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井原章之さん(学生)、平成19年度理学系研究奨励賞を受賞

物性研・秋山研究室の井原章之さん(東京大学大学院・理学系研究科・物理学専攻・博士課程3年)が、博士論文研究「顕微発光分光法によるドープ量子細線中の1次元電子系の研究」により、平成19年度の東京大学理学系研究奨励賞を受賞しました。授賞式が、平成20年3月24日に行われました。

井原章之さんは、世界に類を見ない高品質のn型変調ドープ単一量子細線に対して、非常に精緻な顕微発光(PL)および発光励起(PLE)スペクトル測定を行い、濃度の制御された1次元電子ガスと光励起電子正孔の間の1次元特有の多体電子間相互作用を明らかにする内容の博士課程研究を行いました。1次元電子濃度を変化させながらPLEスペクトルを測定し、励起子吸収ピークの低エネルギー側に、荷電励起子吸収ピークが現れ、それが形状を変化させながら1次元電子ガスのフェルミ端吸収特異性に移り変わってゆく興味深い様子などを初めて観測し、さらに、ハートリー・フォック近似レベルでクーロン相互作用を取り入れた詳細な理論計算を行って実験データと比較検討しました。また、同じ試料の中に含まれている2次元電子系の応答との直接比較をしたり、温度変化測定から1次元状態密度上のキャリア熱分布の効果を検証したり、モデルによらずにキャリア温度を評価する手法の開発を試みたりなど、柔軟で多彩な研究を展開しました。これらの研究の内容と発表が高く評価され、受賞に至りました。

(東京大学理学系研究科では、学業と研究の奨励のため、平成18年から理学系研究科研究奨励賞を設け表彰を行っています。)

東京大学理学系研究科・理学部ニュース2008年5月号40巻1号に掲載
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/gai/kouhou-pdf/40_1.pdf

(公開日: 2008年03月24日)