東京大学 物性研究所
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物性研究所からのお知らせ
柴山教授 日本化学会学術賞を受賞

  物性研究所中性子科学研究施設の柴山充弘教授が平成16年度第22回日本化学会学術賞を受賞されました。学術賞は化学の基礎または応用のそれぞれの部門 1)物理化学系(物理化学・工業物理化学) 、2)無機・分析化学系 (無機・分析化学、無機工業・工業分析化学)、3)有機化学系 (有機化学・有機工業化学) 、4)材料化学・高分子化学系、5)天然物化学・生体関連化学系(含医農薬)、6)複合領域(含情報・計算機化学、地球化学、環境化学、資源・エネルギー)において先導的・開拓的な 研究業績を挙げた者に授与される賞で、受賞の対象となったのは、材料化学・高分子化学系部門における「ゲルの構造不均一性とゲル化機構に関する研究」です。

  柴山教授は、高分子化学の中でも基礎研究と応用研究が大きく乖離した分野の一つであったゲルについて、その本質である「架橋」と「不均一性」に着目し、中性子散乱と光散乱を相補的に活用したゲルの微細構造とダイナミクスの研究を行い、ゲルという結合相関系の化学を不均一性の観点から展開し、高分子ゲルの物理と化学の進展に大きな貢献をされました。主要な業績としては、次のようなものが挙げられます。

1.高分子ゲルに存在する動的濃度揺らぎと静的不均一性の分離・評価法の確立
 ゲルには空間不均一性、トポロジー的不均一性、結合不均一性などのさまざまな構造不均一性が存在することを指摘し、それぞれが散乱実験や、膨潤度測定、動的光散乱などといった独立した実験によって評価、分類できることを示した。さらに、ゲルは散乱強度などの測定量のアンサンブル平均と時間平均が一致しない非エルゴード媒体であることに着目し、それを利用した新しいゲルのダイナミクス研究法を提案した。

2. ゲルのミクロ相分離における荷電効果の研究
 小角中性子散乱により熱敏感型ハイドロゲルの相分離の臨界現象・相分離現象について研究し、ゲルの体積相転移においても一般の流体系と同じく臨界現象が観察されること、電荷の導入によりナノメーターオーダーの相分離、すなわちミクロ相分離が発現することを発見した。これらの研究は、ゲルの化学と物理学とを結びつけ、体積相転移を利用したアクチュエーターの開発、高吸水性や高透明性を目指す荷電ゲルの分子設計に大きな指針を与えた。

3.時分割ゲル化点決定法の開発
 架橋剤の存在下でモノマーのラジカル重合を行うと、ゲル化点において著しい散乱強度の上昇が起こること、そしてそれがゲル化点に対応することを発見した。この現象は、流体系における気液転移とのアナロジーとして理解できるもので、ゲル化の際に大きな揺らぎが発現することを初めて実証した。この発見に基づき、ゲル化過程にある系の光散乱および動的光散乱を時々刻々モニターすることで、ゲル化の様式、ゲル化点の決定、ゲル化後のゲル構造が特定できる非接触ゲル化点測定法である時分割動的光散乱法を開発した。

参考文献
M. Shibayama, Macromol. Chem. Phys., 199, 1 (1998).
M. Shibayama, T. Norisuye, Bull. Chem. Soc. Jpn., 75, 641 (2002).
Last Update 2005/03/25
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