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第一原理計算を用いた磁性体物性予測

日程 : 2019年12月27日(金) 4:00 pm - 5:00 pm 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 是常 隆 氏  所属 : 東北大学理学研究科物理学専攻 世話人 : 三澤貴宏、吉見一慶(63582)
e-mail: k-yoshimi@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

近年、ワイル点やベリー曲率といったバンドのトポロジカルな性質に着目した研究が盛んに行われている。強磁性体においては、これらは異常ホール効果や異常ネルンスト効果といった物理量につながることが知られている。このバンドのトポロジカルな性質は、第一原理的に得られたバンド構造を有効模型(タイトバインディング模型)で表すことによって、効率的に計算することが可能となる。
本セミナーでは、まずこのバンドのトポロジカルな性質と物性の関係[1]について概観し、強磁性体やMn3Snなどにおける異常ホール効果や異常ネルンスト効果などの計算例を紹介する[2]。次に、この有効模型を作成する際に用いられるwannier90と呼ばれるコードの最新版[3]について紹介し、これを用いた有効模型自動作成手法について説明する。この自動化手法を結晶構造データベースに適用して得られた強磁性体数千個に対する有効模型のリスト、およびそれを用いて得られた異常ホール効果、異常ネルンスト効果のデータベースについても紹介する。また、これらの物性値が結晶構造などの情報からどれほど予想できるのかを、機械学習を用いて解析した結果についても紹介する[4]。

[1] N. Nagaosa et al. Rev. Mod. Phys. 82 1539 (2010).
[2] M.-T. Suzuki et al. Phys. Rev. B 95 094406 (2017).
[3] G. Pizzi et al. Journal of Physics: Condensed Matter (2019). (arxiv:1907.09788).
[4] T. Koretsune et al. in preparation.


(公開日: 2019年12月17日)