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Seminar
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放射光セミナー: 共鳴軟X線散乱により観測したIrTe2ストライプ相のTe-Ir共有ボンドの電荷変調
標題: 放射光セミナー: 共鳴軟X線散乱により観測したIrTe2ストライプ相のTe-Ir共有ボンドの電荷変調
日時: 2014年4月4日(金)  午後1:30~
場所: 播磨中央管理棟3F会議室 (TV会議 物性研究所本館6階第一会議室)
講師: 田久保 耕 氏
所属: ブリティッシュコロンビア大学
要旨: IrTe2は、280KでQ=(1/5,0,-1/5)の長周期歪みを伴う構造相転移を起こす物質で ある[1,2]。特にPt, Pdドープによって超伝導相が出現するため、銅酸化物や鉄 砒素系高温超伝導体との関連も興味を持たれ、精力的に研究されている。また最 近の単結晶構造解析の結果、低温相はIrサイトとTeサイトのストライプ状の周期 構造を持っていることも発見された[3]。彼らの研究では、一部のIr サイト間に 二量体化が起こっているため、Ir 5d-Ir 5dの軌道整列がこの相転移の起源であ るとされている。しかし一方で、光電子分光やバンド計算を含むいくつかの研究 においては、フェルミ面上の状態密度にTe 5pホールの存在が示唆され、この相 転移はTe 5pホールのネスティング(Van Hove singularity)によるものであると いう主張もされていて、議論がつきない[4]。
そこで今回、我々はTe 3d (M4,5)吸収端を用いたX線吸収分光(XAS)、共鳴軟X線 散乱(RSXS)測定を行い、IrTe2ストライプ相のTeサイトの電荷変調を観察した。 その結果、Te 3d XASには比較的大きなpre-edge構造が観察された。このことは Te 5p-Ir 5dの共有原子価状態(Te 5pホール)の存在を直接的に示唆する。また、 このpre-edgeに関するQ=(1/5,0,-1/5)のRSXSのエネルギースペクトルの解析か ら、この低温相の変調は、上述のIr 5d-Ir 5d二量体化と結合したTe 5p-Ir 5d共 有ボンドの電荷変調を起源とするものであることが明らかになった。

[1] S. Pyon et al., J. Phys. Soc. Jpn. 81, 053701 (2012).
[2] J. J. Yang et al., Phys. Rev. Lett. 108, 116402 (2012).
[3] G. L. Pascut et al., arXiv:1309.3548.
[4] T. Qian et al.,arXiv:1311.4946v1.
世話人: 和達 大樹 (内線:63400)
e-mail: wadati :at: issp.u-tokyo.ac.jp