日本から発見された新鉱物たち(No.121-140)

 

IMA No./year: オフィシャルリストに掲載されている年に準拠しており,改訂があるものは「発見年(リストに記載の数字)」としてある。年の後についている「s.p.」はspecial procedureの略で再定義・再命名・再承認などがあったことを意味している。

IMA Status: 鉱物の承認の状態を示しており,例えば A = approved(1958年にIMAが設立された後に承認された鉱物),G = grandfathered(IMA設立以前に発見されており現在でも有効と見なせる鉱物),Rd = redefined(すでに存在していたが規約が改訂された鉱物),Rn = renamed(すでに存在していたが名前が変更された鉱物),Q = questionable(情報が少なくて存在が疑わしい鉱物)。

未申請・未承認・取消しされたものや怪しいものはその他へ移動した。
学名はオフィシャルリストに準拠しているが,和名はなじみのあるものを採用している。
 
一覧表の鉱物をクリックすればそこへ,写真をクリックすれば保存先のFlickrからフルサイズが見られる。
写真の利用はhamane*へお問い合わせください(*@issp.u-tokyo.ac.jp)。
質問などもそこへ。

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国産新鉱物一覧(No.121-140)

121. イットリウム高縄石 122. イットリウム苦土ローランド石 123. 伊勢鉱 124. 箕面石 125. ランタンバナジウム褐簾石
126. 足立電気石 127. 岩手石 128. 今吉石 129. ランタンフェリ赤坂石 130. ランタンフェリアンドロス石
131. 伊予石 132. 三崎石 133. イットリウム三重石 134. 房総石 135. 豊石
136. 阿武石 137. 神南石 138. 村上石 139. 金水銀鉱 140. XXX

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No.1-20 | No.21-40 | No.41-60 | No.61-80 | No.81-100 | No.101-120 | No.121-140 | その他

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No. 121.

IMA No./year: 2011-099

イットリウム高縄石 Takanawaite-(Y)

Y(Ta,Nb)O4

模式地:愛媛県 松山市 高縄山

原著:Nishio-Hamane D., Minakawa T., Ohgoshi Y. (2013) Takanawaite-(Y), a new mineral of the M-type polymorph with Y(Ta,Nb)O4 from Takanawa Mountain, Ehime Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 108, 335-344.

Takanawaite-(Y)
模式地標本 この産地のペグマタイトはほとんど雲母を伴わず,高縄石は石英と長石の境界に産する。メタミクト化しており非常に脆いため,岩石を割る際の衝撃でほとんど割れてしまう。結晶面が見えることは稀。放射状に集合する傾向がある。

イットリウム高縄石 Takanawaite-(Y)
香川県広島 第二産地の発見(武智・浜根, 2016, 資源地質学会第66回年会講演要旨集,P-10)。

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No. 122.

IMA No./year: 2012-010

イットリウム苦土ローランド石 Magnesiorowlandite-(Y)

Y4(Mg,Fe)(Si2O7)2F2

模式地:三重県 菰野町 宗利谷

苦土ローランド石 Magnesiorowlandite-(Y)
模式地標本 中央の不定研断面を示すねずみ色が本鉱

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No. 123.

IMA No./year: 2012-020

伊勢鉱 Iseite

Mn2Mo3O8

模式地:三重県 伊勢市

原著:Nishio-Hamane D., Tomita N., Minakawa T., Inaba S. (2013) Iseite, Mn2Mo3O8, a new mineral from Ise, Mie Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 108, 37-41.

Iseite_1
Iseite_2
模式地標本 

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No. 124.

IMA No./year: 2012-035

箕面石 Minohlite

(Cu,Zn)7(SO4)2(OH)10·8H2O

模式地:大阪府 箕面市 平尾鉱山

原著:Ohnishi M., Shimobayashi N., Nishio-Hamane D., Shinoda K., Momma K., Ikeda T. (2013) Minohlite, a new copper-zinc sulphate mineral from Minoh, Osaka, Japan. Mineralogical Magazine, 77, 335-342

Minohlite
模式地標本 

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No. 125.

