状態密度を計算するモンテカルロ法を用いた Fisher 零点の研究



岡部 豊(東京都立大学)


Yang-Lee の先駆的な研究以来、複素平面上の状態和の零点分布が議論されてきた。Yang-Lee が磁場変数に関する零点を議論したのに対して、Fisher は温度変数の零点を議論した。最近、ヒエラルキー構造をもつ格子上の状態和の零点に興味をもたれている。ここでは、ペンローズ格子上のイジングモデルの Fisher 零点を議論する。エネルギー状態密度を計算するモンテカルロ法(マルチカノニカル法やWang-Landau 法)を用いることにより、Fisher 零点を計算することができる。規則格子の場合と異なり、準結晶上のイジングモデルの零点はある曲線上に乗るのではなく、複素平面で広く分布する。一方、正の実軸に近い零点はある分布をするが、その包絡線が有限サイズスケーリングに従うことを示す。

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