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Seminar
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[理論インフォーマルセミナー]
量子基礎論における弱値の解釈と弱測定の精密測定への応用
日程 : 2018年6月28日(木) 16:00 〜 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 李 宰河 氏 所属 : 東京大学生産技術研究所 世話人 : 加藤 岳生, 阪野 塁講演言語 : 日本語

量子論の時間対称形式における可観測量(英:Observable)の値として Aharonov らの提唱になる弱値 [1] 概念は、その測定手法として提案された弱測定法 [2] を応用した精密測定実験の成功報告 [3-4] を契機として、近年大きく注目を浴びることとなった。本講演では、非専門家の方々を対象として、弱値概念および弱測定法の導入的な解説を行う。最初に、弱値概念の歴史的な出自を踏まえた上で、これをより標準的な量子論の枠内で理解する方策として、弱値の量子的な条件付期待値としての解釈 [5] を紹介する。また、量子論における不確定性関係と弱値との間の関わりについて紹介し、弱値が分散型(Robertson-Kennard 型)と時間・エネルギー型の両不確定性関係を結ぶ役を担うことを見る [6]。次に、弱測定法について、これを広く条件付き量子測定として一般的に捉えることで、これが量子的な条件付期待値の測定手法として理解できることを見る。最後に、精密測定における弱測定法の有用性を論ずる上での誤差評価模型 [7] を紹介し、弱測定法が従来の測定法の精度限界を超えることを理論的に実証した上で、併せて実験データの検証結果 [8] を見る。

参考文献

[1] Y. Aharonov, P. G. Bergmann, and L. Lebowitz, Phys. Rev. 134, B1410 (1964).
[2] Y. Aharonov, D. Z. Albert and L. Vaidman, Phys. Rev. Lett. 60, 1351 (1988).
[3] O. Hosten and P. Kwiat, Science 319, 787 (2008).
[4] P. B. Dixon, D. J. Starling, A. N. Jordan, and J. C. Howell, Phys. Rev. Lett. 102, 173601 (2009).
[5] J. Lee and I. Tsutsui, Prog. Theor. Exp. Phys. 2017 (5): 052A01 (2017).
[6] J. Lee and I. Tsutsui, Phys. Lett. A 380: 2045-2048 (2016).
[7] J. Lee and I. Tsutsui, Quantum Stud.: Math. Found. 1, 65 (2014).
[8] Y. Mori, J. Lee and I. Tsutsui, in preparation.


(公開日: 2018年06月21日)