物質設計評価施設の上田(寛)研元院生中島智彦氏、元助手陰山洋氏、上田寛教授、中性子科学研究施設吉澤英樹教授の連名による以下の論文が日本物理学会第13回論文賞を受賞しました。
題目：Structures and Electromagnetic Properties of New Metal-Ordered Manganites: RBaMn2O6 (R = Y and Rare-Earth Elements)
著者：Tomohiko NAKAJIMA（中島智彦）、Hiroshi KAGEYAMA（陰山洋）、Hideki YOSHIZAWA（吉澤英樹）、Yutaka UEDA（上田寛）
掲載誌：J. Phys. Soc. Jpn. 71 (2002) 2843-2846

本論文は、固体化学的手法を駆使して乱れを持たない新しいタイプのAサイト秩序型ペロフスカイトMn酸化物RBaMn2O6 (R は希土類金属)を合成し、その構造と物性を調べたものである。従来の無秩序型のものと比較することにより、（１）従来型より数百K高い（室温以上）電荷・軌道整列転移温度、（２）従来型と異なる新しい電荷・軌道整列およびスピン構造、（３）電荷整列とは無関係な軌道整列転移、（４）乱れとは無関係な電子相分離現象、などの新物性を明らかにするとともに乱れの効果や新概念を提唱し、この分野の研究の新機軸を切り開くことになった。