IMA No./year: 2012-095

ランタンバナジウム褐簾石 Vanadoallanite-(La)

CaLaVAlFe2+(Si2O7)(SiO4)O(OH)

模式地:三重県 伊勢市

原著:Nagashima M., Nishio-Hamane D., Tomita N., Minakawa T., Inaba S. (2013) Vanadoallanite-(La): a new epidote-supergroup mineral from Ise, Mie Prefecture, Japan, Mineralogical Magazine, 77, 2739-2752.

Vanadoallanite-(La)_1
模式地標本 この産地の褐簾石亜族の新鉱物は見た目では区別できません。なのでとりあえずこの結晶を本鉱としておきましょう。

Vanadoallanite-(La)_2
模式地標本 タイプ標本からのピックアップ。

本鉱が本当にどのくらい実在するかについて国内外の相当コアなマニアや研究者から問い合わせが来ているのでまじめに回答しておくと,存在が確認できているのはタイプ標本のみである。もししそれらしい産状の褐簾石を見つけたとしても結晶内で組成変動が少なからずあるので,種を確定するにあたって結晶のピックアップと化学組成分析は必須。単結晶構造解析があるとベスト。要は,確かなのは分離&研磨&分析したその薄片だけになってしまう。それは個人のコレクションとしては楽しくはない気はする。それでもどうしても確かなものをという人がいるようなので書いておくと,本鉱となるためにはV2O3が最低でも6.5重量パーセントを上回る必要がある。もし分析済みと称した標本を手に入れる際はそれをひとつの目安にすればいい。ただ,この記述が本鉱を保証するものではないのであたりまえですが入手は自己責任でどうぞ。
SEM写真の結晶の分析値は(Ca0.60Mn2+0.40)(La0.59Nd0.15Ce0.12Ca0.05)(V3+0.64Fe3+0.40)(Al0.90Fe3+0.10)(Fe2+0.44Mn2+0.43Mg0.12)Si3.05O12(OH)。やっぱりこういう標本でしかない。

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No. 126.

IMA No./year: 2012-101

足立電気石 Adachiite

CaFe2+3Al6(Si5AlO6)(BO3)3(OH)3(OH)

模式地:大分県 佐伯市 木浦鉱山

原著:Nishio-Hamane D., Minakawa T., Yamaura J., Oyama T., Ohnishi M., Shimobayashi N. (2014) Adachiite, a Si-poor member of tourmaline supergroup from the Kiura mine, Oita Prefecture, Japan, Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 109, 74-78.

adachiite_1
adachiite_2
模式地標本 一般的には黒色柱状結晶の集合として産出する。不透明というわけではなく,強い光をむりやりあてると小さい結晶なら透明であることが確認できる。実際には鉄電気石と複雑な累帯を成し,その一部が本鉱となる。この産地の電気石はほとんどの場合,本鉱を含んでいる。

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No. 127.

IMA No./year: 2013-034

岩手石 Iwateite

Na2BaMn(PO4)2

模式地:岩手県 田野畑村 田野畑鉱山

原著:Nishio-Hamane D., Minakawa T., Okada H. (2014) Iwateite, Na2BaMn(PO4)2, a new mineral from the Tanohata mine, Iwate Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 109, 34-37.

Iwateite
模式地標本 中央と右下部のクリーム色したつぶつぶが本鉱。目で見つけるのはすごく難しいというかほぼムリで破面からでは未だに見いだせない。これも切断・研磨 → 走査型電子顕微鏡のBSI像で確認 → もう一度切断面をじっくりみてようやく判別できた。

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No. 128.

IMA No./year: 2013-069

今吉石 Imayoshiite

Ca3Al(CO3)[B(OH)4](OH)6・12H2O

模式地:三重県 伊勢市

Nishio-Hamane D., Ohnishi M., Momma K., Shimobayashi N., Miyawaki R., Minakawa T., Inaba S. (2015) Imayoshiite, Ca3Al(CO3)[B(OH)4](OH)6•12H2O, a new mineral of ettringite group from Ise City, Mie Prefecture, Japan., Mineralogical Magazine, 79, 413-423.

Imayoshiite
模式地標本 重量の50%以上が水でできている鉱物。

Tatarinovite
参考までにTatarinovite(ロシア産)の写真。2015年に発見された新鉱物でCa3Al(SO4)[B(OH)4](OH)6·12H2Oの化学組成。これは今吉石のCO3→SO4置換体に相当する。今吉石も結晶するとこんな形になるだろう。

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No. 129.

