Home >  ニュース > 第12回ISSP学術奨励賞・ISSP柏賞

第12回ISSP学術奨励賞・ISSP柏賞

東京大学物性研究所では平成15年度から物性研究所所長賞としてISSP学術奨励賞およびISSP柏賞を設けました。ISSP学術奨励賞は物性研究所で行われた独創的な研究、学術 業績により学術の発展に貢献したものを称え顕彰し、ISSP柏賞は技術開発や社会活動等により物性研究所の発展に顕著な功績のあったものを称え顕彰するものです。歴代受賞者は東京大学物性研究所所長賞のページで紹介しています。

平成26年度は次の3名の方が第12回の受賞者と決定しました。授賞式は平成27年3月17日に物性研究所大講義室において行われ、引き続き柏キャンパスカフェテリアにおいてお祝いの会が開催されました。


第12回ISSP学術奨励賞
石井 順久 氏(極限コヒーレント光科学研究センター 板谷研究室 助教)
「高強度極短パルス赤外光源によるコヒーレント軟X線発生」

石井氏はBiB3O6結晶を用いた光パラメトリック増幅に基づく赤外域での高強度極短パルス光の発生手法を提案し、2011年より集中的に光源開発を進めた。その結果、波長1.6μm、パルスエネルギー0.5mJ、パルス幅9.0fsの赤外高強度パルス光の発生に成功した。この光源を用いた高次高調波発生実験を行い、光電場の位相に敏感なコヒーレント軟X線発生に成功した。これら一連の成果はアト秒領域の超高速分光手法を極紫外から軟X線へ拡張し、凝縮系の超高速吸収分光実験への道を開くものであり、ISSP学術奨励賞に十分相応しいと認められた。

第12回ISSP柏賞
福島 昭子 氏(極限コヒーレント光科学研究センター 軌道放射物性研究施設 技術専門員)
原沢 あゆみ 氏(極限コヒーレント光科学研究センター 軌道放射物性研究施設 技術専門職員)
「つくば分室における長年の管理・運営と閉室業務の遂行」

福島昭子氏および原沢あゆみ氏の両氏は物性研究所軌道放射研究施設つくば分室において、アンジュレ―ター・ミラー・分光器等の放射光ビームラインや光電子および発光分光実験装置をはじめとする各種実験装置の建設、開発、維持、管理、さらにはそれらを用いた共同利用実験支援等を長年にわたり行なってきました。これらの多大の貢献によって、つくば分室での研究活動や共同利用を円滑に実施することができ、世界に研究成果を発信することができました。また、大学が法人化されて以降は、つくば分室における安全衛生に関する業務も行い、実験を安全に行えるような研究環境の維持整備に大いに貢献しました。さらに、東日本大震災時においては、つくば分室のビームラインや実験装置の復旧にもおおいに尽力し、フォトンファクトリーの加速器運転再開に合わせて、震災以前同様の共同利用実験を再開することを可能としました。福島、原沢両氏のつくば分室における長年の管理・運営への貢献はISSP柏賞に十分相応しいと認められた。

左から、瀧川所長、福島氏、原沢氏、石井氏、辛センター長
(公開日: 2015年03月30日)