ISSP - The institute for Solid State Physics

Seminar
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[理論セミナー]
平衡および非平衡条件で電子相関により誘起される超伝導と空間不均一性
日程 : 2018年6月29日(金) 16:00 - 17:00 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 井戸 康太 氏 所属 : 東京大学物性研究所 世話人 : 吉見一慶・三澤 貴宏 (ext.63288)
e-mail: k-yoshimi@issp.u-tokyo.ac.jp/tmisawa@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

これまでの常圧下における超伝導への最高転移温度は銅酸化物で実現された約130Kであるが、この最高転移温度はここ数十年でほとんど変化していない。この原因の一つとして、より高い転移温度を生み出すために必要なキャリア間に働く有効引力は、相分離や長周期の電荷秩序などの電荷不均一状態を同時に引き起こしてしまうということが挙げられる。この困難を乗り越えるために、我々は超伝導を制御・増大させるための新しい方法を考える必要がある。

近年、光を用いて物質の格子モードを選択的に励起させることによって、室温領域においてでもギャップ形成などの超伝導的な性質を示すことが実験的に報告された[1]。これらの研究は、非平衡性を利用することによって室温超伝導を実現させるという可能性を切り開いた。

本研究では、格子モードの詳細によらず、相関電子系の特性に基づく機構により、非平衡性を利用した新たな超伝導増大の可能性を提示することを目指した。本目的を達成するために、二次元強相関電子系における空間一様なd波超伝導状態とストライプや相分離などの電荷不均一状態の競合について着目し、多変数変分モンテカルロ法[2, 3]を用いて二次元Hubbard模型の数値解析を行った。まず、基底状態におけるそれらの競合について詳しく調べた[4]。その結果、相互作用を大きくすることによって急激に超伝導が強まる空間一様な状態は、強相関領域においては電荷不均一性の発達により不安定になることを明らかにした。続いて非平衡状態の解析を行った[5]。平衡下では実現されない強い超伝導状態は、高強度のレーザーを照射することによって動的に実現できることを示した。本講演では、数値計算手法の詳細や光によって超伝導状態が動的安定化する機構についても説明する。

Reference
[1] W. Hu et al., Nat. Mater. 13, 705 (2014), S. Kaiser et al., Phys. Rev. B 89, 184516 (2014), M. Mitrano et al., Nature 530, 461 (2016).
[2] D. Tahara and M. Imada, J. Phys. Soc. Jpn. 77, 114701(2008).
[3] K. Ido, T. Ohgoe, and M. Imada, Phys. Rev. B 92, 245106 (2015).
[4] K. Ido, T. Ohgoe and M. Imada, Phys. Rev. B 97, 045138 (2018).
[5] K. Ido, T. Ohgoe, and M. Imada, Sci. Adv. 3, e1700718 (2017).


(公開日: 2018年06月18日)