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福山名誉教授(元所長) 瑞宝中綬章受章

元物性研究所長(平成11-14年度)で東京大学名誉教授・東京理科大学研究推進機構総合研究院長の福山秀敏先生は、平成15年春の紫綬褒章受章に続き、教育研究功労が顕著であるとして平成27年秋の瑞宝中綬章を受章されました。

福山先生は永年にわたって物性物理学の教育・研究に努められ、量子輸送現象の理論的研究において幾多の重要な成果を上げた国際的に著名な研究者であるだけでなく、物性物理学の分野における理論・実験一体となった研究の進展に指導的役割を果たされています。 

特に顕著な学術上の業績としては、(1)量子力学誕生後においても長年の謎であった「ビスマスの巨大反磁性」の発現機構の解明、軌道磁化率の厳密で簡明な公式の発見、磁場下ホール係数の一般的表式の確立等「磁場中のブロッホ電子」の基本的な理論の構築、(2)二次元電子系における電荷密度波形成と融解、また、強磁場下の二次元電子系の結晶化の理論、(3)1次元電子系のパイエルス状態における位相ハミルトニアンの導出と不純物によるピン止め効果の解明、また、そのスピンパイエルス系への応用、(4)アンダーソン局在における電子間相互作用の効果の解明、(5)銅酸化物高温超伝導の理論的研究において、強相関極限の有効ハミルトニアンであるt-J模型のスレーブ・ボソン法による相図とスピンギャップ相の研究、(6)強相関電子系である準二次元有機導体の多様な電子状態に対する統一的理解や新物質探索に向けた指針を与える理論研究、等が挙げられます。

また、上記研究上の業績に加えて、国際純粋応用物理学連合(IUPAP)副会長として”Women in Physics”ワーキンググループの初代メンバーの一人として国内外の物理学における「男女共同参画」運動、更にそれを契機とした我が国の学術全般におけるこの活動に貢献し、更に最近では「元素戦略<拠点型>」の制度設計に参画し我が国の物質・材料科学の発展のために活動を展開されています。

(公開日: 2015年11月10日)