大自由度カオスの周期軌道アンサンブル



川崎光宏、佐々真一(新潟大学、東京大学)


ある簡単な大自由度散逸カオス系のモデルに関し、それ一本のみから巨視的物理量の期待値が分かる特別な周期軌道のアンサンブルをモンテカルロ法により構成した。この結果はモデル特有のものではなく、一般性をリーズナブルな仮定のもとに示すことができる。また、この結果により、一本の周期軌道から乱流統計が得られるという驚くべき結果 (G. Kawahara and S. Kida, J. Fluid Mech. 449, 291 (2001); S. Kato and M. Yamada, Phys. Rev. E 68, 025302(R)(2003); L. Veen, S. Kida and G. Kawahara, preprint)に一つの解釈が与えられる。

講演では、周期軌道のアンサンブル生成が複雑な拘束条件つきの最適化問題と類似点を持つことを指摘し、交換モンテカルロ法により別のモデルを解いた事例、より現実的な系の周期軌道アンサンブルを生成する際の深刻な困難についても述べる予定である。

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