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有機分子により五角形から成る量子磁気ネットワークを実現

橘高俊一郎助教、榊原俊郎教授(極限環境物性研究部門)、大久保毅特任研究員(計算物質科学研究センター)らは、大阪府立大学の山口博則准教授、小野俊雄准教授、細越裕子教授、防衛大学校の荒木幸治助教らと共同で、五角形を基本構造とした量子的な磁気相互作用ネットワークを持つ、新しいタイプの有機磁性体を実現しました。奇数角形の磁気ネットワークを持つ磁性体は、相互作用にフラストレーションを生じるため、種々の新しい磁気状態を示します。これまでは、最も単純な三角形から成る磁性体を中心に研究が行われていましたが、本研究グループは、フェルダジルラジカルを基本骨格としたα-2,6-Cl2 -Vを設計・合成し、ねじれた五角形同士が頂点を共有して三次元的に広がる、新しい磁気ネットワークが実現されていることを明らかにしました。本研究成果は、五角形のフラストレーションという量子磁性体研究の新たな方向性を提唱し、新しい量子現象の発見につながると期待されます。本研究成果については、大阪府立大学からプレスリリースも出ています。

大阪府立大学によるプレスリリース
http://www.osakafu-u.ac.jp/info/publicity/release/2015/pr20151030.html

掲載論文
題目:Experimental Realization of a Quantum Pentagonal Lattice
著者:Hironori Yamaguchi, Tsuyoshi Okubo, Shunichiro Kittaka, Toshiro Sakakibara,
Koji Araki, Kenji Iwase, Naoki Amaya, Toshio Ono,Yuko Hosokoshi
雑誌:Scientific Reports 5, 15327 (2015).
DOI: 10.1038/srep15327

(公開日: 2015年11月09日)