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Seminar
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杉野研の川崎愛理氏、マクマスター大学滞在報告

物性研究所杉野研究室の川崎愛理氏が物性研究所海外学生派遣プログラムを利用してカナダのマクマスター大学へ9月17日から11月2日まで滞在、ジェミナルを用いた波動関数理論の手法開発に関する研究を行いました。

この制度は、海外での共同研究を通じて、豊かな経験を持った国際的な活躍が期待できる人材を育成することを目的として、2017年度から始まったもので、大学院生を海外の研究機関に数ヶ月間派遣しています。


杉野研究室 D2 川崎愛理

目的

強相関電子系の計算を高精度に行うために、2体相関を含むジェミナルを取り入れた手法を開発し、それをモデルに適用し計算を行ってきました。この手法を実際の原子や分子に適用し計算を行うために、ジェミナルを用いた手法開発の経験豊富なマクマスター大学のPaul W. Ayersグループに1.5ヶ月滞在して研究を行うことにしました。

活動内容

最初の1週間はセミナーやジェミナル研究グループのミーティングに多く参加し、ここの研究室で何がどこまでできているのかを学びました。次の週からは実際に分子計算を行うために、Ayersグループが開発しているHORTONという化学計算ソフトを自分のプログラムと組み合わせて動かせるようにする作業に取り組みました。同時に、私が今まで計算してきたハバードモデル用のプログラムを分子計算用にするために、ハミルトニアンの拡張を行い、その際、計算量が膨大に増えたので、プログラムの並列化をしました。HORTONの理解とプログラム拡張のデバッグ作業に多少時間がかかりましたが、滞在4週間あたりでようやく様々な少数分子の計算を行うことができるようになりました。最後の2週間ほどは現在の手法をより大きな系(100電子以上)に適応するにはどうしたらいいか、滞在先の先生や学生と議論して考えました。

滞在先研究室の先生(左)との議論後の様子
滞在先研究室の先生(左)との議論後の様子

滞在先の研究室には、女性の学生が多くいることに驚きました。物性研では同学年の女性は私以外誰もいないということを伝えたら、派遣先研究室のメンバーもとても驚いていたので、日本との大きな差なのだろうと思いました。また、学生間で学年の違いによる上下関係がなかったのも新鮮でした。それによりお互い些細なことでも意見を出し合えていたので、研究をする環境として良いものだと感じました。

マクマスター大学
マクマスター大学

1.5ヶ月の滞在は研究をするにはあっという間でしたが、密度の濃い研究生活を送ることができ、また自分の手法を実際の分子に適用し計算をすることもできたので、達成感があるものとなりました。良いアイディアをいくつも出すことができたので、これからも派遣先研究室のメンバーと連絡を取り続け、研究を進めていきたいと考えています。


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(公開日: 2017年11月10日)