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上田(寛)教授・礒部技官、日本物理学会第8回論文賞を受賞

20030918
物性研究所の上田寛教授と礒部正彦技官が、日本物理学会第8回論文賞を受賞されました。 受賞の対象となりました論文は、

題目:
Magnetic Susceptibility of Quasi-One-Dimensional Compound α’-NaV2O5 -Possible Spin-Peierls Compound with High Critical Temperature of 34 K
著者:
Masahiko Isobe (礒部正彦)、 Yutaka Ueda (上田寛)
掲載誌:
JPSJ, Vol. 65 No.5 (1996) 1178-1181

です。これは無機強相関電子系物質の一つである α’-NaV2O5 が低温においてスピン一重項状態へと相転移することを最初に報告した論文であり、その後の爆発的な研究 の発端となったものです。当初、その低次元的な結晶構造から類推して、無機物としてはCuGeO3に次ぐ2例目のスピン・パイエルス物質の可能性が指摘されましたが、そ の後の詳細な実験と理論解析から、電荷の無秩序状態から秩序状態への新しいタイプの相転移であることが判明しました。本論文は、その後盛んに行われてきたスピン・電荷・格子の協力現象による新奇な相転移研究の引き金となったもので、その引用回 数は極めて多く(250以上)、また、世界的に研究が展開されてきたことにも著者らによる研究の価値の高さが現れており、論文賞にふさわしいと判断されました。

(公開日: 2003年09月18日)