Cambridge大学(イギリス)の教授を務めた岩石学者のCecil Edgar Tilley (1894-1973)に因んで命名された。

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自然銅 / Copper
自然銅 / Copper
岩手県西和賀町土畑鉱山

自然銅 / Copper
栃木県日光市足尾銅山

自然銅 / Copper
奈良県吉野村三尾鉱山

自然銅 / Copper
愛媛県伊方町三崎

自然銅 / Copper
Cu

自然銅は、銅(Cu)の元素鉱物である。銅は人類が道具に加工した最初の金属の1つともいわれ、精錬の必要のない自然銅は利用しやすかったであろう。いわゆる銅鉱床において黄銅鉱などを主体とした鉱脈には自然銅は産出せず、鉱床の酸化帯において沈殿銅として二次的に生じる。三波川帯の結晶片岩では緑色片岩中の石英脈に伴われることがある。新鮮な状態ではCopper-redと称される独特な色を示し、沈殿銅では八面体の一部のような結晶面が見られることがあるが、全体としては不定形。結晶片岩中のものは破断した状態で得られるため、元の形状は不明。裂傷に生じる場合は箔として産出する。鑑定は難しくないが、以前に結晶片岩から黄金色を示す標本が得られた。調べてみたらそれもまた自然銅であった。一般には風化などで変質が進むと黒くなり、分解を伴うと孔雀石が生じる。学名はラテン語で銅を意味するcuprumに由来する英名となっている。

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灰菱沸石 / Chabazite-Ca
灰菱沸石 / Chabazite-Ca
埼玉県吉見町八反田

灰菱沸石 / Chabazite-Ca
島根県西ノ島町山神溜池

灰菱沸石 / Chabazite-Ca
佐賀県唐津市鎮西町

灰菱沸石 / Chabazite-Ca
愛媛県久万高原町高殿

灰菱沸石 / Chabazite-Ca
Ca2[Al4Si8O24]·13H2O

菱沸石もまた交換可能な陽イオンによって種が分けられており、カルシウム(Ca)を主成分とするものが灰菱沸石となる。おそらくは菱沸石の中でもっとも多く産出する。無色から白色で菱形や枡形の結晶として見られることが多い。多重の双晶によってそろばん玉様の形状となることもあり、そういったものはファコライトと呼ばれる。玄武岩や安山岩の晶洞や空隙にしばしば認められ、蛇紋岩を切る沸石脈の主要構成鉱物にもなる。鉱物の美しさを称賛したポエムであるPeri lithosに登場し、学名は楽曲を意味するギリシア語であるchabaziosに因むようだ。

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ヴァニア石 / Vuagnatite
ヴァニア石 / Vuagnatite
三重県鳥羽市白木

ヴァニア石 / Vuagnatite
高知県高知市円行寺

ヴァニア石 / Vuagnatite
CaAlSiO4(OH)

ヴァニア石はカルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)からなる含水のケイ酸塩鉱物で、その組成式は単純と言える。それだけ聞くと普遍的な鉱物に思えるが、思いのほか産地が少なく、結晶標本となるとほとんど見かけることがない。日本では三重県白木と高知県円行寺(近隣も含む)で産出が知られる。わずかに青から黄色味を帯びた透明な柱状結晶がロジン岩中を脈で走り、円行寺では晶洞に四角錘の結晶端をもつ柱状結晶が産出したことがある。ヴァニア石の三価マンガン(Mn3+)置換体はモーツァルト石。ジュネーブ大学(スイス)の教授を務めた地質学者であるMarc Bernard Vuagnat (1922-2015)の長年にわたるオフィオライト研究に敬意を表して命名された。

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カリフッ素魚眼石 / Fluorapophyllite-(K)
カリフッ素魚眼石 / Fluorapophyllite-(K)
青森県中泊町大石沢

カリフッ素魚眼石 / Fluorapophyllite-(K)
愛媛県久万高原町槙の川

カリフッ素魚眼石 / Fluorapophyllite-(K)
カリフッ素魚眼石 / Fluorapophyllite-(K)
愛媛県久万高原町高殿

カリフッ素魚眼石 / Fluorapophyllite-(K)
KCa4Si8O20F·8H2O

魚眼石という名称を有する鉱物は3種あるが、もっとも一般的な魚眼石がカリフッ素魚眼石である。産状は玄武岩から安山岩の晶洞や花崗岩ペグマタイトを始めいくらか知られているが、基本的には低温熱水で生じる鉱物であり、ほとんどの場合で沸石が付近に伴われる。無色透明であることが多いが、まれに青やピンク色を呈する。結晶は四角柱状に伸長し、結晶端は平面や錘状。放射状に集合してイガグリ形となることもある。色付きの結晶がイガグリになった様は非常に美しい。加熱によって葉片状に割れる様子を示唆するギリシア語から命名され、後に化学組成を示す接尾語も加わった。魚眼石の呼び名は各言語で多くあり、そのうち英語ではFish-eye stoneと称される。へき開片の輝きが魚の目に似ていることに由来し、和名もその直訳になっている。

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石黄 / Orpiment
石黄 / Orpiment
石黄 / Orpiment
As2S3
北海道札幌市南区定山渓

石黄(せきおう)は火山活動に伴われる熱水変質作用などで生成し、粘土を伴って生じることが多い。黄色から山吹色を呈するヒ素(As)の硫化鉱物である。針状から葉片状の結晶が放射状に集合した姿がしばしば見られ、定山渓では大きな単結晶の産出も見られた。学名はラテン語をベースにしており、金色の顔料を示唆した内容となっている。和名については中国での呼び名を輸入した際に混乱があったようで、雄黄(ゆうおう)もしくは雌黄(しおう)と呼んだ例がある。今では石黄と呼ばれている。

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ハウィー石 / Howieite
ハウィー石 / Howieite
ハウィー石 / Howieite
Na(Fe,Mn)10(Fe,Al)2Si12O31(OH)13
愛媛県大洲市藤の川

ハウィー石は高圧低温型の変成作用を受けた鉄マンガン鉱床に産出する。黒色~黒褐色で葉片状や繊維状の集合体となり、それが脈状に分布することが多い。ハウィー石のマンガン置換体である種山石とは固溶体を形成し、鉄を多く含む種山石とは外観で区別ができない。学名はKing’s College, Londonで教授を務めた岩石学者・鉱物学者であるRobert Andrew Howie (1923-2012)に因む。

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銅重石華 / Cuprotungstite
銅重石華 / Cuprotungstite
銅重石華 / Cuprotungstite
Cu2(WO4)(OH)2
山口県美祢市於福(大和)鉱山

銅重石華は銅(Cu)とタングステン(W)を主成分とする二次鉱物で、ピスタチオグリーンと称される緑色が特徴となっている。被膜や微細粒として主に産出し、その結晶は見たことがない。於福鉱山では灰重石の表面や内部に銅重石華が生じる環境があったようで、本来は白いはずの灰重石の結晶が緑色に染まった標本が知られている。学名は銅とタングステンからの造語となっている。

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ズニ石 / Zunyite
ズニ石 / Zunyite
ズニ石 / Zunyite
Al13Si5O20(OH,F)18Cl
長野県佐久穂町余地鉱山

ズニ石はろう石鉱床にしばしば出現する、多量のアルミニウム(Al)を主成分とするケイ酸塩鉱物である。結晶はほとんど常に四面体を基本とした形状で現れる。結晶面が強い光沢を示すためにズニ石が表に現れている標本はチカチカと輝く。結晶自体は無色透明ではあるが、その産状から褐色の被膜に覆われやすい。学名は発見地であるZuni鉱山(アメリカ)に由来する。

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自然ビスマス / Bismuth
自然ビスマス / Bismuth
兵庫県養父市大屋町明延鉱山

自然ビスマス / Bismuth
栃木県日光市足尾銅山

自然ビスマス / Bismuth
Bi

自然ビスマスは、ビスマス(Bi)の元素鉱物である。ほかの成分を含むことがあまりないが、輝蒼鉛鉱を周囲に伴うことが多い。おおむね不定形で産出するが、破断面には一方向に完全なへき開が現れるため、板状結晶の集合体のように見えることが多い。銀白色にうっすら紅を指したような色あいが特徴的。花崗岩や金属鉱床など産状は多様で、思いがけない場所で見かけたりする。元素としてのビスマスは公式には1753年の発見と言われており、名称は白い塊を意味するドイツ語に由来する。

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藍晶石 / Kyanite
藍晶石 / Kyanite
愛媛県新居浜市国領川

藍晶石 / Kyanite
愛媛県四国中央市関川

藍晶石 / Kyanite
Al2SiO5

藍晶石は同質異像である紅柱石珪線石に比較して高圧側で出現する鉱物で、愛媛県東赤石山を中心とした五良津岩体にはしばしば伴われる。和名はおそらく海外から産する結晶の外観を参考に名付けられたと思われ、鮮やかな藍色を示す柱から板状の標本がよく流通している。日本では国領川や関川から得られる結晶において一部が藍色に染まるものが存在するが、全体的には空色を呈する程度にとどまる。ただし愛媛県浦山川の上流域からは海外の藍晶石にも匹敵する巨大な美結晶が産出した記録がある。学名は青を意味するギリシャ語に由来する。

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紅柱石 / Andalusite
紅柱石 / Andalusite
岩手県住田町奥新切横沢

紅柱石 / Andalusite
福岡県糸島市二丈吉井(福吉)

紅柱石 / Andalusite
Al2SiO5

紅柱石は変成度の指標となる鉱物として、同質異像である珪線石藍晶石などとともに変成岩岩石学では重要視される。低圧低温の環境で出現する鉱物で、変成岩では主にホルンフェルスに生じる。また花崗岩ペグマタイトや熱水変質を受けた粘土鉱床、ろう石鉱床などにも伴われる。ホルンフェルスとしての産状では結晶の中心部に炭化物を含みそれが十字型に配列することがあり、こういった結晶を空晶石と呼ぶ。18世紀末にスペインのAndalusia地域に因んで命名されたが、スペインにそんな名称の地域は存在しないと指摘されている。命名までの過程に何らかの誤解・手違いがあったようだ。

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ペクトライト / Pectolite
ペクトライト / Pectolite
ペクトライト / Pectolite
NaCa2Si3O8(OH)
高知県高知市円行寺

ペクトライトはソーダ珪灰石とも呼ばれ、珪灰石と同様に準輝石構造をもつ鉱物である。亜ガラス光沢から絹糸光沢を示す白色から透明の板状もしくは柱状結晶となり、束状や放射状に集合する。外観だけでは珪灰石とほとんど区別がつかない。スカルンや閃長岩など産出する母岩も様々で、写真の標本はロジン岩化が進んだ蛇紋岩中にペクトライトばかりの脈として産出した。ペクトライトからなる集合体は結晶が絡み合っており、打撃を加えても割れにくい。その性質を示唆するギリシャ語が学名の由来となっている。

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ドーソン石 / Dawsonite
ドーソン石 / Dawsonite
大阪府泉南市新家昭和池

ドーソン石 / Dawsonite
ドーソン石 / Dawsonite
NaAlCO3(OH)2
高知県仁淀川町坂本

ドーソン石は絹糸光沢をもつ白色の結晶が放射状に集合して産出することが非常に多い。和泉層群中の石灰岩質ノジュールに産出するものが非常に有名だが、それに限られない。例えば中央構造線に沿って産地が点在しており泥質片岩の破砕帯でよくみられ、炭酸塩脈に伴われる。しばしばアルモヒドロカルサイトと共存する。しかし肉眼的に区別はつかない。カナダで最も歴史のあるMcGill大学の学長を務めた地質学者のSir John William Dawson (1820-1899)を称えて命名された鉱物である。Dawsonはドーソン石の発見者であるとされる。

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アタカマ石 / Atacamite
アタカマ石 / Atacamite
和歌山県串本町串本

アタカマ石 / Atacamite
山口県萩市志津木鉱山

アタカマ石 / Atacamite
Cu2Cl(OH)3

銅を含む鉱石や岩石が海岸近くにあると、化学的風化作用によってほとんど必ずアタカマ石を生じる。被膜や粒状の結晶として産出することが多く、結晶が大きくなると板状になるようだが日本の産地ではそれはあまり見かけない。緑色で結晶表面には強い光沢がある。色の濃淡は結晶のサイズのほか化学組成にも依存しており、銅が別の元素に置き換わると色が淡くなる傾向がある。パラアタカマ石をしばしば伴っているが、外観からは判別できないことが多い。ボタラック石とは同質異像の関係。アタカマ砂漠(チリ)を模式地とする鉱物であることから地名に基づいて命名された。

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ステラ沸石 / Stellerite
ステラ沸石 / Stellerite
ステラ沸石 / Stellerite
Ca4(Si28Al8)O72·28H2O
愛媛県伊予市双海町

ステラ沸石は真珠光沢を有する面が大きくでた板状結晶として産出し、その外観上の特徴は束沸石とほとんど共通する。それもそのはずで、両者は化学組成が異なるが結晶構造の基本的な枠組みが一致している。経験的には単結晶で産出すればステラ沸石、束状集合であれば束沸石であることが多いとされる。それが実際にどこまで通用するか検証したことはないが、写真のステラ沸石については論文で報告した個体であり、確かに単結晶であった。学名はドイツ生まれの探検家・動物学者であるGeorg Wilhelm Steller (1709-1746)に因んで名付けられた。

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藍鉄鉱 / Vivianite
藍鉄鉱 / Vivianite
藍鉄鉱 / Vivianite
Fe2+3(PO4)2·8H2O
三重県四日市市

藍鉄鉱は水分子を持つ鉄(Fe)のリン酸塩鉱物で、板状から爪状の結晶で藍色を特徴とする。しかしその色はもともと無色透明だったものが空気に触れたことで変質した状態。濃いものほど変質が進んでいる。変質がさらに進むと褐色になり、サンタバーバラ石へと変化する。藍鉄鉱は土壌や粘土中に球果状に集合してノジュールで産出することが多く、中心に生物の遺骸を持つこともある。学名はイギリスの政治家、鉱物学者であるJohn Henry Vivian (1785-1855)に因んで命名された。藍鉄鉱の発見者だとも伝えられる。

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アルモヒドロカルサイト / Alumohydrocalcite
アルモヒドロカルサイト / Alumohydrocalcite
アルモヒドロカルサイト / Alumohydrocalcite
アルモヒドロカルサイト / Alumohydrocalcite
CaAl2(CO3)2(OH)4·4H2O
徳島県東祖谷山村

四国の中央構造線に伴ってしばしば破砕帯が発達し、著しく変質している露頭が散見される。おおむね炭酸塩鉱物を伴い、微量に含まれるニッケル(Ni)によって緑色化した苦灰石を多く含む。アルモヒドロカルサイトはそういった岩石を切る脈として産出し、絹糸光沢を示す細い針状結晶が放射状に集合する。クロム(Cr)をわずかに含むものはピンク色を呈する。しばしばドーソン石も伴われるが肉眼では判断がつかない。アルミニウム(ALUMinium)、水(HYDRated)、カルシウム炭酸塩(CALCITE)の組成であることから、学名が名付けられた。

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斜開銅鉱 / Clinoclase
斜開銅鉱 / Clinoclase
斜開銅鉱 / Clinoclase
斜開銅鉱 / Clinoclase
Cu3(AsO4)(OH)3
広島県生口島

斜開銅鉱はヒ素と銅を含む鉱床の酸化帯に二次鉱物として生成する鉱物で、かつて生口島では大量に生じた斜開銅鉱によって露頭が藍色に彩られていたと聞く。藍色の板状結晶がしばしば放射状に集合し、岩石の裂傷や空洞に成長する。こうなったとき他の鉱物をあまり伴わない。へき開片の様子から傾いて壊れるという意味のギリシャ語が学名の由来となっている。和名はその特徴と銅を含むことによる。

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シデライト / Siderite
シデライト / Siderite
三重県亀山市加太北在家

シデライト / Siderite
愛媛県砥部町古宮鉱山

シデライト / Siderite
愛媛県西条市市ノ川鉱山

シデライト / Siderite
Fe(CO3)

シデライトの学名は鉄を意味するギリシア語に由来し、二価鉄(Fe2+)を主成分とした炭酸塩鉱物である。菱鉄鉱とも言うがここでは学名のカタカナ読みであるシデライトと表現する。堆積岩をはじめ、金属鉱床や火山岩などに伴われるなど多様な産状がある。菱形の結晶よりも爪状結晶で見かけることが多い。色は茶色を帯びがちであるが、無色に近いこともある。茶色を帯びたマグネサイトとは見ただけでは区別がつかない。産状を含めて判断する必要がある。

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灰レビ沸石 / Lévyne-Ca
灰レビ沸石 / Lévyne-Ca
灰レビ沸石 / Lévyne-Ca
灰レビ沸石 / Lévyne-Ca
(Ca,Na2,K2)[Al2Si4O12]·6H2O
島根県西ノ島町国賀

レビ沸石には交換可能な陽イオンとしてカルシウム(Ca)とナトリウム(Na)を主成分とする種が知られており、カルシウムが主成分となる種には灰レビ沸石の名称が与えられた。含まれているケイ酸が少ない沸石であり、玄武岩などの苦鉄質岩の晶洞に無色から白色の六角板状結晶として生じる。同じくケイ酸が少ない沸石である菱沸石やコウルス沸石を伴うことがあるが、レビ沸石ばかりの晶洞となることもまた多い。学名はフランスの鉱物学者であるServe-Dieu Abailard Lévy(1795-1841)に因む。

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ヘルツェンベルグ鉱 / Herzenbergite
ヘルツェンベルグ鉱 / Herzenbergite
ヘルツェンベルグ鉱 / Herzenbergite
SnS
大分県豊後大野市豊栄鉱山

ヘルツェンベルグ鉱は錫(Sn)と硫黄(S)からなるシンプルな化学組成の鉱物である。産地は世界的に少ないわけではない。ただしそれは鉱石中にわずかに含まれる微細粒という産出であって、結晶標本となると今でもなかなか目にする機会が少ない。その一方、かつて豊栄鉱山からヘルツェンベルグ鉱の結晶が産出し、それは世界的に貴重な標本として図鑑などで紹介された。鋼鉛灰色で箔状の結晶が密な集合をつくる。ボリビアで最初に見いだされた鉱物で、化学者であるRoberto Herzenberg (1885-1955)に因んで命名された。

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毛鉱 / Jamesonite
毛鉱 / Jamesonite
愛媛県砥部町古宮鉱山

毛鉱 / Jamesonite
毛鉱 / Jamesonite
大分県豊後大野市豊栄鉱山

毛鉱 / Jamesonite
Pb4FeSb6S14

毛鉱はその名が示すように毛のように見える黒~灰色の金属鉱物で、細い結晶は曲線的に伸びて放射状や束状に集合する。ある程度の太さになると、板状から柱状で直線的にすっとした形状となる。そういった結晶は輝安鉱とよく似るが、輝安鉱のように折れ曲がって成長する姿はあまり見かけない。また全体的にブーランジェ鉱(Boulangerite)とよく似ており、見た目で両者を区別することは非常に難しい。一方、ブーランジェ鉱が割と珍しい鉱物であることに対して、毛鉱はマンガン鉱床やスカルン型の金属鉱床でしばしば伴われる。学名はエジンバラ大学(イギリス)の教授であったRobert Jameson (1774-1854)に因む。

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デソーテルス石 / Desautelsite
デソーテルス石 / Desautelsite
デソーテルス石 / Desautelsite
Mg6Mn3+2(CO3)(OH)16·4H2O
高知県高知市円行寺

デソーテルス石はマグネシウムと三価マンガンを主成分とする炭酸塩鉱物で、世界的には産地が少ない珍しい鉱物であるが、日本では三カ所の産地が知られている。いずこも蛇紋岩地帯であり、円行寺では変質した蛇紋岩の裂傷に明るいオレンジ色をした箔状の結晶がふわっと重なったような姿で産出する。鳥羽市白木では六角板状結晶が産出したと聞いている。スミソニアン博物館のキュレーターであるPaul Ernest Desautels (1920-1991)への献名として命名された。

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ストロンチウム輝沸石 / Heulandite-Sr
ストロンチウム輝沸石 / Heulandite-Sr
ストロンチウム輝沸石 / Heulandite-Sr
NaSr4(Si27Al9)O72·24H2O
高知県土佐市

ストロンチウム輝沸石は、ストロンチウム(Sr)を交換可能な陽イオンとして主成分に持つ輝沸石である。灰輝沸石から見てカルシウム(Ca)をストロンチウムに置換した鉱物に該当する。ストロンチウム輝沸石それ自体は無色透明だが、この産地では赤鉄鉱を大量に包有するため赤色を示す。泥岩を切る脈として産出し、道路工事が行われた際の捨て石として積みあがっていた。輝沸石の学名はドイツ人鉱物コレクターのJohn Henry Heuland(1778-1856)に因む。

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ノントロン石 / Nontronite
ノントロン石 / Nontronite
ノントロン石 / Nontronite
Na0.3Fe3+2(Si,Al)4O10(OH) 2·nH2O
静岡県河津町やんだ

ノントロン石は一般的には岩石が粘土化する際に生じる鉱物で、土壌中に普通に含まれる。そのためモノの大小を問わなければ産地はほぼ無限といえる。肉眼的な結晶としては、沸石を伴う玄武岩や安山岩の晶洞の壁面に生じることがある。黄色から暗緑色を呈し、針状から葉片状の結晶が放射状に集合する産状となりやすい。サポナイト(Saponite)との肉眼的な区別は至難と感じる。学名は模式地であるNontron(フランス)に由来する。

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ネールベンソン石 / Noelbensonite
ネールベンソン石 / Noelbensonite
ネールベンソン石 / Noelbensonite
BaMn3+2Si2O7(OH)2·H2O
大分県佐伯市下払鉱山

ネールベンソン石はオーストラリアで最初に発見された鉱物で、Otago大学(ニュージーランド)の 地質学者であるWilliam Noel Benson (1885- 1957)に因んで命名された。バリウム(Ba)と三価マンガン(Mn3+)を主成分とする産出が稀なローソン石族鉱物。ローソン石からみてバリウム(Ba)と三価マンガン(Mn3+)の置換体に相当する。下払鉱山では石英を主体としたマンガン鉱石中にまばらに含まれるほか、茶色の板状結晶が脈に沿って寝た状態で濃集して産出することがある。

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仮晶 / Pseudomorph
オリビンの仮晶
愛媛県砥部町万年
オリビンの仮晶で現在は苦灰石

ライン鉱 / Reinite
山梨県乙女鉱山
灰重石の仮晶で現在は鉄重石

ある鉱物が成長したのちにその結晶形が保たれたままで別の鉱物に置き換わる、という現象が天然ではよく発生する。そのようにして本来はありえない外形となった結晶のことを仮晶(Pseudomorph)と呼ぶ。中心部に元の鉱物が残っている仮晶もある。X線回折という手段がなかった時代は鉱物の外形に基づいて種を分類していたため、仮晶はしばしば混乱を招いた。日本でもっとも有名な仮晶はおそらくはライン鉱(Reinite)であろう。明治初期に新種の鉱物として発表されたが、灰重石として成長した結晶がその外形を残して鉄重石に変わった仮晶であった。

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ハウエル鉱 / Hauerite
ハウエル鉱 / Hauerite
ハウエル鉱 / Hauerite
MnS2
青森県むつ市恐山

ハウエル鉱はマンガン(Mn)の二硫化物で、黄鉄鉱のマンガン置換体に相当する。暗褐色の八面体結晶として産出し、世界的にも産出が稀な鉱物である。日本では恐山がおそらく唯一の産地であり、噴気活動によって生じる。かつて道路工事の際に多産したと聞く。学名は Joseph Ritter von Hauer (1778-1863)とFranz von Hauer (1822-1899)の親子に因む。オーストリア出身で、古生物学や地質学の発展に貢献した。

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ゴールドフィールド鉱 / Goldfieldite
ゴールドフィールド鉱 / Goldfieldite
静岡県下田市河津鉱山

ゴールドフィールド鉱 / Goldfieldite
鹿児島県薩摩川内市入来鉱山

ゴールドフィールド鉱 / Goldfieldite
(Cu42)Cu6Te4S13

ゴールドフィールド鉱は四面銅鉱族を構成する鉱物の一つで、四面銅鉱族の中で四価のテルル(Te4+)を主成分とする唯一の鉱物となっている。ごく最近に四面銅鉱族の命名規約が成立した際に多くの種が学名の変更を伴ったが、ゴールドフィールド鉱はそのままであった。主に金を伴う熱水鉱床に産出し、珪石中に帯状に分布する。結晶として産出することがほとんどないため、鉛灰色の破断面を目安に判別するのだが、遠目には黒色に見える。学名は模式地であるMohawk鉱山(アメリカ)が位置していた新興都市(Goldfield)の名称に由来する。その名が示すようにGoldfieldは金を多産した。

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ザレシ石 / Zálesíite
ザレシ石 / Zálesíite
ザレシ石 / Zálesíite
CaCu6(AsO4)2(AsO3OH)(OH)6·3H2O
岡山県高梁市備中町布賀鉱山

ザレシ石はミクス石族の一員で、カルシウム(Ca)と銅(Cu)を主成分とするヒ酸塩鉱物である。一般的には銅鉱床の酸化帯に出現するが、布賀鉱山では石灰岩の晶洞に現れた。水色から淡緑色の六角柱状結晶が放射状に集合した姿で産出することが多く、柱面は絹糸光沢を呈する。組成変化に富み、通常は希土類元素も少量含まれる。ところが布賀鉱山のザレシ石はビスマス(Bi)を多く含む一方で希土類元素を全く含まないことが報告されている。学名は模式地のZálesíウラン鉱床(チェコ)に因む。