IMA No./year: 2013-126

ランタンフェリ赤坂石 Ferriakasakaite-(La)

CaLaFe3+AlMn2+(Si2O7)(SiO4)O(OH)

模式地:三重県 伊勢市

Nagashima M., Nishio-Hamane D., Tomita N., Minakawa T., Inaba S. (2015) Ferriakasakaite-(La) and ferriandrosite-(La): new epidote-supergroup minerals from Ise, Mie Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 79, 735-753

Ferriakasakaite-(La), Ferriandorosite-(La)
模式地標本 この産地の褐簾石亜族の新鉱物は見た目では区別できません。なのでとりあえずこの結晶を本鉱としておきましょう。

akasaka_and_androsite
組成分析でしか種を決めることができない上に,かなり狭い範囲でランタンフェリアンドロス石やランタンフェリ褐簾石と隣り合っていたりすることが本当によくある。この標本はたった50ミクロンを隔ててランタンフェリ赤坂石とランタンフェリアンドロス石が共生している。ここには写っていないがこの約500ミクロン上にはランタンフェリ褐簾石がいる。本当にこういう状態なのでラベルにはすべての種を書いておけばよろしかろうと思う。このランタンフェリ赤坂石の化学組成は(Ca0.62Mn2+0.43)(La0.75Ce0.19Nd0.05)(Fe3+0.48Al0.25V3+0.19)Al1.00(Mn2+0.63Fe2+0.37)Si3.05O12(OH)。

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No. 130.

IMA No./year: 2013-127

ランタンフェリアンドロス石 Ferriandorosite-(La)

Mn2+LaFe3+AlMn2+(Si2O7)(SiO4)O(OH)

模式地:三重県 伊勢市

Nagashima M., Nishio-Hamane D., Tomita N., Minakawa T., Inaba S. (2015) Ferriakasakaite-(La) and ferriandrosite-(La): new epidote-supergroup minerals from Ise, Mie Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 79, 735-753

Ferriakasakaite-(La), Ferriandorosite-(La)
模式地標本 この産地の褐簾石亜族の新鉱物は見た目では区別できません。なのでとりあえずこの結晶を本鉱としておきましょう。実際のところ,このくらいの集合体になるとたいてい3種が混じっている。

akasaka_and_androsite
ここの褐簾石亜族の化学組成は中間的で,ほんのちょっとの違いで簡単に種をまたぐ。このランタンフェリアンドロス石は(Mn2+0.54Ca0.46)(La0.65Ce0.14Ca0.13Nd0.11)(Fe3+0.78V3+0.21)Al1.00(Mn2+0.47Fe2+0.26Al0.14Mg0.13)Si2.99O12(OH)。

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No. 131.

IMA No./year: 2013-130

伊予石 Iyoite

MnCuCl(OH)3

模式地:愛媛県 佐田岬半島

Nishio-Hamane D., Momma K., Ohnishi M., Shimobayashi N., Miyawaki R., Tomita N., Okuma R., Kampf A.R., Minakawa T. (2017) Iyoite, MnCuCl(OH)3, and misakiite, Cu3Mn(OH)6Cl2: new members of the atacamite family from Sadamisaki Peninsula, Ehime Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 81, 485-498.

Iyoite_1
Iyoite_2
模式地標本  伊予石は草のように見えるものが多く,孔雀石とやや紛らわしかったりもする。愛媛県の旧国名:伊予国,そして佐田岬半島の北岸に面している海域:伊予灘から名前をもらった。

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No. 132.

IMA No./year: 2013-131

三崎石 Misakiite

Cu3Mn(OH)6Cl2

模式地:愛媛県 佐田岬半島

Nishio-Hamane D., Momma K., Ohnishi M., Shimobayashi N., Miyawaki R., Tomita N., Okuma R., Kampf A.R., Minakawa T. (2017) Iyoite, MnCuCl(OH)3, and misakiite, Cu3Mn(OH)6Cl2: new members of the atacamite family from Sadamisaki Peninsula, Ehime Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 81, 485-498.

Misakiite_1
Misakiite_2
模式地標本  単独だと6角粒状となるが,伊予石と共存する際には一方向にのびて板状になったりもする。近隣住民は佐田岬半島のことを「みさき」と呼ぶし,南岸は三崎灘に面しているからというのを理由にして命名。

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No. 133.

