(2)光電子顕微鏡利用計画 木下 豊彦(東大物性研)

 高輝度光源では、小さいスポットの中に大きな光子数を得られるため、光電子顕微鏡は、その特徴を有効に利用する研究の一つである。詳しい研究内容については、上記の尾嶋先生の計画とだぶる部分が多いが、世界的に見ても優れた性能を発揮できる光源が、限界に挑戦するような研究を可能にしてくれることに期待をし、単なる光電子顕微鏡ではなく、高エネルギー分解能、角度分解分光、スピン分解分光といった手法と組み合わせる研究を行いたい。もちろん、光を絞ることは重要であるが、非球面光学素子を用いたりして、光子数をロスすることはできるだけさけたい。従って、例えばK-B配置の光学系等で、マイクロビームを作り、その先の空間分解は電子レンズ(及び磁場レンズとの併用)で顕微分光を行うことを考えたい。特にスピン分解と組み合わせた研究の場合には、大きな光子数と共に、いかに効率良くスピン検出器まで電子を導くか、又全く新しいスピン検出技術(例えば2次元スピン検出器等)が必要になってくる。こうした研究が可能になった暁には微小サンプル、微小領域(単一ドメインや量子ドット等)の角度分解スピン光電子分光等が可能になるであろう。価電子帯の分光と共に、内殻の分光も行うことにより(即ち光電子回折、光電子ホログラフィー)電子状態のみならず、個々の原子のスピン状態に関する情報も得らることが期待できる。


Monday,10,May,1999

NEWSLETTER No.5 目次

高輝度光源利用者懇談会

軌道放射物性研究施設