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ビューダン石 / Beudantite
ビューダン石 / Beudantite
ビューダン石 / Beudantite
PbFe3+3(AsO4)(SO4)(OH)6
福島県南会津町舘岩鉱山

ビューダン石は明礬石超族の一員で、さらに細かく分けられたビューダン石族というまとまりの中での筆頭鉱物である。鉛を伴う鉱床の酸化帯にしばしば生じ、うぐいす色の被膜や微小粒として主に石英の晶洞に出現する。同じ明礬石超族である尾去沢石やビーバー石も共通の産状と外観を示すため、それらとは肉眼的に区別がつかない。命名は19世紀で、フランス人鉱物学者であるFrançois Sulpice Beudant (1787-1850)に因む。

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ルソン銅鉱 / Luzonite
ルソン銅鉱 / Luzonite
ルソン銅鉱 / Luzonite
Cu3AsS4
鹿児島県南九州市赤石鉱山

ルソン銅鉱は硫砒銅鉱の同質異像であり、共通の化学組成ながら結晶構造が異なっている。ルソン銅鉱は硫黄分の多い中~高温熱水鉱床中に産出し、南薩型金鉱床でよくみられる。赤石鉱山では細かい繊維状の結晶が水晶の晶洞内を充てんする産状を示す。フィリピンのルソン島で最初に見いだされた鉱物であり、学名は発見地に由来する。

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洋紅石 / Carminite
洋紅石 / Carminite
洋紅石 / Carminite
洋紅石 / Carminite
PbFe3+2(AsO4)2(OH)2
山梨県甲州市黄金沢鉱山

黄金沢鉱山は戦国期の武田氏の時代に金を採掘したことに由来する名称の鉱山であるが、現代においてはもっぱら二次鉱物の産地として知られる。特に独特な濃赤褐色を示す洋紅石の産出が著名であり、水晶や黄鉄鉱の晶洞中に球状の群晶が認められる。個々の結晶は平たがねのような形状をしている。洋紅石の色はカーマインレッド(carmine-red)と称され、それがそのまま学名の由来となっている。カーマインレッドとはカイガラムシ色素から得られる濃赤色のことであり、日本ではそれを洋紅色と和訳するため、鉱物の和名もそれにならって洋紅石とされた。

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ティール鉱 / Teallite
ティール鉱 / Tealliteティール鉱 / Teallite
PbSnS2
北海道札幌市豊羽鉱山

ティール鉱は鉛(Pb)、錫(Sn)、硫黄(S)からなる鉱物で、ペラペラの箔として産出する。日本においては豊羽鉱山がおそらく唯一の産地だろう。よく見られる標本は岩石から分離された標本であり、私はティール鉱の産状を最近まで知らなかった。写真の標本は黄鉄鉱が主体の標本で、晶洞中に箔状のティール鉱が生じていた。別の晶洞にはウルツ鉱が伴われる。学名はSir Jethro Justinian Harris Teall(1849-1924)に因んでおり、Teall氏はイギリスおよびアイルランド地質調査所の局長を務めた。

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石炭 / Coal
石炭 / Coal
石炭 / Coal
三重県熊野市紀和町

石炭は主に炭化した植物を起源とする堆積物であり、しばしば大規模に濃集するため、それはもはや岩石ともいえる。石炭は、古代の植物が未分解のまま地中に埋没して地熱や地圧の影響を受けて石化した物質の総称でもある。燃料物質として有用な資源となり黒色で硬質なものほど良質とされる。一方で石化の程度が弱いものは褐色を帯びているために褐炭(もしくは亜炭)と呼び、また水分量が多いため燃料には向かない。石炭や褐炭は堆積岩が主体の地域では割とよく顔を出す。写真の標本はランタンピータース石の現地調査の際に河原で拾った。

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灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite
CaWO4
福岡県香春町三ノ岳横鶴坑

灰重石はカルシウムのタングステン酸塩鉱物であり、塊状の灰重石はタングステン(W)の重要な資源鉱石となる。白い見た目に裏腹なずっしりっとした重さと、短波紫外線による強烈な青色蛍光が面白いが、蛍光を示さない灰重石もある。典型的には八面体の結晶となり、その構造はフェルグソン石と同形と考えられている。学名はスウェーデンの化学者であるCarl Wilhelm Scheele(1742-1786)に因んでいるが、和名は化学組成に基づいている。

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リビングストン鉱 / Livingstonite
リビングストン鉱 / Livingstonite
リビングストン鉱 / Livingstonite
HgSb4S6(S)2
岩手県八幡平市松尾鉱山

リビングストン鉱は水銀(Hg)とアンチモン(Sb)を主成分とする硫化鉱物であり、おそらくアンチモンの価数が一定ではないために構造内にさらに過剰の硫黄(S)が含まれる。日本では松尾鉱山が唯一の産地である。そこではほとんど黒色に近く見える濃紫色の板状結晶が、辰砂を伴って黄鉄鉱中に産出する。学名は探検家のDavid Livingston(1813-1873)に因んでいる。

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ウルツ鉱 / Wurtzite
ウルツ鉱 / Wurtzite
北海道択捉島茂世路岳

ウルツ鉱 / Wurtzite
北海道札幌市豊羽鉱山

ウルツ鉱 / WurtziteZnS

ウルツ鉱は閃亜鉛鉱と同質異像の関係であり、同じ化学組成ながらも構造が異なる。閃亜鉛鉱が立方晶系の構造であるのに対し、ウルツ鉱の構造は六方晶系である。ウルツ鉱は閃亜鉛鉱よりも高温で生じ、択捉島世路岳では火山ガスの噴気孔に黄色の六角板状結晶として成長する。また豊羽鉱山では茶褐色で六角板状結晶が花弁状に集合した姿で産出する。学名はフランスの化学者であるCharles Adolphe Wurtz(1817-1884)に因む。

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閃亜鉛鉱 / Sphalerite
閃亜鉛鉱 / Sphalerite
閃亜鉛鉱 / Sphalerite
大分県豊後大野市豊栄鉱山

閃亜鉛鉱 / Sphalerite
岐阜県飛騨市神岡鉱山

閃亜鉛鉱 / Sphalerite
閃亜鉛鉱 / Sphalerite (短波紫外線照射)
福井県あわら市剣岳鉱山

閃亜鉛鉱 / Sphalerite
ZnS

閃亜鉛鉱は様々な産状と個体があり一言で表すことが難しい。色で言うと、ここでは黒~べっこう~ベージュ色の標本を挙げた。豊栄鉱山の閃亜鉛鉱は光沢の強い黒色の個体で、結晶面に成長の過程が残っている面白い標本である。神岡鉱山の閃亜鉛鉱はいわゆるべっこう亜鉛と呼ばれる標本で、べっこうのような色合いが特長となっている。また剣岳鉱山でみられるベージュ色の閃亜鉛鉱は緑色に蛍光する。閃亜鉛鉱の学名は「信用を裏切る」という意味のギリシャ語に因んでいる。閃亜鉛鉱はしばしば鉛の資源である方鉛鉱と紛らわしい姿で産出するが、閃亜鉛鉱からは鉛を得られないことが由来とされる。

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ぶどう石 / Prehnite
ぶどう石 / Prehnite
ぶどう石 / Prehnite
Ca2Al(Si3Al)O10(OH)2
島根県松江市美保関町北浦

ぶどう石の学名はオランダの軍人であるHendrik von/van Prehn大佐(1733-1785)に因んでおり、1788年に命名された。初めて人の名前が付けられた鉱物とされる。また変成度の指標にされるほど普遍的な鉱物でもあり、低温低圧の変成(変質)作用で生じる。産地も様々知られているが、北浦からの結晶標本は図鑑に紹介されるほど有名となっている。淡い青色を帯びた透明な板状結晶が放射状に集合する姿をぶどうに見立て、ぶどう石という和名がついている。

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陣笠状ジルコン / Zircon
陣笠状ジルコン
陣笠状ジルコン / Zircon
ZrSiO4
愛媛県芸予諸島

ジルコンは正方晶系の鉱物であり柱状に成長することが多い。一方でそれとは異なる形態、特に正方晶系とは思えない様で産出するジルコンが古くから知られており、総じて変種ジルコンと称される。写真は変種ジルコンのひとつで、いわゆる陣笠状ジルコンと呼ばれる。イットリウム(Y)とリン(P)に富む組成であることが多く、断面は短波紫外線の照射で緑色に蛍光する。芸予諸島の一つである大島の大頭山から得られた陣笠状ジルコンは新種と考えられ、かつては「大山石」と呼ばれた。

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ブルース石 / Brucite
ブルース石 / Brucite
ブルース石 / Brucite
Mg(OH)2
愛媛県八幡浜市頃時鼻

ブルース石はマグネシウム(Mg)の水酸化物であり、変質した蛇紋岩にはしばしば伴われる。通常は粉状なので気づかないことが多いが、頃時鼻のブルース石は蛇紋岩を切る脈として大規模に生じており結晶も認められる。頃時鼻ではしばしば水苦土石(Hydromagnesite)を伴う(写真右上束状結晶)。学名はアメリカの鉱物学者であるArchibald Bruce (1777-1818)に因んでいる。和名は水滑石と呼ばれることもあるが、滑石(Talc)と異なる鉱物であるため、カタカナ読みでブルース石とする方が良いだろう。

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板チタン石 / Brookite
板チタン石 / Brookite
板チタン石 / Brookite
TiO2
京都府京都市如意ヶ岳

板チタン石はTiO2を主成分とする鉱物で、同質異像である鋭錐石と共に水晶を伴う晶洞に産出することが多い。如意ヶ岳を流れる小さな沢でパンニングすると、花崗岩に含まれていた様々な鉱物を得ることができる。その中には板チタン石の結晶片も多く入ってくる。学名はイギリスの結晶学者・鉱物学者であるHenry James Brooke (1771-1857)に因む。和名は形状と化学組成の造語となっている。

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フランケ鉱 / Franckeite
フランケ鉱 / Franckeite
フランケ鉱 / Franckeite
フランケ鉱 / Franckeite
Pb21.7Sn9.3Fe4.0Sb8.1S56.9
大分県豊後大野市豊栄鉱山

フランケ鉱はボリビアで見いだされた鉱物で、模式標本は採掘エンジニアをしていた二人の兄弟から提供された。学名は二人のファミリーネームに因む:Johann Heinrich Karl (Carl) Francke (1832–1907) と Ernst Otto Francke (1838-1913)。日本では大分県豊栄鉱山からの標本が古くから知られ、ピンク色のクトナホラ石に埋没する灰黒色の板状結晶として見られる。晶洞には西洋剣の様な形状をしめすフランケ鉱の自形結晶が認められ、しばしば針状の毛鉱が伴われる。フランケ鉱は二種類の鉱物の混合と考えられたこともあったが、現在は独立種であることが確定している。

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自然オスミウム / Osmium
自然オスミウム / Osmium
自然オスミウム / Osmium
Os
北海道小平町小平蘂川

自然オスミウムはオスミウム(Os)の鉱物で、砂白金として見いだされる。銀白色であるが、同じく砂白金として得られる自然イリジウムやルテニイリドスミンに比較して、やや青みを帯びる。結晶として産出する場合は、扁平な六角板状結晶であることが多い。そのため結晶であれば自然オスミウムの肉眼鑑定は難しくない。自然オスミウムは北海道の砂白金には普遍的に含まれている。

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ルテニイリドスミン / Rutheniridosmine
ルテニイリドスミン / Rutheniridosmine
ルテニイリドスミン / Rutheniridosmine
(Ir,Os,Ru)
北海道羽幌町上羽幌愛奴沢川

ルテニイリドスミンは北海道を原産地とする鉱物で砂白金として見いだされた。イリジウム(Ir)-オスミウム(Os)-ルテニウム(Ru)からなる金属鉱物であり、組成的にはイリジウムが最も卓越するため、それだけに注目すると自然イリジウムの範疇にはいるが、自然イリジウムとは結晶構造が異なる。六方晶系の鉱物で、3もしくは6回対称をうかがえる晶癖が発達することがある。かつてイリドスミンと呼ばれた砂白金の一部は現在のルテニイリドスミンに該当する。なお元素鉱物は元素そのものと区別するため「自然」という接頭語を置き鉱物と元素を区別するが、ルテニイリドスミンは単体元素鉱物ではないため、「自然」の接頭語は不要である。

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自然イリジウム / Iridium
自然イリジウム / Iridium
自然イリジウム / Iridium
Ir
北海道羽幌町上羽幌愛奴沢川

自然イリジウムは白金族元素の一つであるイリジウム(Ir)の鉱物で、結晶構造は立方晶系に属する。非常に硬い金属であるため針つついてもまったく傷をつけることができない。純度が高い場合には磁石にくっつくことはないが、金属鉄とは完全な合金を形成しうるので鉄が多く含まれる自然イリジウムは磁石に反応する。ただしそういった自然イリジウムの産出はかなり稀。銀白色の金属光沢を示し、通常は不定形な塊状の砂白金として得られるが、ごく稀に等方的な対称性を示すを結晶が認められる。

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イソフェロプラチナ鉱 / Isoferroplatinum
イソフェロプラチナ鉱 / Isoferroplatinum
イソフェロプラチナ鉱 / Isoferroplatinum
Pt3Fe
北海道羽幌町上羽幌愛奴沢川

イソフェロプラチナ鉱はプラチナ(Pt)と鉄(Fe)を主成分とする鉱物で、世界各地の砂白金鉱床から見いだされている。茶色がかった銀色の外観を示し、わずかに磁性があるため磁石にそれなりに反応する。自然白金とは外観上は全く区別がつかない。日本においては熊本県から多産することを見いだしたが、北海道では稀産といえる。学名は結晶構造が等方的であることおよび主成分に因んでいる。

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フェロニッケルプラチナ鉱 / Ferronickelplatinum
フェロニッケルプラチナ鉱 / Ferronickelplatinum
フェロニッケルプラチナ鉱 / Ferronickelplatinum
Pt2FeNi
北海道羽幌町上羽幌愛奴沢川

フェロニッケルプラチナ鉱はロシアの砂白金から見いだされた鉱物で、日本でも同じく砂白金から見いだされた。砂白金の表面を不完全に覆う産状で、茶色がかった銀色の鉱物である。強磁性でもあるため、フェロニッケルプラチナ鉱をまとう砂白金は磁石にバチッとくっつく。類似した色合いのイソフェロプラチナ鉱とは磁性の強さで区別がつく。イソフェロプラチナ鉱はフェロニッケルプラチナ鉱ほどは磁石に反応しない。学名は化学組成に因んで命名されている。

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ベゼリ石 / Veszelyite
ベゼリ石 / Veszelyite
秋田県仙北市角館町日三市鉱山
いわゆる「荒川石」

ベゼリ石 / Veszelyite
滋賀県湖南市石部緑台

ベゼリ石 / Veszelyite
(Cu,Zn)2Zn(PO4)(OH)3·2H2O

ベゼリ石は銅(Cu)と亜鉛(Zn)を主成分とするリン酸塩鉱物で、人目を引く鮮やかな色合いから人気がある。銅鉱床の風化帯に二次鉱物として産出し、秋田県荒川鉱山の支山である日三市鉱山から産出したベゼリ石は、かつては新鉱物と考えられて荒川石の名称で呼ばれた。同様に岐阜県神岡鉱山からのベゼリ石も新鉱物と誤認され、こちらは神岡石と呼ばれた。後年に滋賀県石部緑台からもベゼリ石が見いだされている。学名はハンガリーの鉱山技師の A. Veszeli (1820-1888)に因む。

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ホランド鉱 / Hollandite
ホランド鉱 / Hollandite
ホランド鉱 / Hollandite
Ba(Mn4+6Mn3+2)O16
愛媛県砥部町古宮鉱山

日本においてホランド鉱は酸化的かつ珪質なマンガン鉱床でよく見られる鉱物で、ブラウン鉱を伴う石英脈中に金属光沢をしめす灰黒色の針状結晶として産出する姿が典型的となっている。その独特な結晶構造はホランド鉱型構造と称される。面白いことに、一見して無関係なカリ長石を高圧と高温状態におくとホランド鉱型構造となる。学名はSir Thomas Henry Holland (1868-1947)に因む。

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灰ダキアルディ沸石 / Dachiardite-Ca
灰ダキアルディ沸石 / Dachiardite-Ca
灰ダキアルディ沸石 / Dachiardite-Ca
Ca2(Si20Al4)O48·13H2O
静岡県河津町浜

灰ダキアルディ沸石はこの産地における名産の一つと言え、凹凸のある球状集合体で産出する。集合体表面の質感は曇りガラス様であるが、破断面からは個々の結晶が透明感のある板状であることがうかがえる。学名はイタリア人鉱物学者のAntonio D’Achiardi (1839–1902)に因む。

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苦灰石 / Dolomite
苦灰石 / Dolomite
三重県亀山市加太北在家

苦灰石 / Dolomite
埼玉県神川町

苦灰石 / Dolomite
徳島県東祖谷山村

苦灰石 / Dolomite
CaMg(CO3)2

苦灰石はカルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)を主成分とする炭酸塩鉱物で、セメント原料から食品添加物まで様々の用途がある有用な資源鉱物である。鉱物標本として見たとき、その結晶の多様性が面白い。典型的には菱形の形態となるが、爪状と呼ばれる形態で見かけることも多い。色は白もしくは透明が本質的であるが、ニッケル(Ni)がわずかに含まれると緑色を示すことがある。学名はフランス人鉱物学者・地質学者のDéodat (Dieudonné) Guy Silvain Tancrède Gratet de Dolomieu (1750-1801)に因んでいる。和名は化学組成に基づいて苦灰石とされてきたが、最近ではそのままドロマイトと呼ぶことが多い。

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脆銀鉱 / Stephanite
脆銀鉱 / Stephanite
脆銀鉱 / Stephanite
Ag5SbS4
秋田県湯沢市院内鉱山

脆銀鉱は銀(Ag)とアンチモン(Sb)を主成分とする硫塩鉱物で、低温の熱水鉱脈鉱床中に産出する。秋田県院内鉱山では石英脈の晶洞に結晶が見られた。写真はその分離結晶であり、双晶による擬六角板状となっている様子がうかがえる。和名は脆いという特徴と銀を含むことから名付けられているが、学名はオーストリアの鉱山局長およびエンジニアであるArchduke Stephan Franz Victor von Habsburg-Lothringen (1817-1867)に因んで命名された。彼は生涯にわたる鉱物コレクターであったとされる。

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デーナ石/ Danalite
デーナ石/ Danalite
デーナ石/ Danalite
Be3Fe2+4(SiO4)3S
山口県岩国市喜和田鉱山

デーナ石はYale大学(アメリカ)のJames Dwight Dana (1813-1895)へ献名された鉱物で、赤褐色の四面体結晶を特徴とする。二価鉄(Fe2+)とベリリウム(Be)を主要な陽イオンとしたケイ酸塩鉱物で、陰イオンには酸素(O)の他に硫黄(S)が入るという珍しい化学組成となっている。日本での最初の産出は広島県三原鉱山であるが、標本としては喜和田鉱山産の結晶が近年はよく見られる。

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パイロクスマンガン石 / Pyroxmangite
パイロクスマンガン石 / Pyroxmangite
パイロクスマンガン石 / Pyroxmangite
Mn2+SiO3
愛知県設楽町田口鉱山

パイロクスマンガン石が記載されたのは1913年のことで、マンガンを含む輝石族の新種だと考えられた。そのため学名は輝石(Pyroxene)とマンガン(Manganese)を組み合わせた造語となっている。しかしながら後年にパイロクスマンガン石は輝石族ではなく準輝石族であることが明らかにされた。パイロクスマンガン石は層状マンガン鉱床においてかなり普遍的に存在しており、桃色をおびた緻密な塊や脈で産出するため、多くの場合で類似の外観を示すバラ輝石と混同されていると感じている。田口鉱山では美しいピンクレッドの結晶として産出する。

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黒辰砂 / Metacinnabar
黒辰砂 / Metacinnabar
黒辰砂 / Metacinnabar
HgS
三重県多気町丹生鉱山

黒辰砂は辰砂(Cinnabar)と同じ化学組成をもつが、辰砂より高温で結晶化した鉱物である。合成実験では345-481℃の温度で生じる。さらに高温だとハイパー辰砂(Hypercinnabar)というまた別の鉱物となる。辰砂が典型的な朱色を示すことに対し、黒辰砂はその和名の通りに黒色であることを特徴とする。黒辰砂は辰砂と共存することがほとんどで、学名は伴うことを意味するギリシャ語(Meta)と辰砂(Cinnabar)との造語からなっている。

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角銀鉱 / Chlorargyrite
角銀鉱 / Chlorargyrite
角銀鉱 / Chlorargyrite
AgCl
北海道枝幸町歌登鉱山

角銀鉱は銀の塩化鉱物であり、熱水型金銀鉱床の酸化帯に二次鉱物として生じる。海外ではホーン・シルバーと称される尖った標本が知られており、そのために角と銀を意味するギリシア語からCerargyriteという名称で呼ばれたことがあり、和名もホーン・シルバーの和訳となっている。一方で現在の学名は化学組成に基づいている。歌登鉱山においては角銀鉱は主に紫褐色のサイコロ状結晶で生じる。角銀鉱は軟らかい鉱物で砕けるということがなく、針でつつくとぬめっと潰れる。

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リチア電気石 / Elbaite
リチア電気石 / Elbaite
リチア電気石 / Elbaite
Na(Al1.5Li1.5)Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)3(OH)
茨城県妙見山

リチア電気石はリチウムを主成分とする電気石の一種で、リチウムペグマタイトに産出する主要な鉱物である。その結晶は無色・ピンク・青・黄色などと一般に多様であり、妙見山でも写真のような淡青色の結晶の他にピンク色の結晶が産出するようだ。学名は模式地であるイタリアElba島に因む。

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イットリウムヒンガン石 / Hingganite-(Y)
イットリウムヒンガン石 / Hingganite-(Y)
イットリウムヒンガン石 / Hingganite-(Y)
BeY(SiO4)(OH)
福島県水晶山

イットリウムヒンガン石はベリリウム(Be)と稀元素のイットリウム(Y)を主成分とする含水ケイ酸塩鉱物で、ガドリン石超族の一員となっている。水晶山では褐簾石を伴うペグマタイトの晶洞に無色透明な結晶としてイットリウムヒンガン石が産出する。満州とモンゴル高原を分かつ大興安嶺山脈を模式地とし、学名は興安(ヒンガン)に因む。

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テフロ石 / Tephroite
テフロ石 / Tephroite
愛媛県大洲市戒川鉱山

テフロ石 / Tephroite
岩手県田野畑村田野畑鉱山

テフロ石 / Tephroite
Mn2+2(SiO4)

テフロ石は変成マンガン鉱床には普遍的に産出する主要な鉱石鉱物である。青みを帯びた灰色で緻密な塊状で産出することが普通で、学名も灰色を示すギリシャ語が由来となっている。肉眼的な結晶はまず見かけない。しかし所変われば品変わるというところで、田野畑鉱山においてテフロ石はガラス光沢を示すウグイス色の結晶粒として産出することがある。

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オルシャンスキー石 / Olshanskyite
オルシャンスキー石 / Olshanskyite
オルシャンスキー石 / Olshanskyite
Ca2[B3O3(OH)6]OH·3H2O
岡山県高梁市備中町布賀鉱山

オルシャンスキー石は新しい産地が見つかるたびに出回る標本が大きくなる。オルシャンスキー石はもともとロシアで見つかったが、1ミリ以下の非常に細い針のような結晶だった。二番目の産地となった岡山県布賀では数ミリの薄板状の結晶が産出して話題となった。そして最新産地の内モンゴル自治区内にある鉱山では、オルシャンスキー石は数センチを越える結晶で産出する。学名は地球化学者のYakov Iosifovich Ol’shanskii (1912-1958)に因む。

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水亜鉛銅鉱 / Aurichalcite
水亜鉛銅鉱 / Aurichalcite
水亜鉛銅鉱 / Aurichalcite
(Zn,Cu)5(CO3)2(OH)6
滋賀県湖南市石部緑台

水亜鉛銅鉱は銅鉱床の風化帯に生じる水酸基(OH)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)を含む炭酸塩鉱物で、真珠光沢を示す水色の葉片状結晶が放射状に集合した姿で良く産出する。湖南市石部緑台にあった採石所からはかつて立派な水亜鉛銅鉱が多産した。学名の由来は正確にはよくわからないが、銅と亜鉛を含むことを暗示しているらしい。

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ミメット鉱 / Mimetite
ミメット鉱 / Mimetite
ミメット鉱 / Mimetite
Pb5(AsO4)3Cl
栃木県日光市日向

ミメット鉱は鉛(Pb)を伴う銅鉱山において二次鉱物としてよく見られる鉱物で、典型的には黄色で水晶に似た形の結晶となる。一方でそれ以外の外観となることも多く、同様の環境で生成する緑鉛鉱(Pyromorphite)と区別が難しいことから、「模倣者」という意味のギリシャ語が学名の由来となっている。ミメット鉱は緑鉛鉱に比べると産出がややまれという印象。

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ユークレース / Euclase
ユークレース / Euclase
ユークレース / Euclase
BeAlSiO4(OH)
岐阜県中津川市下野

