日本から発見された新鉱物たち(No.101-120)

 

IMA No./year: オフィシャルリストに掲載されている年に準拠しており,改訂があるものは「発見年(リストに記載の数字)」としてある。年の後についている「s.p.」はspecial procedureの略で再定義・再命名・再承認などがあったことを意味している。

IMA Status: 鉱物の承認の状態を示しており,例えば A = approved(1958年にIMAが設立された後に承認された鉱物),G = grandfathered(IMA設立以前に発見されており現在でも有効と見なせる鉱物),Rd = redefined(すでに存在していたが規約が改訂された鉱物),Rn = renamed(すでに存在していたが名前が変更された鉱物),Q = questionable(情報が少なくて存在が疑わしい鉱物)。

未申請・未承認・取消しされたものや怪しいものはその他へ移動した。
学名はオフィシャルリストに準拠しているが,和名はなじみのあるものを採用している。
 
一覧表の鉱物をクリックすればそこへ,写真をクリックすれば保存先のFlickrからフルサイズが見られる。
写真の利用はhamane*へお問い合わせください(*@issp.u-tokyo.ac.jp)。
質問などもそこへ。

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国産新鉱物一覧(No.101-120)

101. ソーダ金雲母 102. 苣木鉱 103. 沼野石 104. セリウム上田石 105. 大阪石
106. ストロンチウム緑簾石 107. 宗像石 108. 田野畑石 109. 幌満鉱 110. 様似鉱
111. カリフェロパーガス閃石 112. ネオジムウェークフィールド石 113. 千葉石 114. 桃井石榴石 115. 亜鉛ビーバー石
116. 愛媛閃石 117. イットリウム肥前石 118. イットリウムラブドフェン 119. 宮久石 120. 島崎石

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No.1-20 | No.21-40 | No.41-60 | No.61-80 | No.81-100 | No.101-120 | No.121-140 | その他

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No. 101.

IMA No./year: 2004-049

ソーダ金雲母 Aspidolite

NaMg3(Si3Al)O10(OH)2

模式地:岐阜県 揖斐川町 春日鉱山

Aspidlite
模式地標本 写真中央に代表されるややオレンジがかった雲母が本鉱。周りは定永閃石。

Aspidolite
上の標本のSEM写真 上下に筋が入った結晶中の暗色が本鉱で結晶内の明るい筋は金雲母。写真内に白く散らばっているところはチタン石で,基質は定永閃石。

コメント:Aspidoliteという鉱物はオーストラリアで発見され1869年に黒雲母(biotite)-金雲母(phlogopite)系列のNaとMgに富む雲母としていったん記載されていた。だけどもその後にaspidoliteはphlogopite(金雲母)のNa置換体と解釈されて,sodium phlogopiteという名前のほうが有名になってしまいaspidoliteという名前は有名無実化。ところが雲母の命名規約が変わってaspidoliteの名前が復活し,化学組成も上記で定義された。ところがところが,aspidoliteという鉱物にはタイプ標本やちゃんとしたデータが存在していなくて名前だけが存在していたのです。そこでタイプ標本とデータを改めてaspidoliteとして申請して承認を受けたというのが本鉱です。和名は記載者が提案する「ソーダ金雲母」を採用しているけど,学名はギリシャ語のaspidos(盾のような)にちなんでます。直訳すると盾雲母。ついでに書いとくと「黒雲母/biosite」って最新の命名規約では鉱物種としては抹消されてて,それは金雲母(philogopite)-鉄雲母(annite)の固溶体というフィールドネームということになっている。

写真の標本はタイプ標本と同じ岩石から採集されたもので,山田滋夫氏に提供していただいた。いまのところソーダ金雲母はこの標本にしか見つかっていない。どんな定永閃石の標本にも本鉱が伴われると思われがちだが,一般的な定永閃石の標本に本鉱はこない。

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No. 102.

IMA No./year: 2005-033

苣木鉱 Sugakiite

Cu(Fe,Ni)8S8

模式地:北海道 様似町 幌満

「未入手」

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No. 103.

IMA No./year: 2005-050

沼野石 Numanoite

Ca4CuB4O6(CO3)2(OH)6

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Ohnishi M., Kusachi I., Kobayashi S., Yamakawa J., Tanabe M., Kishi S., Yasuda T. (2007) Numanoite, Ca4CuB4O6(OH)6(CO3)2, a new mineral species, the Cu analogue of borcarite from the Fuka mine, Okayama Prefecture, Japan. The Canadian Mineralogist, 45, 307-315

Numanoite_1
Numanoite_2
模式地標本 青いところが本鉱,だいたい結晶の内部にある。

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No. 104.

