検出器の感度補正に関して


 平成16年度において、SANS-Uの二次元検出器を交換した際、感度の一様性に問題が生じ、検出器の原点からある傾きをもったバックグラウンドしか得ることができませんでした。その問題は現在も解決されていません。そこで、現有検出器の感度補正および絶対強度化に必要なルポレンデータの補正の方法について御説明します。


- 2次元プロファイルに対する補正 -

 円環平均などの操作を行わない2次元プロファイルに対しては、生データをバックグラウンド補正後、各ピクセルに対して同じくバックグラウンド補正済みの非干渉性散乱強度で除算を行うことで感度の補正ができます。補正式は次のようになります。

 上は水やポリエチレンの非干渉性散乱を利用して各ピクセルの検出感度を補正するための式です。絶対強度化の式を用いても同様の補正は可能ですが、ここではIsample(pixel)とIincoherent(pixel)はqでなくピクセルに対する関数として比較していることに注意してください。このことから、ビームストップ近傍のデータに注意すれば、異なるカメラ長のデータであっても補正できます。バックグラウンド補正は通常通り、各qで行うのが正しいです。


- 1次元プロファイルに対する補正 -

 円環平均を行って1次元になったデータに対しても、2次元の場合と同様にバックグラウンド補正後に非干渉性散乱で感度の補正が可能です。ただし「検出面の各ピクセルにおける検出感度の非一様性を補正する」必要があり、各qにおける補正ではないという点に注意してください。

 感度補正の例(1次元の場合)


 Lupolenや溶媒などの非干渉性散乱が測定してあればそのデータをご使用いただけますが、補正に使用するには統計誤差に問題があると思われる場合は、(1次元でも2次元でも)データのスムージングを行ってから使用して頂くか、下のリンクからデータをダウンロードして使用して頂くことができます。

 IRTで測定したH2Oのデータ ダウンロード


 どのような散乱に対しても同様の補正をする必要があります。