Home >  ニュース > 木下名誉教授、日本学士院賞を受賞

木下名誉教授、日本学士院賞を受賞

news20030918

元物性研究所教授、東京大学名誉教授の木下 實 先生が、伊藤公一先生(大阪市立科学館長・大阪市立大学名誉教授)、岩村 秀先生(放送大学教授・東京大学名誉教授)とともに、平成15年度の日本学士院賞を共同受賞されることが決まりました。

学士院賞は学術上特にすぐれた論文・著書その他研究業績を顕彰するものですが、「分子性磁性体の研究」が評価されたものです。

木下先生のもっとも著名な業績は、物性研究所在職時の1991年に、強磁性特性をもつ有機遊離基の構造を精緻に解析して探索の方針を定め、有機強磁性体単結晶(p-ニトロフェニルニトロニルニトロキシド[p-NPNN]のβ相、Tc=0.6 K)を、世界に先駆けて発見されたことです。当時の常識では、有機物は強磁性を持つことは不可能とされていましたので、この発見は衝撃的でした。木下先生は、また、共同受賞された、伊藤先生、岩村先生と並んで、日本における分子磁性研究を長年リードされるとともに、分子性超伝導体の研究等、有機物性研究一般に関しても、多大な貢献をはたされています。

参考文献

Bulk ferromagnetism in the β-phase crystal of the p-nitorophenyl nitronyl nitroxide radical
M. Tamura, Y. Nakazawa, D. Shiomi, K. Nozawa, Y. Hosokoshi, M. Ishikawa, M. Takahashi and M. Kinoshita,
Chem. Phys. Lett., 186, 401 (1991)

(公開日: 2003年09月18日)