IMA No./year: 2006-022

セリウム上田石 Uedaite-(Ce)

Mn2+CeAl2Fe2+(Si2O7)(SiO4)O(OH)

模式地:香川県 土庄町 灘山

セリウム上田石 Uedaite-(Ce)
Heftetjern, Tørdal, Telemark, Norway
この標本は海外の標本を調べているなかで見つけた。
分析値は(Mn2+0.59Ca0.40Fe2+0.01)Σ1(Ce0.50La0.19Nd0.12Gd0.03Dy0.01Er0.04Yb0.04Ca0.02)Σ0.95
(Al0.78Fe3+0.22)Σ1Al0.99Fe2+1.0Si3.02O12(OH)。

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No. 105.

IMA No./year: 2006-049

大阪石 Osakaite

Zn4SO4(OH)6·5H2O

模式地:大阪府 箕面市 平尾鉱山

原著:Ohnishi M., Kusachi I., Kobayashi S. (2007) Osakaite, Zn4SO4(OH)6·5H2O, a new mineral species from the Hirao mine, Osaka, Japan. The Canadian Mineralogist, 45, 1511-1517

Osakaite_1
Osakaite_2
模式地標本 タイプ標本の片割れを著者から恵与。淡い青色の六角板状結晶が本鉱の特徴。

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No. 106.

IMA No./year: 2006-055

ストロンチウム緑簾石 Epidote-(Sr)

CaSrAl2Fe3+(Si2O7)(SiO4)O(OH)

模式地:高知県 香美市 穴内鉱山

原著:Minakawa T., Fukushima H., Nishio-Hamane D., Miura H. (2008) Epidote-(Sr), CaSrAl2Fe3+(Si2O7)(SiO4)(OH), a new mineral from the Ananai mine, Kochi Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 103, 400-406

Epidote-(Sr)
模式地標本 紅いのに緑の名前がついているのはなぜか,それはストロンチウム緑簾石のページを見てください。どうしようもないのよ・・

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No. 107.

IMA No./year: 2007-012

宗像石 Munakataite

Pb2Cu2(Se4+O3)SO4(OH)4

模式地:福岡県 宗像市 河東鉱山

原著:Matsubara S., Mouri T., Miyawaki R., Yokoyama K., Nakahara M. (2008) Munakataite, a new mineral from the Kato mine, Fukuoka, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 103, 327-332

Munakataite_1
Munakataite_2
模式地標本

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No. 108.

IMA No./year: 2007-019

田野畑石 Tanohataite

LiMn2Si3O8(OH)

模式地:岩手県 田野畑村 田野畑鉱山

原著:Nagase T., Hori H., Kitamine M., Nagashima M., Abduriyim A., Kuribayashi T. (2012) Tanohataite, LiMn2Si3O8(OH): a new mineral from the Tanohata mine, Iwate Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 107, 149-154.

Tanohataite
模式地標本

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No. 109.

IMA No./year: 2007-037

幌満鉱 Horomanite

Fe6Ni3S8

模式地:北海道 様似町 幌満

「未入手」

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No. 110.

IMA No./year: 2007-038

様似鉱 Samaniite

Cu2Fe5Ni2S8

模式地:北海道 様似町 幌満

「未入手」

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No. 111.

IMA No./year: 2007-053(2012s.p.)

カリフェロパーガス閃石 Potassic-ferro-pargasite

KCa2(Fe2+4Al)Si6Al2O22(OH)2

模式地:三重県 亀山市 加太市場

原著:Banno Y., Miyawaki R., Matsubara S., Sato E., Nakai I., Matsuo G., Yamada S. (2009) Potassic-ferropargasite, a new member of the amphibole group, from Kabutoichiba, Mie Prefecture, central Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 104, 374-382

Potassic-ferro-pargasite
模式地標本

原著を読むとK/(K+Na)が0.5に近い微妙な値。こいつも分析したところやっぱりK/(K+Na)=0.52-0.53とかなり微妙だが,とりあえずK>Naで本鉱の部分が存在している。Na>Kとなる「ferropargasite」もそれなりにあるので,どっちつかずなんだなこの標本は。

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No. 112.

IMA No./year: 2008-031

ネオジムウェークフィールド石 Wakefieldite-(Nd)

Nd(VO4)

模式地:高知県 香美市 有瀬鉱床

Wakefieldite-(Nd)_1
模式地標本
見た目はただの鉄マン鉱石で目立った特徴はない。

Wakefieldite-(Nd)_2
上標本の電子顕微鏡写真。最も明るいところに本鉱が含まれる。やや明るいところはカリオピライト,右上部に広がるやや暗いところは方解石。下部分にある鱗片状のやや明るいところは赤鉄鉱。

適当に拾った石を何も考えずに適当に切って観察しただけで簡単に本鉱が見つかったので,この産地の鉱石には普遍的に含まれていると思う。この試料からは他にイットリウムウェークフィールド石,ランタンウェークフィールド石もそれなりに含まれていた。これは分析しないとわからない。いずれにしても顕微鏡サイズ。

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No. 113.

