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中村大輔氏(嶽山研究室助教)が第8回強磁場フォーラム三浦奨励賞を受賞

 国際超強磁場科学研究施設嶽山研究室の中村大輔氏が第8回強磁場フォーラム三浦奨励賞を受賞しました。この賞は、日本における研究機関で、強磁場中における物性測定や強磁場発生に関する技術開発において、新しい着想で優れた成果をあげ、強磁場物性の発展に貢献した若手研究者を賞するものです。

 受賞対象となった研究は「破壊型超強磁場環境下での基盤実験技術の開拓と物性研究への適用」です。

 中村氏は、電磁濃縮法による超強磁場発生装置を用いて物性研究を行うための基盤技術の確立に関し、大きな貢献を果たしました。光学ガラスの反磁性によるファラデー回転効果を700テスラ強まで正確に計測し、従来型のピックアップコイルで計測された磁場強度との比較を行い、高周波伝送特性が磁場計測に及ぼす影響について検討を行いました。また、電磁濃縮過程の数値シミュレーションを改良し, 実験で得た磁場の詳細な空間分布と比較して、電磁濃縮法における磁場波形を精度よく再現することに成功しました。そして、これらの成果を利用して単層カーボンナノチューブの励起子吸収ピークがアハラノフ・ボーム効果によって370テスラの超強磁場下で分裂する様子を観測し、150テスラ以上で初めて顕著になるK、K’点での独立な励起子準位の分裂の大きさを評価することに成功しました。

 上記の手法は今後、電磁濃縮装置を用いたコイル開発の高効率化および、より高い確度での様々な物性計測応用が期待されます。これらの研究成果が高く評価され、今回の受賞となりました。

 授賞式は2016年6月24日の第12回強磁場フォーラム総会にて行われました。

中村大輔氏(嶽山研究室助教)
(公開日: 2016年06月27日)