ユークレースの原産地はブラジルとされており、学名は「簡単に割れる」という意味のギリシャ語に因んでいる。ベリリウム(Be)を主成分とするケイ酸塩鉱物で、シンプルな化学組成の鉱物であるが産地は限られている。日本では中津川市からごく少量が産出した。写真の標本はペグマタイト中の煙水晶に伴われる結晶で、ほんのわずかに青みを帯びている。

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バートランド石 / Bertrandite
バートランド石 / Bertrandite
バートランド石 / Bertrandite
Be4Si2O7(OH)2
岐阜県中津川市蛭川

バートランド石はフランスから最初に見つかった鉱物で、フランス人鉱物学者の Émile Bertrand (1844 – 1909)に因んで命名された。ベリリウム(Be)を主成分とするケイ酸塩鉱物で、緑柱石(Beryl)と共に花崗岩ペグマタイト中に見られることが多い。写真の標本でも左右に延びる緑柱石の結晶に、板~升形のバートランド石がいくつも付着している。採集の衝撃で外れやすいうえに、小さく透明なため見落とされがち。

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ザバリツキー石 / Zavaritskite
ザバリツキー石 / Zavaritskite
ザバリツキー石 / Zavaritskite
BiOF
岐阜県中津川市恵比寿鉱山

ザバリツキー石はビスマス(Bi)と酸素(O)とフッ素(F)からなり、ハロゲン化鉱物に分類される。自然ビスマスや輝蒼鉛鉱が変質して生成する鉱物とされるが、私にとってはザバリツキー石とは聞いたことがあれども実体がよくわからなかった鉱物であった。ながらくその標本を所有していなかったが、恵比寿鉱山の標本を最近になって手に入れてその実態がようやく理解できた。中心から外側に向けて、自然ビスマス(金属)-ザバリツキー石(青黒色集合体)-白雲母(淡橙色葉片状結晶)となっている。泡蒼鉛(Bismutite)をしばしば伴うとされるが、それは検出されなかった。ザバリツキー石の学名は石油化学の専門家であるAleksandr Nikolaevich Zavaritskii(1884-1952)への献名となっている。

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ストロンチアン石 / Strontianite
ストロンチアン石 / Strontianite
ストロンチアン石 / Strontianite
SrCO3
高知県佐川町

ストロンチアン石はスコットランドのStrontian村から見出され、1791年に発見地に基づいて学名が命名された。そしてストロンチアン石から元素としてのストロンチウム(Sr)が発見されている。日本において肉眼的に捉えられるストロンチアン石は高知県佐川町に分布するの鳥ノ巣石灰岩から見出されている。この石灰岩は天然タールを豊富に含み、割るたびに熱したアスファルトのような臭いがする。ストロンチアン石は石英や方解石の晶洞中に白色の繊維状結晶が放射状に集合した姿で見出される。

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銀星石 / Wavellite
銀星石 / Wavellite
銀星石 / Wavellite
Al3(PO4)2(OH)3·5H2O
高知県高知市豊田

銀星石はイギリスで発見された鉱物で、その学名は発見者とされる医師の William Wavell (1750-1829)に因んで命名されている。和名は明治期に輸入された標本の特徴に基づいて命名された。風化した堆積岩の隙間や裂傷に産出することが多く、個々の結晶は四角~多角形の柱状形態を示すが、多くの場合で放射状集合体として産出する。高知市豊田では造成工事中に多産したことがある。

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レダー石 / Roedderite
レダー石 / Roedderite
レダー石 / Roedderite
KNaMg2(Mg3Si12)O30
鹿児島県薩摩硫黄島硫黄岳

レダー石はアメリカ地質調査所のEdwin Woods Roedder(1919-2006)に因んで命名された鉱物で、1966年にIndarch隕石から最初に見出された。1980年になってドイツのBellerberg火山から地球初のレダー石が見出されたという論文が発表された。レダー石は大隅石や杉石の近縁種で六方晶系の構造を持ち、海外においては六角柱状の結晶が知られている。日本では硫黄島から産出し、サニディン(白色)の角レキ状集合の隙間を普通輝石(緑色)と共に満たす産状で青色のレダー石が見出されている。最近になって硫黄島のレダー石は多くがチェイス石(Chayesite:KMg4Fe3+[Si12O30])だと言われるようになった。真偽を確認すべく写真の標本から得られた分析値を鉄の価数も考慮して見直したが、これはやはりレダー石と断言できる組成である。そのため先行研究が間違っているということではなく、再検証した人物が手に入れた標本についてはそうだったことに過ぎないと理解するべきである。レダー石とチェイス石の産状についてどのような差異があるか、その詳細を理解するための広範的な調査が望まれる。
分析結果:(K0.63Na0.09)Σ0.72Na1.0(Mg3.27Fe2+1.58Al0.13)Σ4.98Si12.05O30

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鉄かんらん石 / Fayalite
鉄かんらん石 / Fayalite
鉄かんらん石 / Fayalite
Fe2+2(SiO4)
静岡県熱海市上多賀赤根崎

伊豆半島の付け根に位置する熱海市あたりの地質は主に安山岩であるが、上多賀あたりにごく小規模に玄武岩質の火砕岩が露出している。海岸の転石には多孔質な岩石が認められ、晶洞や裂傷の壁は微細なクリストバル石でびっしり埋め尽くされている。そのなかに黒色米粒状の鉄かんらん石がポツリポツリと埋まっている。学名は発見地であるFaial島(ポルトガル)に因む。赤根崎の鉄かんらん石は内部にライフン石(Laihunite)が生じているとされる。

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クリノクロア / Clinochlore
クリノクロア / Clinochlore
三重県鳥羽市菅島

菫泥石 / Chromian clinochlore
愛媛県東赤石山

クリノクロア / Clinochlore
Mg5Al(AlSi3O10)(OH)8

クリノクロアは緑色片岩中の最も主要な造岩鉱物であり、産地はそれこそ世界中の至る所に存在する。学名には緑色という意味が含まれているが、厚みが薄いと面内はほとんど透明に見える。六角形もしくは三角形の板状結晶が基本で、それが面方向に積み上がった集合体となることも多い。またアルミニウム(Al)が少量のクロム(Cr)によって置き換えられるとスミレ色を呈する様になる。こういったクリノクロアは菫泥石(きんでいせき)と呼ばれ、しばしばクロム鉱床に炭酸塩鉱物と共に伴われる。

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サーサス石 / Sursassite
サーサス石 / Sursassite
サーサス石 / Sursassite
Mn2+2Al3(SiO4)(Si2O7)(OH)3
愛媛県大洲市上須戒鉱山

サーサス石はスイスのOberhalbstein地域から最初に見出され、Oberhalbsteinの別名であるSursassに因んで命名された。低温高圧型変成作用に伴う熱水活動に密接に関連して生成し、アルデンヌ石(Ardennite)ともしばしば共生する。日本でも低温高圧型変成帯である三波川帯からいくつかの場所で見出されており、上須戒鉱山では積み上げられている捨て石の中にサーサス石の結晶が観察される。透明感のあるオレンジ色が特徴となっている。

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氷長石 / Adularia
氷長石 / Adularia
氷長石 / Adularia
KAlSi3O8
三重県鳥羽市加茂鉱山

カリウム(K)を主成分とする長石にはシリコン(Si)とアルミニウム(Al)が規則正しく並ぶ微斜長石(Microcline)と、やや無秩序で並ぶ正長石(Orthoclase)、完全に無秩序で並ぶサニディン(Sanidine)が知られている。これらは基本的には生成時の温度で決まり、低温→高温の環境で微斜長石→正長石→サニディンが出現する。そして氷長石は正長石の亜種として位置付けられており、独立の鉱物種ではない。正長石よりは規則正しいが微斜長石よりは無秩序なシリコン-アルミニウム配列を持ち、微斜長石と正長石の中間的な構造となっている。外見的には菱型や双晶による封筒状の結晶が典型的で、それが氷のようなヒンヤリとした印象をもつことが特徴である。英名はAdula山地(スイス)で初めに見つかったことに由来する。

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剥沸石 / Epistilbite
剥沸石 / Epistilbite
剥沸石 / Epistilbite
Ca3[Si18Al6O48]·16H2O
愛媛県久万高原町高殿

学名は諸性質が束沸石(Stilbite)に似ていることから、近似という意味のギリシャ語(Epi)を用いてEpistilbiteと名付けられた。和名はこの沸石が薄く割れやすい特徴に由来しており、剥沸石(はくふっせき)と呼ばれている。一方でこの沸石は外見にも特徴があり、封筒状の結晶形となることが非常に多い。ややシリコンに富む組成であり、玄武岩より安山岩の晶洞に産出することが多い。

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フェロジュルゴルド石 / Julgoldite-(Fe2+)
フェロジュルゴルド石 / Julgoldite-(Fe2+)
フェロジュルゴルド石 / Julgoldite-(Fe2+)
Ca2Fe2+Fe3+2(Si2O7)(SiO4)(OH)2·H2O
島根県松江市美保関町

島根半島に貫入した苦鉄質岩の多くは熱水変質作用を被っており、晶洞および熱水脈には低変成相に特徴的な鉱物が粗粒に結晶化する産状が観察される。パンペリー石族のフェロジュルゴルド石もその一つで、淡い草緑色の板状結晶として産出し、しばしば無色透明な板状結晶のトムソン沸石と共生する。日本ではパンペリー石族の鉱物は晶洞に産出してもルーズな結晶となる例が多いが、フェロジュルゴルド石の結晶は非常に端正な姿となっている。また一部には三価鉄(Fe3+)が支配的なフェリジュルゴルド石(Julgoldite-(Fe3+))が伴われるが、詳細な分析や構造解析なしにそれらは区別できない。学名はシカゴ大学(アメリカ)のJulian R. Goldsmith(1918-1999)に因んでいる。

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灰トムソン沸石 / Thomsonite-Ca
灰トムソン沸石 / Thomsonite-Ca
島根県松江市美保関町

灰トムソン沸石 / Thomsonite-Ca
岡山県高梁市備中町布賀鉱山

灰トムソン沸石 / Thomsonite-Ca
NaCa2Al5Si5O20·6-7H2O

トムソン沸石は数ある沸石の中でも最もシリコン(Si)に乏しく、アルミニウム(Al)に富むタイプの沸石で、玄武岩をはじめとした苦鉄質岩に伴われることが多い。島根県産の標本は古くから著名で、玄武岩の晶洞中にバビントン石(Babingtonite)と共に産出する。岡山県産の標本はおそらくは稀な産出で、石灰岩中の晶洞に現れた。板状結晶が典型的な姿であるが、しばしば放射状から球状に集合する。トムソン沸石にはカルシウム(Ca)およびストロンチウム(Sr)を主成分にする種が知られ、カルシウムを主成分にするトムソン沸石は灰トムソン沸石と呼ばれる。学名はGlasgow大学の化学者Thomas Thomson(1773-1852)に因む。

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鉄白燐石 / Leucophosphite
鉄白燐石 / Leucophosphite
鉄白燐石 / Leucophosphite
KFe3+2(PO4)2(OH)·2H2O
三重県伊勢市矢持町

秩父帯に属する石灰岩層は地下水の侵食を受け所々で洞窟が形成され、洞窟内ではコウモリをはじめとした様々な生物が生活している。気の遠くなるほどの時間が経過する中で生物は世代交代を繰り返し、洞窟内には大量のグアノ(糞の化石)が形成される。そのグアノの中にオレンジ色の小球が生じており、調べてみたところそれは鉄白燐石であった。学名は白い燐酸塩鉱物という意味のギリシャ語を元にしており、和名の鉄白燐石は化学組成も考慮した表現となっている。しかし写真の標本を見てのとおり鉄白燐石は必ずしも白くない。

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ヘスチング閃石 / Hastingsite
ヘスチング閃石 / Hastingsite
ヘスチング閃石 / Hastingsite
NaCa2(Fe2+4Fe3+)(Si6Al2)O22(OH)2
岡山県高梁市備中町用瀬山宝鉱山

ヘスチング閃石は1896年に命名された角閃石で、学名は発見地のHastings郡(カナダ)に因んでいる。この角閃石も最新の角閃石の命名規約の中では例外的な扱いで、ルール通りならフェロフェリパーガス閃石(Ferro-ferri-pargasite)とされるところだったが、いまさらヘスチング閃石の名称を消すと混乱が生じるという理由で名前が残った。山宝鉱山のヘスチング閃石は蛍石と共に生じているのでフッ素が多く含まれているのかと思いきや、水酸基が支配的であった。

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アクチノ閃石 / Actinolite
アクチノ閃石 / Actinolite
新潟県青海川

アクチノ閃石 / Actinolite
愛媛県関川

アクチノ閃石 / Actinolite
愛媛県国領川

アクチノ閃石 / Actinolite
□Ca2(Mg4.5-2.5Fe2+0.5-2.5)Si8O22(OH)2

アクチノ閃石はマグネシウム(Mg)を主成分とする透閃石(Tremolite)から見て、二価鉄(Fe2+)を端正分とする角閃石に与えられた名前であったが、最新の角閃石の命名規約では、マグネシウム(Mg)端成分に対してルートネームを与え、二価鉄(Fe2+)端成分に対しては「フェロ(ferro-)ルートネーム」とする命名法を基本としている。そのため命名規約の基本ルールに従うとアクチノ閃石はフェロ透閃石(Ferro-tremolite)になるはずだったが、アクチノ閃石は古来から使われてきた名称であり今さら名称を消すと混乱が生じる。そこで例外的な組成区分を設定してアクチノ閃石の名称を残すことになった。本来のルールどおりなら今の定義のアクチノ閃石は透閃石(Tremolite)の範疇となる。
 学名は繊維質な石という意味のギリシャ語に因んでおり、1794年に命名された。アクチノ閃石の標本は個体差が大きく結晶のサイズで質感が大きく異なる。ここでは上から下に結晶サイズが大きくなる順で標本を並べている。上の写真は数ミクロン以下の結晶の集合体で、いわゆる軟玉に相当する標本となる。真ん中の写真にあるアクチノ閃石は長軸方向が1センチ程度あるが厚みは100ミクロンもないためかほとんど無色近い。下のアクチノ閃石は人差し指程度の大きさがあるが透明感が失われている。

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ゲルスドルフ鉱 / Gersdorffite
ゲルスドルフ鉱 / Gersdorffite
ゲルスドルフ鉱 / Gersdorffite
NiAsS
兵庫県養父市夏梅鉱山

ゲルスドルフ鉱は1845年にSchladming(オーストリア)のニッケル鉱山主であったJohann Rudolf Ritter von Gersdorff(1781-1849)に因んで1845年に命名された。日本でも早くから存在が知られ、1907年に夏目鉱山から見出されている。三角形の面を組み合わせた八面体の結晶で産出し、夏目鉱山では紅砒ニッケル鉱と縞状組織を形成することが多い。ゲルスドルフ鉱には3種類の同質異像があり、それぞれGersdorffite-P213、Gersdorffite-P3、Gersdorffite-Pca21という別々の学名が与えられている。

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紅砒ニッケル鉱 / Nickeline
紅砒ニッケル鉱 / Nickeline
紅砒ニッケル鉱 / Nickeline
NiAs
兵庫県養父市夏梅鉱山

紅砒ニッケル鉱はニッケルと砒素からなる鉱物であるが、赤銅色を示すため発見当時は銅の鉱石と思われていた。しかしどんなに工夫を凝らしても銅を摘出することができなかったため、ドイツ神話のいたずらな妖精(Nickel)と銅の合成語である「kupfernickel」という名称が1694年に与えられた。1751年にAxel Fredrik Cronstedt(1722-1765)はkupfernickelから銅を抽出しようとして、代わりに単離されたのがニッケル(Ni)である。ニッケルという元素は紅砒ニッケル鉱から見出された。鉱物としては1832年に今の学名である「Nickeline」が与えられ、一時期「Niccolite」とも呼ばれたが、1971年に国際鉱物学連合がNickelineの使用を推奨している。和名は外観と成分に由来している。夏梅鉱山では蛇紋岩中に球状の塊で産した。

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ソーダダキアルディ沸石 / Dachiardite-Na
ソーダダキアルディ沸石 / Dachiardite-Na
ソーダダキアルディ沸石 / Dachiardite-Na
Na4(Si20Al4)O48·13H2O
千葉県南房総市荒川

ダキアルディ沸石はピサ大学(イタリア)のAntonio D’Achiardi (1839–1902)に因んでおり、Antonioの息子であるGiovanniによって1906年に命名された。これまでナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)を主成分とする3種があり、最初に記載されたダキアルディ沸石はカルシウムを主成分としていた。ナトリウムを主成分とするソーダダキアルディ沸石は1975年にAlpe di Siusi(イタリア)から見出されている。ソーダダキアルディ沸石は日本では新潟県柳新田が産地として知られている。写真の標本は砂岩を切るオパール脈の晶洞に生じた束状集合のソーダダキアルディ沸石で、千葉県南房総市荒川から産した。

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ざくろ石 / Garnet

ざくろ石 / Garnet
長野県和田峠

ざくろ石 / Garnet
茨城県山の尾

ざくろ石 / Garnet
奈良県天川村

ざくろ石 / Garnet
愛媛県伊予市双海町

ざくろ石 / Garnet
愛媛県宮窪町

ざくろ石 / Garnet
新潟県糸魚川市姫川

ざくろ石 / Garnet
栃木県日光市久良沢鉱山

ざくろ石 / Garnet

ざくろ石の英名はGarnet(ガーネット)であり、赤い結晶がザクロ(Granatum)の実に似ていることからそう呼ばれるようになったとされるが、他の説もある。和名については「ざくろ石」、「ザクロ石」、「石榴石」、「柘榴石」などの表記があり、文章校正の際に悩まされる。このうち「柘榴石」については、ザクロの木は「柘(ツゲ)」ではないから「柘榴石」表記は本来正しくない、という意見がある。ここでは「ざくろ石」の表記を採用する。
 鉱物としては単にざくろ石と呼ぶと、ざくろ石型構造をもつ鉱物の総称となる。より正確に分類すると「ざくろ石超族(Garnet Supergroup)」という大きなまとまりがあり、その下に「ベルゼライト族(Berzeliite Group)」、「バイティクレアイト族(Bitikleite Group )」、「ガーネット族(Garnet Group)」、「ヘンリターミエライト族(Henritermierite Group )」、「ショーロマイト族(Schorlomite Group)」が区分される。それぞれの族の中に個々の鉱物種がぶらさがり、ざくろ石超族は合計で35種(2019年10月時点)から構成されている。多くは固溶体を形成し、塁帯構造が著しい場合もままある。そのため一つの結晶であっても鉱物種として2種類にまたがるケースもざらにある。
 ざくろ石は一般的な造岩鉱物で、多様な地質環境で見かける。日本でも古くから産出が知られ、明治37年発行の「日本鉱物誌」では16箇所の産地のざくろ石が紹介されている。12-36面体のコロッとした結晶が特徴で、含まれる成分によって様々な色合いを示す。灰鉄ざくろ石と灰バンざくろ石のラメラによるレインボー効果を示すざくろ石も知られる。ここでは種を厳密に特定せずにざくろ石を並べている。

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リッベ石 / Ribbeite
リッベ石 / Ribbeite
リッベ石 / Ribbeite
Mn2+5(SiO4)2(OH)2
愛媛県大洲市戒川鉱山

リッベ石はアレガニー石(Alleghanyite)と多形(同質異像)を成す鉱物で、1987年にナミビアの Kombat Mineから記載されたのが最初となる。学名は鉱物学者のPaul Hubert Ribbe (1935-2017)に因む。日本では1991年に三波川変成帯に位置する複数のマンガン鉱山から同時に報告され、その中に戒川鉱山が含まれている。リッベ石はハウスマン鉱と共に濃紫紅色の緻密質な集合体を形成する。アレガニー石も伴われることがあるが、それはリッベ石集合体を切る細脈として生じる。産状からリッベ石はアレガニー石よりも高い圧力・温度条件で生じると考えられている。

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トラスコット石 / Truscottite
トラスコット石 / Truscottite
トラスコット石 / Truscottite
Ca14Si24O58(OH)8·2H2O
鹿児島県伊佐市菱刈鉱山

トラスコット石は1912年にインドネシアのスマトラ島から見出された鉱物で、イングランドの資源地質学者であるJohn Truscott (1870-1950)に因んで命名された。永らく模式地のみからしか産出が知られていなかったが、1967年になり静岡県土肥鉱山から世界で二番目の産出が報告された。ただし多産はしなかったようで、日本産のトラスコット石としては後に菱刈鉱山から産出した標本が有名になっている。白色で絹糸光沢のある葉片状結晶が特徴となっている。美しい標本だが、分布が一様でコントラストが低いため写真に納めるのが難しい。

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苦土ヘスチング閃石 / Magnesio-hastingsite
苦土ヘスチング閃石 / Magnesio-hastingsite
苦土ヘスチング閃石 / Magnesio-hastingsite
NaCa2(Mg4Fe3+)(Si6Al2)O22(OH)2
熊本県西原村護王峠

写真の標本は熊本県護王峠の苦土普通角閃石とされる標本で、どの図鑑でもそのように記されている。そこで過去の分析例を調べてみたのだがちょっと見つからない。そのため写真の標本を切断して内部を調べてみると予想外の結果が得られた。外見上は角閃石の形を成しているが、角閃石は表面から内部へ向かいほんの数百ミクロン程度の薄皮でしかなかった。そしてその角閃石の分析値は苦土ヘスチング閃石であり、苦土普通角閃石とはアルカリ成分とケイ酸成分が本質的に異なる角閃石である。なお角閃石の薄皮の内側は微細な透輝石+オリビン+磁鉄鉱の集合体となっていた。

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マンバンざくろ石 / Spessartine
マンバンざくろ石 / Spessartine
マンバンざくろ石 / Spessartine
Mn2+3Al2(SiO4)3
栃木県日光市久良沢鉱山

久良沢(きゅうらさわ)鉱山は足尾山塊に多数あるマンガン鉱山の一つで比較的多いズリが残されている。層状マンガン鉱床であるが花崗岩による接触変成作用で鉱物が粗粒化している傾向がある。なかでもマンバンざくろ石は比較的大粒で24-36面体の結晶が得られる。オレンジ色の美しい結晶であることに加え、成長丘が全面に発達しておりその幾何学模様もまたおもしろい。学名は発見地の Spessart Mountain(ドイツ)に因んでいる。

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ボトリオ石 / Botryolite (Botryoidal Datolite)
ボトリオ石 / Botryolite (Botryoidal Datolite)
愛媛県久万高原町高殿

ボトリオ石 / Botryolite (Botryoidal Datolite)
愛媛県久万高原町槙の川

ボトリオ石は鉱物名ではなく、ブドウの房状の集合体を成すダトー石のことを指す。1808年にJohann Friedrich Ludwig Hausmannによってノルウェイ産の標本に対して命名された。日本では愛媛県槙の川や、道路を挟んで東に位置する高殿から産出する標本がよく知られている。県立博物館発行の愛媛の鉱物によれば当初は玉髄と考えられ、後にボトリオ石であることが明らかとなったとされる。原産地であるノルウェイのボトリオ石は黒色に近いブラウン色であるが、槙の川産のボトリオ石は白色からピンク色を呈する。

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ピクロファーマコ石 / Picropharmacolite
ピクロファーマコ石 / Picropharmacolite
ピクロファーマコ石 / Picropharmacolite
Ca4Mg(AsO3OH)2(AsO4)2·11H2O
大分県佐伯市木浦鉱山

ピクロファーマコ石の最初の記載は1819年となっている。学名はマグネシウムを含むことおよび毒を意味するギリシャ語を由来とし、その由来のとおり毒性を持つ。古典的な鉱物だが日本での発見は2009年と意外と新しい。ピクロファーマコ石は水溶性であり多湿気候の日本では生成後に溶けてしまうことも多く、それがなかなか発見されなかった原因かも知れない。この産地には何度か訪れたが自分ではピクロファーマコ石を見つけることはできなかった。写真の標本は発見者の一人から恵与していただいた。

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苦土フェリエ沸石 / Ferrierite-Mg
苦土フェリエ沸石 / Ferrierite-Mg
苦土フェリエ沸石 / Ferrierite-Mg
[Mg2(K,Na)2Ca0.5](Si29Al7)O72·18H2O
愛媛県久万高原町黒妙

フェリエ沸石にはマグネシウム(Mg)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、アンモニウム(NH4)の種類があり、そのうちマグネシウム(苦土)タイプがもっとも早く記載された。最初のフェリエ沸石はカナダのカムループス湖畔から見出され、カナダ地質調査所のWalter Frederick Ferrier(1865-1950)に因んで1918年に命名された。写真の標本は愛媛県久万高原町黒妙からの標本で、安山岩中の晶洞に鱗珪石を伴って産出する。フェリエ沸石としては典型的なわかりやすい標本で板状結晶が放射状に並んでいる。

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カリフェリエ沸石 / Ferrierite-K
カリフェリエ沸石 / Ferrierite-K
カリフェリエ沸石 / Ferrierite-K
(K,Na)5(Si31Al5)O72·18H2O
島根県松江市桂島