IMA No./year: 2008-067

千葉石 Chibaite

SiO2·n(CH4,C2H6,C3H8,C4H10); (nmax = 3/17)

模式地:千葉県 南房総市 荒川

原著:Momma K., Ikeda T., Nishikubo K., Takahashi N., Honma C., Takada M., Furukawa Y., Nagase T., Kudoh Y. (2011) New silica clathrate minerals that are isostructural with natural gas hydrates. Nature Communications, 2, 196-7

Chibaite_2
Chibaite_1
模式地標本

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No. 114.

IMA No./year: 2009-026

桃井石榴石 Momoiite

Mn2+3V3+2(SiO4)3

模式地:愛媛県 西条市 鞍瀬鉱山

原著:Tanaka H., Endo S., Minakawa T., Enami M., Nishio-Hamane D., Miura H., Hagiwara A. (2010) Momoiite, (Mn2+,Ca)3(V3+,Al)2Si3O12, a new manganese vanadium garnet from Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 105, 92-96

Momoiite_1
模式地標本 自分で記載した鉱物。

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No. 115.

IMA No./year: 2010-086

亜鉛ビーバー石 Beaberite-(Zn)

Pb(Fe2Zn)(SO4)2(OH)6

模式地:新潟県 阿賀町 三川鉱山

「未入手」

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No. 116.

IMA No./year: 2011-023(2012s.p.)

愛媛閃石 Chromio-pargasite(原記載はEhimeite)

NaCa2(Mg4Cr)(Si6Al2)O22(OH)2

模式地:愛媛県 新居浜市 東赤石山

原著:Nishio-Hamane D., Ohnishi M., Minakawa T., Yamaura J., Saito S., Kadota R. (2012) Ehimeite, NaCa2Mg4CrSi6Al2O22(OH)2: The first Cr-dominant amphibole from the Akaishi Mine, Higashi-Akaishi Mountain, Ehime Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 107, 1-7

Ehimeite_1
Ehimeite_2
模式地標本 
Ehimeiteで申請して承認されたが,すぐに命名規約変更の論文が出て今はchromio-pargasiteが正式名称。ehimeiteだった期間はわずか1年ちょっととあまりにも短命すぎた。

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No. 117.

IMA No./year: 2011-030

イットリウム肥前石 Hizenite-(Y)

Ca2Y6(CO3)11·14H2O

模式地:佐賀県 唐津市 肥前町 満越

「未入手」

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No. 118.

IMA No./year: 2011-031

イットリウムラブドフェン Rhabdophane-(Y)

YPO4·H2O

模式地:佐賀県 玄海町 日ノ出松

Rhabdophane-(Y)
模式地標本 中央の白っぽい玉が本鉱

Rhabdophane-(Y)
SEM写真 エンスタタイト結晶の被膜で産し,六角柱状結晶の放射状集合体。

Rhabdophane-(Y)
SEM写真その2 拡大写真。

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No. 119.

IMA No./year: 2011-043

宮久石 Miyahisaite

(Sr,Ca)2Ba3(PO4)3F

模式地:大分県 佐伯市 下払鉱山

原著:Nishio-Hamane D., Ogoshi Y., Minakawa T. (2012) Miyahisaite, (Sr,Ca)2Ba3(PO4)3F, a new mineral of the hedyphane group in the apatite supergroup from the Shimoharai mine, Oita Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 107, 121-126, 181

Miyahisaite_1
miyahisaite_2
模式地標本 だいたい同じ視野を写真とBEI像で並べてみた。下のBEI像で白い部分が宮久石で,その中心にあるやや明るい灰色はフッ素燐灰石。

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No. 120.

IMA No./year: 2010-085a

島崎石 Shimazakiite

Ca2B2-xO5-3x(OH)3x (x = 0-0.06)

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Kusachi I., Kobayashi S., Takechi Y., Nakamuta Y., Nagase T., Yokoyama K., Momma K., Miyawaki R., Shigeoka M., Matsubara S. (2013) Shimazakiite-4M and shimazakiite-4O, Ca2B2O5, two polytypes of a new mineral from Fuka, Okayama Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 77, 93-105

Shimazakiite_1
模式地標本 本鉱と方解石が入り交じってますが見た目ではわかりません。

Shimazakiite_2
顕微鏡写真(クロスニコル) 顕微鏡下では非常によくわかります。このもやもやが本鉱の特徴で,ポリタイプが混じってます。

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 Posted by at 11:22 PM

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