平成12年度の目標は、不活性分子の凝縮体表面に焦点を絞り、この系で展開される様々な現象-例えば、吸着分子間相互作用、凝集機構、化学反応-を明らかにすることである。具体的な研究成果および進捗状況は以下の通りである。
(1) Ni(111)表面に凝縮させたKr、Xe原子層の電子状態についてメタステーブル原子電子分光(MAES)による解析をおこなった。その結果、希ガスの原子層が数層になると、He*(23S)はほぼ完全にペニングイオン化過程を経て脱励起し、価電子バンドのみが観測にかかる。価電子バンドのみが観測にかかる。ところが1-2層の領域では、1電子放出以外の構造も出現することが分かった。これは層の厚さによって、凝集体表面最外層の電子状態が変化することを示す。詳細な解析を始めている。
(2) N2[1]、CO[2]、O2[3]凝縮系については、本研究領域発足以前に測定した実験結果を基に解析し、論文としてまとめた。
(3)装置面では、ミューメタルチャンバーの設計をおこない、振動解析用のHREELS装置とともに製作中である(下図)。
[1] R. Suzuki, H. Taoka, M, Aoki, and S. Masuda,
submitted.
[2] S. Masuda, R. Suzuki, M. Aoki, Y. Morikawa, R.
Kishi, and M. Kawai, J. Chem.
Phys. in press.
[3] M. Aoki, H. Taoka, T. Kanada, and S. Masuda,
J. Electron Spectrosc. Relat.
Phenom.
114-116, 507 (2001).
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