桂島は島根県松江市島根町加賀の北に位置しており、Google Mapの地図上では孤島のように表示されるが、実際は防波堤と橋によって徒歩で渡ることができる。島全体が流紋岩からなっておりメノウの球果や脈が至る所で観察できる。海水浴場になっている浜辺は白いメノウの砂利が大量に打ち上げられており、その砂利をよく見ると少なくない頻度で絹糸光沢をもつ放射状の鉱物がへばりついている。産状的にフェリエ沸石だと直感して分析をしてみると、これはカリ(K)タイプのフェリエ沸石だった。根源名はカナダ地質調査所のWalter Frederick Ferrier(1865-1950)に因んでいる。

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バナジン銅鉱 / Volborthite
バナジン銅鉱 / Volborthite
バナジン銅鉱 / Volborthite
Cu3V2O7(OH)2·2H2O
愛知県犬山市継鹿尾

岐阜県各務原市鵜沼から木曽川を挟んで愛知県犬山市継鹿尾あたりには石炭紀からジュラ紀の堆積岩が分布しており、一部には瀝青炭層が挟まれている。バナジン銅鉱は瀝青炭層の割れ目にガラス光沢を示す黄色の板状もしくは葉片状結晶が放射状に集合した姿で産出する。鉱物学業界ではとりわけ学術的重要性はないのだが、所変われば品変わるということで、実は物理業界ではカゴメ格子フラストレート系を体現する物質としてバナジン銅鉱が注目されている。バナジン銅鉱の学名は最初にこの鉱物の存在に気づいた古生物学者のAlexander von Volborth (1800-1876)に因んでいる。

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紫蘇輝石 / Hypersthene
紫蘇輝石 / Hypersthene
紫蘇輝石 / Hypersthene(鉱物種としてはEnstatite)
(Mg,Fe)SiO3
福島県猪苗代町大字壺楊前浜

紫蘇輝石とはかつての輝石の分類上に存在した種類で、エンスタタイト成分を50-70%もつ輝石が紫蘇輝石という名称で呼ばれた。紫蘇輝石は安山岩に含まれるもっとも一般的な斑晶鉱物であり、安山岩火山である磐梯山の麓に広がる猪苗代湖畔には大量の紫蘇輝石が堆積している。英名のHyperstheneは「より硬い」という意味のギリシャ語が元になっており、しばしば混同される角閃石よりも硬いという意味合いとなっている。和名は紫蘇のような色合いに由来すると思うのだが、偏光をかけると結晶は赤~緑に変化するので赤紫蘇と青紫蘇のどっちの意味だろうか。

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灰十字沸石 / Phillipsite-Ca
灰十字沸石 / Phillipsite-Ca
灰十字沸石 / Phillipsite-Ca
Ca3(Si10Al6)O32·12H2O
島根県西ノ島町国賀

十字沸石の根源名はイギリスの鉱物学者であるWilliam Phillips (1776-1829)に因んで命名された。この沸石は十字型の双晶として生じることから十字沸石という和名で呼ばれており、これまでにカルシウム(Ca)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)を主成分とする種が知られている。写真の十字沸石はカルシウムを主成分とすることから、カルシウムの和名である「灰」をつけて灰十字沸石と呼ぶ。ただしこの標本のように十字型の双晶となっていない産状も多い。経験的には十字型の双晶となる標本のほうがむしろ稀産と思っている。

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フィアネル石 / Fianelite
フィアネル石 / Fianelite
フィアネル石 / Fianelite
Mn2+2V2O7·2H2O
埼玉県飯能市小松鉱山

フィアネル石はFianel鉱山(スイス)を模式地とし、産地に因んだ学名が与えられている。1995年に発見されたが、そこから今日まで世界を見渡しても産地は3箇所と非常に少ない。いまのところ日本では小松鉱山が唯一の産地で、フィアネル石は菱マンガン鉱を伴って低品位の鉱石中に脈状に分布する。脈に沿って鉱石を割ると脂肪光沢のある橙赤色の皮膜としてフィアネル石が観察され、一部には板状~葉片状結晶の痕跡が見て取れる。

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フェロパンペリー石 / Pumpellyite-(Fe2+)
フェロパンペリー石 / Pumpellyite-(Fe2+)
フェロパンペリー石 / Pumpellyite-(Fe2+)
Ca2Fe2+Al2(Si2O7)(SiO4)(OH,O)2·H2O
埼玉県飯能市小松鉱山

パンペリー石はアメリカの地質学者であるRaphael Pumpelly(1837-1923)に敬意を表して命名された鉱物で、1923年に記載された。1973年からは化学組成に従った分類が提案され、学名に接尾語をつけて種を細分することになったが、分析なしにそれぞれを見分けることは難しい。写真の標本は埼玉県小松鉱山から産出したもので、赤鉄鉱を含む鉱石を石英と共に横切っている。分析したところ二価鉄(Fe2+)を主成分とするフェロパンペリー石であった。小松鉱山ではバナジウム(V)を主成分とするパンペリー石であるポッピ石(Poppiite)の産出があるが、そちらはほとんど真っ黒なのでフェロパンペリー石と混同することはないだろう。

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ポッピ石 / Poppiite
ポッピ石 / Poppiite
ポッピ石 / Poppiite
ポッピ石 / Poppiite
Ca2(V3+,Fe3+,Mg)V3+2(Si,Al)3(O,OH)14
埼玉県飯能市小松鉱山

ポッピ石はパンペリー石族の一員で、バナジウム(V)を主成分とする。世界的にも非常に稀産の鉱物であるが日本では2箇所で産出が知られる。そのうちの一つである埼玉県小松鉱山ではほとんど黒色にみえる脈で産出し、拡大するとそれぞれは深緑色の柱状結晶となっている。また写真の標本は微小な輝銅鉱を伴っており、それらの風化によって黄色のバナジン銅鉱(Volborthite)が周囲に生じている。また小松鉱山ではフェロパンペリー石も産出するが、そちらは緑鮮やかでポッピ石とは色味が異なる。ポッピ石の学名はモデナ・レッジョ・エミリア大学(イタリア)の鉱物学者であるLuciano Poppiへの献命となっている。

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フランシスカン石 / Franciscanite
フランシスカン石 / Franciscanite
フランシスカン石 / Franciscanite
Mn2+6(V5+□)(SiO4)2O3(OH)3
埼玉県飯能市小松鉱山

フランシスカン石はPennsylvania鉱山(アメリカ)から1985年に見出された鉱物で、鉱床が胚胎されるFranciscan層に因んで命名された。永らく原産地でしか産出が知られていなかったが、2007年になり日本でも産出が確認された。フランシスカン石の産出が確認されたのは埼玉県小松鉱山で、そこではバナジウムに富む鉱物が多く見つかっている。フランシスカン石は脂肪光沢の強い濃赤黒色の棒状結晶として、マンガン品位の低い珪質な鉱石を切る菱マンガン鉱に伴われる。

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オパール / Opal
オパール / Opal
石川県小松市

オパール / Opal
オパール / Opal
SiO2・nH2O
高知県いの町加茂山

オパールには蛋白石という和名があり日本では玉子の白身のような色合いで産出することが多いが、まれに遊色を示すものがある。オパールはクリストバル石や燐珪石の結晶子が含まれながらも全体としては非晶質となっている。そのため結晶構造を有するという鉱物の定義を満たしていないのだが、古くから知られているという理由で例外的に鉱物種として認められている。学名の由来は諸説あるが定かではなく、ラテン語やサンスクリット語が起源になっている可能性が指摘されている。

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モルデン沸石 / Mordenite
モルデン沸石 / Mordenite
島根県西ノ島町山神溜池

モルデン沸石 / Mordenite
静岡県河津町やんだ

モルデン沸石 / Mordenite
(Na2,Ca,K2)4(Al8Si40)O96·28H2O

モルデン沸石は1864年に記載された古典的な沸石族の鉱物で、学名は発見地に由来する。カナダのニューブランズウィック州とノバスコシア州の間に位置するファンディ湾のMordenという地域からはじめに見出された。今となってはありふれた沸石で、日本でもモルデン沸石は古くから知られており、凝灰角礫岩や安山岩の晶洞に毛~針状結晶の集合体が見られる。モルデン沸石はシリコン(Si)に富む沸石であるが、シリコンにやや乏しい菱沸石とも共存する。カリウム(K)を主成分とするモルデン沸石はこれまで天然では知られていないが合成することはできるようだ。

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メタスウィツアー石 / Metaswitzerite
メタスウィツアー石 / Metaswitzerite
メタスウィツアー石 / Metaswitzerite
Mn2+3(PO4)2·4H2O
埼玉県秩父市浦山広河原鉱山

メタスウィツアー石は4つの水分子をもつ鉱物として、はじめはスウィツアー石(Switzerite)の名前で記載された。しかし後になって、このスウィツアー石は7つの水分子をもつ鉱物が脱水して形成されたことが判明する。そこでオリジナルである7つの水分子をもつ鉱物をスウィツアー石と命名し、4つの水分子をもつ鉱物のほうは変質を意味する「メタ(meta)」の接頭語をつけてメタスウィツアー石と改名することが決まった。スウィツアー石→メタスウィツアー石への脱水は空気中で急速に進行する一方的な反応であり、メタスウィツアー石を水の中に入れてもスウィツアー石に戻らない。スウィツアー石の学名はスミソニアン博物館の George Shirley Switzer (1915-2008)に因んでいる。

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ラムベルグ鉱 / Rambergite
ラムベルグ鉱 / Rambergite
ラムベルグ鉱 / Rambergite
MnS
埼玉県秩父市浦山広河原鉱山

ラムベルグ鉱はアラバンド鉱と多形(同質異像)となる鉱物だが、アラバンド鉱がマンガン鉱床では普通の鉱物であることに対し、ラムベルグ鉱は非常に稀な鉱物である。日本では埼玉県広河原鉱山から2005年に見いだされた。オレンジ色の皮膜で産出することが多いが、晶洞には六角柱状の小さな結晶が認められる。学名は地球物理学者であるHans Ramberg(1917-1998)の業績をたたえて命名された。

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エモンス石 / Emmonsite
エモンス石 / Emmonsite
エモンス石 / Emmonsite
Fe3+2(Te4+O3)3·2H2O
静岡県下田市河津鉱山猿喰ヒ

エモンス石は鉄(Fe)とテルル(Te)の含水酸化物で、テルルを含む鉱石の風化で生成する。放射状に集合することが多いが、個々の結晶はルーズである場合がほとんどである。日本ではこれまで北海道手稲鉱山と静岡県河津鉱山で見いだされている。世界的には多くの産地が知られ、はじめはアリゾナ州のTombstone鉱区から見出され、地質学者のSamuel Franklin Emmons (1841-1911)に因んで命名され、1885年に記載された。

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バレンチン石 / Valentinite
バレンチン石 / Valentinite
バレンチン石 / Valentinite
Sb2O3
宮崎県西米良村天包山

バレンチン石はアンチモン(Sb)の酸化物で、アルジェリアでは主要な鉱石として採集されているが、通常は被膜もしくは微細な放射状集合として産出する。日本では宮崎県天包山からの標本がよく知られている。学名は元素としてのアンチモンの特性を記した15世紀の錬金術師であるBasilius Valentinusにちなんで命名され、1845年に記載された。しかしBasilius Valentinusという人物は実在しなかった可能性も指摘されている。

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塩基アルミナ石 / Felsőbányaite
塩基アルミナ石 / Felsőbányaite
塩基アルミナ石 / Felsőbányaite
Al4(SO4)(OH)10·4H2O
高知県土佐山桑尾

塩基アルミナ石(Felsőbányaite)は1853年にルーマニアのBaia Sprie鉱山から見出され、Baia Sprieの別名であるFelsőbányaにちなんで命名された。ところが1948年に同じ鉱物種が別名のBasaluminiteとして記載された。そこから長らく二つの名前で呼ばれる状態が続き、2006年になってようやくFelsőbányaiteの優先権が確定してBasaluminiteは抹消された。その影響は今でも続き、Basaluminiteの名称がいまだに使用されることがある。塩基アルミナ石は堆積岩の裂傷に普通にみられるが、微細なためある程度の集合体に成長しないと見落とされる。

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スカボロ石 / Scarbroite
スカボロ石 / Scarbroite
スカボロ石 / Scarbroite
Al5(CO3)(OH)13·5H2O
大分県佐伯市木浦鉱山

スカボロー石は1829年に見出された古典的な鉱物で、発見地のScarborough(イングランド)に因んで命名された。原産地では白色の塊として産出する。日本では木浦鉱山において、エメリー鉱石の裂傷に絹糸光沢を持つ放射状の結晶集合体としてスカボロー石が産出する。個々の結晶は西洋剣のような形状をしている。

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ベンジャミン鉱 / Benjaminite
ベンジャミン鉱 / Benjaminite etc.
ベンジャミン鉱 / Benjaminite
Ag3Bi7S12
兵庫県朝来市生野鉱山

ベンジャミン鉱はスミソニアン博物館のMarcus Benjamin (1857-1932)に因んで命名された鉱物で、1924年にOutlaw鉱山(アメリカ)から見出された。しかしその標本は不純物が多かったため一時はその独立性が疑われ、1975年になって行われた再検討によってようやくベンジャミン鉱の独立性が確認された。写真の標本は生野鉱山から産出したベンジャミン鉱で、肉眼では判別できないが微小なグスタフ鉱(Gustavite)とマチルダ鉱(Matildite)も伴われている。

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ゲーレン石 / Gehlenite
ゲーレン石 / Gehlenite
広島県庄原市東城町久代

ゲーレン石 / Gehlenite
埼玉県秩父市秩父鉱山石灰沢

ゲーレン石 / Gehlenite
Ca2Al(SiAl)O7

ゲーレン石は高温スカルンに産出する典型的な鉱物で、枡形をした乳白色の結晶標本が有名となっている。秩父鉱山石灰沢にも高温スカルンが分布しており、方解石との接触部にはゲーレン石のサイコロ状の結晶が産出する。風化を免れた結晶には透明感がある。学名は1815年にAdolf Ferdinand Gehlen(1775-1815)に因んで命名されている。

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ベーム石 / Böhmite
ベーム石 / Böhmite
ベーム石 / Böhmite
AlO(OH)
埼玉県秩父市秩父鉱山石灰沢

ベーム石はダイアスポア(Diaspore)と多形(同質異像)となる鉱物で、しばしば岩石の裂傷に分解生成物として生じる。秩父鉱山石灰沢ではホツルタムざくろ石を主体とする岩石の裂傷に板状結晶が認められる。肉眼的な特徴は多形であるダイアスポアとよく似ているが、硬度が全く異なる。ダイアスポアはモース硬度7ほどあるが、ベーム石は3.5程度で非常に脆い。学名はこの鉱物を最初に研究した Johann Böhm (1895-1952) に因んでいる。

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バビントン石 / Babingtonite
バビントン石 / Babingtonite
バビントン石 / Babingtonite
Ca2Fe2+Fe3+Si5O14(OH)
島根県松江市美保関町

バビントン石は1824年に見出された古典的な鉱物で、ノルウェイを原産地として、医師であり鉱物学者でもあるWilliam Babington(1756-1833)に因んで命名された。多くの面を持つ黒色結晶が典型的で、スカルン、ペグマタイト、玄武岩を母岩とした多様な産状がある。日本では島根半島に貫入した苦鉄質岩に伴われるバビントン石が親しまれており、晶洞にブドウ石やトムソン沸石を伴って産出する。

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マンガンバビントン石 / Manganbabingtonite
マンガンバビントン石 / Manganbabingtonite
マンガンバビントン石 / Manganbabingtonite
Ca2Mn2+Fe3+Si5O14(OH)
高知県いの町枝川

マンガンバビントン石は1966年にロシアで見出されていた鉱物だが、新鉱物の申請を経ずに論文が先に出版されていた。そのためIMAは後に審査を行い、正式に承認されたのは1971年になる。その間、研究者らはマンガンバビントン石のことを未承認の鉱物として認識することになり、日本でも山宝鉱山からのマンガンバビントン石に対して新鉱物申請のための研究が進められていた。医師であり鉱物学者でもあるWilliam Babington(1756-1833)に因んで命名されたバビントン石のマンガン置換体がマンガンバビントン石となる。

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鉄バスタム石 / Ferrobustamite
鉄バスタム石 / Ferrobustamite
鉄バスタム石 / Ferrobustamite
CaFe2+Si2O6
山口県美祢市於福鉱山

鉄バスタム石は新鉱物として申請された経緯をもたず、1973年に突如として鉱物種に昇格した。実は日本でも1973年に岡山県山宝鉱山から鉄珪灰石(Iron-wollastonite)としてまったく同じ鉱物が記載されている。そのため古老の愛好家は鉄バスタム石を日本の新鉱物とみる向きもある。しかし出典をさらに遡ると鉄バスタム石は1937年にスコットランドから見出されたのが最初となる。於福鉱山は大和鉱山とも呼ばれ、銅鉱山であったが、晩期には珪灰石や鉄バスタム石を陶磁器原料として出荷していた。

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ダイピング石 / Dypingite
ダイピング石 / Dypingite
ダイピング石 / Dypingite
Mg5(CO3)4(OH)2·5H2O
愛知県新城市中宇利鉱山

ダイピング石は蛇紋岩の表面に生じる白色皮膜状の鉱物で、1970年にノルウェイから見出された。学名は発見地であるDypingdal Serpentine-magnesite鉱床に因んでいる。いまでは日本でも蛇紋岩地帯であれば各所で産出が知られるが、最初に報告されたのは愛知県新城市吉川鉱山で、その当時はダイピング石ではなく吉川石(Yoshikawaite)と呼ばれ、新鉱物として申請された経緯がある。しかしダイピング石と同一とされ吉川石は新種には認められなかった。吉川鉱山の数キロ南には中宇利鉱山が位置しており、そこでもダイピング石は見つかっている。

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ミアジル鉱 / Miargyrite
ミアジル鉱 / Miargyrite
ミアジル鉱 / Miargyrite
AgSbS2
大分県杵築市三井大高鉱山

ミアジル鉱はAgSbS2の化学組成を持ち、キューボアジル鉱(Cuboargyrite)とバウムスターク鉱(Baumstarkite)と多形(同質異像)を成すが、この3種の中ではミアジル鉱の産出が圧倒的に多い。日本でもミアジル鉱は各地で産出し、なかでも大高鉱山のミアジル鉱は有名であろう。鉱石を割ってすぐではやや赤みを帯びており、時間が経つほど黒色かするが、表面の光沢はあまり変化が無い。ミアジル鉱は濃紅銀鉱(Pyrargyrite)と外観がよく似ており間違いやすいが、そのくせ濃紅銀鉱よりも銀(Ag)成分が少ないことから、「銀が少ない」という意味のギリシャ語が学名の元になっている。和名は学名のカタカナ読み。

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珪蒼鉛鉱 / Eulytine
珪蒼鉛鉱 / Eulytine
珪蒼鉛鉱 / Eulytine
Bi4(SiO4)3
福岡県三ノ岳横鶴鉱山

珪蒼鉛鉱はビスマス(Bi)鉱床の酸化帯でしばしば見られ、日本では皮膜から球状集合で産出する場合が多い。褐色~青色系統まで実に様々な色を示し、球状集合はまるで昆虫の卵のような雰囲気を醸し出す。しかしながらその球をよく見ると小さな凹凸が出ており、球は結晶のクラスター(集合体)であることがわかる。合成物では四面体の結晶が現れる。学名は簡単に融けるという意味のギリシャ語が元になっており、和名は化学組成に基づいている。

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森本ざくろ石 / Morimotoite
森本ざくろ石 / Morimotoite
岡山県高梁市備中町布賀西露頭

Morimotoite-Andradite
北海道日高町千栄パンケユクトラシナイ川

森本ざくろ石 / Morimotoite
Ca3(Ti4+Fe2+)(SiO4)3

森本ざくろ石は岡山県布賀から見出された日本産の新鉱物で、学名は大阪大学および京都大学名誉教授の森本信男(1925-2010)に因む。広く普及している布賀の森本ざくろ石は破断面の標本だが、小さな晶洞には黒色12面体結晶が観察されることがある。北海道からの標本はシャープな12面体結晶で透明な灰鉄ざくろ石とのコントラストがおもしろい。ただ研究面としてはこのようなゾーニングが障壁となって構造解析などが困難となっている。

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ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
白い部分がホルツタムざくろ石で、褐色部はベスブ石(Vesuvianite)。黒い粒は閃亜鉛鉱か黄鉄鉱。

ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
青い部分がホルツタムざくろ石で、青の原因は微細なアメス石(Amesite)が混在しているから。白濁~ベージュはベスブ石。

ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
青みを持つホルツタムざくろ石の切断面。ベスブ石との接触部に青色(=アメス石)が濃集する傾向がある。小さな黒っぽいツブツブはほとんど閃亜鉛鉱か黄鉄鉱。私は和田石を見つけることはできなかった。

ホルツタムざくろ石 / Holtstamite
Ca3Al2[(SiO4)2(H4O4)]O8
埼玉県秩父市秩父鉱山石灰沢

ホルツタムざくろ石は南アフリカのWessels鉱山から最初に見つかった鉱物で、含水の正方晶系ざくろ石の一つである。スウェーデン自然史博物館のDan Holtstam(b.1965-)に因んで2003年に命名された。これまで非常に稀少な鉱物で、他産地からの確実な報告はなく、またホルツタムざくろ石は正方晶系を維持するために必ず少量のMn3+を含む必要があると考えられていた。ところが秩父鉱山石灰沢ではこれまでの認識が覆った。石灰沢ではMn3+を含まない端成分に近いホルツタムざくろ石が、岩石の単位で大量に存在することが明らかとなった。いわゆる和田石の標本として知られていたものだが、私が調べた範囲で和田石は一粒も見つからなかったので、和田石の存在度はおそらく相当低いはず。それよりも稀産のはずのホルツタムざくろ石が当たり前のように存在している事実に驚いた。

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珪線石 / Sillimanite
珪線石 / Sillimanite珪線石 / Sillimanite
愛媛県上島町魚島群島

珪線石 / Sillimanite
佐賀県鳥栖市養父

珪線石 / Sillimanite
Al2SiO5

珪線石は高温環境で出現する典型的な鉱物で、紅柱石藍晶石とは同質異像の関係にある。珪線石は高温側に安定領域があるため片麻岩や流紋岩などに伴われる。単結晶でありながらも破断面からは繊維状集合のように見える。片麻岩中の珪線石はしばしば白雲母を伴う。また珪線石の結晶にはムル石(Mullite)が含まれているとされるが、個人的にはそれはまだ確認できていない。学名はイエール大学のBenjamin Silliman(1779-1864)に因んで命名されているが、和名は見た目と化学組成を反映した名称となっている。

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オフレ沸石 / Offretite
オフレ沸石 / Offretite
オフレ沸石 / Offretite
KCaMg(Si13Al5)O36 · 15H2O
山口県長門市油谷川尻

本州の最西端の半島である向津具半島では砂岩を玄武岩が覆っており、その玄武岩には細く引き延ばされた晶洞が良く発達している。晶洞には多様な沸石が産出し、オフレ沸石もその一つ。川尻は日本におけるオフレ沸石の唯一の産地で、晶洞中に微結晶が六角の板状に集合した姿で産出する。オフレ沸石はSemiol山(フランス)で最初に見出され、リヨン大学のAlbert Jules Joseph Offret(1857-1933)に因んで命名された。

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自然銀 / Silver
自然銀 / Native Silver
岐阜県飛騨市神岡鉱山

銀黒
兵庫県宍粟市大身谷鉱山

自然銀 / Silver
愛媛県四国中央市佐々連鉱山

自然銀 / Silver
Ag

自然銀は銀(Ag)の元素鉱物である。可視光線の反射率が98%にも達し、その独特な明るい色は白銀色(しろがねいろ)と称される。鉛や亜鉛を主体とする金属鉱床にはよく伴われる。そこでは「ひげ銀」と称される独特な形状がしばしば出現し、一方向に伸びて湾曲した集合体となっている。またいわゆる銀黒と称される銀鉱石の主要構成鉱物にもなっている。含銅硫化鉄鉱鉱床でも自然銀の産出が知られており、特に「ハネコミ」と称される富鉱部には裂傷に箔状の自然銀を生じる。学名はseolforという古い英語が由来であるが、その意味はすでに不明となっている。

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マンガン斧石 / Axinite-(Mn)
マンガン斧石 / Axinite-(Mn)
マンガン斧石 / Axinite-(Mn)
Ca4Mn2+2Al4[B2Si8O30](OH) 2
埼玉県秩父市秩父鉱山赤岩

斧石にはカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)そしてマンガン(Mn)を主成分とする種が知られ、秩父鉱山赤岩からはマンガン斧石が産出する。分析してみると、この標本ではマグネシウムや鉄はほとんど含まれず、端成分に近い組成となっていた。斧石は塊状に集合することが多いが、空隙には透明感のある結晶がしばしば認められる。学名は結晶が斧に似ていることから名付けられた。

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サンタバーバラ石 / Santabarbaraite
サンタバーバラ石 / Santabarbaraite
サンタバーバラ石 / Santabarbaraite
Fe3+3(PO4)2(OH)3·5H2O
兵庫県神戸市西区

サンタバーバラ石は結晶構造を持たないため、鉱物の定義[1]を満たしていない。そういう物質は「ミネラロイド(Mineraloid)[2]」と言って、鉱物に準じる物質という扱いになることが普通である。しかしサンタバーバラ石は格子定数よりも短い距離だが原子の三次元的な配列が証明されたため、例外的に鉱物として承認された。学名は模式地のサンタバーバラ地域(イタリア)に因む。サンタバーバラ石は酸化した藍鉄鉱そのものであるため、量や規模を問わなければ藍鉄鉱の産地にはおおむね産出する。神戸市西区では藍鉄鉱の仮晶として、褐色板状の姿で産出した。

[1] 鉱物は「地質作用で生じた、一定の化学組成と結晶構造を持つ物質」と定義されている。
[2] 鉱物の定義を完全には満たしていない物質。たとえば天然のガラス。

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キュマンジュ石 / Cumengeite
キュマンジュ石 / Cumengeite
キュマンジュ石 / Cumengeite

キュマンジュ石 / Cumengeite
Pb21Cu20Cl42(OH)40·6H2O
和歌山県串本町

キュマンジュ石はメキシコのボレオ砂漠を模式地とする青色のハロゲン化鉱物で、1893年に記載された古典的な鉱物である。鉱山技師のBernard Louis Philippe Édouard Cumenge(1828-1902)に因んで命名された。Amelia鉱山から産出するテトラポッドのような群晶が標本としてとても有名となっている。日本では2014年に和歌山県串本町の海岸から見出され、拡大すると小さいながらもスピネルのような結晶が随所に認められた。

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マン鉄ざくろ石 / Calderite
マン鉄ざくろ石 / Calderite
Garnet composition from Sanpo mine
マン鉄ざくろ石 / Calderite
Mn2+3Fe3+2(SiO4)3
愛媛県伊予市中山町三宝鉱山

マン鉄ざくろ石は二価マンガン(Mn2+)と三価鉄(Fe3+)というきわめて普通の元素を主成分としながらも世界的にその産出は稀と言える。日本では愛媛県三宝鉱山から産出した記録がある[1]が、日本産鉱物種には引用されていない(2019年3月時点)。そこで写真の標本について調べてみたところ、灰鉄ざくろ石(Andradite)-マン鉄ざくろ石(Calderite)-マンバンざくろ石(Spessartine)の領域で分析値が集中し、確かにマン鉄ざくろ石が含まれていることが確認できた。マン鉄ざくろ石の学名は地質学者のJames Calderに因んでいる。ただし当初は定義が不十分なインド産のざくろ石の呼称に過ぎず、いったんは鉱物名のリストから消滅したが、ナミビア産のざくろ石の研究によって改めて存在が確認されたという経緯がある。

[1]森岡北水, 皆川鉄雄(1998) 四国の広域変成鉄・マンガン鉱床産garnetの固溶関係. 日本鉱物学会年会講演要旨集,P86.

