ガスボンベの取り扱い


高圧ガスの基礎知識

高圧容器に充填されるガスの種類によってその取り扱い方は違う(性質に応じて対応)。

ガスの分類

    可燃性ガス 水素、アセチレン、LPGなど
    支燃性ガス 酸素、空気など
    毒性ガス 塩素、アンモニアなど
    腐食性ガス アンモニアなど
    不活性ガス 炭酸ガス、窒素、ヘリウムなど

ガスの性質

寒剤の種類
沸点(K)
分子量
分類
液体の密度(kg/L)

気体の比重

(空気=1)

窒素 N2
77.3
28
不燃性
0.808
0.967
酸素 O2
90.1
32
ライトブル-
支燃性
1.144
1.105
ヘリウム He
4.2
4
不燃性
0.125
0.138
ネオン Ne
27.1
20
不燃性
1.207
0.696
水素 H2
20.3
2
可燃性
0.071
0.069
アルゴン Ar
87.2
40
不燃性
1.374
1.380
空気 Air
78.8
29
ライトブル-
支燃性
0.874
1.000
二酸化炭素 CO2
194.5
44
不燃性
1.030(※1)
1.529

※1 : -20℃、1.967MPa[20.06kg/cm2 abs]


高圧容器の外観(色分け、文字による表記)

  1. 高圧容器の指定色(容器則 第10 条(表示の方式)参照)

    高圧容器は、ガスの種類により次の表のように色分けされている。

    ガスの種類
    塗色の部分
    酸 素
    黒色
    水 素
    赤色
    液化塩素
    黄色
    アセチレン
    かっ色
    液化炭酸(二酸化炭素)
    緑色
    液化アンモニア
    白色
    その他の高圧ガス
    ねずみ色
  2. 刻印など

    容器の肩部には、次の事項が刻印されている。

    記 載 事 項  
    記 載 例
    ガスの種類 He
    容器の記号番号 ABC 23456
    内容積(L) V 47.2

    容器質量(kg)
    (バルブ、キャップなどを含まない容器重量)

    W 60.2
    耐圧試験に合格した年月 4.98
    耐圧試験圧力 TP 24.5
    最高使用充填圧力
    (MPa・35℃のとき)
    FP 14.7


    その他、再検査時の容器重量、容器検査所の符号、再検査施行年月が刻印されているものもある。
    また、刻印が不可能な容器には、下に示した項目を記入したラベルが貼付されている。中には刻印
    可能なものでも、ラベルが貼られているものもある。
    ※ガスの種類及び容器の種類によって、ガスの充填圧力は異なる。

容器(通称ボンベ)の移動及び取り扱い

使用上の注意

  1. 直立させておく場合には、転倒しないように、鎖、ロープなどで壁などに固定する。
  2. 架台をできるだけ使用し、容器の背面は架台に押しつけて固定する。架台はアンカーボルトなどで床面に固定すること。
  3. チェーンは一本がけよりも上下二本がけをするとより安全である。
  4. 横にして置く場合には、転がらないように支持具で確実 に固定する(運搬時も)。
  5. 直射日光が当たる場所、溶接・溶断などの作業場の近く などに置かない。
  6. 地下室、床下、湿気や周囲に燃えやすいもの又電線、ア ース線の近くを避け、風通しの良い場所に置く。
  7. 酸素と可燃性ガスのようにガスの違う容器を一カ所に 集めて置かない。
  8. キャップを必ずしておく。
  9. バルブは急激に開けない。
  10. 開ける場合はガスの出る方向に注意し、出口側に人がいないことを確かめてから静かに開ける。始めは小さくゆっくりと開ける。漏れなどを確認してから充分に開け使用する。
  11. ガスの使用後は、完全にバルブを閉めてキャップを被せておく。
  12. 圧力調整バルブを付けて使用する場合は、容器のバルブと圧力調整バルブが閉まっていることを確認してから、容器のバルブに圧力調整器を取り付ける。

高圧容器の移動

  1. 基本的に、専用の容器運搬車で固定して運ぶ。運搬車がない場合には容器を転がして移動しても構わないが、決して足などで蹴って転がさず、1本ずつ容器を 手前に傾けて静かに転がして移動する。
    また、バルブに はキャップを被せ、直接バルブに手をふれないようにする。さらに、安全靴等を着用する。
  2. 容器をクレーン等で吊り上げる場合は、バルブ、キャップの部分を吊らない。また、容器に鎖やロープ等で縛り つけて吊り上げてはならない。必ず、容器を安全に移動できるカゴ等を用いる。
  3. 容器は、落としたり倒したりあるいは互いに激突させたりしない。

圧力調整バルブを取り付けるときの注意点

  1. ゴミがかまないようにふかし等を行ってから取り付ける。
  2. 容器のバルブネジと圧力調整バルブのネジと にガタのあるものは使用しない。
  3. 圧力調整バルブの継ぎ手の口金がガスの種類 によって違うので注意する。

          窒素、酸素など → 右ネジ
          ヘリウム → 左ネジ


  4. 圧力調整器、圧力計、ホース、導管などは、そのガス専用のものを使用する。特に酸素ガスの場合、油分が有ると爆発するので注意する。
  5. ネジの継ぎ手等に漏れがある場合には、バルブを閉め圧力を抜いてからパッキンの有無、損傷などを確認して漏れ箇所の増し締めなどを行う。
  6. 高純度ガスを使用するときは、使用前に圧力調整器や接続導管の内部を十分にパージする。
  7. ガス漏れの危険を常に考え、換気に注意する。


参考:ガスボンベのバルブの種類


参考:容器弁(ダイヤフラム式)の仕様


 引用・参考:大陽日酸(株)作成 東京大学 高圧ガス保安講習会、液化室利用の手引き


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物性研 低温液化室
連絡先 ekika-gas@issp.u-tokyo.ac.jp 内線 63514

Gas Cylinder Management System(Ver. 0.0.1)
(C) H.Tsuchiya,R.Sagiyama 2005-


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