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次世代放射光施設の研究会、大盛況のうちに閉会

2018年7月3日に文部科学省が次世代放射光施設(軟X線向け高輝度3GeV級放射光源)の推進に際し、国側の主体である量子科学技術研究開発機構のパートナーとして一般財団法人光科学イノベーションセンターを選定したことを発表しました。これにより、同施設の整備・運用に関する詳細を具体化するための検討・調整が産・官・学で開始されることになりました。

本施設は我々の悲願であった軟X線放射光施設であり、いよいよLASOR軌道放射研究施設(SOR施設)がSPring-8 BL07LSUで培った実験技術を飛躍的に発展する機会が訪れました。そこで、東京大学物性研究所短期研究会「軟X線放射光科学のアップシフト」を11/30(金)と12/1(土)に開催し、次世代放射光施設において期待される新技術と、それを利用して実施すべきフロンティアサイエンスに対して具体的な議論を行いました。

研究会1日目は第1部として「次世代放射光施設で展開される科学技術」をテーマとし、招待講演者を迎え分野を超えて将来展望を議論しました。2日目は第2部として「次世代放射光施設に向けた先端実験及び情報技術の開発」をテーマとし、放射光の先端科学技術を牽引する研究者を中心に、次世代放射光施設における具体的な実験及び解析技術を検討しました。

東京大学のビームラインSPring-8 BL07LSUでは常設ステーションで培ってきた「時間分解」、「微小スポット」、「超高分解能」などの先端測定技術と、フリーポートステーションで芽生えた「新技術」を総合的に再構築することで新たな実験基盤を築き上げました。これらを次世代放射光光源で実施できるナノスケールミラー集光やコヒーレントイメージング技術と組み合わせることで多次元データ取得を高分解能で実施することができます。研究会では現在の科学及び産業のニーズに応える研究テーマを検討するとともに、これらの技術革新や最新のインフォマティクスに基づいた解析法についても議論しました。

2日間の開催に延べ200名を超える方にご参加いただき、放射光科学技術の新展開に高い期待が寄せられている結果となりました。

本研究会に際し、文部科学省量子研究推進室 奥篤史室長、東北大学 早坂忠裕研究担当理事、東北大学多元物質科学研究所 村松淳司所長、光科学イノベーションセンター 高田昌樹理事長、量子科学技術研究開発機構 内海渉室長、日本放射光学会 小杉信博会長、VUV・SX高輝度光源利用者懇談会 木村真一会長からご挨拶とご講演を賜りました。
ご講演及びご参加いただいた方々全員に深く感謝致します。

集合写真
(公開日: 2018年12月13日)