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ボーレライネン石 / Vuorelainenite
ボーレライネン石 / Vuorelainenite
ボーレライネン石 / Vuorelainenite
ボーレライネン石 / Vuorelainenite
ボーレライネン石 / Vuorelainenite
Mn2+V3+2O4
愛媛県西条市丹原町鞍瀬鉱山

ボーレライネン石はスピネル超族の一種で、鉱物種としてのガラクス石から見てアルミニウム(Al)をバナジウム(V3+)に置き換えた鉱物に該当する。日本では愛媛県鞍瀬鉱山において緑色の桃井ざくろ石に伴われて黒色の微細粒として産出し、稀には典型的な三角形の面が見えることがある(上写真)。この産地では石墨も産出するため破断面での肉眼鑑定は困難だが、研磨面や反射顕微鏡下ではその存在を明瞭に認識することができる(中・下写真)。鞍瀬鉱山のボーレライネン石はほとんど端成分の組成となっていた。学名はフィンランドの岩石学者であるYrjö Vuorelainen (1922 – 1988)に因んでいる。

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ガラクス石 / Galaxite
ガラクス石 / Galaxite
ガラクス石 / Galaxite
ガラクス石 / Galaxite
MnAl2O4
三重県大山田村山田鉱山

ガラクス石はスピネル超族の一種で、鉱物種としてのスピネルから見てマグネシウム(Mg)をマンガン(Mn)に置き換えた鉱物になる。マンガン鉱床では普遍的に存在する鉱物ではあるが、通常はあまりに微細であるためその結晶を目にする機会はほとんど無い。山田鉱山では、黒色のアラバンド鉱に埋没する透明感のある飴色の結晶としてガラクス石を見つけることができる。切断面ではその存在はよりわかりやすい。学名はGalax(アメリカバージニア州)という地名に因んで命名されたが、その地名は植物の名前が由来となっている。

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スピネル / Spinel
スピネル / Spinel
スピネル / Spinel
MgAl2O4
岐阜県揖斐川町春日鉱山

スピネルは最初の産出地がもはやわからないくらい古典的な鉱物であるが、その学名は1779年に「小さく尖っている」という意味を持つラテン語に因んで命名された。しばしば赤色を示すことからルビーと間違えられることが多い。写真のスピネルはほとんど純粋なMgAl2O4で、この場合だと無色透明な結晶となる。スピネル構造は多彩な元素を収容でき、2019年3月の時点でで56種がスピネル超族としてまとめられている。

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苦土普通角閃石 / Magnesio-hornblend
苦土普通角閃石 / Magnesio-hornblend
苦土普通角閃石 / Magnesio-hornblend
Ca2(Mg4Al)(Si7Al)O22(OH)2
愛媛県四国中央市関川

苦土普通角閃石の根源名であるHornblen」は具体的に命名された経緯はなく、そのものを指す言葉が継続的に使われた結果として定着した鉱物名である。有用鉱石と見た目が似ていながらも、実際には金属を含んでいないので「欺く:blenden」という意味、それから角閃石の見た目の「角:horn」という意味の古いドイツ語に由来し、1789年にAbraham Gottlieb Wernerによって初めて使用されたとされる。そしていつの間にかHorunblendが学名として定着し、様々な岩石において普通の造岩鉱物であることから和名においては普通角閃石という冴えない呼称となっている。また現在の角閃石の分類では、マグネシウム(Mg)を主成分とする角閃石について苦土(magnesio)という接頭語を付けないことが基本となっているが、苦土普通角閃石は例外的に苦土をつけることが決められている。

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カトフォル閃石 / Katophorite
カトフォラ閃石 / Katophorite
愛媛県四国中央市伊予鉱山

カトフォル閃石 / Katophorite
カトフォル閃石 / Katophorite
愛媛県四国中央市関川

カトフォル閃石 / Katophorite
Na(NaCa)(Mg4Al)(Si7Al)O22(OH)2

カトフォル閃石はノルウェイのいくつかの産地からまとめて記載され、アルベソン閃石に対して光学Z軸がやや異なることから下に移動するという意味のギリシャ語に因んで命名された。ただしそのオリジナルの角閃石は鉄に富み、現在の分類ではフェロカトフォル閃石に該当する。そのため現在の分類が成立した2012年時点では、カトフォル閃石は名前と化学組成が定義されているのみで実物の無い仮想的な存在となった。そして2013年になりミャンマーから見出されたカトフォル閃石が改めて模式標本として記載された。三波川結晶片岩ではおそらくは普通の造岩鉱物であり、たとえば愛媛県伊予鉱山で普通に産出する角閃石はカトフォル閃石であった。また愛媛県関川の転石でクロム鉄鉱に伴われる翠緑色の角閃石もまたカトフォル閃石であり、少量のクロム(Cr)を固溶していた。

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エッケルマン閃石 / Eckermannite
エッケルマン閃石 / Eckermannite
エッケルマン閃石 / Eckermannite
NaNa2(Mg4Al)Si8O22(OH)2
新潟県糸魚川市青海川

エッケルマン閃石は1942年にスウェーデンの Norra Kärrから見いだされた角閃石について、岩石学者のHarry von Eckermannに因んで名付けられた。しかしその後に模式標本はエッケルマン閃石とは異なることが明らかとなり、エッケルマン閃石は名前と化学組成が定義されているのみで実物の無い仮想的な存在となった。2013年になりエッケルマン閃石に該当する鉱物がミャンマーから見いだされ、ミャンマー産エッケルマン閃石が改めて模式標本となった。日本では青海川の転石で、特にコスモクロアを伴う岩石の主要構成鉱物として産出する。

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カミントン閃石 / Cummingtonite
カミントン閃石 / Cummingtonite
カミントン閃石 / Cummingtonite
Mg2Mg5Si8O22(OH)2
宮城県川崎町本砂金安達

カミントン閃石はアメリカマサチューセッツ州のカミントンという地域から見いだされて命名された角閃石で、安山岩や珪質の火山岩の斑晶としてよく含まれる。よく見られる角閃石の一種であり産地は世界中に知られる。安達においては青色の菫青石が有名であるが、カミントン閃石を多く含む岩石もよく見られる。

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透閃石 / Tremolite
透明閃石 / Tremolite
透閃石 / Tremolite
Ca2(Mg5.0-4.5Fe2+0.0-0.5)Si8O22(OH)2
新潟県糸魚川市青海川

透閃石はスイスのTremola村から見いだされたことから命名された角閃石でカルシック角閃石に分類される。透閃石はマグネシウムを主成分とし、二価鉄(Fe2+)側の端成分はフェロアクチノ閃石であるが、その間にアクチノ閃石が設けられている。そのため透閃石の化学組成の範囲は例外的に狭く、Mg5.0-4.5Fe2+0.0-0.5のものに限られる。日本では青海川の転石でよく見られる。

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パーガス閃石 / Pargasite
パーガス閃石 / Pargasite
長野県富士見町

パーガス閃石 / Pargasite
愛媛県睦月島

パーガス閃石 / Pargasite
NaCa2(Mg4Al)(Si6Al2)O22(OH)2

パーガス閃石はフィンランドのパーガス村から最初に見いだされ、発見地の名前に因んで命名された。産状や形態も非常に多様な角閃石で、化学組成も複雑なために分析無しに同定することはほぼ不可能。富士見町の角閃石は安山岩の斑晶として含まれており、一般には普通角閃石と言われているが分析してみたところパーガス閃石であった。愛媛県睦月島ではパーガス閃石は石灰岩中のレンズとして産出する。

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フェロゼードル閃石 / Ferro-gedrite
フェロゼードル閃石 / Ferro-gedrite
フェロゼードル閃石 / Ferro-gedrite
□Fe2+2(Fe2+3Al2)(Si6Al2)O22(OH)2
岐阜県恵那市笠置町河合鉱山

根源名のゼードル閃石はフランスのGèdresから最初に見つかったことから命名された。和名では礬土直閃石(ばんどちょくせんせき)と呼ばれることがあるが、カタカナ読みのほうが良いと思える。フェロゼードル閃石はマグネシウム(Mg)を端成分とするゼードル閃石からみて、二価鉄(Fe2+)の置換体に該当する。河合鉱山のフェロゼードル閃石はかつてアルミニウムに富む鉄直閃石と呼ばれていたが、科博の研究チームによってフェロゼードル閃石と同定された。写真の標本を分析してみたとこと確かにフェロゼードル閃石であった。

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カリ苦土アルベソン閃石 / Potassic-magnesio-arfvedsonite
カリ苦土アルベソン閃石 / Potassic-magnesio-arfvedsonite
カリ苦土アルベソン閃石 / Potassic-magnesio-arfvedsonite
KNa2(Mg4Fe3+)Si8O22(OH)2
大分県佐伯市下払鉱山

根源名のアルベソン閃石は1823年に命名され、リチウム(Li)の発見者であるJohan August Arfvedson(1792-1841)に因んでいる。そしてカリ苦土アルベソン閃石に該当する角閃石はイギリスで1982年に見出されていたが、鉱物種としてはブルガリア産の標本を用いた研究によって2016年になって新種に認定された。下払鉱山ではナマンシル輝石を含み紫色を帯びた岩石を切る小さい脈中に、淡青色の繊維状集合となってカリ苦土アルベソン閃石が産出する。分析は2016年よりも早く行っていたが、あまりに細い結晶のために構造データを取得できずにいた。

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リーベック閃石 / Riebeckite
リーベック閃石 / Riebeckite
リーベック閃石 / Riebeckite
Na2(Fe2+3Fe3+2)Si8O22(OH)2
高知県本山町下川鉱山

本山町にある下川鉱山は白滝鉱山の支山として稼働し、含銅硫化鉄鉱鉱床で黄銅鉱や斑銅鉱を主要鉱石としていた。今でも広大なズリが残っており、その中に黄銅鉱を含む暗青色の角閃岩が点在する。主体となる角閃石は鉱物種として藍閃石(Glaucophane)と言われているが、調べてみたところリーベック閃石であった。藍閃石とリーベック閃石はアルミニウム(Al)と三価鉄(Fe3+)の多少で分けられ、アルミニウム>三価鉄ならば藍閃石で、三価鉄>アルミニウムならリーベック閃石となる。リーベック閃石はドイツ人探検家・鉱物学者・民俗学者のEmil Riebeck (1853-1885)にちなんで1888年に名付けられた。

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フェリウィンチ閃石 / Ferri-winchite

フェリウィンチ閃石&トワイディル石
愛媛県砥部町古宮鉱山。ブラウン鉱石中の白色繊維状の鉱物がフェリウィンチ閃石で、濃赤色の粒はトワイディル石(Twiddellite)。

フェリウィンチ閃石 / Ferri-winchite
和歌山県禰宜鉱山

フェリウィンチ閃石 / Ferri-winchite
(NaCa)(Mg4Fe3+)Si8O22(OH)2

学名の根源となっているウィンチ閃石(Winchite)はイギリス人地質学者Howard J. Winchに因んで命名された。アルミニウム(Al)を主成分とするウィンチ閃石からみてその三価鉄(Fe3+)の置換体となる角閃石がフェリウィンチ閃石である。最近は角閃石をよく分析しているところで、フェリウィンチ閃石はなかなか多様な産状を示すことがわかってきた。古宮鉱山ではブラウン鉱石中の白色繊維状で産し、分析結果を解析したところ少量のリチウム(Li)が含まれると思われる。禰宜鉱山産はリーベック閃石に似た青緑色を示すが、組成はフェリウィンチ閃石に該当していた。

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鉄水鉛華 / Ferrimolybdite
鉄水鉛華 / Ferrimolybdite
鉄水鉛華 / Ferrimolybdite
Fe3+2(Mo6+O4)3·7H2O
栃木県日光市浅田水鉛銅山

二次鉱物である鉄水鉛華は主に輝水鉛鉱の分解によって生じ、黄色の繊維状集合で産出する。古典的な鉱物で発見当時は含水モリブデン三酸化物(hydrated molybdenum trioxide)と呼ばれていた。後に鉄も含むことが注目され、鉄とモリブデンに因んだ学名へ変更された。

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翠銅鉱 / Dioptase
翠銅鉱 / Dioptase
翠銅鉱 / Dioptase
CuSiO3·H2O
静岡県下田市河津鉱山

翠銅鉱はその名が示すとおり典型的には翠緑色をした鉱物であり、発見当時はエメラルドに間違えられたという逸話が知られている。一方でその典型的な色が出ていない場合、翠銅鉱と鑑定することは難しい。写真の翠銅鉱は河津鉱山から産出した標本で、翠緑色とはほど遠い色合いとなっているが、調べたところ翠銅鉱であった。翠銅鉱の学名は結晶内部の劈開が透けて見えたという意味のギリシア語に由来する。

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自然金 / Gold
自然金 / Gold
鹿児島県南九州市知覧町赤石鉱山

自然金 / Gold
鹿児島県伊佐市菱刈鉱山

自然金 / Gold
Au

自然金はとくに解説を必要としないほどなじみのある鉱物であり、ここではあえて一般的ではない標本を取り上げる。薩摩半島の南部には南薩摩型と呼ばれる金鉱床が存在し、いくつかの金鉱山が集まっている。そのなかで赤石(あけし)鉱山の鉱石は高品位であることが知られ、鉱石中には肉眼的にもそれとわかる自然金(いわゆる「とじ金」)が点在する。そのとじ金はまるでカステラのようなふわっとした形態となっている。また、めずらしい産状だと思うが、板状の磁硫鉄鉱の上に自然硫黄を伴いながら微小粒の自然金が生じている標本がある。しかも必ず磁硫鉄鉱の中央に鎮座するという特徴がある。学名のGoldは8世紀ごろに出現した古い英単語で、色を暗示しているさらに古いいくつかの単語に基づくとされる。

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パレンツォーナ石 / Palenzonaite
パレンツォーナ石 / Palenzonaite
パレンツォーナ石 / Palenzonaite
(NaCa2)Mn2+2(VO4)3
鹿児島県奄美大島大和鉱山

パレンツォーナ石はガーネット超族の一員で、バナジウムを主成分とする鉱物である。ブラウン鉱を主体とする鉱石を切る石英脈中に生じ、ワインレッドでダイヤモンド光沢を示す結晶が典型的とされる。1987年にイタリアから見出され、Genoa大学の化学者であるAndrea Palenzonaに因んで命名された。日本では2008年に大和鉱山から見出された。

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ナビア石 / Nabiasite
ナビア石 / Nabiasite
鹿児島県奄美大島大和鉱山

ナビア石 / Nabiasite
埼玉県飯能市小松鉱山

ナビア石 / Nabiasite
BaMn9(VO4)6(OH)2

ナビア石は1999年にフランス中央ピレネーのNabiasから見出され、地名に因んで命名された。ナビア石はダイヤモンド光沢を示す濃赤色の結晶として産出し、パレンツォーナ石とは一見して区別しがたいが、結晶が大きい場合だとナビア石のほうが光沢が強く結晶の色が濃いことがわかる。日本では肉眼的なサイズのナビア石は大和鉱山と小松鉱山から報告された。

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ロスコー雲母 / Roscoelite
ロスコー雲母 / Roscoelite
ロスコー雲母 / Roscoelite
KV3+2(Si3Al)O10(OH)2
鹿児島県奄美大島大和鉱山

ロスコー雲母はイギリス人化学者の Sir Henry Enfield Roscoeに因んで命名された雲母族の鉱物で、アメリカのStuckslager鉱山を原産地としている。今では多くの産地が知られ、日本でも1964年に大和鉱山から産出が報告されており、群馬県茂倉沢鉱山からも産出が知られる。緑色の鱗片状結晶が集合した姿で産することが多いためその形状はしばしば「青のり状」と称される。

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玉滴石 / Hyalite
玉滴石 / Hyalite
香川県坂出市五色台

玉滴石 / Hyalite
玉滴石 / Hyalite
愛媛県上島町岩城島

玉滴石 / Hyalite
SiO2 · nH2O

玉滴石はオパールの亜種として認識されており、そのものが単独の鉱物種として認定されておらず、ガラスのような透明感を持つ小さな塊が不規則に集合したものを指す。ただしガラス状ではない標本でも、微量のウラン(U)を含み緑色の蛍光を示す非晶質シリカであれば玉滴石と呼ぶ。つまり厳密な定義はない。玉滴石には様々な産状があり、五色台では讃岐岩と称される緻密な安山岩の晶洞に固まった水あめのような集合が認められた。岩城島の玉滴石は微量のウラン(U)を含み、緑色の蛍光を示す。一般的には石英の上に生じる産状が多いと思われるが、残念ながらそういった標本を所有していない。英名はガラスを意味するギリシャ語に由来する

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ソグディア石 / Sogdianite
ソグディア石 / Sogdianite
ソグディア石 / Sogdianite
ソグディア石 / Sogdianite
ソグディア石を含む岩石の断面写真(上)、短波紫外線照射で微弱な青色に蛍光するソグディア石(中)、SEM写真中の中央はジルコンでそれを包む中間的なコントラストがソグディア石(下)

ソグディア石 / Sogdianite
KZr2Li3Si12O30
愛媛県上島町岩城島

ソグディア石は中央アジアのソグディアナ地方から発見された鉱物で、名前も地名に因む。杉石の仲間であり、杉石の模式地である愛媛県岩城島からも産出する。ジルコンを包み込む産状が典型で、短波長の紫外線では微弱ながら青い蛍光を示す。あらかじめ電子顕微鏡で存在を確認した後であれば、その姿を写真に納めることは可能。

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エカナ石 / Ekanite
エカナ石 / Ekanite
エカナ石 / Ekanite
エカナ石 / Ekanite
エカナ石を含む岩石の断面写真(上)、短波紫外線照射で緑色に蛍光するエカナ石(中)、SEM写真中では明るいコントラストを示すエカナ石(下)

エカナ石 / Ekanite
Ca2ThSi8O20
愛媛県上島町岩城島

エカナ石は宝石の原石として持ち込まれた標本から見出された鉱物で、宝石学者のF.L.D. Ekanayakeに因んで命名された。日本では愛媛県岩城島から産出の報告がある。岩城島のエカナ石は微細で無色透明なため、その存在を確かめるには電子顕微鏡が必要となる。その一方でエカナ石は短波紫外線で微弱ながら緑色蛍光を示すことから、あらかじめ電子顕微鏡で存在を確認した後であれば、その姿を写真に納めることは可能。

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ヘヒツベルグ石 / Hechtsbergite

ヘヒツベルグ石 / Hechtsbergite
ヘヒツベルグ石 / Hechtsbergite
Bi2(VO4)O(OH)
福岡県福岡市西区今宿長垂山

長垂山のペグマタイトからはリチウムを主成分とする鉱物が多産することが古くから知られていたが、2012年に九州大学の研究チームによって複数のバナジウム酸塩鉱物が見出された。その一つがヘヒツベルグ石であり、文献ではクーク石中に埋没する産状が報告されている。写真の標本はウェイランド石(Waylandite)というラベルであったが、分析したところヘヒツベルグ石であった。ヘヒツベルグ石は1995年にドイツのHechtsberg採石所で発見され、産地に因んで命名されている。

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ウェイランド石 / Waylandite
ウェイランド石 / Waylandite
ウェイランド石 / Waylandite
ウェイランド石 / Waylandite
BiAl3(PO4)2(OH)6
静岡県下田市河津鉱山

ウェイランド石はウガンダで発見された鉱物で、ウガンダ地質調査所の初代所長であったEdgar James Wayland(1888-1966)に因んで命名された。日本では1999年に静岡県河津鉱山から産出が報告され、後に長野県金鶏鉱山や福岡県長垂山からも産出が確認された。河津鉱山では石英の晶洞中に半透明~白色の菱面体結晶として産出する。

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銅藍 / Covellite
銅藍 / Covellite
銅藍 / Covellite
CuS
静岡県下田市河津鉱山

銅藍は古典的な鉱物で、1832年には発見者であるNiccolo Covelli(1790-1829)に因んで命名されている。イタリアからはじめに見出されたが、今では世界中で産出が知られる普遍的な鉱物として認識されている。河津鉱山でも皮膜状で産出することが非常に多いが、稀に石英の晶洞で六角形の結晶として観察される。虹色を帯びた藍青色を特徴とする。

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カルジルチ石&ジルコノ石 / Calzirtite & Zirconolite
カルジルチ石&ジルコノ石 / Calzirtite & Zirconolite
カルジルチ石 / Calzirtite : Ca2Zr5Ti2O16
ジルコノ石 / Zirconolite : CaZrTi2O7
愛媛県今治市小大下島

愛媛県小大下島ではエメリーと呼ばれる硬質で暗黒色の岩石が石灰岩中に小規模に伴われる。変質を受けたエメリーは灰チタン石(白色部)を生じ、その中に褐色結晶としてカルジルチ石およびジルコノ石が産出する。肉眼では区別できないが粒の中で両種が混在していることが多い。いずれも化学組成に由来する学名となっている。

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輝蒼鉛鉱 / Bismuthinite
輝蒼鉛鉱 / Bismuthinite
輝蒼鉛鉱 / Bismuthinite
Bi2S3
北海道登別市幌別鉱山

輝蒼鉛鉱(Bi2S3)は輝安鉱(Sb2S3)と完全固溶体を形成し、両者は肉眼的にも類似の結晶となりる。いずれも銀白色を呈する柱状から板状結晶で、幌別鉱山ではそのどちらも産出し、中間的な化学組成を示す灰色柱状結晶については幌別鉱と呼ばれた。写真の結晶はBi1.56Sb0.50S2.95の化学組成で、輝安鉱成分をやや含むものの鉱物種としては輝蒼鉛鉱となる。自然ビスマスの周囲に伴われる産状もまた多い。その際は色を目安に鑑定する。学名は化学組成に因んでいる。

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イットリウムゼノタイム&セリウムモナズ石 / Xenotime-(Y) & Monazite-(Ce)
ゼノタイム&モナズ石 / Xenotime-(Y) & Monazite-(Ce)
イットリウムゼノタイム / Xenotime-(Y) : YPO4
セリウムモナズ石 / Monazite-(Ce) : CePO4
福島県玉川村川辺鉱山

希土類元素の単純リン酸塩鉱物は、イオン半径の大きなイットリウム(Y)およびイッテルビウム(Yb)では正方晶系のゼノタイム型構造となり、イオン半径の小さな希土類元素だとモナズ石型構造となる。両者はしばしば共存することが知られ、福島県川辺鉱山からはどちらも産出した。ゼノタイムの学名はギリシャ語で無駄と名誉を意味している。かつてベルセリウスはゼノタイムから初めてイットリウムを分離したと主張したが、残念ながらそれはすでに発見されてたという経緯が由来とされる。モナズ石のほうは最初に知られていた産地では稀少であったので、単独を意味するギリシャ語に因んでいる。

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ランキン石&キルコアン石 / Rankinite & Kilchoanite
ランキン石&キルコアン石 / Rankinite & Kilchoanite
ランキン石 / Rankinite (中央透明粒)
キルコアン石 / Kilchoanite(ランキン石周囲の白色雲状)
Ca3Si2O7
岡山県高梁市備中町布賀西露頭

