利用者懇談会・会長就任にあたって

       VUV・SX高輝度光源利用者懇談会・会長

           藤森 淳(東大大理)

この度、太田俊明先生の後任として、利用者懇談会の会長を勤めさせていただくこととなりました。全国の放射光利用研究者の長年の悲願であるVUV・SX領域の高輝度光源の実現に向けて、利用者懇談会の果たす役割は非常に大きなものがあります。非才ではありますが、目標に向けて努力を惜しまないつもりですので、会員の皆様のご指導、ご鞭撻の程をよろしくお願い申し上げます。

すでにご存じの通り、昨年の平成10年度概算要求の残念な結果を受けて、神谷施設長の発案で高輝度光源計画が第I期、第II期と分かれました。そして、低エネルギー領域の超高輝度光源を第I期計画とし、現在、平成11年度の概算要求中です。一方、高輝度光源と同じく柏キャンパスへの移転を前提とした新研究科(新領域創成科学研究科)が、平成10年度概算要求で組織が認められ、補正予算で柏の土地取得が認められました。現在の東京大学の最優先課題が新研究科の立ち上げであることは否定できませんが、研究所、新研究科、高輝度光源センターからなる柏キャンパス構想自体が東京大学が長期にわたって推進してきたものですので、キャンパス構想が着実に進展していることは、高輝度光源計画にとっても希望をもたせるものだと考えます。

さて、利用者懇談会の役割は、利用研究の策定、建設協力、共同利用体制の確立に関して全国のユーザーの意見を有効に反映させ、物性研SOR施設との緊密な協力のもとに計画を推進することにあります。低エネルギーVUV・SX領域で世界最高性能の光源を持つ全国共同利用施設として、世界をリードする研究成果を生みだし情報発信基地となるために、懇談会の責務はたいへん重要なものです。高輝度光源計画は、第I期計画では規模が縮小されたとは言え、その第I期計画だけでも総予算100億円を超える大型プロジェクトです。計画が実現するかどうかは、計画が自然科学の発展にどのような寄与をできるかの問いに明確に(放射光科学以外の分野の研究者、行政官、さらには一般の納税者にもわかる言葉で)答えられるかどうかにも大きく依っているものと思われます。この点、海外の放射光施設やユーザー・コミュニティの活動方法、放射光科学以外の分野のコミュニティの活動方法にも、大いに学んでいきたいと考えております。

本懇談会の運営は、次の23名の幹事によって行われます。
雨宮慶幸(東大大工)、伊澤正陽(物構研)、太田俊明(東大大理)、
尾嶋正治(東大大工)、柿崎明人(物構研)、木下豊彦(分子研)、
小杉信博(分子研)、小谷章雄(東大物性研)、小森文夫(東大物性研)、
佐藤 繁(東北大大理)、篠原邦夫(東大大医)、辛 埴(東大物性研)、
菅 滋正(阪大大基礎工)、菅原英直(群馬大教育)、
関 一彦(名大物質研)、大門 寛(奈良先端大)、高桑雄二(東北大科研)、
谷口雅樹(広大理)、中村典雄(東大物性研)、檜枝光太郎(立教大理)
藤森 淳(東大大理)、宮原恒あき(都立大理)、柳下 明(物構研)

また、本懇談会には次の分科委員会を設け、実務を行います。

懇談会では定期的にニュースレターを発行します。会員の皆様に計画の現状を知っていただき、また、会員の皆様からの積極的な発言を発表できる場にしていければと考えております。



記事内容に関するお問い合わせ

Thursday,20,August,1998

NEWSLETTER No.3 目次

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軌道放射物性研究施設