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山口明助教、日本物理学会若手奨励賞を受賞

極限環境物性研究部門の山口明博士が第2回(2008年)日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。本賞は学会の各専門領域における有望な若手研究者を奨励するもので、今回山口博士は量子流体・固体分野を含む領域6での受賞となりました。受賞対象となったのは「超流動3HeA1相におけるスピン緩和の測定とマイノリティスピン凝縮対の観測」です。P波の超流動3Heでは磁場中で特異なA1相が現れますが、従来この相の超流動成分は磁場に平行なスピン凝縮対のみから成ると考えられてきました。しかし存在する温度幅が非常に狭く(3.4 MPa で0.06 mK / T)、超低温・強磁場を要するためにこれまでの測定は非常に限られています。今回、山口氏はA1相に固有の磁気噴水効果を駆使し、スピン緩和を広い磁場・圧力にわたり測定することに初めて成功しました。観測されたスピン緩和は古くから予想されていたLeggett-Takagi機構によること、またA1相でもわずかながら磁場に反平行なマイノリティスピン凝縮対が存在するという新しい知見が得られました。この他、強磁場中の2次元固体3Heや液体3He中の正イオンの磁気散乱などに関する多くの成果が高く評価されこの度の受賞に至りました。受賞記念講演は、本年3月、大阪で開催される日本物理学会年会にて行われる予定であります。

(公開日: 2008年03月21日)