ランキン石とキルコアン石は同じ化学組成で結晶構造が異なる関係となっている。岡山県布賀から産出するスパー石(Spurrite)中には普遍的に含まれているが、破断面からの区別は私にはできない。切断研磨した標本では紫色のスパー石と明瞭なコントラストを示し、キルコアン石は白色雲状に見え、ランキン石はその中心に透明な粒として産出する。ランキン石は1942年に北アイルランドから見出され、物理化学者のGeorge Atwater Rankin (1884-1963)に因んで命名された。キルコアン石については1961年にスコットランドのKilchoanから発見され、学名も発見地に因む。

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ストラコフ石 / Strakhovite
ストラコフ石 / Strakhovite
ストラコフ石 / Strakhovite
オープン(上)とクロス(下)

ストラコフ石 / Strakhovite
NaBa3(Mn2+,Mn3+)4[Si4O10(OH) 2][Si2O7]O2·(F,OH)·H2O
大分県佐伯市下払鉱山

ストラコフ石はロシアのハバロフスク地方にあるマンガン鉱山を原産地とする稀少鉱物で、その他には大分県下払鉱山しか産地は知られていない。下払鉱山のストラコフ石はブラウン鉱塊を切る石英脈中に緑色柱状結晶として産出するが、微細なため薄片で観察することになる。高い屈折率と強い分散を特徴とし、多色性にも富む。学名は岩石学者のNikolai Mikhailovich Strakhov(1900-1978)に因んでいる。

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針ニッケル鉱 / Millerite
針ニッケル鉱 / Millerite
針ニッケル鉱 / Millerite
NiS
大分県豊後大野市三重町若山鉱山

針ニッケル鉱は広域変成岩に伴われる炭酸塩鉱物中にはそれなりに含まれている。その一方でその姿は実体顕微鏡でも認識が困難なほど小さい。若山鉱山ではメノウ中に放射状集合で含まれており十分認識できるサイズで産出する。その断面では独特の産状がよく見える。学名はミラー指数を考案した William Hallowes Miller(1801-1880)に因んでおり、日本では形状と化学組成を反映した和名で呼ばれる。

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硫砒銅鉱/ Enargite
硫砒銅鉱 / Enargite
鹿児島県枕崎市春日鉱山

硫砒銅鉱 / Enargite
静岡県下田市河津鉱山

硫砒銅鉱 / Enargite
Cu3AsS4

硫砒銅鉱は様々な金属鉱床に少なからず伴われるので産地そのものは多いが、標本とするには外形が認識できるものにしたい。そういった意味で鹿児島県春日鉱山の硫砒銅鉱は外見がよくわかる標本として知られている。灰黒色もしくは黒色の板状結晶で産出し、いわゆる頭と称される結晶端は平面であることも多いが、三角に尖ることもある。また硫砒銅鉱と同じ化学組成でルソン銅鉱が知られるが、それらは同質異像の関係となっている。硫砒銅鉱は完全な劈開を持ち、それを示唆する明瞭という意味のギリシア語から命名されている。和名は化学組成に由来する。

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かんらん岩捕獲岩/ Peridotite Xenolith
かんらん岩捕獲岩 / Peridotite Xenolith
ハルツバージャイト / Harzburgite
かんらん岩捕獲岩 / Peridotite Xenolith
佐賀県唐津市高島

マグマが地下深部から地上に急激に上昇する際に周囲の岩石を巻き込むことがしばしば起こりうる。その際に捕獲された岩石のことを捕獲岩と呼び、それは人類が行くことのできない地下深部の貴重な情報を保有している。高島で認められる玄武岩にはかんらん岩をはじめとした多種の岩石が捕獲岩として見つかっており、その多様さは地下深部の岩石構成に起因していると考えられている。写真では中央のうぐいす色で粗い粒の集合体が捕獲されたかんらん岩で、その周囲が玄武岩となる。このかんらん岩はハルツバージャイトに分類される。

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イットリウムロッカ石/ Lokkaite-(Y)
イットリウムロッカ石 / Lokkaite-(Y)
イットリウムロッカ石/ Lokkaite-(Y)
CaY4(CO3)7·9H2O
佐賀県唐津市肥前町満越

学名をフィンランドの鉱物学者Lauri Lokka (1885–1966)に因み、最初は花崗岩ペグマタイトから発見された。日本では佐賀県の東松浦半島に分布する玄武岩中に、ロッカ石をはじめとした希土類を含む炭酸塩鉱物の産出が知られる。満越においては玄武岩の空隙に白色板状結晶が放射状に集合する姿で見いだされた。

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コスモクロア輝石/ Kosmochlor
コスモクロア輝石 / Kosmochlor
コスモクロア輝石 / Kosmochlor
新潟県糸魚川市 緑色粒の部分がコスモクロア輝石。分析値:(Na0.96Ca0.01)Σ0.97(Cr0.89Al0.08Fe0.03Mg0.01)Σ1.02Si2.00O6

コスモクロア輝石 / Kosmochlor
高知県日高村 黒色のクロム鉄鉱を縁取る緑色部がコスモクロア輝石。分析値:(Na0.94Ca0.02)Σ0.96(Cr0.64Al0.17Fe0.15Mg0.02)Σ0.99Si2.02O6

コスモクロア輝石 / Kosmochlor
高知県標本の薄片写真(オープン) 宇宙の緑と名付けられるほどのユニークな色合いは薄片で観察される

コスモクロア輝石 / Kosmochlor
NaCrSi2O6

コスモクロア輝石は隕石から最初に見出された緑色の輝石族鉱物であり、その学名はギリシア語で宇宙(kosmo)と緑色(chlor)を意味している。記載論文がScienceに掲載されるなどその産出は注目された。日本では岡山県大佐山、新潟県糸魚川市、高知県日高村から見いだされている。コスモクロア輝石は岩石中で濃い緑色の微小粒として産出するが、そのままでは特徴はあまり際立たない。実は宇宙の緑と形容されるユニークな色合いは薄片で観察される。この緑には神秘的な趣がある。

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ゴールドマンざくろ石 / Goldmanite
ゴールドマンざくろ石 / Goldmanite
ゴールドマンざくろ石 / Goldmanite
ゴールドマンざくろ石 / Goldmanite
Ca3V3+2(SiO4)3
埼玉県飯能市上名栗小松鉱山

小松鉱山は層状マンガン鉱床であるがバナジウムに富む鉱物が産出することでも知られる。方解石の脈に伴って産出する緑色のざくろ石を分析したところ著量のバナジウムが検出され、これはゴールドマンざくろ石に該当していた。ゴールドマンざくろ石はニューメキシコのSandy鉱山から最初に見いだされ、アメリカ地質調査所の堆積岩岩石学者のMarcus Isaac Goldman(1881-1965)に因んで命名された。海外では黄色を示すゴールドマンざくろ石が知られているが、日本でみられるものはすべて緑色となっている。

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苦土電気石 / Dravite
苦土電気石 / Dravite
愛媛県四国中央市関川

苦土電気石 / Dravite
福島県郡山市湖南町月形鉱山

苦土電気石 / Dravite
長野県茅野市金沢金鶏鉱山

苦土電気石 / Dravite
NaMg3Al6(Si6O18)(BO3)3(OH)3(OH)

苦土電気石は最も普遍的に産出する電気石の一つで、多様な産状や形態を示す。結晶が細いとわずかに緑色を帯びた透明結晶となることが多いが、結晶が大きいと褐色が強く出てくる。色は化学組成にも影響を受け、クロム(Cr)を多く含む結晶は爽やかな緑色を帯びる。学名はスロベニアのDrau川(ラテン語でDrave)に由来し、和名は化学組成と族名に基づいた名称になっている。電気石族の鉱物は過熱や摩擦で静電気を強く帯びるため、電気石の名がついた。

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レッピア石 / Reppiaite
レッピア石 / Reppiaite
レッピア石 / Reppiaite
Mn2+5(VO4)2(OH)4
鹿児島県奄美大島大和鉱山

濃い赤褐色の板状結晶を示す鉱物でイタリアのジェノバ県レッピアを原産地とする。名前も原産地に因んでいる。1991年に発見されているが世界的にも産出は希で、原産地以外ではスイスで産出が知られるだけであった。日本では鹿児島県大和鉱山産のものが2018年の鉱物科学会において発表され、世界でも3番目の発見となった。

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滑石 / Talc
滑石 / Talc
滑石 / Talc
Mg3Si4O10(OH)2
長野県茅野市向谷鉱山

もっとも軟らかい鉱物であり、相対的な硬さの基準として10段階の設定があるモース硬度において「1」の基準になっている。乳白色で真珠光沢があり触るとスルっと滑るような感覚がある。産業的にも重要な鉱物でベビーパウダー、化粧品、医薬品にも使われる。伝えられるところによれば、アラビア語の「talq」が学名の由来とされている。意味の詳細は不明だが、色のことを示しているらしい。

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セリウムフローレンス石 / Florencite-(Ce)
セリウムフローレンス石 / Florencite-(Ce)
セリウムフローレンス石 / Florencite-(Ce)
CeAl3(PO4)2(OH)6
長野県茅野市金鶏鉱山

金鶏鉱山は武田信玄ゆかりの金山として名をはせていたが、愛石家にとってはいくつかの稀産鉱物の産地として知られている。その一つがセリウムフローレンス石であり、ピンク~紫色を帯びる柱状結晶は、発見当初は紫水晶と思われていたようだ。明礬石超族の一員で、ブラジルで最初に発見された。ブラジル人鉱物学者のWilliam Florence (1864-1942)に因み命名されている。

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ヘドレイ鉱 / Hedleyite
ヘドレイ鉱 / Hedleyite
長野県茅野市金沢向谷鉱山

ヘドレイ鉱 / Hedleyite
ヘドレイ鉱 / Hedleyite(黒色部)
Bi7Te3
大分県木浦鉱山金子坑

ヘドレイ鉱はビスマス(Bi)とテルル(Te)からなる鉱物で、硫テルル蒼鉛鉱族の一員である。硫テルル蒼鉛鉱族はどれも似たような外観になりがちだが、ヘドレイ鉱だけはいつも黒く風化する。新鮮な断面では錫に似た白色を呈する。ブリティッシュコロンビア州(カナダ)にあるHedleyという小さな町から最初に見いだされたことから命名された。

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デューク石 / Dukeite
デューク石 / Dukeite
デューク石 / Dukeite
Bi3+24Cr6+8O57(OH)6·3H2O
長野県茅野市金鶏鉱山

ビスマスとクロムは地球の中で全く異なった挙動をするため、それらを主成分とするデューク石の産出は世界的にもたいへんめずらしい。クロム酸塩鉱物であるが、大きくみると硫酸塩鉱物の一員という分類になる。金鶏鉱山ではもともとクロムを含有する岩石に、ビスマスを含む熱水があとからやってきたと考えられている。ディーク石の名前はアメリカのディーク大学に因んでいる。大学に保管してあった標本からデューク石が見いだされたことに由来する。

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白雲母 / Muscovite
白雲母 / Muscovite
白雲母 / Muscovite
KAl2(Si3Al)O10(OH)2
長野県茅野市金鶏鉱山

少量のクロムを含み緑色を帯びる白雲母のことをフクサイトと呼ぶ。かつては独立の鉱物種として数えられていたが、今では白雲母(muscovite)とクロム雲母(chromphyllite)の中間的な組成を持つ雲母に対する通称ということで落ち着いた。長野県茅野市の金鶏鉱山には大量のフクサイトをもつ岩肌が露出している。黄色いところは鉄さびのせいだがフクサイトの緑とちょうど良いバランスになっていた。

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コンネル石 / Connellite
コンネル石 / Connellite
コンネル石 / Connellite
Cu19(SO4)(OH)32Cl4·3H2O
鹿児島県薩摩川内市双子島

銅を主成分とする二次鉱物ですっきりとした青色を特徴とする。化学組成には硫酸基が含まれるが非常に少ないため分類としてはハロゲン化物になる。コンネル石はスコットランドの化学者・鉱物学者のArthur Connell(1794-1863)に因んで命名された。海外では19世紀には知られた鉱物だが、日本では1980年になって双子島から見いだされたのが最初となる。

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グラシャン鉱 / Graţianite
グラシャン鉱 / Graţianite
グラシャン鉱 / Graţianite
MnBi2S4
群馬県みどり市萩平鉱山

Graţian Cioflica (1927–2002)に因んで命名されたグラシャン鉱は2013年にルーマニアから報告された。日本では1980年代に同じ化学組成を持つ鉱物が少量が見いだされ、2018年の鉱物科学会でそれはやはりグラシャン鉱と同一であることが報告された。群馬県産のグラシャン鉱は本家よりも端成分に近いが少量のインゴダ鉱を伴う。それらは肉眼的には区別できない。

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フェリゴーセ閃石 / Ferri-ghoseite
フェリゴーセ閃石 / Ferri-ghoseite
フェリゴーセ閃石 / Ferri-ghoseite
□(NaMn2+)(Mg4Fe3+)Si8O22(OH)2
福島県いわき市御斎所鉱山

フェリゴーセ閃石は2013年に誕生した角閃石で、Subrata Ghose (1932-2015)に因んで命名された。2018年の鉱物科学会では和歌山県飯盛鉱山から報告されたが、それはマグネシオリーベック閃石と混合しており、実体は数十ミクロン程度と非常に小さかった。一方で写真の御斎所鉱山産の角閃石は他の角閃石との混合は無く、見たまま全体がフェリゴーセ閃石という大きな標本である。
分析値:(□0.75Na0.23K0.01)Σ1(Na1.20Mn2+0.73Ca0.07)Σ2(Mg3.28Mn2+0.49Fe2+0.27Fe3+0.83Al0.12)Σ5Si8O22(OH)2

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コウルス沸石 / Cowlesite
コウルス沸石 / Cowlesite
コウルス沸石 / Cowlesite
コウルス沸石 / Cowlesite
Ca(Al2Si3)O10·5-6H2O
島根県隠岐の島西ノ島町国賀

玄武岩の空隙を埋めるように球状の集合体で産出することが典型で、一つの結晶は西洋剣のような姿をしている。世界的にはコウルス沸石はアメリカとカナダから同時に発見され、アメリカ人の鉱物コレクターJohn Cowles(1907-1985)に因んで1975年に命名された。日本での発見もほぼ同時期とされ、島根県隠岐の島西ノ島町国賀から見出されている。

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石膏 / Gypsum
石膏 / Gypsum
石膏 / Gypsum
Ca(SO4)·2H2O
山形県山形市蔵王温泉酢川

蔵王温泉の元になっている硫酸酸性水が岩石の粘土化と石膏の結晶化を進め、酢川沿いに分布する粘土には石膏の結晶が胚胎されている。結晶は様々な形態を示すが、写真には菱形状の結晶を並べた。古代から知られている鉱物であり、古代ギリシャの博物学者テオプラトスによって漆喰を意味するギリシア語に基づいて名付けられたとされる。

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カコクセン石 / Cacoxenite
カコクセン石 / Cacoxenite
栃木県今市市猪倉文挟クレー鉱山

カコクセン石 / Cacoxenite
高知県高知市豊田

カコクセン石 / Cacoxenite
Fe3+24AlO6(PO4)17(OH)12·75H2O

割とどこにでも顔を出す鉱物だが、かなり小さいためしばしば見落とされる。一方でこの鉱物に気づいてよく観察するとなかなかかわいい面構えをしている。カコクセン石は鉄を主成分とする鉱石にも現れるが、カコクセン石に含まれるリン成分は鉄の精錬を阻害する。そのため「悪いお客さん」を意味するギリシャ語が学名の由来となっている。

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ガイロル石 / Gyrolite
ガイロル石 / Gyrolite
ガイロル石 / Gyrolite
NaCa16(Si23Al)O60(OH)8·14H2O
山梨県大月市初狩町

「回転する」という意味のギリシャ語から名付けられた鉱物で、葉片状の結晶が放射状に集合する産状が非常に多い。写真は山梨県大月市初狩町から産出した標本で、断面しか見えていないがこの鉱物の典型的な産状をよく示している。

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コラロ石 / Coralloite
コラロ石 / Coralloite
コラロ石 / Coralloite
Mn2+Mn3+2(AsO4)2(OH)2・4H2O
福島県いわき市御斎所鉱山

2010年にイタリアから見つかった鉱物で、コレクターのGiorgio Corallo (b. 1937)に因んで命名された。コラロ石は濃赤褐色を示し、ルーペでは粉状に認識されるがSEMでは不定型な板状結晶の集合が観察された。二酸化マンガンを密接に伴い、無色透明のミゲルロメロ石を伴うことが多い。御斎所鉱山産のコラロ石はこれまで赤色ガイガー石と認識されてきたようだが、ガイガー石それ自体はほぼ無色透明な板状結晶であった。そのように認識された経緯はよくわからない。

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パラブランド石 / Parabrandtite
パラブランド石 / Parabrandtite
パラブランド石 / Parabrandtite
Ca2Mn2+(AsO4)2・2H2O
福島県いわき市御斎所鉱山

ブランド石/Brandtiteと化学組成が同じで構造が異なる鉱物で、ブランド石の多形としてParaの接頭語を冠する。1986年にアメリカから見つかった。御斎所鉱山においてパラブランド石は絹色光沢を示す白色~淡橙色の被膜として産出し、結晶は実体顕微鏡では認識できないが単なる粉状ではなく微細な鱗片状が集合したような印象を受ける。MindatによるとAlfredo Petrov氏が所有していた御斎所鉱山の標本がパラブランド石だったとされるが、文献として第二産地はこれまで正式には報告されていなかった。

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ガイガー石 / Geigerite
ガイガー石 / Geigerite
ガイガー石 / Geigerite
Mn2+5(AsO4)2(AsO3OH)2·10H2O
福島県いわき市御斎所鉱山

1985年にスイスから見つかった鉱物で、鉱物学冶金学者のThomas Geiger (1920 – 1990)に因んで命名された。御斎所鉱山からは1990年に産出が報告されており、淡緑灰色のガラス光沢を有する長板状結晶集合とある。一連の研究で再発見したこのガイガー石は無色透明の板状結晶が放射状に集合した姿だった。結晶だけを見るとミゲルロメロ石と肉眼的に区別することは困難だが、産状が鑑定の手助けとなる。ミゲルロメロ石は二酸化マンガンと共存することが多いことに対し、ガイガー石は淡橙色のサーキン石を伴うのみであった。

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カステラロ石 / Casteralloite
カステラロ石 / Casteralloite
カステラロ石 / Casteralloite
Mn2+3(AsO4)2・4.5H2O
福島県いわき市御斎所鉱山

2015年にイタリアから見つかった鉱物で、コレクターのFabrizio Castellaro (b. 1970)に因んで命名された。御斎所鉱山はこれに続く産地となった。繊維状や薄板状の結晶が束状に集合し、無色透明だが強い絹糸光沢を示す。御斎所鉱山では外見がよく似た鉱物でブランド石/Brandtiteが知られており、これまでブランド石と認識されている標本の一部はこのカステラロ石ではないだろうか。

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ミゲルロメロ石 / Miguelromeroite
ミゲルロメロ石 / Miguelromeroite
ミゲルロメロ石 / Miguelromeroite
Mn2+5(AsO3OH)2(AsO4)2(H2O)4
福島県いわき市御斎所鉱山

ビリヤエレン石(Villyaellenite)のラベルが付された標本を調べたら実は新鉱物だったという発見の経緯を持ち、2008年に複数の産地から同時に見出された。無色透明だが真珠光沢を示し、放射状に集合した姿は小さいながらも美しい。日本では御斎所鉱山もその模式地の一つとして国際的に認識されているのだが、長いあいだ日本産鉱物種一覧には掲載されていなかった。それ故にミゲルロメロ石は見た目の美しさとは裏腹に日本ではほとんど認知されていないかわいそうな鉱物となっていたと言える。そのため存在を再確認したという内容で分析データを2018年の鉱物学会で発表した。学名はメキシコ人化学者のMiguel Romero Sanchez (1926-1997)に因んで命名されている。

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バラー沸石 / Barrerite
バラー沸石 / Barrerite
バラー沸石 / Barrerite
Na2(Si7Al2)O18·6H2O
長崎県平戸市船越海岸

変質の進んだ玄武岩の空隙に無色透明な板状結晶が束となって見られる。Si:Al比と陽イオンの量は異なるものの、構造のフレームワークが束沸石と共通であるため、結晶の外観はあたりまえに束沸石にたいへんよく似る。しかし束沸石とは異なる沸石で、日本では平戸市船越海岸から少量がみいだされた。バラー沸石はニュージーランド生まれの化学者・Richard Barrer (1910-1996)に因んで命名された。

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アルチニ石 / Artinite
アルチニ石 / Artinite
アルチニ石 / Artinite
Mg2(CO3)(OH)2·3H2O
北海道中川町宇戸内川

アルチニ石は絹糸光沢を有する針状結晶が放射状に集合する産状が典型で、蛇紋岩の変質に伴って生じる。日本でもいくつか産地が知られるが、宇戸内川は日本で初めてアルチニ石が見つかった産地になる。Milan大学の鉱物学者Ettore Artini (1866-1928)に因んで命名された。

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かぐや姫水晶(アメシスト / Amethyst)
アメシスト / Amethyst (かぐや姫水晶)
アメシスト / Amethyst
かぐや姫水晶
福島県南会津郡只見町

鉱物名としては石英だが、紫色を帯びているものをアメシストと呼ぶ。アメシストの産状はさまざまあるが、福島県只見町では流紋岩中の球顆の中に結晶が鎮座している。その姿を拝むために球顆を割るのだが、その際に愛らしい結晶が顔を覗かせるので、まるでかぐや姫のようだと言われている。

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月長石 / Moon Stone
月長石 / Moon stone
月長石 / Moon Stone
富山県南砺市

青色や白色の光沢を月光に見立てムーンストーンと呼ばれ、和名では月長石と呼ぶ。その名が示すように長石の仲間で、全体としてはサニディンと言える。内部は層状になっており、光がその層の間で反射されることで特徴的な光沢が醸し出される。これをシラー効果と言う。富山県富南砺市の山中には美しい月長石が産出する。

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濃紅銀鉱 / Pyrargyrite
濃紅銀鉱 / Pyrargyrite
濃紅銀鉱 / Pyrargyrite
Ag3SbS3
鹿児島県串木野鉱山

濃紅銀鉱はルビーシルバーとも称されるように、濃い紅色で銀を主成分とする鉱物である。その濃い紅色は「火」に例えられ、学名は火と銀を意味するギリシャ語が由来となっている。日本でもいくつかの産地が知られているが、中でも串木野鉱山のルビーシルバーは古典標本として親しまれている。

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灰長石 / Anorthite
灰長石 / Anorthite
北海道白老町字竹浦

灰長石 / Anorthite
自然銅(灰長石中)
東京都八丈島石積ヶ鼻
灰長石の結晶(上)と赤色部の拡大(下)

灰長石 / Anorthite
Ca(Al2Si2O8)

灰長石は苦鉄質岩の主要構成鉱物で、玄武岩や安山岩の斑晶として普遍的に認められる。北海道倶多楽湖の外輪山や、東京都八丈島や三宅島などでは一部の地域で結晶が地面にバラバラ落ちている。灰長石自体は無色から白色の結晶であるが、表面に母岩をまとうことがしばしばある。また内部にはかんらん石が包有されていることも多い。八丈島や三宅島などでは内部が赤色を呈する灰長石が見られる。そのような灰長石をサンストーンと呼び、特徴的な標本として愛石家には親しまれている。赤色部を拡大してみると赤色の液体が滲んだかのような印象を受けるが、これは直径が数十~百ナノメートル程度の細い糸状の自然銅であった。

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灰チタン石 / Perovskite
灰チタン石 / Perovskite
岡山県高梁市備中町布賀北露頭

灰チタン石 / Perovskite
灰チタン石 / Perovskite
CaTiO3
高知県いの町成山

灰チタン石は日本では比較的珍しい鉱物であるが、岡山県布賀では石灰岩に埋没した黒色八面体結晶が多く産出した。学会の巡検で訪れた際には、露頭において風化によって溶けた石灰岩上に灰チタン石がむき出しとなった姿が観察できた。成山では灰チタン石は飴色~黒色の立方形から直方形でロジン岩中に埋没している。学名はロシアの鉱物学者であるCount Lev Alekseevich Perovski (1792-1856)にち因んでおり、Perovskiは鉱物コレクターでもあったとされる。

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うずら石
うずら石
うずら石
うずら石
東京都硫黄島

東京から南へ約1200kmのところに位置する硫黄島に産し、長石の集合体で全体が1センチ程度の丸みを帯びた石。それは鶉(うずら)の羽や卵の殻にある模様のような白黒から「うずら石」と呼ばれた。現在は硫黄島には立ち入ることはできないが、戦前に採集されたものが古典標本として愛石家には親しまれている。一枚目の写真はうずら石の典型で、黒い溶岩の衣をまとった白い長石が複雑に絡み合っている。二枚目の写真は溶岩の衣がはがれ、素の長石がよく観察できる標本となっている。長石そのものは曹長石に該当するが、灰長石成分も多く含まれ、中性長石と呼ばれている。

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ゴヤズ石 / Goyazite
ゴヤズ石 / Goyazite
ゴヤズ石 / Goyazite
ゴヤズ石 / Goyazite
SrAl3(PO4)(PO3OH)(OH)6
群馬県桐生市津久原鉱山

