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タンパク質膜透過チャネルSecトランスロコンを経由するタンパク質輸送のメカニズム

日程 : 2017年7月6日(木) 11:00 am - 12:00 pm 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 塚崎 智也 准教授 所属 : 奈良先端科学技術大学院大学

生体内で合成されたタンパク質の多くは生体膜をこえて輸送されたり,生体膜に組込まれたりして,その機能を発揮する。生体膜にはSecトランスロコンとよばれる進化的に保存されたタンパク質膜透過チャネルがあり,ここを経由して多くのタンパク質が運ばれる。大腸菌では,膜タンパク質SecY, SecE, SecG からなる複合体がSecトランスロコンを形成しており,ここを経由するタンパク質輸送のモータータンパク質としてSecA ATPase, 膜タンパク質 SecDF が存在する。SecDFはプロトンの濃度勾配を利用していると考えられている。これらのモータータンパク質は基質タンパク質を伴ったダイナミックな構造変化を繰り返すことによって膜透過を駆動する。この分子メカニズムの解明は,本研究分野の最優先課題の一つであり,構造情報が必要とされていた。2003年ごろから筆者らのグループをはじめいくつかのグループがSecならびに関連因子の構造解析を進めてきた結果,タンパク質の膜透過・膜組込みの理解が深まった。本セミナーでは,我々が進めてきたX線結晶構造解析ならびに機能解析を中心に解説し,考えられるタンパク質輸送のモデルを紹介する[1]-[5]。また,現在進行中のタンパク質輸送の動的メカニズム解明にむけたリアルタイム計測の試みについてもふれたい。

【参考文献】
[1] Tsukazaki et al., Nature 455, 988-991 (2008)
[2] Tsukazaki et al., Nature 474, 235-238 (2011)
[3] Kumazaki et al., Nature 509, 516-520 (2014)
[4] Tanaka et al., Cell Rep. 13, 1561-1568 (2015)
[5] Furukawa et al., Cell Rep. 19, 895-901 (2017)


(公開日: 2017年05月31日)