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5dパイロクロア酸化物研究における最近の展開

日程 : 2017年8月2日(水) 10:00 am - 6:00 pm 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講演言語 : 日本語

最近活発に研究が行われている一連の5dパイロクロア酸化物について、その電子物性の理解を深めるために研究会を企画する。5d5系のLn2Ir2O7は中辻グループや松平グループによりall-in/all-out(AIAO)型反強磁性相への金属絶縁体転移を示す系として注目され、時間反転対称性の破れに伴うワイル半金属状態の出現が期待されている。5d3系のCd2Os2O7は同様のAIAO磁気秩序と金属絶縁体転移を示し、その転移機構は未だに未解明の問題である。さらにこれらの物質においては、強磁性金属的な磁壁の存在が示唆され、興味深い研究対象となっている。一方、5d2系のCd2Re2O7は2001年に超伝導が見つかって以来、活発な研究が行われたが、最近になって新たな理論提案があり大きな注目を集めている。本物質では高温で空間反転対称性を破る構造転移があり、これが「スピン軌道結合金属」特有のフェルミ液体不安定性による多極子転移であるとされ、超伝導には奇パリティ成分が含まれると期待される。さらに高圧下で高温の相転移を押さえたときに多極子パリティ揺らぎが増強され、エキゾチックな超伝導状態が出現すると予想されている。また、5d0.5系のCsW2O6においては、電荷不均化と3量体分子軌道形成を伴う新しいタイプの金属絶縁体転移が見つかっている。以上のように、様々な電子フィリングをもつ5dパイロクロア酸化物を舞台として、5d電子特有の多彩な電子物性が明らかになりつつある。

本研究会では、これらの5dパイロクロア酸化物系や関連する物質について集中的に討議し、パイロクロア酸化物を舞台とした電子の特異な振る舞いについて理解を深めるとともに、パイロクロア酸化物における物質開発、物性探索の現状と展望について概観する。

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(公開日: 2017年07月03日)