ゴヤズ石は明礬石超族に属するリン酸塩鉱物で、日本ではこれまでに山口県の日の丸奈古鉱山と福岡県の長垂から見つかっている。しかしそれらはいずれも微細で岩石に埋もれている産状だった。津久原鉱山に産するゴヤズ石は石英の隙間に生じ、2種類の結晶形態がある。六角板状となるもの(上)とスピネルのような八面体(下)の結晶を確認した。海外の標本でもゴヤズ石は多様な結晶形態を示す。ゴヤズ石の学名はブラジルのゴイアス州の旧名Goyazに由来する。

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方解石 / Calcite
方解石 / Calcite
静岡県河津町やんだ

方解石 / Calcite
岐阜県大垣市金生山

方解石 / Calcite
方解石(短波紫外線照射)
愛媛県久万高原町高殿

方解石 / Calcite
愛媛県伊予市郡中森

方解石 / Calcite
方解石 / Calcite
鹿児島県いちき串木野市串木野鉱山

方解石 / Calcite
CaCO3

方解石は最も多産する炭酸塩鉱物であり、いわゆる大理石を構成する鉱物。鉱物の硬さにはモース硬度というスケールが知られており、方解石は硬度3の基準に設定されている。方解石は平行四辺形に割れるが、自由な空間で成長した方解石はあまりそのような形にはならない。かといって絶対にこれだという形もなく、形から鑑定できない不明鉱物を調べてみると方解石ということがよくある。学名は石灰を意味するラテン語から来ている。和名の由来ははっきりしない。方解石の名称は別の鉱物を指していたが、いつの間にかCalciteを方解石と呼ぶことが定着したようだ。明治37年発行の日本鉱物誌でもCalciteの和名に方解石を当てている。

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灰輝沸石 / Heulandite-Ca
灰輝沸石 / Heulandite-Ca
静岡県河津町やんだ

灰輝沸石 / Heulandite-Ca
三重県尾鷲市加田町

灰輝沸石 / Heulandite-Ca
島根県松江市桂島

灰輝沸石 / Heulandite-Ca
愛媛県久万高原町高殿

灰輝沸石 / Heulandite-Ca
(Ca,Na,K)5(Si27Al9)O72·26H2O

輝沸石は主成分となる交換可能な陽イオンによって種が分けられ、例えばカリウム(K)が主成分となるとカリ輝沸石(Heulandite-K)という鉱物種となる。そして灰輝沸石はいくつかある輝沸石のなかで最も一般的に産出する種である。輝沸石の学名はドイツ人鉱物コレクターのJohn Henry Heuland(1778-1856)に因んでいる。静岡県河津町やんだの海岸はもっとも手軽に輝沸石を採集できる場所のひとつであろう。産状は幅広く、玄武岩や安山岩の晶洞に発達するものから、ずっと珪質な流紋岩や花崗岩に伴われることも多い。二次的な産状では堆積岩やマンガン鉱床でも脈で産出することがある。結晶として成長すると連晶となることが多く、真珠光沢を呈する結晶面がある。小さな結晶は束沸石に似ることがあり紛らわしい。

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自然テルル / Tellurium
自然テルル / Tellurium
自然テルル / Tellurium
Te
静岡県河津鉱山

自然テルルはトランシルベニアの主任検査官だったFranz-Joseph Müllerによって、1782年にルーマニアの金山から見出された。その後、Martin Heinrich Klaprothによって1798年に新元素のテルル(Tellurium)が命名された。その語源はラテン語で地球を意味するTellusに由来する。自然テルルの結晶は自然界では稀で、多くは塊や箔で産出する。静岡県河津鉱山では結晶が産出した。

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自然水銀 / Mercury
自然水銀 / Mercury
自然水銀 / Mercury
Hg
北海道イトムカ鉱山

イトムカとは光輝く水という意味のアイヌ語。水銀鉱山というと水銀と硫黄の化合物である辰砂という真紅の鉱物が主要な鉱石になることが多いが、イトムカ鉱山は自然水銀そのものを主に採掘していた。ここでは辰砂も産出するが、その形状から芋辰砂と呼ばれている。鉱物は固体物質であることを定義としているが、液体で産出する自然水銀は例外として鉱物に認定されている。自然水銀の学名は商人や旅人の守護神であるメルクリウス(Mercurius)に由来する。しかしその学名に定まった経緯は不明である。

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チタン石 / Titanite
チタン石 / Titanite
栃木県日光市小百

チタン石 / Titanite
三重県いなべ市北勢町青川

チタン石 / Titanite
愛媛県四国中央市関川

チタン石(スフェン) / Titanite (Sphene)
高知県足摺岬

チタン石 / Titanite
CaTi(SiO4)O

この鉱物はギリシャ語でくさび形と意味する「Sphenos」から命名されたSpheneという名前であったが、それと同時にTitaniteという名前でも呼ばれていた。1982年に国際鉱物学連合の新鉱物・鉱物・命名委員会はTitaniteの方を正式な学名とすることを決めた。チタン石は透明感をもつ様々な色合いの結晶が産出するため、宝石に加工されることがある。Sphene(スフェン)という名前は今では宝石名として主に使われる。花崗岩や斑レイ岩などの深成岩に伴われるほか、三波川変成帯では角閃岩の主要構成鉱物としても産出する。赤から緑系統まで様々な色を呈する。

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水苦土石 / Hydromagnesite
水苦土石 / Hydromagnesite
水苦土石 / Hydromagnesite
Mg5(CO3)4(OH)2·4H2O
愛媛県八幡浜市頃時鼻

水苦土石は水を含むマグネシウムの炭酸塩鉱物(HYDRated MAGNESium carbonate)であることから学名が命名されている。和名はその直訳。蛇紋岩の割れ目を充てんするように産出し、小さな晶洞にみられる結晶は西洋剣のような形となる。

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菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
北海道古平町稲倉石鉱山

菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
青森県西目屋村尾太鉱山

菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
大分県豊後大野市豊栄鉱山

菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
岐阜県土岐市下石町

菱マンガン鉱 / Rhodochrosite
Mn(CO3)

菱マンガン鉱はマンガン鉱床には普通に産出するありふれた鉱物で、結晶はピンクから赤系統のいわゆるバラ色と称される色合いを示すことが多いため、学名はバラ色を意味するギリシャ語に由来する。一方で無色やオレンジ色など場合も知られ、結晶の形も一方向に伸長することがあったり、仏頭状の集合にもなるため、肉眼鑑定は必ずしも容易ではなく他の鉱物と間違えることもある。それでも菱形の結晶で産出することが多くマンガンの主要な鉱石であったことから、和名では菱マンガン鉱と呼ばれる。

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異極鉱 / Hemimorphite
異極鉱 / Hemimorphite
大分県佐伯市木浦鉱山

異極鉱 / Hemimorphite
岐阜県美濃市矢坪鉱山

異極鉱 / Hemimorphite
富山県富山市池ノ山

異極鉱 / Hemimorphite
Zn4(Si2O7)(OH)2·H2O

異極鉱は平板状であるが両端の形状が異なった結晶となる。そういったものを異極晶(hemimorphic crystal)と言い、学名・和名ともにそこから名付けられた。基本的には無色透明で、放射状の集合体となることが多い。稀に青色の集合体も認められる。

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スコロド石 / Scorodite
スコロド石 / Scorodite
スコロド石 / Scorodite
鹿児島県枕崎市春日鉱山

スコロド石 / Scorodite
大分県佐伯市木浦鉱山

スコロド石 / Scorodite
Fe3+(AsO4)·2H2O

ヒ素を含む鉱物が分解する際に真っ先に生じる鉱物で、皮膜状の産状も多いが、透明で無色から緑・青系統の美しい結晶で産出することもまた多い。加熱したときにニンニクのような臭いがすることから、ギリシャ語でニンニクを意味する「Scorodion」から学名が付けられた。和名でも葱臭石ということがある。バリシア石と同じ族の鉱物である。

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パルノー石 / Parnauite
パルノー石 / Parnauite
パルノー石 / Parnauite
Cu9(AsO4)2(SO4)(OH)10·7H2O
栃木県日光鉱山

小さな板が束になったような集合体が典型的な産状。アメリカのMajuba Hill鉱山から最初に見つかり、この産地について造詣の深い鉱物収集家John L. Parnauにちなんで命名された。

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アーセニオシデライト / Arseniosiderite
アーセニオシデライト / Arseniosiderite
アーセニオシデライト / Arseniosiderite
Ca2Fe3+3O2(AsO4)3·3H2O
宮崎県見立鉱山

砒灰鉄鉱もしくは灰砒鉄石と言ったりもする。ゴールデンイエローと表現される光沢を持ち、通常は写真のようにモコモコの集合体となる。学名は砒素と鉄を含むことに由来する。

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鋭錐石 / Anatase
鋭錐石 / Anatase
京都府京都市如意ヶ岳

鋭錐石 / Anatase
高知県高知市三谷

鋭錐石 / Anatase
TiO2

鋭錐石は鋭くとがった形態で産出することが一般的で、水晶を伴う熱水脈に生じることが多い。その色は黒・茶・黄・青など非常に多様であり、微量に含まれる元素の影響だと思われる。また鋭錐石は正方晶系であるが四角柱状にはなりにくい。ピラミッドのような斜めの面が長いことを暗示して、拡張を意味するギリシャ語が学名の由来となっている。

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ベニト石 / Benitoite
ベニト石 / Benitoite
ベニト石 / Benitoite
BaTiSi3O9
新潟県糸魚川市青海町金山谷

ベニト石はサン・ベニト川(カリフォルニア州)沿いの地域で最初に発見され(1907年)、その地名から命名された。発見者は当初は青いダイヤやサファイアと考えたという逸話がある。原産地には宝石用にカットできるほど立派な結晶が産出し、愛好家も多い。日本産のベニト石は新潟県金山谷付近の曹長岩から最初に発見された。その曹長岩からは奴奈川石や青海石といった新鉱物も発見されている。

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コニカルコ石 / Conichalcite
コニカルコ石 / conichalcite
コニカルコ石 / Conichalcite
CaCu(AsO4)(OH)
山口県喜多平鉱山

銅とカルシウムを主成分とする砒酸塩鉱物で、多くは粒状、粉状~皮膜状で産出する緑色の鉱物。山口県喜多平鉱山では結晶が産出した。学名はギリシャ語で銅を意味する「chalkos」と粉を意味する「konis」から来ている。そのため和名にも「粉銅鉱」という名前が用いられたことがあった。

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マグネサイト / Magnesite
マグネサイト / Magnesite
愛媛県四国中央市関川

マグネサイト / Magnesite
三重県熊野市波田須町

マグネサイト / Magnesite
Mg(CO3)

マグネサイトは菱形の結晶が典型的であるが、葉片状結晶の集合となることも多い。端成分であれば無色で、鉄を含むとオレンジ色や褐色を呈するようになる。マグネサイトをくさびのように取り込んだ岩石は非常に堅くて割りにくい。学名はマグネシウム(Mg)を主成分とすることに由来するが、いつ頃命名されたのかは定かではない。和名では菱苦土石もしくは菱苦土鉱と言うが、ここでは学名のカタカナ読みで表記している。

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ランシー鉱 / Ranciéite
ランシー鉱 / Ranciéite
三重県南伊勢町伊勢路

ランシー鉱 / Rancieite
静岡県下田市高根鉱山

ランシー鉱 / Ranciéite
(Ca,Mn2+)0.2(Mn4+,Mn3+)O2·0.6H2O

ランシー鉱は褐色や黒~銀灰色の薄い箔状の姿で見かけることが典型的だが、よく見るとその箔も細かい結晶の集合となっている。個人的には見たことがないが、新鮮なときは紅色を示すとされる。またやわらかいため触ると細かい粉が手にくっつく。学名は発見地のLe Rancié鉱山(フランス)に由来する。日本では静岡県高根鉱山がランシー鉱の有名産地として知られているが、名もないマンガン鉱床でふいに出くわすことがある。

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コバルト華 / Erythrite
コバルト華 / Erythrite
和歌山県大勝鉱山

コバルト華 / Erythrite
奈良県堂ヶ谷鉱山

コバルト華 / Erythrite
Co3(AsO4)2·8H2O

コバルト華は濃いピンク色が美しい二次鉱物で、コバルトを主成分とする硫化鉱物が分解する際にしばしば生じる。岩石の裂傷などに球状集合として成長した姿が典型的な産状である。海外では巨大な板状結晶が知られており、そういった結晶は非常に濃い赤色を呈する。学名は赤を意味するギリシャ語が由来となっている。

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アーセニオプレイ石 / Arseniopleite
アーセニオプレイ石 / Arseniopleite
アーセニオプレイ石 / Arseniopleite
(Ca,Na)NaMn2+(Mn2+,Mg,Fe2+)2(AsO4)3
福島県いわき市御斎所鉱山

暗い褐色の板状~柱状結晶で産出し、一見してマンガンを含むエジリンに似ているが、硬度と劈開でそれとは区別できる。学名は砒素を含むという意味の「Arsenio」と、「多い」を意味するギリシャ語「pleion」から来ている。1888年に名付けられたのだが、その当時でも砒素含有鉱物は多く知られており、それでもまた見つかったということのようだ。

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サーキン石 / Sarkinite
サーキン石 / Sarkinite
サーキン石 / Sarkinite
Mn2+2(AsO4)(OH)
福島県いわき市御斎所鉱山

サーキン石は黄橙色の針状もしくは柱状結晶で産出し、放射状に集合することがある。日本では御斎所鉱山で最初に見つかり、後に鹿児島県大和鉱山からも見つかっている。海外では古くから知られ、学名は1885年に名付けられた。肉のような赤みと脂っこい光沢を示すことから、「肉から作られた」という意味をもつギリシャ語「sarkinos」を名前の由来とする。日本では今ではサーキン石ということが多いが、かつては化学組成も考慮して「肉砒石」と呼ばれていた。

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鉄明礬石 / Jarosite
鉄明礬石 / Jarosite
鉄明礬石 / Jarosite
KFe3+3(SO4)2(OH)6
鹿児島県枕崎市岩戸鉱山

岩戸鉱山は金・銀を含む珪化岩を採掘していたいわゆる金山であり、珪化岩は一部が変質し粘土帯が発達する部分がある。鉄明礬石は多くは土状であるが、この産地のものは立方体に近い菱面体の自形を示す。学名は模式地であるBarranco Jaroso(スペイン)に由来する。和名は明礬石(Alunite)の鉄置換体ということでそう呼ばれている。

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灰鉄ざくろ石 / Andradite
灰鉄ざくろ石 / Andradite
灰鉄ざくろ石 / Andradite
Ca3Fe3+2(SiO4)3
愛媛県伊予市双海町

双海町の山奥はかつて石灰岩を掘ったようでいまもその堀跡が残されている。大きな石灰岩の露頭に安山岩が接触して小規模なスカルンが生じていた。成長丘が顕著に発達したこの灰鉄ざくろ石は安山岩側に付着する。学名はブラジルの鉱物学者、José Bonifácio de Andrada e Silva(1763-1838)にちなむ。和名は化学組成を反映している。

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毒鉄鉱 / Pharmacosiderite
毒鉄鉱 / Pharmacosiderite
広島県生口島林

毒鉄鉱 / Pharmacosiderite
大分県佐伯市木浦鉱山

毒鉄鉱 / Pharmacosiderite
KFe3+4(AsO4)3(OH)4・6-7H2O

毒鉄鉱は仰々しい名前とは裏腹に鮮やかで美しい鉱物である。その結晶はサイコロのような形になることがほとんどで、色は緑色系統が多いと思われるが、黄色や飴色の結晶もある。学名はその化学組成と性質に由来している。毒鉄鉱はヒ素と鉄を含み、主成分のヒ素には毒性がある。それらのギリシャ語をあわせて名付けられた。和名はその訳語に相当する。

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ハウスマン鉱 / Hausmannite
ハウスマン鉱 / Hausmannite
ハウスマン鉱 / Hausmannite
Mn2+Mn3+2O4
長野県浜横川鉱山

日本でも海外でもマンガン鉱床でみつかる非常にありふれた鉱物であるが、結晶標本となると限られた産地でしか見ることができない。浜横川鉱山のハウスマン鉱は菱マンガン鉱に埋没した結晶で、その破断面はぎらついた反射を見せる。学名は鉱物学者Friedrich Ludwig Hausmannにちなんでいる。かつては黒マンガン鉱と言ったりもしたが、現在ではその読みのままのハウスマン鉱が和名になっている。

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モーツァルト石 / Mozartite
モーツァルト石 / Mozartite
モーツァルト石 / Mozartite
CaMn3+(SiO4)(OH)
愛媛県上須戒鉱山

著名な音楽家Wolfgang Amadeus Mozart(1756-1791)にちなんで名付けられた鉱物。発見年は1991年。この年はモーツァルト没後200年にあたるという理由であったが、それでは鉱物と関係ないだろうということでいったんは否決された。ところが著者らは、モーツァルトが作曲した「魔笛」は錬金術と関連がありそれは鉱物学とも無関係というわけではない、というこじつけ的な主張を展開する。そして最終的に認められた。そんなモーツァルト石は日本でも産出する。愛媛県上須戒鉱山では黒色のマンガン鉱石を横断する赤褐色の脈で産出し、脈が面として割れると独特の濃赤色が一面に広がる。調べてみたところこのモーツァルト石は三価鉄を少し含んでいる。モーツァルト石からみてアルミニウム(Al)置換体はヴァニア石

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辰砂 / Cinnabar
辰砂 / Cinnabar
北海道イトムカ鉱山

辰砂 / Cinnabar
愛媛県双葉水銀鉱山

辰砂 / Cinnabar
HgS

鮮やかな赤を呈する水銀の硫化物で、日本でもその産地はいくつも知られている。辰砂は古くから顔料として利用され「朱」または「丹」と呼ばれる。学名は古代ギリシア語で緋色を意味する言葉に由来するようだ。辰砂という名前はいつの頃から使われていたのだろう。中国の辰州で多く産出したことから「辰砂(シンシャ)」と呼ばれるようになったとされる。北海道イトムカ鉱山の辰砂はその見た目から芋辰砂と呼ばれる。

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ローソン石 / Lawsonite
ローソン石 / Lawsonite
ローソン石 / Lawsonite
CaAl2(Si2O7)(OH)2·H2O
高知県高知市三谷

ヒスイ輝石と石英を主体とする非常に堅い岩石中に、炭酸塩鉱物を伴うローソン石の脈が発達している。炭酸塩鉱物がうまく溶けたところではローソン石の柱状結晶が観察できる。学名は地質学者のAndrew Cowper Lawson(1861-1952)にちなむ。ローソン石から見てバリウム(Ba)と三価マンガン(Mn3+)置換体はネールベンソン石

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真珠雲母 / Margarite
真珠雲母 / Margarite
真珠雲母 / Margarite
CaAl2Si2Al2O10(OH)2
大分県新木浦鉱山

大分県新木浦鉱山はエメリーという堅い岩石を採掘していたが、真珠雲母が入ってくると脆くなる。そういった石は捨て石として放置されていたため採集は簡単だった。写真の結晶は鉄さびがうっすら表面を覆っているためオレンジ色を呈しているが本来は無色透明である。真珠雲母は見ての通りで真珠のような光沢がある。学名は真珠を意味するギリシア語に由来している。和名はその直訳+雲母。

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自然白金 / Platinum
Platinum
自然白金 / Platinum
Pt
北海道中記念別沢川

自然白金は白金族元素のプラチナを主成分とする元素鉱物。写真の中央と上下の粒が自然白金。北海道の河川で採集される自然白金は鉄成分を多く含み、やや鈍い色合いを示すほか、一部が変色することもある。写真の左右にある銀色が強い粒はプラチナ以外の白金族元素を主成分とする元素鉱物。元素名と学名が共通であり、発見地と銀を意味するスペインに由来する。

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緑マンガン鉱 / Manganosite
緑マンガン鉱 / Manganosite
緑マンガン鉱 / Manganosite
MnO
長野県浜横川鉱山

日本国内の様々な場所のマンガン鉱床で産出するが、多くはシミのような産状であり、その特徴的な緑色は空気中ではすぐに黒色化してしまう。ところが浜横川鉱山の緑マンガン鉱は立派な結晶として産出し、美しい緑色も保たれる。学名のManganositeというのは化学組成から名付けられた。すなわちマンガン(MANGANese)と酸素(Oxygen)たち(S)から出来ている石(ITE)という意味である。和名は外見と化学組成の特徴に因む。

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エクロジャイト / Eclogite
エクロジャイト / Eclogite
エクロジャイト / Eclogite
愛媛県四国中央市関川の転石として得られるエクロジャイト

エクロジャイト / Eclogite
エクロジャイト / Eclogite
愛媛県東赤石山権現越のエクロジャイト

エクロジャイトとはざくろ石とオンファス輝石を主成分とする岩石のことで、愛媛県でその産出が知られている。関川では転石としてエクロジャイトが得られる。関川のエクロジャイトは硫砒鉄鉱を伴うことが多く、風化面や石の表面はほとんど確実に褐色に汚れている。断面から認識できる緑色がオンファス輝石で、赤色がざくろ石。淡黄色の単斜灰簾石をしばしば伴う。ざくろ石は自形であることが多く、鉱物種としては鉄ばんざくろ石になる。より変成度の高いものと区別するために関川のエクロジャイトは「エクロジャイト様岩」と言ったりする。
一方の東赤石山のエクロジャイトは関川エクロジャイトに比較してざくろ石の密度が高いが形は崩れている。オンファス輝石のほか、石英を多く含む。また、淡黄色の単斜灰簾石をしばしば伴う。このざくろ石は鉱物種として苦ばんざくろ石になる。東赤石山のエクロジャイトは最大で2.4万気圧、740℃の高圧高温環境で生成したとされる。

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ジャーリンダ石 / Dzhalindite
ジャーリンダ石 / Dzhalindite
ジャーリンダ石 / Dzhalindite
ジャーリンダ石 / Dzhalindite
In(OH)3
静岡県下田市河津鉱山

この学名をどう発音したらいいかぱっと思い浮かばないが、現地の発音を元にしてジャーリンダ石と言う和名がついている。ロシアの錫鉱山であるDzhalindaが学名の由来となっている。日本では静岡県河津鉱山から見出された。ジャーリンダ石の結晶は世界的にみても大変珍しい。

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紅安鉱 / Kermesite
紅安鉱 / Kermesite
紅安鉱 / Kermesite
Sb2OS2
鹿児島県日置市日ノ本鉱山

名前の由来からするとクリムゾン色と言うべきなのだろうか。いずれにしても一目でわかる鉱物であり、ある鉱物図鑑には紅安鉱を持ったらコレクターとしてまず一人前と書いてあった。写真中やや左下にある黄色みを帯びた透明結晶は方安鉱(Senarmontite)。学名のKermesiteはギリシャ語のkermesに由来する。Kermesというのはある種のカメムシを原料としたクリムゾン色の染料のことのようだ。そしてKermesはペルシア語でクリムゾンを意味するqurmzqからきており、qurmzqは赤い酸化・硫化アンチモンにたいする名前だったらしい。もうよくわからない。和名の方は色と化学組成に由来している。

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アルミノパンペリー石 / Pumpellyite-(Al)
アルミノパンペリー石 / Pumpellyite-(Al)
埼玉県東秩父村朝日根

アルミノパンペリー石 / Pumpellyite-(Al)
大分県大分市佐賀関

アルミノパンペリー石 / Pumpellyite-(Al)
Ca2Al3(SiO4)(Si2O7)(OH,O)2·H2O

いわゆるパンペリー石は変成度の指標になるほど普遍的な造岩鉱物であり、化学組成に基づいていくつかの鉱物種に分けられている。そのうちアルミニウム(Al)を主成分とするアルミノパンペリー石はパンペリー石族鉱物の中でもおそらく最も普遍的に産出する鉱物であろう。多くは非肉眼的な微細粒であるが、熱水脈に伴われる場合は緑色を帯びた針もしくは板状結晶となることがある。ただし端正な結晶となることは少ないという印象がある。学名はアメリカの地質学者であるRaphael Pumpelly(1837-1923)に由来している。Pumpellyは短い期間だがお雇い技術者として日本に滞在して北海道の地質調査を行ったことが知られている。

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ダンブリ石 / Danburite
ダンブリ石 / Danburite
宮崎県高千穂町土呂久鉱山

ダンブリ石 / Danburite
愛媛県新居浜市鹿森ダム付近

ダンブリ石 / Danburite
CaB2Si2O8

日本においてダンブリ石はスカルン鉱床である尾平鉱床区から多産し、特に土呂久鉱山のダンブリ石が有名となっている。ホウ素(B)を主成分に持つケイ酸塩鉱物であり、その点ではダトー石や斧石と共通する。しかしダトー石や斧石については多くの産地が知られているのに対して、ダンブリ石の産地は尾平鉱床区以外ではほぼない。そのため愛媛県鹿森ダム付近でダンブリ石を見つけたときは驚いた。母岩は広域変成岩である三波川結晶片岩であり、見つかっていないだけでダンブリ石はもっと広範囲に分布しているのかもしれない。学名はダンブリ石が発見されたDanbury(アメリカ)に由来する。ニューヨークから100キロほど北にある町で、町の名前自体が多くの初期開拓者の出身地であるイングランドのダンベリーに由来している。長石の一つであるパラセルシアンと同じ結晶構造。

