ISSP - The institute for Solid State Physics

Seminar
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[極限コヒーレント光科学セミナー]
微生物型ロドプシンの光機能メカニズム研究
日程 : 2018年5月15日(火) 10:00 〜 場所 : 物性研究所本館6階 第一会議室 (A636) 講師 : 井上 圭一 所属 : 東京大学物性研究所 世話人 : 秋山英文 (6-3385)
e-mail: golgo@issp.u-tokyo.ac.jp

微生物型ロドプシンは細菌や古細菌、一部の真核生物など、主に単細胞の微生物が持つ、光受容型の膜タンパク質である。微生物型ロドプシンは7回膜貫通型の共通構造の内部に発色団であるall-trans型のレチナールを結合しているが、このレチナールが光を吸収すると13-cis型へと異性化し、さらにその構造変化をトリガーとして様々な生理機能が光で発現する。その機能は非常に多岐にわたり、光駆動型のイオンポンプや、光開閉式チャネル、走光性センサー、光依存的な遺伝子発現制御などの機能を持つロドプシンが知られている。我々はこれまでに主にレーザー分光を中心とした、物理化学的な解析により、それぞれの微生物型ロドプシンが非常に似通った構造様式を持ちながら、どのように異なった機能を発現するのか、その構造機能相関をもたらす要因について研究を行ってきた。最近では光エネルギーを使って細胞外にNa+イオンを輸送するNa+ポンプ型ロドプシン[1,2]や、細胞内にH+を輸送する内向きH+ポンプ型ロドプシン[3]を新たに発見し、さらにその輸送メカニズムや、これらの分子をもとに機能を改変した新規分子ツールについて研究を行った。講演ではこれらの結果について紹介するとともに、近年様々なグループによってレーザー分光を用いて調べられた微生物型ロドプシンの研究例や動向についても概説する。

 

[1] K. Inoue, et al., Nature. Commun. 4, 1678 (2013)

[2] H. E. Kato et al., Nature 521, 48 (2015)

[3] K. Inoue et al., Nature. Commun. 7, 13415 (2016)


(公開日: 2018年04月26日)