ISSP - The institute for Solid State Physics

Seminar
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[極限コヒーレント光科学セミナー]
ネマティック電子状態の超高速光応答
日程 : 2018年6月21日(木) 10:00 - 11:00 場所 : 物性研究所本館6階 第一会議室 (A636) 講師 : 下志万 貴博 氏 所属 : 国立研究開発法人理化学研究所 世話人 : 近藤 猛 (内線63370)
e-mail: kondo1215@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

自発的に回転対称性が破れた電子状態は、液晶とのアナロジーからネマティック電子状態と呼ばれ、銅酸化物や鉄系超伝導体の高温超伝導相近傍に発現する未知の秩序として注目されている。鉄系超伝導体では、スピンや軌道自由度における異方性の発達が格子変形を伴いながら電子ネマティック秩序を引き起こす機構が提唱されている。特に超伝導転移温度が最高となる最適組成では、ネマティック揺らぎが低温に向けて発達する振る舞いが物質の種類を超えて普遍的に見いだされており、超伝導発現との関連も指摘されている。これまで我々は角度分解光電子分光(ARPES)により、FeSeの電子ネマティック秩序相における二回対称なフェルミ面や、バンド構造における軌道分極を明らかにしてきた[1,2]。本講演では、時間分解ARPESを用いて観測したFeSeにおけるネマティック電子状態の超高速光応答を紹介する。フェムト秒レーザー照射によるネマティック秩序の超高速融解と、その後に現れる「ネマティック軌道揺らぎ」を見出した[3]。後者は、レーザー照射強度に対して臨界的挙動を示す減衰の速い振動現象として観測され、固体の新たな励起状態である可能性が示唆される。講演では以上の結果について説明するとともに、最後に現在我々が開発を進めている時間分解電子線回折および時間分解電子顕微鏡について、得られ始めている最新の成果とともに紹介する[4,5]。

[1] T. Shimojima et al.,Phys. Rev. B 90, 121111(R) (2014).
[2] Y. Suzuki, T. Shimojima et al.,Phys. Rev. B 92, 205117 (2015).
[3] T. Shimojima et al., submitted.
[4] A. Nakamura, T, Shimojima et al.,Structural Dynamics 3, 064501 (2016).
[5] S. Ideta, T. Shimojima et al.,Science Advances, accepted.


(公開日: 2018年06月07日)