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辛教授、文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞

辛 埴 教授
辛 埴 教授

物性研究所先端分光研究部門の辛埴教授が、平成18年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞されました。文部科学省では、我が国の科学技術分野において顕著な功績をあげた者を対象とした科学技術賞、高度な研究開発能力を有する若手研究者を対象とした若手科学者賞、優れた創意工夫により職域における技術の改善向上に貢献した者を対象とした創意工夫功労者賞、児童・生徒の創意工夫の育成に顕著な成果をあげた小・中学校を対象とした創意工夫育成功労学校賞の各種表彰を行っています。辛教授は、このうち科学技術賞(研究部門)を受賞されました。表彰式は、平成18年度(第47回)科学技術週間特別行事の一環として、4月18日(火曜日)12時より虎ノ門パストラルにて行われました。

受賞の対象となったのは「極紫外レーザーを用いた超高分解能光電子分光に関する研究」です。

現代物質科学は、物質が持つ機能性を利用して成り立っている。光電子分光は、古くから物質中の電子の機能性を直接観測することができる最も優れた方法として有望視されていた。しかし、これまでは分解能が悪く、物質の電子機能性を解明するには、限界があった。

本研究では、光源と光電子分光器、低温装置、電源等の抜本的開発を行なった。特に、光電子分光用の発振幅が狭い真空紫外レーザーを物性研渡部研究室と共同開発した。また、光電子分光器においては、分解能0.25meVを持ち、これまでより、2.5倍明るいものを開発した。

光電子分光器などの様々な装置開発を行った結果、総合能力として分解能0.36meVを達成することに成功した。光電子分光装置として分解能1meVを切ったのは世界で初めてである。これは、これまでの技術から比べると、1桁以上分解能が上がったことになる。

本研究で開発したレーザー光電子分光は、放射光のような巨大施設によらず、実験室でも手軽に使える。また、分解能が上がることによって、これまで未知の世界であったフェルミ面近傍の微細構造を明らかにし、高温超伝導体のような新しい物質開発の指針を得ることが期待されるなど我が国の科学技術の発展に寄与している。


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(公開日: 2006年04月21日)