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イットリウムシンキス石 / Synchysite -(Y)
イットリウムシンキス石 / Synchysite -(Y)
イットリウムシンキス石 / Synchysite -(Y)
CaY(CO3)2F
三重県菰野町宗利谷

イットリウムシンキス石はデンマークで発見された鉱物であり、花崗岩ペグマタイトの晶洞に灰色や黄色の六角柱状~板状結晶として見いだされた。日本ではイットリウム(Y)を主成分とする褐簾石が変質する際に生じる産状で認識され、白雲母を伴って褐簾石の結晶を置き換えるように生じている(乳白色部)。肉眼的ではないが、その内部にはしばしば微少なイットリウム褐簾石が残留している。学名はギリシャ語で取り違えるという意味を持つ単語に基づいており、parisiteという別の鉱物と間違えやすいということが由来となっている。

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ダトー石 / Datolite
ダトー石 / Datolite
ダトー石 / Datolite
CaBSiO4(OH)
愛媛県八幡浜市三瓶町鴫山

ダトー石は無色で塊状や脈で産出することが多いホウ素(B)を主成分とするケイ酸塩鉱物である。スカルンから産出することが一般的だが、緑色片岩や蛇紋岩にも伴われる。塊状の標本では破断面がややぬめっとした印象になる。結晶の産出は比較的めずらしいという印象で、やはり白色が多いがアップルグリーンに色づく結晶がときおり認められる。さらに世界的にもごく希だがピンク色も知られており、それがブドウの房のようにモコモコした標本は俗にボトリオ石と呼ばれている。いずれにしても発色の原因はよくわかっていない。学名の由来は分割するという意味のギリシャ語に由来しているが、ダトー石には明瞭な割れ方があるとは感じないため、分割するというのは割れ方の事ではないのかもしれないと思っている。

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蛍石 / Fluorite
蛍石 / Fluorite
蛍石 / Fluorite
蛍石 / Fluorite
CaF2
福島県南会津町蛍鉱山

蛍石は基本的には無色透明で産出するが、色づいた蛍石も産出することがある。その場合は緑色であることが多い。蛍石には鉄鉱石とまぜることでそれを溶かし(流し)やすくする性質があることから、学名はラテン語で流すという意味合いを持つ。そして蛍石は加熱や紫外線を当てることで青色に蛍光する性質があり、蛍光(Fluorescence)という英単語が蛍石の学名(Fluorite)から作られた。ただし和名は逆ではなかろうか。その石が(加熱によって)蛍のような色で光るから「蛍光」という名詞がまず生まれ、そこから鉱物を表す「蛍石」という名前が生まれたように思える。そして後付けで学名(英単語)との対応が生じたのではないか。

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砂鉱 / Placer
磁鉄鉱・チタン鉄鉱 Magnetite and Ilmenite
右側:チタン鉄鉱 / Ilmenite
左側:磁鉄鉱 / Magnetite (左下の一個だけはクロム鉄鉱 Chromnite)

川や砂浜には比重の高い鉱物が溜まる場所がどこかしらある。そういった場所にたまる砂のことを砂鉱(さこう)と言う。砂鉱には磁鉄鉱やチタン鉄鉱が多く含まれており、産地によってクロム鉄鉱が混じることがあるが見た目では区別が付かない。ただしクロム鉄鉱は磁石にくっつかないのでその特徴で判別できる。磁鉄鉱とチタン鉄鉱は見ての通り結晶の形とツヤが異なるため、形が残っているものについてはよく見れば判別は可能。

透明結晶 Transparent crystals
砂鉱には磁鉄鉱やチタン鉄鉱だけでなく透明な結晶も多く含まれている。この写真の中にはジルコン、エンスタタイト、鉄ばんざくろ石、アクチノ閃石、石英がいるが,どれがどれだかわかるだろうか?
答え合わせはここ

灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite
灰重石 / Scheelite

カルシウムとタングステンの酸化物である灰重石は比重が高く、砂鉱として濃集しやすい。特定の地質帯の砂鉱には普遍的に認められる。短波長の紫外線で青く蛍光するので存在していれば容易に見つかる。

球状砂鉱
球状砂鉱

可能性として宇宙塵があり得るが、溶接の際に生じたスラグ(鉱滓)のことも多い。ここでは黒色・白色・淡黄色・透明の種類があった。写真のスケールでは見えないが、その表面は特徴的な再結晶組織になっている。黒色の球は磁鉄鉱やマグヘマイトになっており、また中身は中空であることが非常に多い。白色~透明の球の化学組成はまちまちで、宇宙塵とは思えない内容となるものがある。

ジルコン / Zircon
ジルコン / Zircon

ジルコンだけを集めて並べてみた。基本的に透明で、一つの産地からでも無色~褐色~紫色まである。電子顕微鏡による分析ではいずれも不純分は検出されない。短波の紫外線でオレンジ色に蛍光する。

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エンスタタイト / Enstatite
エンスタタイト / Enstatite
愛媛県松山市御幸寺山

エンスタタイト / Enstatite
兵庫県関宮町鹿倉

エンスタタイト / Enstatite
愛媛県四国中央市関川

エンスタタイトは玄武岩から安山岩の主要構成鉱物であり、しばしば肉眼的な結晶が岩石の斑晶として含まれる。岩石からこぼれたエンスタタイトが砂鉱として濃集することもある。そのほかの産状もあり、四国に分布する高圧変成岩にはエンスタタイトのブロックが胚胎されるようで、河原にはエンスタタイト岩とも言える塊が多く転がっている。蛇紋岩から再結晶・成長したエンスタタイトも知られており、放射状集合をなして花のように見えるために菊花石とも呼ばれる。純粋な組成であれば無色透明であるが、一般には二価鉄(Fe2+)が少量含まれるために緑黄色を示す。含まれる二価鉄がさらに多くなると紫色を帯び、そういったエンスタタイトは紫蘇輝石と呼ばれた。学名は耐えるという意味合いを持つギリシャ語が由来となっており、吹管による高温の火にも溶けることがないことから名付けられた。その由来から和名では頑火輝石とも言っていたが、最近は学名の読みでエンスタタイトということが多いと感じる。

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輝安鉱 / Stibnite
輝安鉱 / Stibnite
輝安鉱 / Stibnite
愛媛県西条市市ノ川鉱山

輝安鉱 / Stibnite
愛媛県砥部町弘法師鉱山

輝安鉱 / Stibnite
愛媛県砥部町万年鉱山

輝安鉱 / Stibnite
Sb2S3

輝安鉱もまた古代から知られた鉱物であり、アンチモン(Sb)の主要な資源鉱物である。輝安鉱というと日本を代表する鉱物の一つであり、かつて1メートル級の結晶が愛媛県市ノ川鉱山から産出した。特に頭付きと呼ばれるような、尖った先端を保持している標本が好まれている。変質していない結晶は鉛灰色の金属光沢を示す。しかし風化によって黄土色の二次鉱物を生じるため、ズリから得られる標本はしばしば黄土色の被膜をまとう。結晶は板状から柱状となるが、所々で曲がった姿が見らえる。やわらかいために曲がるわけではなく、成長中に生じた環境の変化を反映しているのだろう。輝安鉱の結晶を手で曲げようとしても折れてしまう。基本的には熱水鉱床に生じる鉱物であり、ほとんどすべての場合で石英脈に伴われるが、母岩には特にこだわりがないようにも感じる。愛媛県では市ノ川鉱山以外にも多くの産地が知られている。学名はギリシャ語からラテン語での呼び名に由来している。和名は結晶の光沢と組成に基づいて呼ばれている。

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斑銅鉱 / Bornite
斑銅鉱 / Bornite
愛媛県四国中央市佐々連鉱山

斑銅鉱 / Bornite
静岡県下田市河津鉱山

斑銅鉱 / Bornite
Cu5FeS4

斑銅鉱は1725年にはその産出が知られており、今の学名に決まるまでいくつかの名前で呼ばれたようだ。今の学名となる命名は1845年で、オーストリアの鉱物学者および無脊椎動物学者であるIgnaz von Born(1742-1791)にちなんでいる。斑銅鉱は日本各地の銅鉱床から産出するが、そのほとんどは塊状である。その結晶となると産地がずっとすくなくなり、個人的には河津鉱山でしか見たことがない。斑銅鉱は割ってすぐの新鮮な断面だと赤銅色だが、数日で青紫色に変化する。

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トルトベイト石 / Thortveitite
トルトベイト石 / Thortveitite
京都府京丹後市大宮町白石山

トルトベイト石 / Thortveitite
トルトベイト石 / Thortveitite
京都府京丹後市磯砂鉱山

トルトベイト石 / Thortveitite
Sc2Si2O7

スカンジウム(Sc)を主成分とする鉱物はこれまで19種あるが、トルトベイト石はその第一号となった鉱物である。模式標本はノルウェイで見いだされ、長石を初めとした鉱物の輸出業者であるGunder Olaus Olsen Thortveit(1872-1917)に因んで命名された。最初の発見者とも言われている。またトルトベイト石発見から100年を記念したシンポジウムが2003年にノルウェイで開催されたことがあり、ノルウェイではトルトベイト石は特別な意味があるのだろう。日本では白石山や磯砂鉱山で板状の結晶が見いだされている。

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ボタラック石 / Botallackite
ボタラック石 / Botallackite
ボタラック石 / Botallackite
Cu2Cl(OH)3
福井県小浜市内外海鉱山

ボタラック石はアタカマ石の多形で、銅鉱石が海水の影響を受けつつ変質する環境で生じる。合成実験などの結果を眺めて天然での生成を考えると、おそらくは変質作用の初期段階でボタラック石が生じるのだろう。ボタラック石は日本では内外海鉱山でのみ産出が知られている。学名は模式地のBotallack鉱山(イギリス)に由来する。

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スティッツ鉱 / Stützite
スティッツ鉱 / Stützite
スティッツ鉱 / Stützite
Ag5-xTe3
静岡県下田市河津鉱山

スティッツ鉱はルーマニアで見いだされた鉱物で、学名をオーストリアの鉱物学者Andreas Xavier Stütz (1747–1806)に因む。世界中に産地が知られており、スティッツ鉱の産出は稀ではない。しかし、その産状はほとんどの場合で金銀鉱石中に非肉眼的な微細粒であるため、結晶標本はこれまで見たことがなかった。実際のサイズはとても小さいが、写真で捉えられるほどのサイズのスティッツ鉱は希少な標本と言える。

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鱗珪石 / Tridymite
鱗珪石 / Tridymite
愛媛県松山市高縄山

鱗珪石 / Tridymite
静岡県沼田市

鱗珪石 / Tridymite
SiO2

石英やクリストバル石と共通の化学組成を持つが、安定領域と結晶構造が全く異なる鉱物。合成実験では約900℃以上で安定領域をもつが、天然ではもっとずっと低温で生じている。安山岩の晶洞に伴われることが一般的で、クリストバル石と共存することもある。オパールの中にも結晶子として構造の一部が存在しうる。鱗珪石も石英やクリストバル石と同じく高温型と低温型があり、体積差が大きい。一般には高温型で生じた後に150℃以下で低温型へ転移するので、結晶にはひびが入り、薄い結晶だとそのひび割れが見えることがある。しばしば三連双晶を生じるために三つ子という意味合いのギリシャ語が学名の由来となっている。

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オリーブ銅鉱 / Olivenite
オリーブ銅鉱 / Olivenite
オリーブ銅鉱 / Olivenite
オリーブ銅鉱 / Olivenite
Cu2AsO4(OH)
広島県生口島

1786年に砒素と銅を含む化学組成からそのまま名前がつけられたが、その当時はとても長い名前(arseniksaures kupfererz)だった。その3年後にオリーブ色をしていることから「olivenerz」への改名が提唱され、さらに1920年になって「erz」→「ite」となって今の学名「olivenite」という経緯がある。銅鉱床の酸化帯にしばしば現れる鉱物である。その名を体現するような色が出ている標本が多いが、同一産地でも異なる色・形となることもある。

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桜石 / Cherry stone
桜石 / Cherry stone
桜石 / Cherry stone
菫青石の仮晶?
京都府亀岡市

ほんのり紅を帯びた花びらを連想させる六角形の形状から桜石という名前で呼ばれるが、桜の花びらは5枚。鉱物としては白雲母+緑泥石からなっており、元々は菫青石だったものが変質したとされている。菫青石ではなくその高温多形のインド石かもしれないが、それは今となってはわからない。桜石の名付け親もたどれなかった。

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五水灰硼石 / Pentahydroborite
五水灰硼石 / Pentahydroborite
五水灰硼石 / Pentahydroborite
五水灰硼石 / Pentahydroborite
CaB2O(OH)6・2H2O
岡山県高梁市備中町布賀鉱山四番坑

通常は無色透明だがまれに黒みを帯びた標本を見かけることがあり、黒五水とか黒ペンタと俗に呼ばれている。黒色の結晶を拡大してみるといわゆる山入り状となっている。学名は5分子の結晶水とホウ素を持つことに由来しているおり、和名はその和訳。ただし年になって水は2分子しかなかったということが明らかになっており、名前と実体が不整合な鉱物になってしまった。

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ロングバン石 / Långbanite
ロングバン石 / Långbanite
ロングバン石 / Långbanite
Mn2+4Mn3+9Sb5+O16(SiO4)2
福島県岩k椎御斎所鉱山

1887年には記載のある古くから知られる鉱物だが世界的にも産出は稀で、日本では1986年に報告された。名前の由来は模式地のLångban(スウェーデン)となっている。模式地の標本では六角柱状の結晶が知られているが日本産の標本は板状や箔状結晶が多いと思われる。

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珪亜鉛鉱 / Willemite
珪亜鉛鉱 / Willemite
珪亜鉛鉱 / Willemite
珪亜鉛鉱 / Willemite
Zn2SiO4
栃木県日光市野門鉱山

代表的な蛍光鉱物で紫外線を照射すると鮮やかな緑色に蛍光する。発見された場所が当時オランダ領だったこともあってオランダ王のウィレムI世(Willem I)の名前を由来に持つ。発見地(模式地)は今ではベルギーとなっている。標本としてはアメリカのフランクリン鉱山の珪亜鉛鉱が世界的に有名となっている。

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デュモルチエ石 / Dumortierite
デュモルチエ石 / Dumortierite
デュモルチエ石 / Dumortierite
AlAl6BSi3O18
長崎県福江島五島鉱山

紫がかった青色を特徴とし、肉眼的にはよくわからないがコランダムや紅柱石をともなっている。花崗岩や砂岩が熱水変質を受けて生成した蝋石鉱床中に産出する。学名はフランス人古生物学者であるEugène Dumortier (1801-1876)に因む。記載論文ははフランス語で書かれているため古生物学者の名前から採用された理由は私には読めない。

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グジア石 / Gugiaite
グジア石  / Gugiaite
グジア石 / Gugiaite
Ca2BeSi2O7
愛媛県弓削島

弓削島には石灰岩が分布しており、石灰岩は珪酸塩を含む熱水に貫かれている。珪灰石や灰バンざくろ石などの典型的なスカルン鉱物が脈状に分布し、スカルン脈の中心部付近に魚眼石やホタル石を伴い、劈開がやや発達した透明結晶がグジア石になる。方解石に似るが劈開の方向が異なる。学名は模式地のGujia村(中国)に由来する。

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琥珀 / Amber
琥珀 / Amber
琥珀 / Amber
愛媛県伊予市

琥珀は定義としては鉱物ではないが、地中から産出する物質であるためここでは石ころに分類する。実態としては樹脂の化石に相当し、いわゆる虫入りと称される標本が人気であると感じる。植物化石が多い堆積岩によく伴われ、岩手県久慈市では琥珀が多産するようで古くから有名。伊予市の海岸には郡中層と呼ばれる地層が露出しており、その地層は亜炭を多く含み、一部には飴色を呈する琥珀が見られた。英名はギリシア神話の内容に基づくとされる。和名は中国から輸入された名称であり、古い時代では琥珀は虎の化石だと考えられた。

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石英 / Quartz
石英 / Quartz
負晶 / Negative crystal
島根県西ノ島町焼火山
透明な石英の結晶。内部の空隙には結晶成長の際に取り込まれた水が残っていることがあり、負晶も認められる。

石英 / Quartz
石英 / Quartz
愛媛県久万高原町二名
いくつかの結晶が集合してクラスターとなって産出する。双晶かどうかはよくわからない。

日本式双晶(石英)
日本式双晶(石英)
長崎県五島市奈留島
いわゆる日本式双晶

石英 / Quartz
石英 / Quartz
高知県土佐清水市狩津海岸
板状に成長した石英で、しばしば平行に連なる(連晶)。連れ子水晶と呼ぶことも多いが、不倫水晶と呼んだ人がいる。

石英 / Quartz
愛媛県久万高原町高殿
外観からこれが石英とは思えなかった。エステレル式双晶がここじれた姿。

魚卵状珪石
鹿児島県霧島市牧園町三体堂坂下
もとはオパールとして成長したのだろうが現在はほぼ石英となっている。

石英 / Quartz
石英 / Quartz
石英 / Quartz
石英(短波紫外線照射)
高知県佐川町
オイルを包有しており割るとアスファルトのような匂いがする。また短波紫外線照射で青色の蛍光を示す。

石英 / Quartz
愛媛県久万高原町
高温石英の仮晶として一般には認識されているが、相転移に伴う体積減少の痕跡(一般にはひび割れ)が全く認められないため、これは柱面のないもしくは非常に小さい石英(低温型)ではないだろうか。

高温石英 / High Quartz
宮城県仙台市郷六
いわゆる高温石英。高温で結晶が成長したが、いまは低温型の構造になっている。急激な体積減少をともなう低温型への構造変化に耐えられず、結晶内部はひび割れている。

石英は地表でみられる最も一般的な鉱物で、石英の見られない地質環境を探す方がむしろ難しい。一般の方がイメージする鉱物は石英の結晶(=水晶)であろう。一方でいわゆる水晶であっても双晶や連晶によって多様な形態を示すため、形態のみから石英と判断できないこともある。いずれにしても石英やその結晶である水晶は簡潔な言葉でその特徴を要約することが難しい鉱物である。また高温型と低温型の構造があり、高温型として結晶化しても現在は低温型の構造に変化してしまっている。この変化は大きな体積変化をともなうため、そのような石英は内部にひびが必ず入る。そういった石英を高温石英と呼ぶ。なんらかの要因で高温型の結晶構造を維持した石英が得られたとしても、高温-低温の構造はポリタイプの関係であるため、それは石英とは別の鉱物とはなり得ない。あたりまえに古代から知られた鉱物であり、永久に固化した水であると考えられた。古くから様々な名前で呼ばれていたが、今の学名につながるquerzという呼び方は16世紀にドイツで生まれたとされる。和名である石英は中国での呼称を輸入したようだ。

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鉄ばんざくろ石 / Almandine
鉄ばんざくろ石 / Almandine
鉄ばんざくろ石 / Almandine
Fe2+3Al2(SiO4)3
愛媛県松山市忽那山

鉄ばんざくろ石は多くの鉱物からなるざくろ石族の中で、最も一般的なざくろ石の一つ。火成岩や変成岩などに広く伴われる鉱物で、大小や美醜を問わなければ産地は日本中のいたるところにある。赤系統の色を示すことが多いが、オレンジや黒まであって多様。結晶外形は12、24、36面体となる。接触変成を受けた砂泥質岩にもしばしばともなわれ、そういった岩石を荒く砕くと結晶が母岩からほろりと外れるため完全な結晶が多く回収できる。和名は化学組成を反映しており、鉄(Fe)とアルミニウム(Al)を主成分としている。漢字では鉄礬柘榴石と書くことも多いが、ここではひらがなで記している。学名についてはトルコのAlabandaに由来しているとされ、命名は1500年代中頃のようだ。

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クリストバル石 / Cristobalite
クリストバル石 / Cristobalite
愛媛県松山市北条浅海
安山岩中の晶洞に伴われる一般的なクリストバル石。束沸石も伴われる。

クリストバル石 / Cristobalite
Pseudomorph of cristobarite
クリストバル石 / Cristobalite
愛媛県久万高原町高殿
低温で成長したクリストバル石(とげとげした結晶のほう)

クリストバル石 / Cristobalite
SiO2

クリストバル石は玄武岩や安山岩など晶洞に八面体の透明~白色結晶で産出することが一般的である。高温型と低温型の構造があり、一般的な産状では高温型として結晶化した後に、低温型の構造に変化してしまっている。この変化は大きな体積変化をともなうため、そのような経緯をたどったクリストバル石の結晶は内部にひび割れが残る。一方で低温型として生成して大きく成長すると内部にひび割れのない結晶となる。そういった結晶は愛媛県で見いだされたほか、世界ではインドで産出が知られている。いずれもモルデン沸石に伴われる共通点がある。そのほかオパールにも結晶子として含まれることがある。合成実験においては1470℃以上で安定となることが判明しているが、そのような環境は天然ではまずありえない。クリストバル石は本来の安定領域から外れた条件でも生成する奇妙な鉱物と言える。学名は模式地のCerro San Cristobal(メキシコ)に因む。和名では方珪石が使われたが、個人的には学名のカタカナ読みが良いと思っている。

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コランダム / Corundum
コランダム / Corundum
北海道日高町千呂露川水系二岐沢二ノ沢
サファイアとルビーが共存している標本

コランダム / Corndum
コランダム / Corndum
岩手県一関市大東町興田

コランダム / Corundum
岐阜県河合村羽根谷

コランダム / Corundum
コランダム / Corundum
愛媛県新居浜市別子山銅山川

コランダム / Corundum
愛媛県岩城島

コランダム / Corndum
奈良県香芝市穴虫

コランダム / Corundum
広島県庄原市勝光山

コランダム / Corundum
熊本県宇城市松橋町

コランダム / Corundum
Al2O3

コランダムは不純物を含まない場合は無色透明であるが、多くの場合で少量の不純物を含み赤もしくは青みを帯びる。クロム(Cr)を含むことによって赤色を帯びた結晶についてはルビーと呼ぶが、クロム以外の原因による赤色やその他の色の結晶は総じてサファイアと俗に呼ぶ。古代から知られている鉱物であり、ルビーやサファイアも古くからの呼び名である。それらの呼称は今では主にコランダムをカットして整形された宝石に用いられる。産状は様々あるが、主には高温環境で生成した岩石に見られる。学名はサンスクリット語でルビーを意味するkuruvindaに由来する。和名は学名のカタカナ読みが今では定着しているが、かつては鋼玉と呼んだりもした。

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バリシア石 / Variscite
バリシア石 / Variscite
静岡県下田市河津鉱山

バリシア石 / Variscite
福岡県八女市星野村星野川

バリシア石 / Variscite
AlPO4·2H2O

バリシア石はドイツのVogtlandから発見された鉱物であり、学名はVogtlandの古い名前(Variscia)に由来する。一般的には緑色でつるっとした球状集合となることが多く、海外でもそのような標本がカボションカットにされて宝飾品として利用されている。日本においては静岡県河津鉱山から産出したバリシア石はやはりつるっとした球状集合であり、わずかに緑色を帯びるものの白色に近い。一方で福岡県星野川の転石から見つかったバリシア石は規格外である。あざやかな翠緑色を呈し、球状集合ながらも荒々しく発達した結晶面が立派な標本である。

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コルベック石 / Kolbeckite
コルベック石 / Kolbeckite 
コルベック石 / Kolbeckite
ScPO4·2H2O
鹿児島県薩摩川内市

コルベック石はドイツで最初に見いだされた鉱物であり、学名をドイツ人鉱物学者の Dr. Friedrich Ludwig Wilhelm Kolbeck (1860-1943)に因む。スカンジウム(Sc)を主成分とする珍しい鉱物であり、リンを含む熱水脈鉱床に産出する。日本では鹿児島県で見いだされており、白色粘土中に黄鉄鉱と閃亜鉛鉱を伴って産出する。スカンジウムを含む熱水の起源はまたわかっていない。

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赤鉄鉱 / Hematite
赤鉄鉱 / Hematite
岩手県北上市和賀仙人鉱山 
スカルンから産する六角板状結晶。薄い箇所では赤色が透ける。

赤鉄鉱 / Hematite
愛媛県新居浜市国領川
角閃石片岩中に石英を伴いレンズ状集合で産出。全体としてはイルメナイト成分(FeTiO3)を少量固溶した赤鉄鉱で、内部には微細(数ミクロン)な擬板チタン石を多量に含む。

赤鉄鉱 / Hematite
愛媛県四国中央市関川
角閃石片岩中に石英を伴い箔状で産出。

赤鉄鉱 / Hematite
愛媛県西条市丹原町千原鉱山
岩銅硫化鉄鉱鉱床に伴われる塊状集合として見られる。

赤鉄鉱 / Hematite
赤鉄鉱 / Hematite
鹿児島県霧島山 
溶岩が固化する際に火山ガスから結晶化しとされ、複雑な晶癖を持っている。いわゆる鏡鉄鉱と呼ばれる標本。

赤鉄鉱/Hematite
Fe2O3

赤鉄鉱はありふれた酸化鉱物のひとつで,多様な地質環境で産出する。古代から知られている鉱物で、しばしば大規模に濃集するため鉄資源の主要な鉱石にもなる。その結晶は黒色や銀灰色の金属光沢を示すが、薄いと光を透過して赤色を呈する。赤鉄鉱の和名は粉末が赤色であることおよび鉄を主成分にすることに由来する。学名は血の石という意味のギリシャ語に由来する。最初の命名は紀元前であったとされる。

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 Posted by at 8:42 PM

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