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宮田敦彦君(工学系研究科物理工学専攻博士3年)が第22回光物性研究会奨励賞受賞

宮田敦彦氏

  国際超強磁場科学研究施設嶽山研究室(工学系研究科物理工学専攻博士課程3年)の宮田敦彦君が第22回光物性研究会奨励賞を受賞しました。この賞は光物性研究に関して優秀な大学院生に授与されるもので、受賞理由は「磁気光学手法によるフラストレート磁性体ZnCr2O4の極限超強磁場600 Tに至る逐次磁気相転移(Successive magnetic phase transitions in a frustrated magnet, ZnCr2O4, in ultra-high magnetic fields up to 600 T by the magneto-optical methods)」に関する研究です。

  同氏は、嶽山所員が最近開発に成功した700 T発生可能な電磁濃縮超強磁場発生装置を用いて、幾何学的フラストレーションが非常に強いとされる酸化クロム亜鉛の磁性を解明すべく、光スペクトロスコピーの手法を駆使した計測システムを構築し、世界でかつて誰も成功していない600 Tもの超強磁場でかつヘリウム温度(4.6 K)での信頼性ある測定を成功に導きました。光励起で観測される励起子・マグノン・フォノン遷移に関わる光スペクトルから、600 Tの超強磁場までの磁気飽和に至るまでに7つの磁気相が存在することを突き止めました。 また、論文の中で、最近ヘリウム3で話題になっている超固体相、超流動相などとの類似性を指摘しました。この研究発表が高く評価され今回の受賞となりました。同氏の研究成果は1000 T級超強磁場科学の展開にも大きく寄与すると期待されています。

(公開日: 2012年01月06日)