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第8回 : ディラック半金属と熱電変換材料

日程 : 2017年6月23日(金) 4:00 pm - 5:00 pm 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 岡本佳比古 准教授 所属 : 名古屋大学工学研究科高等研究院

冷媒ガスを用いた気体圧縮方式にとって代わる次世代の冷凍技術として、伝導電子の熱輸送を利用した冷却:熱電冷却にかかる期待は大きい。現在、室温付近で動作するBi2Te3系の材料を使用したペルチエ素子として限られた用途で実用化されている。より低温、例えば液体窒素温度付近で実用できれば、用途が大きく広がると期待される。低温で高い性能を示す材料を得るためには、極めて小さいバンドギャップをもつ物質において新材料開発を行う必要がある。

一方、バンドギャップの大きさがちょうどゼロになった状態が安定に存在するゼロギャップ半導体が、ディラック半金属またはワイル半金属と呼ばれ、近年大きく注目されている。世界的に物質探索が進み、新たなディラック・ワイル半金属が毎日のように報告されている。この状況は、特異な電子物性の発現だけでなく、熱電変換材料の開発にとってもブレイクスルーが起こりうるチャンスと考える。

セミナーでは、このような発想に基づき、我々のグループで開拓してきたディラック半金属と熱電変換材料に関する最近の成果、特にCaAgAsとCaAgP [1,2]、Ca3SnO [3]、Ta4SiTe4 [4]について報告したい。

[1] A. Yamakage, Y. Yamakawa, Y. Tanaka, and Y. Okamoto, J. Phys. Soc. Jpn. 85, 013708 (2016).
[2] Y. Okamoto, T. Inohara, A. Yamakage, Y. Yamakawa, and K. Takenaka, J. Phys. Soc. Jpn. 85, 123701 (2016).
[3] Y. Okamoto, A. Sakamaki, and K. Takenaka, J. Appl. Phys. 119, 205106 (2016).
[4] T. Inohara, Y. Okamoto, Y. Yamakawa, A. Yamakage, and K. Takenaka, Appl. Phys. Lett. 110, 183901 (2017).


(公開日: 2017年05月22日)