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システム概要


はじめに

    東大高輝度光源リング(Super SOR計画)では、電子ビームの低いエミッタンスのため、振動などの外乱に対するビームの軌道変動の増幅率が高く、電子ビーム(光源)のサイズが相対的に小さい。従って、実効的に高輝度を維持するために、電子ビーム軌道の安定化が重要なテーマになっている。Super SOR計画では、軌道の安定化のためにデジタル制御された軌道フィードバックシステムの設置が検討され、各種の開発研究が進められている。
   

    軌道補正(COD補正)方法として、グローバル・ローカルを同時に補正する新しいCOD補正方法を考案し、実機で採用する予定である。これは、条件付き固有ベクトル法であり、指定したBPM位置でのビームの位置と角度をゼロに束縛し、同時に通常の固有ベクトル法と同程度の精度でグローバル補正を行うことが可能である。

   

    制御システムについてはテスト用VMEユニットを構築し、フィードバックプログラム開発とその最適化を行っている。

軌道フィードバックシステムの特徴

   軌道補正方法(新しいCOD補正方法;条件付き固有ベクトル法)

 

  通常のフィードバックシステムにおていは、

  

リング全周に渡ってビーム軌道を補正するためのグローバルフィードバック

 

・光源点(たとえば挿入光源出口)において、局所的にビーム軌道を補正するためのローカルフィードバック

 

がある。一般的に、上記の二つは別々のシステムとして稼働しているため、互いのフィードバックが干渉しあって、軌道の悪化をまねくおそれがある。

 

 そのような干渉による悪影響を避けるために、グローバルフィードバックの周期をローカルフィードバックのそれに対して非常に遅くするなどの方法があるが、速い周期でのフィードバックを実行するためには、新しい補正方法の考案が必要不可欠である。

 

 このような理由より、従来一般的にグローバルフィードバックの補正アルゴリズムとして用いられてきている固有ベクトル法をベースとし、ローカル補正の役割を果たすための束縛条件を付加した、”条件付き固有ベクトル法”を考案・定式化し、計算機シミュレーションの結果その補正精度が従来の固有ベクトル法とほぼ同程度であることを確認した。

 

 ”条件付き固有ベクトル法”を軌道補正のアルゴリズムに用いることにより、

グローバル・ローカル軌道補正を、単一のフィードバックループで同時かつ干渉の悪影響を受けることなく、実現することが可能となる

 

        フィードバック用制御システム

軌道フィードバックシステムは、ビーム位置を検出するためのビーム位置モニタ(BPM)、ビーム軌道を補正するためのステアリング電磁石及びそれらの制御と軌道補正計算等を行うための制御システム(制御用計算機)から構成される。

Super SORの軌道フィードバックシステムでは、高精度な軌道補正を実現するために、100台以上ものBPM・ステアリング電磁石が使用される予定である。

これらのコンポーネントの制御と各種のデジタル信号処理を高速に実行するために、4台の制御用計算機を制御システムとして使用する制御用計算機は、VME及びDSP(Digital Signal Processor)を基本とし、共有メモリネットワークを用いた分散処理を行う。フィードバック用ステアリング電磁石は、プロトタイプモデルの製作・試験が進められている。

 


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最終更新日 : 2001/01/17.