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界面スピンオービトロニクス – 磁気異方性の基礎と応用 –

日程 : 2019年2月6日(水) 14:00 - 15:00 場所 : 物性研究所本館6階 大講義室(A632) 講師 : 三輪 真嗣 所属 : 東京大学 物性研究所 量子物質研究グループ 世話人 : 談話会委員 杉野 修・松田 康弘
e-mail: danwakai@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

対称性の低い磁性体では磁気モーメントの向きやすさが方向により異なります。これが「磁気異方性」です。厚みが1ナノメートル程度の非常に薄い強磁性金属では膜面垂直方向に一軸の磁気異方性が生じ、界面垂直磁気異方性と呼ばれます。これはバルク磁性材料で観測される一軸の結晶磁気異方性[1]と同様の現象であり、スピン軌道相互作用エネルギーの異方性に由来します。実験技術の進歩により、1980年頃から超高真空中で異種元素を原子レベルで積層する「金属人工格子」を用いた研究が可能となりました。近年は磁性金属人工格子の応用物性に注力した「スピントロニクス」の研究が盛んであり、界面垂直磁気異方性は高密度な磁気セルの実現や高効率な磁極制御手法として重要な役割を果たしています。

この談話会では薄膜強磁性金属の界面垂直磁気異方性について、物理イメージと応用を話します[2]。磁気異方性の歴史から始め、磁性金属人工格子における界面スピン軌道相互作用の制御を基軸とした「界面スピンオービトロニクス」を紹介します。具定例として、界面垂直磁気異方性を利用した磁化ポテンシャル制御により実現した「非線形スピントルクダイオード効果」[3]、薄膜デバイス物性研究にX線磁気円二色性分光を利用して実現した「電界誘起界面垂直磁気異方性変調の機構解明」[2,4,5]を紹介する予定です。

[1] W. Sucksmith and J. E. Thompson “The magnetic anisotropy of cobalt” Proc. Roy. Soc. (London) A225, 362 (1954).

[2] S. Miwa et al. “Perpendicular magnetic anisotropy and its electric-field-induced change at metal-dielectric interfaces” J. Phys. D: Appl. Phys. 52, 063001 (2019). [Topical Review].

[3] S. Miwa et al. “Highly sensitive nanoscale spin-torque diode” Nat. Mater. 13, 50 (2014).

[4] S. Miwa et al. “Voltage controlled interfacial magnetism through platinum orbits” Nat. Commun. 8, 15838 (2017).

[5] T. Kawabe, S. Miwa et al, “Electric-field-induced changes of magnetic moments and magnetocrystalline anisotropy in ultrathin cobalt films” Phys. Rev. B 96, 220412(R) (2017).

 

【講師紹介】

三輪真嗣先生は、大阪大学より本年度4月に物性研に着任されました。超高真空薄膜成長技術を利用した新物質・材料創成とそのスピントロニクスデバイスへの応用に関しての最新の研究成果を伺えると思います。

談話会委員 杉野 修 ・ 松田 康弘 danwakai@issp.u-tokyo.ac.jp


(公開日: 2018年12月10日)