日本から発見された新鉱物たち(No.61-80)

 

IMA No./year: オフィシャルリストに掲載されている年に準拠しており,改訂があるものは「発見年(リストに記載の数字)」としてある。年の後についている「s.p.」はspecial procedureの略で再定義・再命名・再承認などがあったことを意味している。

IMA Status: 鉱物の承認の状態を示しており,例えば A = approved(1958年にIMAが設立された後に承認された鉱物),G = grandfathered(IMA設立以前に発見されており現在でも有効と見なせる鉱物),Rd = redefined(すでに存在していたが規約が改訂された鉱物),Rn = renamed(すでに存在していたが名前が変更された鉱物),Q = questionable(情報が少なくて存在が疑わしい鉱物)。

未申請・未承認・取消しされたものや怪しいものはその他へ移動した。
学名はオフィシャルリストに準拠しているが,和名はなじみのあるものを採用している。
 
一覧表の鉱物をクリックすればそこへ,写真をクリックすれば保存先のFlickrからフルサイズが見られる。
写真の利用はhamane*へお問い合わせください(*@issp.u-tokyo.ac.jp)。
質問などもそこへ。

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国産新鉱物一覧(No.61-80)

61. 逸見石 62. 片山石 63. カリ定永閃石 64. ストロナルシス石 65. アンモニオ白榴石
66. 滋賀石 67. イットリウム木村石 68. オホーツク石 69. ペトラック鉱 70. プロトフェロ直閃石
71. プロトフェロ末野閃石 72. 和田石 73. 豊羽鉱 74. 単斜トベルモリ石 75. 渡辺鉱
76. 三笠石 77. 森本石榴石 78. 草地鉱 79. 武田石 80. パラシベリア石

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No.1-20 | No.21-40 | No.41-60 | No.61-80 | No.81-100 | No.101-120 | No.121-140 | その他

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No. 61.

IMA No./year: 1981-050

逸見石 Henmilite

Ca2Cu[B(OH)4]2(OH)4

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Nakai I., Okada H., Masutomi K., Koyama E., Nagashima K. (1986) Henmilite, Ca2Cu(OH)4[B(OH)4]2, a new mineral from Fuka, Okayama Prefecture, Japan. American Mineralogist, 71, 1234-1239

Henmilite_1
henmilite_2
模式地標本

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No. 62.

IMA No./year: 1982-004

片山石 Katayamalite

KLi3Ca7Ti2(SiO3)12(OH)2

模式地:愛媛県 岩城島

原著:Murakami N., Kato T., Hirowatari F. (1983) Katayamalite, a new Ca-Li-Ti silicate mineral from Iwagi Islet, Southwest Japan. Mineralogical Journal, 11, 261-268

katayamalite_1
katayamalite_2
模式地標本 同視野を短波紫外線で照射,青く光ります。

片山石はBaratovite/KLi3Ca7(Ti,Zr)2[Si6O18]2F2と同一ではないかという疑いがあるとされる。「される」というあいまいな表現したのは,「はっきりさせようよ」という提案をIMAに対してまだ誰も言ってないから。

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No. 63.

IMA No./year: 1982-102(2012s.p.)

カリ定永閃石 Potassic-sadanagaite(原記載はMagnesiosadanagaite)

KCa2(Mg3Al2)(Si5Al3)O22(OH)2

模式地:愛媛県 明神島 & 弓削島

原著:Shimazaki H., Bunno M., Ozawa T. (1984) Sadanagaite and magnesio-sadanagaite, new silica-poor members of calcic amphibole from Japan. American Mineralogist, 69, 465-471

potassic-sadanagaite
愛媛県明神島 さんざん調べたがこの産地には本鉱だけでフェロタイプはない。

potassic-sadanagaite2
愛媛県睦月島 この産地はフェロタイプもあるが,この写真の結晶は本鉱だった。

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No. 64.

IMA No./year: 1983-016

ストロナルシス石 Stronalsite

Na2SrAl4Si4O16

模式地:高知県 高知市 蓮台

原著:Hori H., Nakai I., Nagashima K., Matsurbara S., Kato A. (1987) Stronalsite, SrNa2Al4Si4O16, a new mineral from Rendai, Kochi City Japan. Mineralogical Journal, 13, 368-375

stronalsite_1
岡山県 大佐山 このチップから作った薄片には本鉱が入っていたらしい。もらったラベルには「Jadeiteを切るanalcime脈中に含まれる」とある。

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ということで,上のチップから薄片を作ったら見つかった。中央上下に走る脈のやや明るい部分が本鉱。

stronalsite_3
さらに拡大。やや明るくカクカクしたものが本鉱。組成は純粋なNa2SrAl4Si4O16。周りは方沸石で,まさにラベルのとおりです。

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No. 65.

