応募文例

2017年度 ソフトウェア開発・高度化プロジェクト課題の採択者である 埼玉大学品岡寛先生の許諾のもと、提案内容部分の文例を記載しています。 応募時の参考にしてください。 なお、各作業に対する優先度・作業日数の見積もりですが、提案者の方が作業する時間の2倍程度と考えると妥当な場合が多いです(第三者に実際の作業と見積もった時間の説明を行うと、より精度の高い見積が可能となります)。

提案内容の文例

 - (イ)プログラムの主な計算対象

遷移金属元素や希土類元素を含む、強相関電子系化合物の有限温度状態を計算する。

特に、強いスピン軌道相互作用を持つ化合物への対応を特色にしている。

 

- (ロ)物性科学上の重要性

密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理計算は、物性科学の研究において不可欠なツールである。近年、動的平均場理論(DMFT)と組み合わせることで電子相関効果を取り込む拡張法 (DFT+DMFT法)が発展し、強相関電子系化合物にその適用範囲が広がっている。特に、強いスピン軌道相互作用を持つ化合物の研究が近年盛んになる中、実験と理論の定量的比較への需要が高まっている。その一方、スピン軌道相互作用を持つ物質のDFT+DMFT計算が可能なフリーソフトウェアは本ソフトウェア以外存在していない。本高度化プロジェクトを通し、並列化の実装による界面系などへの適用範囲の拡張、およびユーザビリティの向上を行うことで、実験・理論を含む幅広いユーザーへの貢献が期待される。

 
- (ハ) 計算に用いられる方法・原理

本プログラムは、バンド計算プログラムで最局在ワニア関数を使って求めたホッピングパラメータ等のモデルパラメータを受け取る。そのモデルに対して、DMFTに基づいた自己無撞着計算を行う。入力形式としては一般的なWannier90形式を採用しており、国内外の主要なバンド計算プログラムに対応している (OpenMX, Quantum ESPRESSO, Wien2k, VASP等)。また、自己無撞着計算の後、解析接続により (波数依存)スペクトル関数を計算可能である。将来的な機能拡張としては、動的感受率の計算機能実装を検討している。

 

- (ニ) 実施期間中に実施体制下で行う具体的な高度化の内容 

界面系など単位胞に多数の原子を含む系では、自己無撞着計算部分にかかる計算量は無視できないが、現行コードでは自己無撞着計算部分 (図中のpyDMFT) が並列化されていない。本プロジェクトを通し、並列化機能を実装することで、これらの系に適用可能なプログラムへと拡張する。さらに、pyDMFTではユーザーマニュアルが欠けており、ユーザーが使用するには敷居が高い。また、現状コードは研究用に開発したプログラムであり、幅広いユーザーが利用するにユーザーインターフェースの向上が必須である。以上の観点から、本プロジェクトでは、(1) 並列化、(2) ユーザーインターフェースの整備およびドキュメント化を行いたい。

 
- (ホ) 各作業に対する優先度・作業日数の見積もり(単位あたり一人で換算)

優先順位は以下の通り。


(1) 自己無撞着計算における波数積分のMPI並列化[総計:作業日数1人×20人日)

内訳:コード理解 [2人×3日]、設計[1人×2日]、実装[1人×8日]、テスト[1人×4日]

(2) ユーザーインターフェースの整備とドキュメント化[総計:作業日数1人×70人日]

内訳:インターフェースの設計・整備 [2 人×15 日]、マニュアル作成[2人×15日]、サンプル作成・整備[2人×5日] 

 

(参考) テスト作業の目安ですが、実装と同程度の日数が現実的な日数となる場合が多いです。

また、作業日数はトータルで1人×100日(5ヶ月)以内を目安にしてください。

  

- (へ) 各実装作業にあたり協力可能な作業

提案者はMPI並列化にあたってのコード説明、マニュアル作成、インターフェースの設計について協力可能である。また、将来的な機能拡張を意識したインターフェースの設計およびテストモデル、コードの実装に関しては、研究協力者も含めた協力を行う。

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