Stochastic Series Expansion 量子モンテカルロ法とその応用



藤堂眞治(東京大学大学院)


量子スピン系などの熱平衡状態に対するモンテカルロシミュレーションでは、従来より主として鈴木-トロッター分解にもとづく経路積分表示(世界線法)が用いられてきた。しかし近年、stochastic series expansion (SSE)と呼ばれる新しい表示を用いる量子モンテカルロ法も広く使われるようになってきている。この方法はハミルトニアンの高温展開から出発するが、経路積分表示との共通点も多く、ループアルゴリズムなどの非局所更新法を導入することも同様に可能となっている。本講演では経路積分表示との対比を交えつつ、このSSE量子モンテカルロ法の基本原理について具体的に解説する。さらに、SSEの特徴を活かした新しいアルゴリズム(量子Wang-Landau法、基底状態ループアルゴリズム)などについても紹介する。

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