IMA No./year: 1984-015

アンモニオ白榴石 Ammonioeucite

(NH4,K)(AlSi2O6)

模式地:群馬県 藤岡市 下日野 鈩沢

Ammonioeucite

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No. 66.

IMA No./year: 1984-057

滋賀石 Shigaite

Mn6Al3(OH)18[Na(H2O)6](SO4)2・6H2O

模式地:滋賀県 栗東市 五百井鉱山

shigaite_1
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模式地標本 山田滋夫氏より提供していただいた。

滋賀石 Shigaite
群馬県利東鉱山

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No. 67.

IMA No./year: 1984-073

イットリウム木村石 Kimuraite-(Y)

CaY2(CO3)4・6H2O

模式地:佐賀県 唐津市 肥前町 切木

原著:Nagashima K., Miyawaki R., Takase J., Nakai I., Sakurai K., Matsubara S., Kato A., Iwano S. (1986) Kimuraite, CaY2(CO3)4·6H2O, a new mineral from fissures in an alkali olivine basalt from Saga Prefecture, Japan, and new data on lokkaite. American Mineralogist, 71, 1028-1033

kimuraite-(Y)
模式地標本

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No. 68.

IMA No./year: 1985-010

オホーツク石 Okhotskite

Ca2(Mn,Mg)(Mn3+,Al,Fe3+)2(Si2O7)(SiO4)(OH)2・H2O

模式地:北海道 常呂町 国力鉱山

原著:Togari K., Akasaka M. (1987) Okhotskite, a new mineral, an Mn3+-dominant member of the pumpellyite group, from the Kokuriki mine, Hokkaido, Japan. Mineralogical Magazine, 51, 611-614

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模式地標本

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上須戒鉱山 オープンニコル 左右に広がる黄土色~茶褐色の板状が本鉱。左下に広がる濃い色も本鉱です。右上のやや赤い結晶はストロンチウムマンガニ紅簾石/manganipiemontite-(Sr)

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No. 69.

IMA No./year: 1985-052

ペトラック鉱 Petrukite

(Cu,Ag)2(Fe,Zn)(Sn,In)S4

模式地:兵庫県 朝来市 生野鉱山 他(Mount Pleasant mine, Canada)

原著:Kissin S.A., Owens D.R. (1989) The relatives of stannite in the light of new data. The Canadian Mineralogist, 27, 673-688

櫻井鉱 Sakuraiite
模式地標本 No. 18に掲載した桜井鉱標本の同一。中央やや右の上下に走る黄銅鉱の上下が実は本鉱+桜井鉱の混合。

petrukite
後方散乱電子像。全体的に広がっている暗灰色が本鉱で,そのなかにシミのように滲んだやや明るい灰色が桜井鉱。本鉱の化学組成はCu1.77Fe0.65Zn0.47Sn0.80In0.23S4。この産地のペトラック鉱は銀をほとんど含まない(原著と調和的)。ほか,白色はスズ石,やや明るい灰色粒はインジウム銅鉱,黒は石英。

原著の記載論文では生野鉱山とMount Pleasant mine産が並記してあることから,ひとまず日本産新鉱物としてカウントしておく。実はオフィシャルリストにはCanadaしか記載されていない。その理由は推測するしかないが,この原著の中で,「Petruk(1973, The Canadian Mineralogist, 12, 46)によるMount Pleasant mine産の鉱物は本鉱の可能性がある」,という記述があり,それでオフィシャルリストではCanadaだけの標記になったのではないだろうか。追記:2014年7月のオフィシャルリストでは原産地がカナダ・日本の両論併記になっていたので,やっぱり日本産新鉱物としてカウント。

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No. 70.

IMA No./year: 1986-006(2012s.p.)

プロトフェロ直閃石 Proto-ferro-anthophyllite

□Fe2+2Fe2+5Si8O22(OH)2

模式地:岐阜県 中津川市 蛭川田原

原著:Sueno S., Matsuura S., Gibbs G.V., Boisen M.B. (1998) A crystal chemical study of protoanthophyllite: orthoamphiboles with the protoamphibole structure. Physics and Chemistry of Minerals, 25, 366-377

proto-ferro-anthophyllite
模式地標本

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No. 71.

IMA No./year: 1986-007(2012s.p.)

プロトフェロ末野閃石 Proto-ferro-suenoite

□Mn2+2Fe2+5Si8O22(OH)2

模式地:栃木県 鹿沼市 日瓢鉱山

原著:Sueno S., Matsuura S., Gibbs G.V., Boisen M.B. (1998) A crystal chemical study of protoanthophyllite: orthoamphiboles with the protoamphibole structure. Physics and Chemistry of Minerals, 25, 366-377

proto-ferro-suenoite_1
proto-ferro-suenoite_2
模式地標本

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No. 72.

