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木下名誉教授 瑞宝中綬章受章

木下名誉教授

元物性研究所教授、東京大学名誉教授の木下 實 先生が、「有機物性化学の研究」に対する多大な貢献により、平成22年春の瑞宝中綬章を受章されました。

木下先生は、「有機分子の光励起や発光の研究」および「初の有機強磁性体の発見」などの研究で、多大な業績をあげられました。
特に後者は、強磁性特性をもつ有機遊離基の構造を精緻に解析して探索の方針を定め、1991年に、有機強磁性体単結晶(p-ニトロフェニルニトロニルニトロキシド[p-NPNN]のβ相、Tc=0.6 K)を、世界に先駆けて発見しました。当時の常識では、有機物は強磁性を持つことは不可能とされていましたので、この発見は衝撃的でした。このように、分子磁性の研究分野を長年リードされるとともに、有機伝導体の研究等、有機物性研究一 般に関しても、多大な貢献をされております。

参考文献
Bulk ferromagnetism in the β-phase crystal of the p-nitorophenyl nitronyl nitroxide radical, M. Tamura, Y. Nakazawa, D. Shiomi, K. Nozawa, Y. Hosokoshi, M. Ishikawa, M. Takahashi and M. Kinoshita, Chem. Phys. Lett., 186, 401-404 (1991).

(公開日: 2010年05月19日)