結合カオス系における隠れた同期の検出:
カーネル正準相関分析に基づくアプローチ



末谷大道、伊庭幸人、合原一幸(科学技術振興機構、統数研、東大生研・科学技術振興機構)


結合カオス系において、個々の素子の時間発展則が異なる場合でも、2つの素子のダイナミクスの間に(時間に依存しない)関数が存在するという意味での同期状態が観察されることがあり、一般化同期(Generalized Synchronization: GS)と呼ばれている。この2つのダイナミクスを結ぶ関数は一般に非線形であるため、相関関数などの線形手法ではGSの特徴を捉えることが困難であり、観測データに対して何らかの非線形変換を施す必要がある。最近、機械学習の分野ではデータに内在する非線形構造を抽出する手法として(再生核)カーネル法が注目を集めている。その中に、二つの多変量データ間の相関を測る手法である正準相関分析(Canonical COrrelation Analysis: CCA)にカーネル法の概念を適用したカーネルCCAが赤穂らによって提案されている。本研究では、GSにおける非線形関係の定量化や非自明な運動を抜き出すためにこのカーネルCCAを用いた解析を行う。幾つかのモデルに対する数値シミュレーション結果から提案手法の有用性について検討する。

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