IMA No./year: 1987-045

和田石 Wadalite

Ca6Al6Si2O16Cl3

模式地:福島県 郡山市 逢瀬町 多田野

原著:Tsukimura K., Kanazawa Y., Aoki M., Bunno M. (1993) Structure of wadalite Ca6Al5Si2O16Cl3. Acta Crystallographica, C49, 205-207

wadalite_1
模式地標本 黒いやつが本鉱。

wadalite_2
拡大すると透明感のある深い緑。分析してみると鉄分(FeO)が約5.5wt%含まれるので黒っぽくなるのだと思われる。

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No. 73.

IMA No./year: 1989-007

豊羽鉱 Toyohaite

Ag2FeSn3S8

模式地:北海道 札幌市 南区 豊羽鉱山

「未入手」

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No. 74.

IMA No./year: 1990-005

単斜トベルモリ石 Clinotobermorite

Ca5Si6O16(OH)2・5H2O

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

clinotobermolite
模式地標本 見た目ではわからないがX線で確認すると本鉱とトベルモリ石が共存している。

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No. 75.

IMA No./year: 1991-025

渡辺鉱 Watanabeite

Cu4(As,Sb)2S5

北海道 札幌市 手稲区 手稲鉱山

「未入手」

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No. 76.

IMA No./year: 1992-015

三笠石 Mikasaite

Fe3+2(SO4)3

模式地:北海道 三笠市 幾春別 奔別川東岸

原著:Miura H., Niida K., Hirama T. (1994) Mikasaite, (Fe3+,Al)2(SO4)3, a new ferric sulphate mineral from Mikasa city, Hokkaido, Japan. Mineralogical Magazine, 58, 649-653

mikasaite
模式地標本 北海道から関東に引っ越してきてほったらかしてたらちょっと小さくなった気がする。潮解性があるので保存にはシリカゲル必須です。今回の撮影でまたちょっとちびた気がする。

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No. 77.

IMA No./year: 1992-017

森本石榴石 Morimotoite

Ca3(TiFe2+)(Si3O12)

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Henmi C., Kusachi I., Henmi K. (1995) Morimotoite, Ca3TiFe2+Si3O12, a new titanian garnet from Fuka, Okayama Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 59, 115-120

morimotoite
模式地標本

森本石榴石の端成分がCa3(TiFe2+)(Si3O12)でショーロマイトの端成分がCa3Ti2SiFe3+2O12なので,たして2で割るとCa3Ti3/2Fe2+1/2Si2Fe3+O12となり,これよりどっち側かで種が分類される。単純にはSiが2を超えれば森本石榴石で2を下回ればショーロマイト。この試料の分析値は(Ca2.94Fe2+0.06)(Ti1.26Fe2+0.46Mg0.10Al0.08Fe3+0.09)(Si2.30Fe3+0.70)O12で森本石榴石の組成領域。この組成は原著の組成とほとんど同じだし,ショートマイトとして手に入れた標本を分析してもほぼ同じでSi>2の森本石榴石だった。もしかして布賀のショーロマイトという標本は多くが森本石榴石ではないだろうか?

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No. 78.

IMA No./year: 1992-024

草地鉱 Kusachiite

Cu2+Bi3+2O4

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Henmi C. (1995) Kusachiite, CuBi2O4, a new mineral from Fuka, Okayama Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 59, 545-548

kusachiite
模式地標本

synthetic kusachiite
合成結晶 水熱合成法

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No. 79.

IMA No./year: 1993-049

武田石 Takedaite

Ca3B2O6

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Kusachi I., Henmi C., Kobayashi S. (1995) Takedaite, a new mineral from Fuka, Okayama Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 59, 549-552

takedaite
模式地標本 これも薄片をそのうちに作成しよう。

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No. 80.

IMA No./year: 1996-051

パラシベリア石 Parasibirskite

Ca2B2O5・H2O

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Kusachi I., Takechi Y., Henmi C., Kobayashi S. (1998) Parasibirskite, a new mineral from Fuka, Okayama Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 62, 521-525

parasibirskite
模式地標本 中央上下に走るややピングがかった白色脈。実際には本鉱+シベリア石の混合で,X線の比率からすると本鉱:シベリア石=2:3くらい。パラシベリア石と名付けられてはいるものの,結晶構造はシベリア石とはとくに関連は無い(Takahashi et al., 2010, JMPS, 105, 70-73)。

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