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量子ビームイメージング技術のフロンティア開拓

日程 : 2018年2月1日(木) 2:00 pm 〜 場所 : 物性研究所本館6階 第一会議室 (A636) 講師 : 矢代航 所属 : 東北大学多元物質科学研究所

我が国は「ものづくりの国」とよくいわれるが、「ものづくり」と「計測」は、科学・技術の進歩における車の両輪である。すなわち、両者がバランスよく前進するべきであり、さもなくば迷走に陥るであろう。高度な職人技も、優れた五感があればこそ、であり、人間の感覚を遙かに超えた最先端のものづくりにおいても、計測技術のフロンティアの開拓が不可欠である。

本講演では、特に量子ビーム(主にX線および中性子)イメージング技術のフロンティア開拓に焦点を絞り、私が近年取り組んできた研究の成果などについて紹介する。一般に計測法のフロンティアの開拓は、自然現象の基本的な理解にはじまり、計測法の確立に向けた計測系、計測素子・機器、シミュレーション・解析法の研究・開発、さらには製品化に向けた汎用機器の開発という展開によって、はじめて本質的な意味で進展するものである。本講演では、このような本質的な進展を目指して講演者が取り組んできた、量子ビームイメージング技術のフロンティア開拓に向けた分野横断的な研究について紹介する。

X線、中性子イメージング法のフロンティアの開拓は、具体的には、高密度分解能化、高空間分解能化、高時間分解能化、大視野化、多次元化などに代表される。これらのフロンティアの開拓には、X線・中性子光学の理論・実験両面の基礎研究だけでなく、従来の限界を超える高度な微細加工技術の開拓、高度な情報処理技術の開拓など、分野横断的な研究が不可欠である。本講演ではそのような新たな展開の例として、新規材料による高アスペクト比X線光学素子の開発[1]や、高度情報処理技術との融合によるミリ秒トモグラフィ法の開発[2](JST CREST(2017年10月開始))、さらには、多次元化に向けた新たな挑戦として、表面・界面構造解析とイメージング技術の融合に向けた取り組み[3]や、医療診断へ向けたX線エラストグラフィ法の開発(AMED先端計測分析技術・機器開発プログラム(2017年8月開始))などについても紹介する。

[1] W. Yashiro et al., Appl. Phys. Express 7 (2014) 032501; W. Yashiro et al., Jpn. J. Appl. Phys. 55 (2016) 048003.

[2] W. Yashiro et al., Appl. Phys. Express 10 (2017) 052501; Jpn. J. Appl. Phys. 56 (2017) 112503.

[3] W. Yashiro et al., Opt. Express 18 (2010) 16890-16901; W. Yashiro et al., Phys. Rev. B 84 (2011) 094106; W. Yashiro et al., Opt. Express 23 (2015) 9233-9251; W. Yashiro et al., Jpn. J. Appl. Phys. 53 (2014) 05FH04.


(公開日: 2018年01月15日)