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タンパク質‐配位子相互作用における動的構造解析と新規イメージング技術

日程 : 2017年6月22日(木) 11:00 am 〜 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 佐藤 文菜 先生 所属 : 自治医科大学 ・ 助教 世話人 : 吉信 淳 (内線:63320)

アロステリックタンパク質の代表格であるヘモグロビンは、結合配位子の個数に依存して自身の分子構造、及び配位子との親和性を大幅に変化させることが知られている[1]。しかし、タンパク質研究の歴史上非常に古い分子であるにもかかわらず、その構造変化の過程を詳細に原子レベルで観測した例はなく、親和性制御の機構についても未だ不明な点が多い。我々は、配位子解離過程の構造変形を詳細に捕らえるべく、これまで類似タンパク質にて実績のある低温での動的結晶構造解析[2-3]をヘモグロビンに対して行い、分子変形の定量的な解析を行った。その結果、ヘモグロビンの各サブユニット内での段階的な構造変化が伝播し、分子全体の協同的な四次構造変化へと拡張していく様子を追跡することができた。また、近年我々は室温でのポンプ‐プローブLaue回折実験[4]、蛍光X線ホログラフィー法によるタンパク質の原子イメージング[5]等も行っており、本セミナーでは新たな研究成果とその展望についても紹介したい。

[1] M. F. Perutz, Sci. Am. 239 (1978) 92-125.
[2] A. Tomita et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 106 (2009) 2612-2616.
[3] A. Tomita et al., Acta. Cryst. A66 (2010) 220-228.
[4] 富田文菜 他, 日本結晶学会誌 56 (2014) 253-258.
[5] A. Sato-Tomita et al., Rev. Sci. Inst., 87 (2016) 063707.


(公開日: 2017年06月07日)