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[物性研ニュース]
柴山充弘教授が日本中性子科学会「第12回学会賞」を受賞
左:中性子科学会会長 金谷利治京都大学教授<br>右:柴山氏
左:中性子科学会会長 金谷利治京都大学教授
右:柴山氏
  柴山充弘教授が、日本中性子科学会 第12回 学会賞を受賞されました。この賞は、中性子科学の進歩発展に寄与しその業績が特に顕著な者に授与されるもので、受賞テーマは「中性子散乱による高分子ゲルおよびミセルの構造と変形機構に関する研究」です。

  柴山氏は1980年代半ばより、中性子小角散乱(SANS)を用いた高分子研究で世界をリードしてきました。その中で特に大きな成果を挙げたのは「熱敏感型高分子ゲルの体積相転移と臨界現象」や「弱電解質ゲルのミクロ相分離」「高吸水性樹脂の構造研究」など高分子ゲルに関する研究です。彼はこれらの複雑な系に対してSANSをいち早く導入し、ナノスケールからメゾスケールの構造解析を行うことにより高分子ゲルの特徴的な物性発現の物理的根拠を次々と解明しました。また近年では主に国内で発見された一連の高強度高分子ゲルを主にSANSを用いて研究し、その力学物性の要因を構造の面から明らかにしました。とりわけ均一な網目構造を持つゲルであるTetra-PEGゲルの開発に関与し、その均一な網目構造自体がこのゲルの高強度・高弾性ゲルの由来であることを明らかにしました。更にこのゲルの溶媒をイオン液体に替えたTetra-PEGイオンゲルの調製を行い、その構造的な特徴を明らかにしました。上記の研究の過程では、小角散乱測定装置にフィルム延伸装置等を組み込むことで、巨視的な変形状態における微視的な構造の変化を明らかにすることにも成功しています。

  これら一連の研究は単に高分子ゲルの構造と物性の関係を明らかにした、と言うことに留まらず、ソフトマターの特異な物性の要因を明らかにする上で構造研究が極めて重要なこと、とりわけ中性子小角散乱が決定的な手法であることを示しており、中性子科学に対する貢献は大きいです。これらにより、柴山氏の業績は日本中性子科学会学会賞に値するものと認められました。