日本から発見された新鉱物たち(No.41-60)

 

IMA No./year: オフィシャルリストに掲載されている年に準拠しており,改訂があるものは「発見年(リストに記載の数字)」としてある。年の後についている「s.p.」はspecial procedureの略で再定義・再命名・再承認などがあったことを意味している。

IMA Status: 鉱物の承認の状態を示しており,例えば A = approved(1958年にIMAが設立された後に承認された鉱物),G = grandfathered(IMA設立以前に発見されており現在でも有効と見なせる鉱物),Rd = redefined(すでに存在していたが規約が改訂された鉱物),Rn = renamed(すでに存在していたが名前が変更された鉱物),Q = questionable(情報が少なくて存在が疑わしい鉱物)。

未申請・未承認・取消しされたものや怪しいものはその他へ移動した。
学名はオフィシャルリストに準拠しているが,和名はなじみのあるものを採用している。
 
一覧表の鉱物をクリックすればそこへ,写真をクリックすれば保存先のFlickrからフルサイズが見られる。
写真の利用はhamane*へお問い合わせください(*@issp.u-tokyo.ac.jp)。
質問などもそこへ。

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国産新鉱物一覧(No.41-60)

41. 神岡鉱 42. 布賀石 43. 三原鉱 44. 中宇利石 45. ソーダフッ素魚眼石
46. 上国石 47. 単斜灰プチロル沸石 48. 加納輝石 49. 種山石 50. 長島石
51. 鈴木石 52. 古遠部鉱 53. 欽一石 54. 奴奈川石 55. マンガノパンペリー石
56. カリフェロ定永閃石 57. 釜石石 58. 大江石 59. 砥部雲母 60. ソーダ南部石

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No.1-20 | No.21-40 | No.41-60 | No.61-80 | No.81-100 | No.101-120 | No.121-140 | その他

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No. 41.

IMA No./year: 1975-003

神岡鉱 Kamiokite

Fe2+2Mo4+3O8

模式地:岐阜県 飛騨市 神岡鉱山

原著:Sasaki A., Yui S., Yamaguchi M. (1985) Kamiokite, Fe2Mo3O8, a new mineral. Mineralogical Journal, 12, 393-399.

kamiokite1
kamiokite2
模式地標本 同構造のマンガン置換体の伊勢鉱より金属光沢が強く,一部にはややひずんだ6角形の断面がみえる

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No. 42.

IMA No./year: 1976-003

布賀石 Fukalite

Ca4Si2O6(CO3)(OH)2

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Henmi C., Kusachi I., Kawahara A., Henmi K. (1977) Fukalite, a new calcium carbonate silicate hydrate mineral. Mineralogical Journal, 8, 374-381

布賀石 Fukalite
模式地標本 右上から左下に走るクリーム色部が本鉱+方解石。白いところには布賀石は入っていなかった。

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No. 43.

IMA No./year: 1976-012

三原鉱 Miharaite

PbCu4FeBiS6

模式地:岡山県 井原市 三原鉱山

miharaite1
模式地標本 石英質に斑銅鉱と黄銅鉱がちりばめられている。こういうタイプの鉱石に三原鉱は産出する。

miharaite
miharaite
上記標本の薄片SEM写真と反射顕微鏡写真。中心が本鉱でその周りは班銅鉱。顕微鏡写真で金色ぽいのは黄銅鉱。三原鉱の分析値はPb1.2Cu4.2Fe1.0Bi1.1S6

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No. 44.

IMA No./year: 1976-016

中宇利石 Nakauriite

Cu8(SO4)4(CO3)(OH)6·48H2O

模式地:愛知県 新城市 中宇利鉱山

原著:Suzuki J., Ito M., Sugiura T. (1976) A new copper sulfate-carbonate hydroxide hydrate mineral, (Mn,Ni,Cu)8(SO4)4(CO3)(OH)6·48H2O, from Nakauri, Aichi Prefecture, Japan. Journal of Mineralogy, Petrology and Economic Geology, 71, 183-192

nakauriite
高知県 円行寺

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No. 45.

IMA No./year: 1976-032

ソーダフッ素魚眼石 Fluorapophyllite-(Na)

NaCa4Si8O20F・8H2O

模式地:岡山県 高梁市 山宝鉱山

Fluorapophyllite-(Na)
模式地標本 クリーム色部が本鉱。

Fluorapophyllite-(Na)
上標本のSEM写真 基本的に全体が本鉱。分析するとカリウム(K)はほとんど含まれない端成分に近い標本であった。

山田滋夫氏より標本を提供していただいた。これまでにいくつか手に入れて調べたが今のところ確実なのはこの標本のみ。

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No. 46.

IMA No./year: 1976-045

上国石 Jôkokuite

Mn2+(SO4)・5H2O

模式地:北海道 上ノ国町 上ノ国鉱山

Jôkokuite
模式地標本


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No. 47.