IMA No./year: 2014-020

イットリウム三重石 Mieite-(Y)

Y4Ti(SiO4)2O[F,OH]6

模式地:三重県 菰野町 宗利谷

「未入手」

2014年鉱物学会で宮脇さんより報告される。

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No. 134.

IMA No./year: 2014-023

房総石 Bosoite

SiO2・nCxH2x+2

模式地:千葉県 南房総市 荒川

the early publication:Momma K., Ikeda T., Nagase T., Kuribayashi T., Honma C., Nishikubo K., Takahashi N., Takada M., Matsushita Y., Miyawaki R. and Matsubara S. (2014) CNMNC Newsletter No. 21, Mineralogical Magazine, 78, 797-804.

Chibaite_1
房総石は千葉石の結晶に含まれる。

bosoite
左がオープン,右がクロスニコル。左上と右下のぐしゃっとしたところはオパールと石英。クロスニコル写真で結晶の中央,左下,右側の縁など光が通っている部分が房総石。模式地の千葉石結晶には房総石がほぼ必ず(僕の調べた範囲)含まれていた。

chibaite_bosoite
上と同じ結晶のBSI像。房総石は千葉石に比べてやや暗いコントラストとなる。
詳細は2014年鉱物学会で門馬さんにより報告される。

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No. 135.

IMA No./year: 2014-054

豊石 Bunnoite

Mn2+6AlSi6O18(OH)3

模式地:高知県いの町

Nishio-Hamane D., Momma K., Miyawaki R., Minakawa T. (2016) Bunnoite, a new hydrous manganese aluminosilicate from Kamo Mountain, Kochi prefecture, Japan. Mineralogy and Petrology, 110, 917-926.

Bunnoite
模式地標本 豊石の結晶集合

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No. 136.

IMA No./year: 2014-084

阿武石 Abuite

CaAl2(PO4)2F2

模式地:山口県阿武町日の丸奈古鉱山

Enju S., Uehara S. (2015) CNMNC Newsletter No. 23, Mineralogical Magazine, 79, 51-58.

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白っぽい鉱石中に含まれるが肉眼では判別はできない。鉱石には石英やトパーズがふくまれとにかく堅い。

Abuite2
SEM写真。明灰色の定型な結晶が阿武石。SrOを2-3wt%固溶した部分がありそこはより明るい灰色となっている。周囲の暗い部分は燐ばん土石。中間色は石英もしくはトパーズ。
山口県初の新鉱物となる。かつてMatsubara&Kato(1998, 国立科学博物館専報 30, 167-183)で「gatumbaite-like mineral」とされていたモノで,九大チームの研究で新鉱物と同定された。

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No. 137.

IMA No./year: 2015-100

神南石 Kannanite

Ca4Al4(MgAl)(VO4)(SiO4)2(Si3O10)(OH)6

模式地:愛媛県神南山

Nishio-Hamane D. & Minakawa T. (2016) approved on Feb. 11.
神南石 Kannanite
赤鉄鉱+ブラウン鉱母岩中に脈状に走る黄褐色~オレンジ色が本鉱。脈中の赤は紅簾石。

神南石 Kannanite
破断面

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No. 138

IMA No./year: 2016-066

村上石 Murakamiite

Ca2LiSi3O8(OH)

模式地:愛媛県磐城島

Imaoka, T., Nagashima, M., Kano, T., Kimura, J.-I., Chang, Q. and Fukuda, C. (2016)
Murakamiite, IMA 2016-066. CNMNC Newsletter No. 34, December 2016, page 1316; Mineralogical
Magazine, 80, 1315–1321.

「未入手」

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No. 139

IMA No./year: 2017-003

金水銀鉱 Aurihydrargyrumite

Au6Hg5

Nishio-Hamane D. & Minakawa T. (2017) approved on April.

金水銀鉱  Aurihydrargyrumite
右の粒は全体が本鉱(ただし表面のみで内部は金)。左の粒は左上の銀色が本鉱で,中央下にあるくすんだ銀色の部分はウェイシャン鉱(Weishanite)。

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No. 140
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 Posted by at 9:15 AM

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