日本物理学会は将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、学会をより活性化するために若手奨励賞を設けています。

この度、領域９における第７回（2013年）受賞者の一人として、矢治光一郎氏（極限コヒーレント光科学研究センター助教）が選ばれました。矢治助教らの研究グループは、ゲルマニウム結晶表面に鉛原子が１層だけ並んだ表面を作り出し、その電子構造を角度分解光電子分光、スピン分解光電子分光を用いて詳細に調べました。その結果、最表面の鉛原子層が電気伝導性を有し、しかも巨大ラシュバ効果によって表面を流れる電流中の電子スピンが特定の向きに揃うことを明らかにしました。このような性質を有する半導体表面を世界に先駆けて発見したことが主な受賞理由です。

対象論文：

[1] “Large Rashba spin splitting of a metallic surface-state band on a semiconductor surface”, K. Yaji, Y. Ohtsubo, S. Hatta , H. Okuyama, K. Miyamoto, T. Okuda, A. Kimura, H. Namatame, M. Taniguchi, and T. Aruga, Nature Communications 1, 17 (2010).

日本物理学会 若手奨励賞受賞者一覧：
http://www.jps.or.jp/activities/awards/jusyosya/wakate2013.html