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量子導体における情報量の完全計数統計と最大通信路容量

日程 : 2018年6月18日(月) 3:30 pm 〜
* 入門部50分程度、最近の研究50分程度を予定
場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 内海 裕洋 氏 所属 : 三重大学 工学部 物理工学科 世話人 : 加藤 岳生, 阪野 塁講演言語 : 日本語

2端子量子ドットを対象に、部分系の自己情報量のゆらぎの分布と、最大通信容量を議論する。前半では、非平衡定常状態におけるRenyiエンタングルメント・エントロピーを、レプリカ法により計算する方法を丁寧に説明する。まず複製したKeldysh経路上において、グリーン関数を導入する[1]。レプリカ空間についてフーリエ変換すると、完全計数統計理論[2]における計数場が現れる。その結果、Renyiエンタングルメント・エントロピーは電流キュムラント生成関数を用いて表すことができる[3]。
後半では、量子導体の通信路容量を議論する。部分系の局所的な熱量の測定後の縮約密度行列の対数として、条件付き自己情報量の演算子を導入する。その確率分布のフーリエ変換はRenyiエンタングルメント・エントロピーを解析接続したものとなる。最大通信路容量は0次のRenyiエンタングルメント・エントロピーで表され、それは分割数となることを示す。また定常状態では、縮約密度行列と部分系の局所熱量演算子は可換としてよいことを議論する。

[1] Yu. V. Nazarov, Phys. Rev. B 84, 205437 (2011)
[2] D. A. Bagrets, Y. Utsumi, D. S. Golubev, G. Schoen, “Full Counting Statistics of Interacting Electrons”, ed. by W. P. Schleich and W. Herbert, Wiley-VCH, Berlin (2007)
[3] Y. Utsumi, arXiv:1804.04328, Phys. Rev. B 96, 085304 (2017), Phys. Rev. B 92, 165312 (2015)


(公開日: 2018年06月05日)