Home >  ニュース > 市原正樹技術専門員(物質設計評価施設電子顕微鏡室)日本金属学会第40回研究技術功労賞受賞

市原正樹技術専門員(物質設計評価施設電子顕微鏡室)日本金属学会第40回研究技術功労賞受賞

 物質設計評価施設電子顕微鏡室の技術専門員である市原正樹氏が、日本金属学会第40回研究技術功労賞を受賞されることになりました。本研究技術功労賞は、金属を中心とした材料科学の分野において第一線の研究成果に多大な貢献をしてきた人に与えられるものでり、今回、市原氏が受賞されることになったことは誠に喜ばしいことであります。

 市原氏は、昭和42年4月、電子顕微鏡室に技官として着任後、技術専門職員を経て、平成16年4月、技術専門員となり、本年3月をもって定年を迎えられます。この間、42年にわたり透過型電子顕微鏡を用いた研究支援業務を行ってこられました。着任後から昭和50年代にかけては、主に物性研究所の塑性部門の研究支援として、当時物性研究所に設置されていた我が国初の超高圧電子顕微鏡での低温観察、高温観察および外応力下での観察を可能とする各種試料ホルダを独自開発されました。これを用いて、転位の運動を直接観察し、塑性部門における金属強度の基礎研究に関する世界的業績に技術面で大きく貢献されました。その後は金属転位に関連した研究以外にも、半導体中転位の電子線照射誘起運動に関する研究、Zr酸化物の結晶成長に関する研究、酸化物超伝導体の構造と物性に関する研究、準結晶物質の構造と相転移に関する研究、カーボンナノチューブの成長と構造に関する研究、Cd系金属間化合物の低温相転移に関する研究、リチウムイオン電池の構造と物性に関する研究、Sm-Fe系磁石の構造と磁性に関する研究等、幅広いテーマにおいて貢献をされてきました。また、物性研究所所員のみならず、共同利用で来所する日本中の研究者の研究に透過電子顕微鏡技術で貢献しておられます。

 透過電子顕微鏡技術は、観察技術そのものの他に観察用試料作製技術が重要となります。その技術はここ数十年で飛躍的な進歩をとげており、透過電子顕微鏡技術者は常にその進歩に遅れをとらないよう努力を続ける必要があります。市原氏は常に日本電子顕微鏡学会や日本金属学会、日本物理学会、その他各種セミナーに積極的に参加して最新の知識を吸収し、最高レベルの技術が提供できるよう努力を続けてこられました。その結果、多くの研究者の高い評価と信頼を得るに至り、前述のような多くの研究の支援を継続的に行ってこられました。また、それらの研究において極めて重要な貢献をしたことが各研究者に認められた結果、多くの論文の共著者となっており、その数は2008年現在で100編を越えています。

 以上のように、市原正樹氏は42年の長きに亘り透過電子顕微鏡技術者として、金属を中心とした材料科学の分野において、第一線の研究成果に多大な貢献をしてきており、今回の日本金属学会第40回研究技術功労賞受賞はその業績が高く評価されたものです。なお、本受賞は、竹内伸(東京理科大学学長)、木村薫(新領域創成科学研究科教授)、枝川圭一(生産技術研究所准教授)の3氏のご推薦によるものです。

 授賞式は日本金属学会第144回大会(2009年3月28日(土)~3月30日(月) 、東京工業大学大岡山キャンパス (東京都目黒区大岡山2-12-1)、 http://www.sendai.kopas.co.jp/METAL/MEETINGS/2009_spr/PRO/index.html)の際に、3月28日(土)の第73回通常総会において行われる予定です。

(公開日: 2009年03月03日)