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第8回:半導体,半金属,絶縁体二次元界面におけるスピン輸送物性評価

日程 : 2017年7月10日(月) 1:30 pm 〜 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 安藤 裕一郎 先生 所属 : 京都大学 大学院工学研究科 電子工学専攻 世話人 : 中辻 知講演言語 : 日本語

純スピン流(スピン角運動量の流れ)やスピン偏極電流(スピン偏極した電流)を生成・輸送・検出する技術はスピントロニクスデバイスにおいて不可欠である.スピン流を情報輸送や演算に用いる場合には非平衡状態のスピン流を用いる必要がある.このような非平衡状態のスピンは必ずスピン緩和を伴う.従って,スピン寿命,スピン拡散長などのスピン輸送物性の理解は,デバイス設計の指針を得る上で極めて重要と言える.スピン輸送物性の解明にはスピン流を強磁性体から対象物質に注入するのが一般的である.対象物質が金属中の場合,スピン流を注入することは比較的容易であり,解析もシンプルな場合が多い.一方,半導体に注入する場合には数多くの障害が発生し困難を極める.しかし,その一方で,注入されたスピン流に関しては豊かな物理を内包しており,基礎学理の観点でも,応用の観点でも極めて重要な研究対象と言える.本講演では一般的な半導体(Si,Ge,GaAs,およびGaAs二次元電子ガス等)中や[1-3],スピン軌道相互作用が大きい半金属Bi膜中[4],d軌道電子がスピン輸送を担っていると期待されているLaAlO3/SrTiO3二次元界面[5]におけるスピン流物性の解明に関する,我々の最近の研究成果を中心に紹介する.研究対象は多岐に渡るが,それぞれの特徴を鑑み,適したスピン流評価手法を選択しなければ徒労に帰す恐れもある.各々のスピン輸送物性の評価手法について,利点・欠点,工夫すべき点,注意すべき点等を解説する.

[1] T. Sasaki, Y. Ando et al., Phys. Rev. Appl. 2, 034005 (2014).
[2] A. Yamamoto, Y. Ando et al., Phys. Rev. B 91, 024417 (2015).
[3] S. Dushenko, M Koike, Y. Ando et al., Phys Rev. Lett. 114, 196602 (2015).
[4] H. Emoto, Y. Ando et al., Phs. Rev. B 93, 174428 (2016).
[5] R. Ohshima, Y. Ando et al., Nat. Mater. in press.


(公開日: 2017年07月05日)