IMA No./year: 1977(1997s.p.)

単斜灰プチロル沸石  Clinoptilolite-Ca

Ca3(Si30Al6)O72·20H2O

模式地:福島県 西会津町 車峠

「未入手」

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No. 48.

IMA No./year: 1977-020

加納輝石 Kanoite

MnMgSi2O6

模式地:北海道 八雲町 熊石町館平

Kanoite
模式地標本 中央上下に走るやや紫色がかった脈が本鉱+マンバン石榴石(+カミントン閃石)の集合。顕微鏡写真はフリッカーにあるのでこの写真をクリックして飛んだ先の右から見ることができる。

kanoite
SEM写真 中央のややくらいコントラストを持つ部分が本鉱。組成はMn2+1.00(Mg0.87Fe2+0.10Mn2+0.02Ca0.02)Si1.99O6。あとはマンバン石榴石(やや明るい),カミントン閃石(暗い),パイロクスマンガン石(やや明るい)がいる。

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No. 49.

IMA No./year: 1977-042

種山石 Taneyamalite

(Na,Ca)(Mn2+12(Si,Al)12(O,OH)44

模式地:熊本県 八代市 種山鉱山 & 埼玉県 飯能市 岩井沢鉱山

原著:Matsubara S. (1981) Taneyamalite, (Na,Ca)(Mn2+, Mg, Fe3+,Al)12Si12(O,OH)44, a new mineral from the Iwaizawa mine, Saitama Prefecture, Japan. Mineralogical Magazine, 44, 51-53

taneyamalite1
模式地(熊本県種山鉱山)

taneyamalite2
愛媛県 用ノ山鉱山

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No. 50.

IMA No./year: 1977-045

長島石 Nagashimalite

Ba4(V3+,Ti)4(O,OH)2[B2Si8O27]Cl

模式地:群馬県 桐生市 茂倉沢鉱山

原著:Matsubara S., Kato A. (1980) Nagashimalite, Ba4(V3+, Ti)4[(O,OH)2/Cl/Si8B2O27], a new mineral from the Mogurazawa mine, Gumma prefecture, Japan. Mineralogical Journal, 10, 122-130

nagashimalite
模式地標本 

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No. 51.

IMA No./year: 1978-005

鈴木石 Suzukiite

BaV4+Si2O7

模式地:群馬県 桐生市 茂倉沢鉱山 & 岩手県 田野畑村 田野畑鉱山

原著:Matsubara S., Kato A., Yui S. (1982) Suzukiite, Ba2V24+[O2Si4O12], a new mineral from the Mogurazawa mine, Gumma Prefecture, Japan. Mineralogical Journal 11, 15-20

suzukiite1
suzukiite2
模式地標本(群馬県茂倉沢鉱山)
分析してみるとほとんど純粋なBaV4+Si2O7組成。

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No. 52.

IMA No./year: 1978-040

古遠部鉱 Furutobeite

(Cu,Ag)6PbS4

模式地:秋田県 小坂町 古遠部鉱山

原著:Sugaki A., Kitakaze A., Odashima Y. (1981) Furutobeite, a new copper-silver-lead sulfide mineral. Bulletin de Minéralogie, 104, 737-741.

furutobeite1
秋田県釈迦内鉱山 方鉛鉱(ぎらついているところ)と閃亜鉛鉱(うぐいす色部)からなっている鉱石中に本鉱が含まれる。

furutobeite2
後方散乱電子像。中央の「く」の字形の白が本鉱で,それ以外の白は方鉛鉱。左側~右上に広がるやや暗い灰色は閃亜鉛鉱。本鉱の上側の左上から右下にかけてのやや明るい灰色は砒四面銅鉱。黒は石英。本鉱の化学組成はCu4.87Ag1.10Pb1.05S4

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No. 53.

MA No./year: 1979-031

欽一石 Kinichilite

Mg0.5Mn2+Fe3+(Te4+O3)3・4.5H2O

模式地:静岡県 下田市 河津鉱山

Kinichilite
模式地標本 分離結晶で左右どちらも欽一石

Kinichilite
模式地標本 石英上の中央の黒色結晶。右上のごく微細な黄褐色針状結晶はゼーマン石。

Zemannite
これはゼーマン石。参考までに。

河津鉱山には欽一石,ゼーマン石共に同じ産状で出る。鑑定ポイントは色で,黒色結晶を分析してみるとたいていマンガンを多く含み,50%くらいの確率で欽一石になっていた。掲載した写真の上2点は欽一石で,三番目がゼーマン石である。欽一石はゼーマン石に比べて赤みが強く出ており,見た目ではこれくらいの違いがでる。これらの標本は山田滋夫氏から恵与いただいた。

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No. 54.

