マルチバーリック・マルチサーマルアンサンブルにおける
レナード・ジョーンズ流体のモンテカルロシミュレーション



奥村久士(自然科学研究機構)


マルチカノニカル法ではポテンシャルエネルギー空間上のランダムウォークを実現し, エネルギー障壁を乗り越えることができるという利点がある. しかしながらこの方法では体積を一定に保ってシミュレーションを行うので, 体積変化を伴う現象を扱うことも圧力を指定することもできない. そこで最近我々は, 新しい拡張アンサンブルモンテカルロ法 - マルチバーリックマルチサーマル法 - を提案した(1,2). この方法ではエネルギー空間上と体積空間上の両方でランダムウォークを実現する. このため, 広い範囲の温度と圧力における定温定圧アンサンブルを得ることが可能になる. 本講演ではこの方法を Lennard-Jones 液体に応用し, 詳細な解析を行った結果を示す.

(1) H. Okumura and Y. Okamoto: Chem. Phys. Lett. 383 (2004) 391-396.
(2) H. Okumura and Y. Okamoto: J. Phys. Soc. Jpn. 73 (2004) 3304-3311.

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