IMA No./year: 1979-081a

奴奈川石 Strontio-orthojoaquinite

NaSr4Fe3+Ti2Si8O24(OH)4

模式地:新潟県 糸魚川市 青海町 金山谷

原著:Wise W.S. (1982) Strontiojoaquinite and bario-orthojoaquinite: two new members of the joaquinite group. American Mineralogist, 67, 809-816.

strontio-orthojoaquinite
模式地標本

オフィシャルリストでは化学組成は上記となっているのだが,ジョアキン石族の再定義という論文があって(Matsubara et al., 2001, Canadian Mineralogist, 39, 757),そのなかで本鉱の化学組成はSr2Ba2(Na,Fe2+)2Ti2Si8O24(O,OH)・H2Oと定義されている。なぜかオフィシャルリストに反映されていない。ということで模式地標本を分析してみたところSr2.00Ba2.16(Na1.56Fe0.66)Ti1.68Si7.94O24(O0.67OH0.33)・H2Oでした。これはMatsubaraらの提案と一致する。

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No. 55.

IMA No./year: 1980-006

マンガノパンペリー石 Pumpellyite-(Mn)

Ca2Mn2+Al2(Si2O7)(SiO4)(OH)2・H2O

模式地:山梨県 南アルプス市 落合鉱山

原著:Kato A., Matsubara S., Yamamoto R. (1981) Pumpellyite-(Mn2+) from the Ochiai Mine, Yamanashi Prefecture, Japan. Bulletin de Minéralogie, 104, 396-399

pumpellyite-(Mn)
模式地標本 明褐色部

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No. 56.

IMA No./year: 1980-027(2012s.p.)

カリフェロ定永閃石 Potassic-ferro-sadanagaite(原記載はsadanagaite)

KCa2(Fe2+3Al2)(Si5Al3)O22(OH)2

模式地:愛媛県 弓削島

原著:Shimazaki H., Bunno M., Ozawa T. (1984) Sadanagaite and magnesio-sadanagaite, new silica-poor members of calcic amphibole from Japan. American Mineralogist, 69, 465-471

potassic-ferro-sadanagaite1
模式地標本 全体,黒色がかった部分が本鉱。やや紫がかった部分はベスブ石。この産地の本鉱は非常に微細なため,ルーペでは結晶はまず見えないし実体顕微鏡でも厳しい。

potassic-ferro-sadanagaite2
上の標本の薄片写真(クロスニコル) おおむね全体が本鉱で,黒はチタン鉄鉱,ギラギラはチタン石。

potassic-ferro-sadanagaite3
愛媛県 睦月島

卒論~修論で瀬戸内の定永閃石は分析しまくった。この産地のこのタイプの産状は全てが本鉱で明瞭な緑色粒状で産する。睦月島にはカリ定永閃石も産出し,分析しないとどちらかは不明。

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No. 57.

IMA No./year: 1980-052

釜石石 Kamaishilite

Ca2(SiAl2)O6(OH)2

模式地:岩手県 釜石市 釜石鉱山

釜石石
模式地標本 中央の暗緑色部に本鉱が含まれる。山田滋夫氏から恵与。

釜石石
釜石石
釜石石

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No. 58.

IMA No./year: 1980-103

大江石 Oyelite

Ca10B2Si8O29・12H2O

模式地:岡山県 高梁市 布賀鉱山

原著:Kusachi I., Henmi C., Henmi K. (1984) An oyelite-bearing vein at Fuka, the town of Bitchu, Okayama Prefecture. Journal of the Japanese Association of Mineralogists, Petrologists and Economic Geologists, 79, 267-275

oyelite
模式地標本
普通のトベルモリ石とはホウ素(B)を含むこと,結晶構造の最小単位が異なることで特徴付けられる。

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No. 59.

IMA No./year: 1981-021

砥部雲母 Tobelite

(NH4)Al2(Si3AlO10(OH)2

模式地:愛媛県 砥部町 扇谷陶石鉱山 & 広島県 東広島市 豊蝋鉱山

原著:Higashi S. (1982) Tobelite, a new ammonium dioctahedral mica. Mineralogical Journal, 11, 138-146

tobelite
tobelite2
愛媛県 砥部町 万年

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No. 60.

IMA No./year: 1981-034

ソーダ南部石 Natoronambulite

NaMn2+4Si5O14(OH)

模式地:岩手県 田野畑村 田野畑鉱山

原著:Matsubara S., Kato A., Tiba T. (1985) Natronambulite, (Na,Li)(Mn,Ca)4Si5O14OH, a new mineral from the Tanohata mine, Iwate Prefecture, Japan. Mineralogical Journal, 12, 332-340

natronambulite
Natronambulite_2
模式地標本 オレンジ色が本鉱。二枚目写真のブラウン色柱状結晶はマグネシオアルベソン閃石。

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